satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

ただやりたいだけの単発もの

~注意~
まあ、前回の続きですね。
私が連載しているやつとは全く関係ありません。別物としてご覧くださいませ。
同じ名前とか出てくるけど、気にしない方向で!
では、どーぞ!



僕達三人は食堂へとやって来ました。ここで犯人の証拠探しです。簡単に見つかるとは思っていないけれど、何か見つかるかもしれません。
「キラのプリンっていつもは……」
「ここだよ。この中にいつも入れてる」
ティールさんが指すのは冷蔵庫みたいなもの。電気なんて便利なものが通っていないから、少し原始的な仕組みにはなっていますが、しっかり冷やせます。まあ、そこまで容量はありませんが……
「誰でも盗れそうだな。……ま、厳重に管理するようなもんでもねぇけどよ」
「プリンのお皿は机に置きっぱなしですね。スプーンは使い捨ての小さいやつがあるだけです」
「食べようとしたけど、何らかの理由でここを離れたってこと? で、戻ってきたら、なくなってた……みたいな感じなのかな」
「それが自然な流れだと思いますけど……フォースさん、どう思いますか?」
「そうさなぁ……消去法で考えると、あいつしかいねぇんだよな。証拠ないけど」
どうやら、フォースさんには犯人の目星は既についていたようです。僕にも何となく分かってはいましたけれど。
「…………ここって普通のスプーンとかねぇの?」
「あるよ。木製だけど」
「でも、ここにあるのは、使い捨て……ね」
フォースさんはくるりと全体を見回すと、食堂を出る。僕とティールさんで顔を見合わせ、フォースさんの後に続きます。
「あー……可能性は低いけど、あいつは?」
「クロのこと? 絶対ないと思うけど」
クロ、というのはラルさんのもう一つの人格的存在のこと。本来はクロという名前ではないらしいですが、誰も聞かないし、名前を聞いたとしても、本名で呼ぶ人はいないでしょう。それくらい、信用はされていません。
人格、といいますが、ラルさんによれば、ラルさんが持つ力が具現化したものらしいです。僕にはよく分かりませんけれど。
クロさんの能力については、また後日……
「クロさんってこちらのことに興味なんてなさそうですが……食べるんですかね」
「おれもねぇと思うから、可能性は低いって言ったろ? 十パーセントもないね」
「一パーセントもないよ」
フォースさんとティールさんはクロさんに恨みでもあるのでしょうか。信用度低すぎます。まあ、元よりありませんし、関係ないですね。
食堂から帰ってきても、ラルさんとキラさんはバトル中でした。ますます激しさを増しているような気がしますが、このままだとギルドが本当に壊れそうです……
「流石にこれは止めた方がよくねぇか?」
「じゃあ、フォースがあの中に飛び込んで止めてくる? あの中に入って」
「うぇえ? マジかよ」
ティールさんが指すのは言わずもがな、あの二人が火花を散らす場所。言わば戦場と化した闘技場と言うべきでしょう。本来は探検隊や探検家等の人達の情報交換の場として活用する所ですが。
「ん………ミルキ。さっきまでここにいなかったのでは……?」
「巻き込まれそうだったから、避難したのよ。戦略的撤退ってやつね」
別に何かの作戦を実行していた訳ではないので、その言い方は少し違和感がありますが、あまり突っ込むべきではないでしょう。
「ん~……しゃーないなー」
ポリポリと頭を掻きながら、二人の戦う所へと歩いていく、フォースさん。先程はティールさんにしかあの二人は止められないとは言いましたが、フォースさんも止められる一人です。あの時はいないと思っていたので、すっかり頭から抜けていました。
フォースさんはマントを翻しながら、二人の攻撃を避けていきます。それと同時にフォースさんが入ってきたことに気付いたラルさんとキラさんは動きを止め、両者共に距離を取ります。
「ちょっとフォース君、邪魔しないで欲しいんだけど? いくら貴方でもキーちゃんと一緒にフルボッコにするわよ」
「あぁ? テメェみたいな小娘にやられてたまるかよ」
「小娘って、あんた私とそう歳変わんないじゃない! それを言うなら、あんたも小僧ってことね」
「お前と一緒にすんな、ボケ」
「こっちだって願い下げよ、バーカ」
フォースさんそっちのけでラルさんとキラさんの睨み合いが始まってしまいました。バトルは止まったけれど、これはこれで気まずいです。
