satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 3ー6

~attention~
これはポケダンモチーフの物語です! 原作イメージを崩したくない人はバッグをお願いします!
さてさて、前回、ピカさんに飽きたって言われたんだけど……
ポチャ「今回、ピカいないよ?」
はっ……! だからポチャ君がいるのか!
ポチャ「代わりみたいな……感じかな」
うわあぁぁぁ! もう、お前だけはどこにもいくなよ!? いくなよ!?
ポチャ「う、うん……それはいいけど」
うおぉぉぉ!! ってことで、始めるよぉぉぉ!!
ポチャ「どんな始め方!? なんで泣く!」


~3‐6 目眩の先にあるもの~


ギルドに帰ってくると、昨日と同じようにペラップが掲示板の前で待っていた。昨日と違う点と言えば、掲示板の種類がお尋ね者に変わったくらいか。
「よくやったじゃないか♪ ジバコイル保安官から報酬が来ているぞ?」
それがもし、物であったならば、私達のところに回ってくる。しかし、お金であった場合は……
「えっとほとんどが親方の取り分……だよね?」
「そうだな。お前達はこれくらいかな」
やはり、手渡されたのは子供のお小遣い程度の金額。こんなんでどう探検に必要な道具を集めろと言うのだ。誰が教えてくれ。
ポチャも反論しても仕方ないと思っているのか、黙って報酬を受け取った。そしてすぐに夕食の時間になり、あっという間に夜になっていた。
ちなみに私は夕食の時点で記憶が飛び飛びになっているため、半分意識が飛んでいたんだと思う。理由は言わずもがな、スリープのせいである。

