satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第110話

~前回までのあらすじ~
バトルに入る前の二人の話でしたね。
ピカ「今回からバトルするらしいけど書けるの?」
フォース「バトルシーン、書けないもんな」
いや! 今回は頑張ったよ! もう書き終わってるからね! 今年中にこの章終われるかも知れない!
ピカ「マジでか! 作者、不正してない!?」
フォース「多分、バトルっぽいことしてないんじゃないの?」
あっ………!
ピカ、フォース
「図星かよ」


ラウラが指定した森に入っていくと、すでにラウラとミラが立っていた。フォースとピカはちらりと互いの顔を見て、ピカはフォースの側から離れる。
ラウラはピカの姿を確認すると、クスッと小さく笑い、フォースを見据えた。
「やあ、今度はピカチュウさんと来たの?」
「ガキ連れてこんなことに来れるかよ」
「あはっ♪ それもそうだね」
「ったく、まどろっこしいやり方しやがって……消えたいの、お前の方じゃねぇか。ふざけてんのか」
「そう言うってことはもう知ってるの? 僕の望み」
「まあな。マスターからも言われたよ……ラウラを消せって」
「そう。まあ、そうなってもらわなきゃ困るんだけどね。んじゃ、やろうか?」
あまりにも楽観的な声で今から戦うという雰囲気はまるでない。それでも本気でなければここまでしないだろう。ラウラは手元に槍を出し、フォースは剣を出す。
始まる、と思った頃にはもう二人は互いの武器を交えてきた。静かな森の中で本来聞こえるはずのない金属音が鳴り響く。
「はー……制御者同士のバトル、こわーい」
「………あなたは?」
「私はピカ。探検隊よ」
ラウラから離れていたミラに自然と近づいていった。ラウラから事前に教えられていないであろうピカに若干の警戒心があるようだが、探検隊と聞き、少しは警戒を解いたようだ。
「フォース君は主を巻き込みたくないって言って私が代わりについてきただけ。ところで、君は知ってる? なんで継承者君がああなってしまったのか……闇に囚われてしまったのか」
「………夜は…ずっと悩んでた。自分の代わりをしてくれるラウラさんに何もしてあげられないから」
「自責の念……確かにそれはマイナスだわ…悪夢の事件があってから、時々いるからね。自分の闇に囚われて凶悪になっちゃうって人」
人々を悪夢に陥れたダークライの事件。あの頃から僅かではあるが、我を忘れ、悪さをする人がいるのだ。捕まった者達は決まって何をしていたのか覚えていないと言う。稀に記憶がある者もいるが、その人が言うには夢の中の様で感覚がない、と。
症状の重度差は様々だが、酷い者は本当の自分に戻れず、事件を重ね、やがて悲惨な末路を辿ると言う。
「………ラウラさんが直に夜自身が力を制御出来る日が来るだろうって言ってた矢先、夜が変になって…それで、すぐ気づいたラウラさんが……抑えてくれたんだけど…」
「どうにもならなくなった、と」
「うん……元に戻すにも夜は何も答えてくれなかったから……」
「そこまで強かったってことね。それはどうしようもないわ。それでラウラさんは自分を犠牲にして助けることにしたのか」
ミラは、こくりと小さく頷く。そしてそのままうつ向いてしまった。
「制御者は人ではないが、これは人の心に似ている気がするね。……意図したことか、ラウラさんが変わったのか……今となればそれは関係ないのかもしれない」
直に制御が出来る、という台詞は言い換えると制御者は必要なくなるということだ。つまり、ラウラの仕事が終わるということを指していた。それにも関わらず、自分の身を犠牲にしてまで助けることをするだろうか。
「………情が移ったってのが一番説明つきそうだけど」
一番簡単且つ、単純に納得出来る理由を呟いた。恐らくはそんなところなのだろう。
ピカは考えることを止め、目の前で激しく刃を向け合う二人を見る。消えたいというのがラウラの望みならば、抵抗せずにやられればいいものをラウラは抵抗し続けていた。その理由もピカは何となく分かったような気がした。