「まーまー……これ以上やるなら、外行け。外。ギルド壊して、弁償出来んのか?」
「それを出すのは私じゃない。国だ」
「キメ顔で言うことじゃねぇぞ? 出してくれるわけないだろ」
「俺のプリン食った奴が弁償するから大丈夫です」
「暴れてるのはお前らだろうが……キラ、別にラルが食ったとは思ってないんだろ? 落ち着けよ」
「しかし、消去法でこいつ以外にはあり得ないのです。……ま、八割方別の人だと思ってますけど」
あぁ、やっぱりキラさんも違うと思いつつラルさんと喧嘩していたようです。その事について、ラルさんは大して気にしていないみたいです。
「ラルさん、ラルさんは食べてませんよね?」
「ん? ユーキも私を疑うの? 残念だけど、私じゃないわ。もし私がするなら、食べた上で別のものにすり替える」
すり替え……?
「そ。劇物と化したプリンをプレゼントしてやるわ。見た目は普通だけど、みたいな?」
食べられる方が断然ましです……
甘くて美味しいプリンを劇物に変えるなんて、どんな方法を使うか少し気になるところではありますが、恐らく体に害はないのでしょう……多分。
「言っとくけど、クロちゃんも違うと思うよ。ねぇ、クロちゃん?」
ラルさんが自分の影に話しかけると、ニュッと影が伸び、ピカチュウのような形を作り出します。そして、ふわりと欠伸をすると、ぐるりと辺りを見回しました。
「なんかカよくわかんねぇケド、キョーミねぇゼ。テメェらがくだんねぇコトデ、どんパちしてんのは理解したケどな」
「クロちゃん、読みづらい! もっと言葉の練習しなさい。ウザいから」
「あァ? 勝手に呼んどいテ、文句かヨ。ずいブん偉くなっタものだナァ」
「偉いも何も、私はあんたの主様だろうがよ。文句は言っても言われる筋合いはないわ。そしてもう用はないから、さっさと引っ込め」
出てこいと命令しておいて、今度は帰れと随分乱暴ですが、クロさんは反論することなく、帰っていきました。面白い事があるわけでもないことを察したのでしょう。
クロさんがいなくなったことを確認したフォースさんは二人の顔を交互に見て、ふぅ、と息を吐きました。
「……これでプリン食った犯人が分かったわけだ」
「そーだろうと思っていたわよ。ここには食いしん坊さんはいないもん」
ここにいる人達ではないということは、残りはマスターさんだけです。当の本人はここにいないですが。
「…………マスターはどこです?」
キラさんの次の標的はマスターさんみたいですね。まあ、バトルにはならないだろうとは思いますが。
「さあ? 朝から見てないよ。……マスター同士の会合にでも行ってるんじゃない?」
「それじゃあ、仕方ない。諦めるか」
ラルさんの言葉にあっさりと切り替えたキラさんですが、そんなことで納得するラルさんではありません。
「キーちゃん、私に何か言うことあるんじゃないの?」
「はあ? 特にねぇよ、馬鹿女」
「人の事疑っといて謝りもしないなんて、常識ないんじゃない? あ、ごめーん♪ そんなの君にはなかったね。怒りの沸点低いもんねぇ? この単細胞が」
「んだとコラァ! やんのか、テメェ。ここいらで止めてやろうと思ったのによぉ!」
「ほらぁ、こんな小言にも我慢出来ないなんて、ほーんとお子ちゃまなんだから♪ 幼稚園児並の頭ね」
あぁ……また始まってしまいました。せっかくフォースさんが止めたのに、これでは振り出しです。
「おーい、おれの話聞いてたの? もう喧嘩すんなって……」
「フォース君は黙ってて! 関係ないでしょ!」
「あ、はい………ごめんなさい」
キッとラルさんに睨まれ、流石のフォースさんもビクッと体を震わせると、数歩下がってしまいました。
「フォースさん!? 負けないでくださいよ。このまま再開なんてしたら、本当に壊れちゃいますぅ!」
「いや……おれ、ラルに逆らうとか無理だから……マジ切れしたあいつなんて、この世の者とは思えないくらいの形相になるんだぜ?」
「人のパートナーにそれはないんじゃないかな……」
「あ、悪い。そんなラルに惚れたんだもんな、お前」
「い、今はそれ、関係ないんじゃないかな!?」
「おうおう。ウブだねぇ」
「なっ……フォースそこ、彼女とはどうなのさ……!」
「ん? いつも通りだけど」
「ラルさんはキラに負けるほど弱くないわ! 頑張ってー! ラルさーん!!」
「ミルキィィィ!? 火に油を注がないでぇぇ! 駄目駄目!」
キャーと黄色い声援を送るミルキの口を塞ぎつつ、収集がつかなくなったこの状況に目眩を覚えます。誰かどうにかしてください……!
