satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

Fantasy world

ポケモン二次創作! 魔法とかでるよ!!
イオ「………苦手な人はブラウザバックしてくれよ」
ではでは、始めていきまーす!


~第12話 主と使い魔~

ミルを部屋に案内し、ついでに部屋の中にある家具についての説明をすませ、ミルの部屋を出る。会話が出来ないことに不便さを感じつつ、メイはリビングに戻ってきた。そこには主のイオの姿はなく、恐らく部屋だろうと予測を立て、休む準備を始める。家の戸締まりを確認するため、またリビングを出る。
帰ってきて窓等を開けたわけではなかったために、そこまで時間はかからなかった。再びリビングに戻ろうと踵を返したところで、何かの気配を感じる。
『…………イオ様? でも、もうお休みなさっているはずだけれど……お水でも飲みにきたのかな?』
首をかしげるも、結局リビングに戻るのだから、と気にも止めず、歩き始めた。

「…………久しいな、メイ」
リビングについたメイを出迎えたのは見慣れた主の姿。しかし、イオの面影はなく、どこか落ち着いた雰囲気を持つ別人と変わっていた。メイは驚くことなく、しかし、顔をしかめ、話しかけてきた人物の横を通り過ぎる。
「相変わらず、愛想がないものだな? イオにはぞっこんなのに」
その言葉でぴたりと足を止め、くるりと振り返る。そしてキッと睨むとイオと向き合った。
『はあ!? ワケわかんないこと言わないでくれる? 大体、なんで出てきてるのよ、初代!』
「口の悪さも相変わらずだな。そんなところも好きだぞ、俺は」
初代と呼ばれたその人物はくすくすと笑い、近くにあった椅子に座る。メイは明らかに不機嫌そうに頬を膨らませた。
『あっそうですか。アリガトーゴザイマス』
「素直じゃないな。久し振りに会った主に対してそんな顔をするものではないだろう? 膨れるな」
『イオ様のお姿でなに言ってるの? 絞め殺すわよ』
「物騒だな。俺よりイオをご所望かい」
『当たり前のこと聞かないでくれませんかね。初代よりもイオ様はとってもお優しい方なの!』
「イオも俺も変わらんぞ?」
『うっさい。性格の話よ。……って、私の質問に答えなさい』
「お前が素直になったらな~っと。それっ」
初代はパチンと指を鳴らすと、手元に紺色の煙管を出現させた。それをじっと見つめ、小さく笑う。それに気付いたメイは顔を赤くした。
『………! なっ……!! なんでそれっ!』
「駄目元でやってみたのだが……まだ持っていたのか? 可愛い奴め♪」
『べっ…別に深い意味は……捨てる機会がなかっただけですよ!』
「ふうん……機会…ねぇ。イオはこういうのに興味ないから、いつでも捨てることは出来たのではないか?」
にやにやと意地悪そうな表情を浮かべ、メイをおちょくる。ますます顔を赤くさせるメイを横目に初代は煙管に火をつけ、吹かし始める。
『理由なんて特にないわ。おちょくらないで』
「いいではないか。俺は楽しいぞ」
『からかうのもいい加減にしなさいっ!』
メイは尻尾を硬化させ、初代の脳天めがけて“アイアンテール”を繰り出す。そんなメイの攻撃をものともせず、簡単にするりと避けてしまった。
『ちっ……避けやがって』
「攻撃してくるのはいいが、この体はイオのものでもあるのだぞ? 万が一当たったらどうするのだ?」
『当たるなんて毛ほどにも思っていないくせに、よく言うわね』
「だから、万が一と言っているだろう?」
『仮に当たったら、自害するわ』
「ふふっ♪ それはイオや他の者達が泣く。やめておけ」
そう言うと初代は椅子に座り直し、また煙管を吹かす。余裕の表情を確認したメイは、はあっと息を吐き、その場に座った。
『もうっ………なんで来たの』
「メイに会いたくなったから………と、言えたらよかったんだがな。メイ、お前達に忠告しに来たのだ」
『私とイオ様に……?』
初代の言葉にこくっと首をかしげる。初代はふぅと煙を吐き、頬杖をついた。今までのふざけた表情はどこにもなく、そこには真剣な目をしている。
『…しょだ………主様…?』
「気を付けろ。嫌な予感がする」
『それってどういう…』
「さてな、俺の勘だよ。外れればそれでよし。当たれば……まあ、メイのことだ。護ってくれるだろう。イオのこと」
『それはもちろんです。主様、そんなこと言いに来たのですか?』
「……いらん忠告だったようだな。外れることを願っているが、警戒するに越したことはない」
『……主様』
「イオをよろしく頼むよ。またな、メイ」
机に煙管を置くと椅子から降り、扉を開ける。メイは返事をすることなく、深くうなずく。扉が閉まる音を聞くと、初代が座っていたところを見た。
『貴方の勘が外れることなんてないじゃない。いつも勝手なんだから……本気で相手して、馬鹿みたい』
すくっと立ち上がり、机の上の煙管を手に取る。まだ火種がついているのか、煙が細い線をゆらゆらと描いていた。しばらくそれを見つめていたが、棚から灰皿を取り出すと、煙管の火を消し、そこに灰を出した。
『ほんと……いっつも振り回されてばっかり』
ぎゅっと煙管を握ると、リビングの電気を消して部屋を出た。