私が窓を見ると、外は嵐のように荒れていた。風も雨も強く、これを見て外に出たいと思う人はいないだろう。好きな人は出るかもしれないが。窓から目を離し、部屋で寝る準備をしていると、ポチャが私をつついた。そして、今更なんだけど、と前置きした上で話し出した。
「ピカ、なんであのときあんな指示したの?」
あんな指示、とはスリープのときのあれだろう。
私はポチャに「私が囮になる。合図を出したら、一撃でスリープを倒せ」と伝えたのだ。あのときは説明する時間もなく、簡潔にして欲しいことを伝えただけだった。確かに疑問に思うこともあっただろうし、強制的にやらせた感も歪めない。ここは説明した方がいいのだろう。
「まず、私達とスリープとでの差と言えば、バトルに関しての知識。ほぼ素人の私とポチャ、お尋ね者のスリープとでは、そこの差は大きい。そして、厄介なのは奴の特性。スリープの特性の一つはよちむでしょう?」
「うん。こちらの攻撃を読んで避けることが出来るっていう……」
「そう。それを使われると、無駄にこちらの体力が削られ、余計に危うくなる。そう思ったから、私は囮をした」
囮になることで効果は二つある。まず一つは敵を煽ること。もう一つは私に集中させ、攻撃担当だったポチャのことを頭から忘れさせること。
敵を煽ることについては、相手のペースにさせないためというのが単純理由であるが、もっと深く話すのであれば、精神的に追い詰めたかったのだ。
「口で煽ることにより、精神的に追い詰められる。そうなれば、思考力を低下させることが出来る。となれば、必然と攻撃も単調になり、体力消耗にも繋がって…」
「ごっ…ごめん、ピカ。いまいちピンとこない」
「要するに怒り、焦りっていうのは、欲がある。怒りを沈めるためにイラつく人物を倒したい。早く倒さないと今後に関わる……とかね。戦いの中で私欲を出したら、アウト。相手にペース取られてそのまま終わることだって考えられるでしょ? 私はそれを狙ったの」
「つまり、ピカがスリープに色々言ってたのは、わざと? じゃあ、滅茶苦茶に攻撃していたのもピカが誘導して?」
「まあ、そうなるね。あとは、余裕をなすくことで、特性を発動させたくなかった……かな。仮にしたとしても、それを実行に移す余裕がなければ、意味がないから」
これで煽った理由については話すことはないだろう。
「で、ポチャのことを頭から忘れさせることについてだけど、これはよちむで悟られないようにするため。まあ、ぶっちゃけ、保険だったけど……」
私がそう言うと、わからなかったのか、首をかしげた。人に説明するって面倒だな。難しいし。
「よちむって戦っている相手の攻撃を読む、だよね。ってことは、スリープが戦っていると自覚している相手のみ動きが読めるってことじゃない」
「あ…あぁぁぁ!! そっか! ずっとピカと戦っていたスリープはいつのまにかぼくのことを忘れていたんだ。だから、あんなに近付いても気にしなかったのかな」
「私が怒りを誘って、私ばっかに気を取られていたからね。それを手伝って、注意力散漫になっていたんだと思う」
「なるほどね……ピカの指示はそこまで考えての…………んでもさ、ピカ」
「ん? どこかおかしいとこある?」
「あ、そうじゃなくって……そうじゃないんだけど、ぼく、ピカにスリープの特性なんて言ったっけ? ピカってポケモンの名前とかわからないみたいだから、不思議でさ」
確かに。実際、ここに来て色々なポケモンを見かけているが、全くと言っていい程、知識がない。記憶喪失なのがいけないのだが、そう言われると、私はポチャからスリープの特性など聞いた覚えがない。
「………あれ? なんでだろ」
「もしかして、人間の時、ぼく達のこと……ポケモンのことについて熟知していたのかもよ? 今回の指示もそうだけれど、別の意味で戦い慣れしているんじゃないかな。司令塔……みたいな」
司令塔、か。そんなこと出来るのだろうか。というか、していたのだろうか。……全く想像出来ない。
「あとさ、ピカ、性格変わってるよね」
「あー……それはこっちの方が楽だから。……もしかして変? 駄目かな?」
「ううん! そんなことないよ。むしろ、そっちの方が合ってると思うよ♪」
ポチャの笑顔を見て、とりあえず、一安心した。変だと言われたらどうしようかと思った。
「そういえばさ、私、気になっていることがあるんだけど。聞いてもいい?」
「ぼくに答えられるものなら、なんでも大丈夫だよ。何?」
「この前、時が狂って、悪い人達も増えてきているって言ってたよね。それってどういうこと?」
少し前から気になっていたことだ。時が狂うなんてあり得るのだろうか、と。
「この世界の時っていうのはね、各地にある時の歯車っていう物で成り立っているんだよ。時の歯車は秘宝の一つなんだけど、誰もそれには近付かない」
「秘宝ってことは宝物? 近付かないの?」
「うん。皆、それを取っちゃったら、大変なことになること知っているからね。どんなに悪いやつでも絶対に取ったり、触ったりしない……そんな存在なんだよ」
世界滅亡とか考えている人なら、もってこいの代物だ。まあ、そんな人そういないだろうけれど。
「時の歯車は色んな場所にあって……例えば、洞窟の奥底。あとはマグマの中や海の底。森の中、遺跡の中……そんな場所にあって、その周辺の時を守っているんだ」
世界中にある、ということか。
ここまで聞くと、当然のような疑問が思い浮かぶ。
「……もし取ったら…どうなるの?」
「うーん……そんな事例あったら大変だけど……だから、これはぼくの想像になるんだけど、いい?」
「うん。いいよ」
「………多分、その周辺の時が止まるんじゃないかな。昼も夜も来なくて、風も吹かなくて……雨だって降らない。季節も来なければ、気温なんて感じることもない……そんなところになっちゃうんじゃないかな」
「うわあ……それはちょっと嫌です」
率直な感想が漏れ、それを聞いたポチャはそうだよね、と苦笑する。
皆、これがわかっているから、時の歯車に手を出さないのか……まあ、話を聞いただけでも、想像したくないような世界が広がるのだ。今の当たり前があり得ないことになるのだから。そんなの、願い下げだ。
「ピカも時の歯車見つけても触っちゃ駄目だからね? 取るなんてもっての他だよ?」
ポチャが思いの外真剣に釘を刺してきた。ここまで話を聞いていて、誰が取ろうなんて思うのだろう。私はひらひらと手を振り、にこりと笑った。
「大丈夫大丈夫。今ここで取るなって言われたし、話も聞いたから。それにしても……そういうのって、案外夢がないね。神様が守っているんだよ! って言われるのかと」
「いるよ。時を司る神様。ディアルガっていうんだけど」
ポチャから聞き慣れない名前が出てきた。恐らくポケモンの名前なのだろうが、まさか本当にいるとは。
「いんのかよ! 誰それ。ディアルガ?」
「うん。他にも色々言い伝えがあるんだよ。空間を司るとか……生命を司るとか…あとは……力を司るとかね。あ、別世界を司る神様とかもいるよ?」
「く、詳しいんだね……ポチャ…」
「そうかな……考古学になるのかな…これ。まあ、神話とか読んでみると面白いと思うよ。今度読んでみたら?」
「……読みたいのは山々なんだけど、私、読み書き出来ませんが」
今のところ、生活の中で読み書き出来なくて困ったことはないが、この先、出来ないと少々不便かもしれない。
ポチャは今の今まで出来ないことを忘れていたのか、私に言われた途端、顔色を変え、慌てた様子で手を合わせた。
「……………あっ! そっか、ごめん!! じゃあ、ぼくが教える。ピカならすぐに覚えちゃうよ。それにこの世界のこととかポケモンについてもぼくが教えるね」
「うん。そうしてくれるとありがたいかな。………さてっと、長話し過ぎたね。そろそろ寝ようか」
「そうだね。きっと明日も早いよね……またドゴームに起こされるのかな。ねえ、ピカ、ぼくのこと起こしてよ」
「だから、起こしてるって。起きないんじゃん」
「うぅ……眠いんだもん…」
もしかして……いや、もしかしなくても、朝弱いタイプか。それとも、王子様だから、時間にルーズなのかもしれない。が、しっかりした性格であるポチャだから、前者のような気がする。
私とポチャはさっさと寝る支度を終え、お休み、と目を閉じた。目を閉じてしまえば、意識を手放すものも簡単で、私はすぐに夢の中へと落ちていった。