「元気だな、皆の衆」
うるさいほど騒いでいた皆さんは、声のする方を一斉に向きました。ギルドの入り口である扉が開かれ、小さな影が一つ。そんな影に思い当たる人物は一人しかいません。それは他の皆さんも同じだったようで、全員で声を揃えて、その人の事を呼びました。
「マスター!」
「元気があるのはいいことだが、あまりはしゃぐものではないぞ」
ハムスターの様にこじんまりした体にアンテナの様に伸びたひげ。小さな体にこれまた小さなスカーフを首に巻いています。小さい体の割には結構声は低く、人は見た目ではわからないことを納得せざるを得ない気持ちにさせます。
マスターの種族はデテンネ。名前は不明です。僕が知らないだけかもしれません。
「程々にするのだぞ、若者たちよ」
それだけ言うとてけてけと皆さんの間を通ってその場を去ろうとしました。しかし、それを許すほど、皆さんの器は寛大ではないようです。
とはいえ、僕もその一人ではありますが。
「誰のせいだと思ってんだぁぁぁぁ!?」
「むむ? 何の話だい?」
「惚けないでちょうだい。キーちゃんのプリン食ったのマスターでしょうが!」
「……………あ」
ラルさんの指摘で思い出したのか、ぽかんと口を開け、ぽんっと手を叩きました。
「マスター………覚悟は宜しいでしょうか」
「待て待て。話せばわかる」
殺気を放ちながらじりじりとマスターに近付くキラさんはさながらハンターの様な目付きをしています。自然と二人から距離を取り、結果も分かりきっているので、完全にシャットダウンしてしまいましょう。
二人のタイプは共にフェアリータイプ。そこまで大きな怪我もしないでしょう。………多分。
「全くほんとここのマスターはアホなんだから。無駄に喧嘩しちゃったじゃない。時間の無駄だったわ~」
「そういうなら、キラを挑発しなきゃいいじゃないか。ラルの悪い癖だよ」
「やだな~? わかってないよ、ティールはさ。挑発に乗る方がお子様なのよ」
「…………はあ。なんでこんな人とチームなんて組んでるんだろ」
「今更なこと言うわね。私に惚れるお前が悪い♪」
「…………おっしゃる通りで」
ラルさんはキラさんの八つ当たりでバトルの相手をしていたにも関わらず、大した疲れも見せていません。流石です。更に言うと、いつも通りのいじりっぷりです。
「ラルさん、今度私と一緒にデートしましょー!」
「No Thank You。同姓とデートする趣味はないから。ついでに浮気する趣味もない。行くよ、ティール」
にこりとミルキからのお誘いを断り、パートナーのティールさんと共にギルドを出ていきました。
「ミルキ、いい加減諦めろよ。ラルはお前を相手にする気なんて全くないと思うぜ」
「ふんっ! そんなことないもん! いつか必ず振り向かせてみせるー!」
振り向かせてって同性なのを忘れてませんか。ラルさんはミルキ自身を拒絶しているわけではなく、ミルキの恋愛的感覚を拒絶しているのですが……別にラルさんはミルキのことは嫌いではないのです。
ミルキは同姓しか愛せない………わけでもなく、ラルさんが特別なんでしょうけれど。そこら辺は難しいですね。僕にもさっぱりです。
「僕らもそろそろ自分達のお仕事しなくちゃですね。ミルキ」
「ユーキに言われなくてもわかってるっつーの! じゃあね、フォースさんっ!!」
「お、おう……あれ、八つ当たりされてる……?」
確かフォースさんの用事はマスターにでした。もう少しかかるでしょう。お気の毒です。
僕は首から下げたお守りとオレンジ色のマフラーをなびかせ、少し遅いお仕事の時間となってしまいましたが……これもまた日常ですね。



~あとがき~
あ、ユーキの種族が語られてませんね。すんません。入れるところがありませんでした。
ま、いっか((

なんか終わり方がぐちゃぐちゃっとしてしまいましたが、マスターはあれです。キラにこっぴどくやられたでしょうね。はい。

残りの二人のプロフ載せときます!

ユーキ(ユウキ)/ツタージャ(♂・15)
メモ:本作の語り手。ミルキのパートナー。慎重な性格で悪く言えばビビり。本当の名前はユウキなのだが、皆ユーキと呼ぶ。

マスター/デデンネ(♂・?)
メモ:ユーキ達の所属するギルドマスター。どこか抜けているが、やるときはやる。名前は誰も知らない((

こんな感じかな。
ま、もっと書いてもいいんですけど、本編が長いんでこんくらいでいいよね!
またいつかこのメンバーで小説書きたいですね~

ではでは!