satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 3ー5

~attention~
あれだよ……ポケダンゲームモチーフだから、原作のイメージを崩したくない人はバックだよ。
ピカ「………………」
え、なに……? ちょっと冷たい目をしてません?
ピカ「このコーナー飽きた」
…………えっ。いやでも、必要なことだし…
ピカ「だって私、いらないじゃん。作者だけでいいじゃん。というか、誰もここを必要としてないでしょ」
あっと……んと…え?
ピカ「………始めまーす」
あ……あれ? ちょっとお口が達者になってません? ピカさん? ピカさーん!?


~3‐5 目眩の先にあるもの~


スリープが勢いに任せて攻撃してくること約数分。私はただ避けることに専念し、相手の戦意を削ぐことだけを考えていた。実力差がある場合、無闇に突っ込んだとしても勝ち目など見えてくるはずもない。かといって、今の私のように逃げていたって仕方がないのだが、これは考えあっての行動のため、問題はない。強いて言うなら、タイミングだけが問題ではあるのだが。
「ちょこまかとすばしっこい奴め……!」
「お褒めいただき光栄です」
嘘です。全く嬉しくないし、光栄にも思っていない。むしろ、こいつみたいな奴に褒められるくらいなら、馬鹿にされた方がまだましだ。思いきり本音ぶつけられるし。嘘つくより、何倍もいい。
腹は立つだろうが。
相手側は大分息が上がってきたようで、攻撃のテンポが遅くなってきていた。それでは、私は私の役目を全うしようかしら。
十分に距離を取り、私とスリープは向かい合う。私の対応は相変わらず、相手の神経を逆撫でするように接した。
「あれれー? もうおしまいなの? 早かったね」
「はあ…はあ………なめんじゃ…ねぇぞ……! 俺はエスパータイプなんだからなっ……!!」
「え、そうなの? ずっと接近戦してくるから、物理系かと思ってましたけど」
エスパータイプなのは重々承知の上だ。知ってて、慣れていないであろう肉弾戦を選んだのだ。わざと動かさせ、体力を減らすために。
スリープは私を“ねんりき”で動きを封じた。体感するとなかなか気分が悪い。これは想定内ではあるものの、反射的に抜け出そうと体を捻るが、思うように動いてくれない。
「やっと…やっと捕まえたぞ」
「顔キモい。近付くな」
「さあって……どんな目に遭わせてやろうか? あれだけ俺のことをコケにしてくれたんだ。ただですむと思うなよ」
「全部本当のことを言ったまでですけど。ショタコンさん」
私のこの発言が気に入らなかったのか、スリープは右手をグッと握ると、それに合わせて、体の締め付けが強くなる。身体中を四方八方から押されているような感覚。痛い、というよりも苦しく、息が上手く吸えなくなってきた。
ここまで来て気絶すんなよ、私。
「かはっ………」
「今ならまだ謝るんだったら許してやるぜ? それなら、手加減してやってもいいぜ?」
どうやら、相当お怒りのご様子。謝ったって絶対に許すような顔していない。ごめんなさい、と言った後で、許すかバーカ! とか言われそう。少なくとも、私ならそうする。と、なれば、取る行動は一つしかない。
「誰が謝るか………バーカ」
「そうか………だったら、ここでくたばれ!」
先程より強い力で全身を締め付けられる。これはポケモンだから耐えられるのかもしれないが、人間だったらどうなっていたのだろう。考えただけで恐ろしい。ぶっちゃけ、今はポケモンの私でも相当辛いけれど。
……しかし、これで準備は整った。
「………ふっ…ふふっ……あはははっ……!」
「なっ…何がおかしい!?」
こんな状況で私が笑っているのが不思議なんだろう。他人から見れば私が不利でスリープが有利に立っているはずなのに、余裕に笑う私が不思議でならないんだろう。
「これで……終わりだよ…だから、笑うの」
「自分が負けたから頭イカれたってことかよ」
「…………違うよ。……お前の負けだから、笑っただけ。ねえ、知ってる? 私は……」
そこで私は不敵に笑って見せる。それを見たスリープは驚いて体を震わせた。
「…………一人じゃないんだよ?」
私の言葉でようやく気付いたのか、慌てて後ろを振り向いた。しかし、もう遅い。
スリープの真後ろではポチャが攻撃体勢で静かに……しかし、しっかりと標準を合わせるようにスリープを見据えていた。
「“ふぶき”」
防御体勢を取ることも出来ず、スリープはポチャの技を食らった。もちろん、近くにいた私にも被害がなかったわけじゃない。ポチャから放たれた“ふぶき”の冷気が私の体を貫く。しかし、ダメージは受けずにすんだ。理由は探検隊のスキル効果である。簡単に言えば、仲間同士の攻撃は当たらない、というスキル効果のおかげだ。ここに来る前にざっと把握しておいてよかった。
スリープがポチャの攻撃に耐えられるはずもなく、ばたりとその場に倒れた。その瞬間、私を拘束していた力も解け、私も解放された。息苦しさからも解放されて、私はその場でへたりこみ、思いきり咳き込んだ。
「げほっげほっ! けほっ…けほっ……はあはあ……うえっ」
先程の余裕はどこへやら、と笑いたくなる程、今は結構情けない。まあ、仕方ないじゃん。苦しかったんだし、と正当化しておこう。
“ふぶき”からの反動から戻ったのか、ポチャが慌てた様子で私に駆け寄ってきた。四つん這いのままの私の背中を擦り、顔を覗きこんできた。
「ピカ、大丈夫?」
「けほっ……う…ん……らいじょーぶ…じゃねぇ………」
「えぇっ!? ちょ…しっかりしてよ! さっきまでのピカはどこ行ったの……」
そんなの私が聞きたいわ。
しばらく、息するので精一杯で会話もままならなかったが、何度かポチャに言われるがまま、深呼吸を繰り返していた。
「はあぁぁぁ………ふう…大分落ち着いた。……ポチャ、スリープは?」
「あいつなら、倒れたままだよ。ゼロ距離からだったから、当たり前だと思う」
「………ルリリは?」
「下に帰したよ。マリルも下にいるからね。それにここにいたら、危ないかなって思って」
「……………そっか。ナイス判断」
「えへへ……さて、立てる?」
「ん……大丈夫」
と、言ったものの、疲れと安堵で妙に力が入っていていない。結局、ポチャから差し出された手を借りて、立ち上がる。
「全然大丈夫じゃないじゃないか……全くもう」
おっしゃる通りで……
このあと、お尋ね者を取り締まっているという、ジバコイルさんという人を呼び、スリープと一緒にバッジの力でダンジョンの外に出た。