激しく雨が降る中で、一つの影が素早く森の中を駆けていく。こんな雨の中だからか、周りに誰もおらず、その影を気にする者など一人もいなかった。そして森の奥底に淡く緑色に光る歯車を見つけ、一歩近付いた。
「…………初めて見たが……これがそうなのか。ついに見つけたぞ。時の歯車を!」
手を伸ばし、歯車に触れるか触れないかでその動きを止める。そして決心したかのように、一気に時の歯車を掴んだ。
「まずは…………一つ目!」
雷鳴が鳴り響き、雨足も強くなるなか、時の歯車を盗った者は、来た道を気配を殺し、なおかつ、一刻も早くその場を立ち去るために足を速めた。



~あとがき~
ピカの性格が出来上がったよ! やったね!
あと何やら怪しく動き始めましたねぇ……面白くなってきたよ~?

次回、初めての遭遇と新たな仲間です。
ルーキーとしてなんとなく頑張っている探検隊のスカイにも新たなメンバーが……!?
という感じでやっていきます。次回はスカイがお使い行ってきます。
この話はオリジナルストーリーですね!

ポチャは結構博学なんです。家柄が王族なので、当たり前といえば、当たり前かな? 一方のピカは全く知識がないので、危なっかしいこの上ない。
本編でこそ、多くの知識を携えているピカですが、結構ポチャからの受け売りも多いっす。もちろん、自分で得た知識も多いですけどね。
人間の頃の知識は無意識に引き出すことが多いので、ポチャに言われない限り、本人も自覚がないです。今回のスリープがいい例ですね。

そういえば、これの一つ前で探検隊スキルというのをピカが言っていました。これはゲームではかしこさに当たるものですね。そんな風に考えてくれるといいかと思います。

今回、めっちゃ長いっす。約5000字くらい。
うわあ……切りどころがわからなくて、ノリで書いちゃいましたね。すみません。

ではでは!