「あはっ♪ 流石だね。やっぱり強いや」
「そりゃどうも…………っ!」
下から剣を振り上げ、ラウラの持つ槍を弾いた。直ぐ様距離を詰めようと迫るが、ラウラの方が後ろに飛び退き、中々距離を詰められない。弾いた槍がぐるぐると宙を舞い、深々と地面に刺さる。
一定の距離が保たれてはいるが、フォースは警戒を解くことなく剣を構える。
「逃げんなよ」
「いいじゃない。最後なんだし、もっと戦ってもバチは当たらないでしょ?」
「んだよ、それ。こっちはやりたくもないことさせられてムカついてんだよ」
「ごめんごめん。でも僕的には大切なことなんだよ」
「大切、ね」
「そう。大切なの」
そう言いながら、地面に刺さった槍を抜こうと手を伸ばす。フォースは黙ってそれを見ていた。やろうと思えばやれるがそんなことはしなかった。フォース自身も心のどこかでこの戦いが大切だと思っているのかもしれない。
「準備出来たか」
「うん。抜けたから」
くるくると手に馴染むことを確認し、ラウラは再度槍を構える。一時の硬直。しかしそれはすぐに解かれる。
先に仕掛けたのはフォースだった。地面を蹴り上げ、一直線にラウラに向かう。接近型である剣を握るフォースに対し、中距離型の槍を持つラウラとでは攻撃範囲が異なる。距離を詰めなければ、フォースの剣は届かない。ラウラもそこは分かっているため、近づかない様に巧みに槍でフォースの攻撃を受け流していく。そんな攻防の中、ラウラは嬉しそうに笑った。
「あははっ! いいね。考えてみれば、本気で交えたことなんてないもんね?」
「おれがいつ、お前に本気なんて出した。今だって本気なんかじゃねぇよ!」
「ひっどいなぁ……でもまあ、剣を使ってるってことはそういうことだよね」
フォースの得意分野は遠距離武器。銃や鎖で攻撃することが主である。そんなフォースが今扱うのは剣。どこか手加減していると思われても不思議ではない。
「だったら、意地でも遠距離武器出させてやる」
「んなの使ってたまるか。銃なんて使うの、逃げてるみたいで嫌なんだよ」
「そんなことないけど? 自分の得意なものを使ってこそでしょ」
「おれは、嫌なんだよ」
「そんなの、僕には嫌味にしか聞こえないっ!」
ぐるんと槍を大きく回し、再び二人の距離が離れる。
「君は何でも出来て、マスターからも期待されてて、武器だって何でも作り出せる」
「…………だから? おれが嫌い? それとも妬んでんの?」
「……後者かな? 君は特別だから僕らには出来ない。僕は制御者としての存在意義しかないから。でも、フォースくん、君は違うよね」
「今のおれはお前らと同じだ。制御者としてここにいる。それ以上でもそれ以下でもない」
「そう思うなら、断ち切ってよ。この世界の子と」
この世界の子、というのはピカのことだろうか。それとも鈴流のことだろうか。とフォースは考えを巡らせるが、恐らく、両方を指しているのだろう。
「制御者は必要以上に関わっちゃ駄目でしょう?」
「……関わるな、か。おれはそんなことした覚えはないけど……でもまあ、説得力はねぇな」
ちらりと遠くに見えるピカを見る。それなりに離れているにも関わらず、フォースの視線に気づいたのか笑って応えた。
「おれも関わることはしない。人は嫌いだ。世界も嫌いだ。…………けど、欲が出た。あいつが…ラルの言う世界が……鈴流が生きた世界がどんなものなのか見てみたいってな。鈴流は最後まで他人を恨むことはしなかった。こんな世界を恨むことはしなかった。……恨まなかった理由くらい、知ってもいいだろ?」



~あとがき~
いやー始まりましたね! バトルは苦手なので、会話に半分くらい頼ってもいいよね!?

次回、まだまだ続くフォースVSラウラ!

フォース君の価値観が変わりましたね。
人間不信ならぬ、ポケモン不信な彼がピカを通じて関わりたいって言うんだよ! ピカちゃんの影響力恐ろしい!! 怖いわー!
ピカ「おい作者。私のこと馬鹿にしてるんじゃないの?」
してません。ほめてるんですよ!

二人の戦いの中で何か会話してますけど、特に考えなしに私がやってるので、同じことたらたらやってる可能性もある。なので、同じこと言っていても優しく受け流してください。
フォース「そうならないように計画立てろよ!」
ラウラ「ここまでこんな調子だし、無理じゃない?」
フォース「………確かにな」
んでも会話、それなりに大事なこと言ってるんで、ちょっとでも覚えてくれたら嬉しいです。はい。

ではでは、ここまでありがとうございました!
次回に続くぜ!