satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第116話

~前回までのあらすじ~
遂に言いましたね。115話にして遂に! 焦れったいこの気持ちが解消されましたね!!
フォース「それはいいんだけど、おれ関係ないよね」
ここであの二人出せないからね!
イブ「ピカさん、滅茶苦茶話そらそうとしてたね。結局、出来てなかったけど」
フォース「本人もどこか期待してたんじゃねぇの? お熱いねぇ~」
そして今回でピカがどう返事を出すのかって感じでお楽しみに!
フォース「漫画での設定ではラルは保留にしちゃうんだよな」
イブ「そうだったね♪」
よし、始めまーす!


「……………えっと…」
待て。今、何て言った? 最後の方はあまり聞き取れなかったが、最初は聞こえた。好きって言った? 付き合ってっつったか? 誰と誰が。いや、ポチャと私だろ。流れ的に。
この展開を予想していなかったわけではない。それだけは断言しよう。しかし、今の今まで何もなかったし、だの、ポチャにそんなこと出来ないだろ、などと思っていた。だから、ここまで困惑しているのだ。もっと早くに腹くくればよかった。ちゃんと心の準備しておけばよかった!
いや待て。落ち着け、私。落ち着きなさい?
本当にポチャはそう言ったのだろうか。もしかしたら、聞き間違いなんてことも考えられるのではないだろうか。
……どんな聞き間違いをすれば、あんなリア充じみた言葉が聞こえるんだよっ! そこまで難聴じゃないわっ! 馬鹿なの!? 私は馬鹿なの?
いっそ、さっさとOKしてしまうか? それの方が楽に………って馬鹿ぁぁ!? 逃避の仕方下手すぎるだろ! 仮にOKしてガチで間違いだったらどうするの? あ、そっちの方がありがたいけども!
いやいやいや。こんな物音もしない静かな場所で、聞き間違いなんて起こるはずがない。相手は私しかいない! あ、駄目だ。これ、私に向かって好きだって言って付き合ってほしいって申し出てる……! これはもう決まりなのでは。いや、そんな簡単にはポチャがそういった意味で言ったのか断定してもいいのか。って、何がしたいんだ、私は。
逃避したい私と冷静な私が頭の中で言い争っている様だ。何も考えられない。ある意味考えてるが、そんなツッコミ今はいらない。
ちらりとポチャの様子をうかがう。
これでもかという程に顔を真っ赤にして、思考停止でもしているのか、全く動いていない。茹でダコのようだ。彼はペンギンだが。
しかし、ポチャの様子から言い間違いでもなく、本当に好きだと言ったようだ。まあ、それが、恋愛的な意味合いとは違う可能性がないわけではない。………かなり低いけども。
「…………好きって…それ、友情的な話でしょ? だって私とポチャは友達でパートナーだけど、それだけで…」
何もないのに。と続けるはずだったのが、続かなかった。思考停止していたであろうポチャがふるふると激しく首を振ったためである。
「そうじゃなくて、ちゃんと一人の女の子として……女性として、だよ」
それは………それは恋愛的な意味合いってことじゃねぇかぁぁぁ!!
「えっ……?」
表向き、落ち着きはらって振る舞う。戸惑いは表に出ているが、これは問題ない。まあ、心の中はは乱れに乱れまくっているが。これをフォース君に読まれでもしたら、笑い者だ。
「それにずっと前から好きだったんだよ……でも、ピカはぼくには遠いんだ」
「………?」
「ピカは何でも出来て、ぼくのずっと先にいて……最初は一緒に並んでたはずなのに、いつの間にか背中を追いかけてて……必死になってた」
それは私を買い被りすぎなのでは、と言いそうになるが、ポチャはいたって真面目だ。ここは黙って聞こう。
「いつか君を守れるようになれたらって思ってたんだけど……そうじゃなくって、一緒に……隣でラルのことを守りたいんだ。背中を追いかけるんじゃなくて、隣にいたい」
そんな風に思っていたのか。私のこと。……いや、でも買い被りすぎたけど。
「でも、さ。私は……その…素直じゃないし、可愛くないし……女の子っぽくもないんだよ。そんなのポチャにもったいないというか……」
自分の欠点を自白するってこんな虚しいことはない。どれだけ自分に自信がないのだろう。言ってて涙が出る。
「そんなことないよ! むしろぼくの方がって思うくらいだし………」
一国の王子が何言ってるんだ。謙遜するなよ、こっちが虚しくなるわ。
「それにピカはそう言うけど、ぼくは君のことを今まで見てきたんだよ? ちょっと仕事に無関心でも、困ってたら絶対に助けてくれる。時々悪戯するし、男勝りなところもあるけど、根は優しくて可愛いものが好き。さっきは女の子っぽくないって言ってたけど、そんなことないよ。とっても可愛い笑顔見せるもん……ぼくはラルのそんな笑顔が好きだよ」
こ、こいつは昔から堂々とこういうことだけは恥ずかしげもなく言えるんだから……!
「ずっと仕事して、友達として、親友として、今まで来たけど、それよりももっと深い関係になれたらって思ってる……あ、もちろん、無理強いはしないよ? 断ってくれてもいい。今まで通りに探検隊のパートナーとしてやっていくから……さ」
私はどうしたいのだろう。
彼の言葉に甘えてもいいのだろうか。
こんな私を好きと言ってくれた彼に、甘えてもいいのか。それは高望みし過ぎではないだろうか。
私は元々は人間で、いつかは元の世界に帰るときが来るかもしれない。時の歯車の時みたいに消えてしまうかもしれない。どうなるか分からない。特に私みたいな不明確な存在なんて……明日には消えてしまうかもしれない。
本当ならこの世界に存在しない私が、この世界で生きる彼と一緒になることなんて許されるの? ここで断った方が互いのためなのでは?
そうした方が……きっと悲しまない?