ダンジョンの外に出てみると、すでにジバコイルさんが部下であろうコイルさん(見てもよくわからなくて、コイルという種族名をポチャに耳打ちされた)数人と共に引き取りに来たらしい。ジバコイルさんは、ピコピコと機械音のような音と同時にこれまた聞き取りにくい声を出した。
「ゴキョウリョク、カンシャシマス! ホウシュウノホウハ、ギルドノホウニオクッテオキマスネ。ソレデハ」
それだけ言うと、スリープを連れ、その場を去っていった。残されたのは私とポチャ、ルリリマリルだけ。
「ピカさん、ポチャさん、ルリリを助けてくれてありがとうございました。何とお礼を言えばいいのか……」
「そ、そんなお礼だなんて。ルリリが無事でよかったよ。怪我とかしてなかった?」
「うん。大丈夫」
ルリリがこくっと小さくうなずき、にこっと笑った。
あ、可愛い。
「これからは気を付けてね? マリルルリリ
「はい。それでは、また。ほら、ルリリ、行くぞ?」
「うん。………ピカさん、ポチャさん。ありがとうございました!」
兄弟は何度もこちらを振り向きながら、家路についた。こちらもそろそろ帰らねば。
ところで、今回の報酬、ギルドに送ると言っていた。……嫌な予感しかしないのは気のせいであってほしい。



~あとがき~
ピカとスリープさん、決着!
やっぱ、大胆な作戦を取りますね。ピカさんは。
つーか、今回で終わらなかったぞ!?

次回、報酬の行方と時の歯車の話もしたい。
あとはピカがなぜ今回の作戦に至ったのかというお話もしたい。つか、これがメインだったりする←

ここではまだ未熟者なピカなので、結構弱っちいです。戦っている途中、威勢はいいけど、終わった後が間抜けというか情けないですね。今回もですが。
本編では成長してるので、ついていけてるけど、今はまだ慣れてませんし、そこら辺の変化も楽しんでくれればと思います。
で、やっぱり、ここでもポチャの“ふぶき”は切り札として扱っています。ピカもそれくらい評価しているってことなんすよね。

ではではー!