目を覚ますとふわふわした感覚に襲われる。まだ覚醒していないのだろうか。まだ眠っていたい気分だ。
「起きろ、俺の用事は済んだぞ?」
「………初代。今回は何用で?」
俺を覗きこむようにして見ている。見た目は俺そっくりだが、それはきっとここが俺の中だからだろう。本来は別の姿なのかもしれない。本来の姿なんて知らないけど。
「お前達が気になってな。遊びに来た」
「嘘つかないでくださいよ。そんなしょーもない理由で来るわけな………いてっ!」
起き上がろうとすると、初代にデコピンされた。
なんでされた……?
「しょーもなくないぞ。俺にとっては可愛い子どもみたいなものなのだ。顔見たくなったという理由はおかしくない」
「初代、親バカみたいです」
「そうか? そんなことはないと思うが。……さて、そろそろ起きろ。メイに心配かけるなよ」
「は…はい。……初代、本当に会いに来ただけ?」
「………まあな。変か?」
「いえ。別にいいんですけど……」
初代がこんな風に会いに来るということは何かを言いに来たと思うのだが、それを俺に言う気はないらしい。言えないようなことなのか、本当に何もないのか……定かではないが、問いただしても教えてはくれないだろう。
「それじゃあ、初代。また今度」
「あぁ。…………あまり、他人の世話を焼くなよ。お前はあまりにも優しすぎるのでな。自分を滅ぼすことになる」
「そんなの初代にだけは言われたくないです」
「ははっ………そうだったな。だからこそ、イオには改まって欲しいのだが……無駄のようだな」
おっしゃる通りで。
初代はふっと笑うと、姿を消した。本当に何をしに来たんだか分からない。いつものことではあるけれど。
「はあ……もうバトルとか激しいのは勘弁なんだけどなぁ」
俺はぐっと背伸びをし、もうすぐ目を覚ますだろうなと思いつつ、目を閉じる。
どうせ、メイに叩き起こされるんだろうけど。





~あとがき~
前話でのイオの異変は初代のせいでした☆
次に初代が出るのはいつになるのやらやら(笑)

次回、神の使い達を詳しく紹介するよ!
何話か続くと思われますので、気長にお付き合いくださいませ。
まあ、しばらくお休みなんだけども……

初代とメイのやり取りは結構楽しかったです。二人はいつもあんな感じですね。主と従者の関係なんだけど、そんな風には見えないんだよな。メイちゃんの態度があれだからかもね!
二人の間にも色々問題があったんですけどね~
それはまた追い追いと!
ちなみに初代に名前はありません。強いて言うなら、初代ノーベンバーってなりますかね。名前がつくようになるのは、二代目以降となります。ちょっとした設定公開でした((

ではでは!