……マダ、ニゲルノ……?

ぽつん、とその言葉が頭に響く。
今は雷姫はいない。これは他の誰でもない。私の心の声だ。
ポチャがなぜ、今、このタイミングで言ってきたのか分からない。何か決心したのかもそれないし、きっかけでもあったのかもしれない。
いずれにせよ、今聞いたことは全てポチャの本心なのだろう。どちらかと言えば、ポチャは嘘はつけない方なのだから間違いはない。
………私はこれをどこかで恐れ、同時に期待していたのだろう。こうしてポチャに、ティールに好きだと言われることを。そしてそれを認める時を。
私は今まで着けていたマントを外し、反対に外していたスカーフをいつものように身に付けた。
「……さっきも言ったけど、私は可愛くないし、素直じゃない。私よりいい娘なんてたくさんいる。それに私は何をするのか分からないよ? あのときみたいにいなくなるかも。ティール置いて消えちゃうかもしれないよ」
「………ラル」
あのとき、とはやはり、時限の塔での件だ。
それだけでなく、時々、私は後先考える前に体が動くときがあるのだ。危なっかしいことこの上無いだろう。
「それでも、それでも私と一緒になりたいって言える? 好きだと言える?」
「言える。ぼくは君と一緒になりたい。……好きだよ、ラル」
「…………!」
「どちらかがいなくなる未来を考えるより、一緒に過ごす今を大切にしたいから……だから………ラルと一緒にいたい。隣にいたいんだ」
ずっと近くで見てきた貴方の幸せを……誰よりも私はティールの幸せを願う。それはきっと…私も…
「………私もよ。私も貴方と一緒にいたい。隣でずっと……側に。…ティールのこと、ずっと前から大好きだもん」
「ラル……!」
「だから、答えは言わなくても分かるでしょう?」
私は泣きながら……それでも満面の笑みを浮かべ、大好きな彼にそう問いかけた。
「ラ、ラル……本当にいいの……?」
告白してきた張本人が何を言っているのだろう。
ほんと、馬鹿だなぁ……
私は何か言う前にティールに歩み寄る。彼は不思議そうに首をかしげていた。
私はそんな彼に優しくキスをした。
されたティールの方はまた顔を赤くさせ、声を上げることはなかったが、かなり驚いたようだ。
「!? ちょ、ピっ………ラルサン!?」
「私をその気にさせたんだから、ちゃんと責任取ってよね。………それに私のこと、守るんでしょう?」
ティールが過去のことを引きずっていたことは理解していた。そのことがきっかけで、スカーフを着けなくなったことも深く追及していない。
しかし、今回で面と向かって守ると言ったのだ。その言葉もきちんと責任取って貰わねば。
「………もちろん。帰ったらスカーフ着けるよ」
「あら、今じゃないの?」
「いや………持ってないし」
「私のあげようか? ティールさんっ♪」
「えっ……!?」
戸惑うティールに私は自分が着けていたスカーフを渡す。渡されたスカーフをじっと見つめ、首に巻いた。昔と同じ巻き方だ。
「う……なんか変な感じ。ずっと着けてなかったから。……変じゃない?」
「うん。似合ってるよ。……じゃ、帰ったらティールのスカーフは私が貰うね。色はおんなじだし、いいでしょ?」
「ん? あ、それはいいけど……ラルは今、どうするの? 着けないで帰るの?」
「あっちに置いてきたバッグの中にスカーフあるから、それ着ける」
「それをぼくに渡してくれてもよかったんじゃ……」
「それじゃあ、意味ないよ。ティールが私の着けるからいいんじゃない♪ すぐ見たかったし!」
本当は少し意味が違うんだけれど、それはいい。恐らく、ポチャが気付く日は来ないだろうから。
「さて、皆のところ戻ろうか」
「うん、そうだね」
私達は何も変わらない。私達はパートナーで友達で親友で……そこにもっと深い関係になっただけ。
ただ、それだけの変化で私達の距離は何倍も近くなった気がする。
私とティールは互いの顔を見て、もう一度軽くキスをした。これは私から不意打ちではなく、かといってティールからの不意打ちでもない。二人とも認識して、分かってしている。
「これから愛することを誓うよ、ラル」
「私もよ。愛しいティール」
いつか来る別れまで、私は貴方を愛することを誓おう。そして、永遠に好きでいることも。
やっと自分に素直になれたのだから。



~あとがき~
いい感じになったよね? なったよね?
いつもよりすこーし長いですがお許しを!

次回、久し振りにイブ視点に戻し、ピカ達を待っている様子をお見せします!

書いててこれでいいのかってずっと思いながら書いてました。大丈夫だよね。
まあ、晴れて恋人同士になったわけですが、普段はいつもと全く変わらないと思います。本編の中で二人のイチャコラを書くこともないかと。多分。断言出来ないですけど……とりあえず、日常パートでデートとか書きたいですね。分かんないけど。

私、ポチャのスカーフ描写を今の今までしてなくて、焦りました。ここに来る前にポチャがスカーフ持って来ている感じで考えてたので、どう書けばいいのかと迷いに迷った……そんな描写を入れてなかった過去の私を恨みます←
まあ、ピカので誤魔化したけど、これでポチャ君も完全なデザインになったっけことですね! 私が描いて出してるポチャ君に進化です(笑)

今回は特別にピカ視点で書きましたが、これ、ポチャ視点でも面白そうですね。ぐるぐる緊張で混乱してそうです。書きませんが、そこら辺は想像してみてください。

もうここまできたら、結婚してしまえって思います。まあ、でもまだ十代だしね! まだ早いね!

ではでは!