satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

ポケダン~約束~ 第34話

~前回までのあらすじ~
先の話をたらたら続けてました。やっぱり計画は立てるものですね……
ライ「今回からショウとピカさんとの関係性を紐解きまーす。いつか公開するっていってたやつ」
ショウ「なんか恥ずかしいっすね♪」
過去話だから、空と海に支障はないからな。やっても全然大丈夫なのさ☆
ライ「ま、何やってもいいってことでもないけどね」
まま! 始めていきやしょー!
ライ「……………」


親方部屋を出たライはその足で食堂に向かった。少し早いと思いつつも、特にやることもなかったため、早目に行っておこうという単純理由である。
「最近の俺、なかなか朝型じゃね? まあ、すぐに夜型に戻るんだろうけど……これだから、ショウに注意されるんだよな~」
「俺がなんですか? ライ」
「……………うおっ!? 後ろにいたの!?」
いきなり声をかけられ、後ろを振り向くと笑顔を浮かべるショウの姿があった。ショウは不思議そうに首をかしげる。
「最近、早いっすね。いいことですけど、ちゃんと寝てますか?」
「大丈夫だよ……最悪、人目盗んで寝るから。それより、ショウは今から食堂に行くの?」
「えぇ。洗濯をとりあえずやり終わったので、朝食の準備をするために。……あ、大丈夫ですよ。下準備はもう終わってるので、すぐに用意できますから♪」
にこっと笑って答えるショウに対して、主婦もびっくりするほどの用意のよさに感動すら覚えてくる。そして、自然と疑問も浮かんできた。
「誰もそんなことを気にしてはないけど……お前、なんでそこまでスキル高いの」
「ん~……きっと母親のせいっす。料理が出来ない人で……俺が料理出来るのはそのせいですかね」
「じゃあ子どもの頃、どうしてたんだよ」
「父親が作ってましたよ。……まあ、それでもたまーに母親の手料理食べなきゃいけないときとかありましたけど……言いたくありませんが、お世辞にも美味しいとは言えなかったっす」
「ふ~ん? 料理覚えるきっかけは母親ってこと?」
「いえ、違いますよ。間接的なきっかけではありますけど……あ、せっかくなのでこの前の話でも聞きますか?」
「…………ん? この前の……って、ピカさんの話か? もしかして、きっかけ作ったのって…」
「ピカさんですよ」
「……………マジ?」
信じられないとでも言うような表情になるライに向かって、ショウは笑顔のままうなずいた。そしてここでは何だから、という理由で二人は食堂へと向かった。
食堂に着くなり、ショウはせっせと朝食の準備をし始めた。ショウの言った通り、下準備はしておいたのか、すぐに朝食のメニューがライの目の前に揃った。
「…………流石っす、ショウさん」
「えへへ……ありがとうございます♪」
「そんでさっきの話だけど……聞いてもいいか?」
「もちろんいいですよ。……あれは俺が三歳くらいの話ですかね……外で遊んで帰ってきたら、ピカさんがいたんですよ」
「突然すぎねぇ!?」
朝食を食べ始めていたライは黙って聞いていようと思っていたが、ショウの唐突過ぎる発言に思わずツッコミを入れる。ショウも説明が足りないか、と思ったのか補足説明を始めた。
「えっと、母親が連れてきたんす。ピカさんはピカさんで傷だらけだったんです。……今考えると、仕事で何かあったんでしょうけどね。ピカさんは川に流されて死にそうになったって笑って言ってましたけど……」
「笑えない笑えない……笑えないよ………全然」
「子どもだった俺は特に不思議に思うことなく、受け入れてましたけど。……連絡手段もないし、怪我もあるからって両親がピカさんを居候させてて。本人は滅茶苦茶帰りたがってましたけどね♪」
「…………それで?」
「えっとですね……」

・・・・・

「…………おかーさーん? これはなんなんでしょうか。私、ちょっと聞きたいでーす」
「フォークよ。ピカちゃんも見たことあるでしょ?」
「ありますけど……それを投げるなんてあまり聞きませんよ。しかも私に投げることないじゃないですか」
「だってピカちゃんが逃げようとするから♪」
「殺気感じれば誰だって逃げるからね!? フォークで殺気感じるとか初めてだから!! おかしいからね!? っていうか、危ないんでやめてくださいよ」
えっ? と不思議そうに首をかしげる白いイーブイ…クレアにピカはため息をついた。そして自分の置かれた状況について考え始めた。
「………仕事で大怪我して、敵に川に落とされて、そのまんま流されて、拾われて、手当てしてもらって………最終的に拾ってくれた人にフォークで殺されそうになってる………なんだこれ。現実? それとも地獄?」
「両方じゃないかしら?」
「笑顔が怖いよクレア母さん……超逃げたい」
「あら。駄目よ? まだ治っていないんだから」
「それなら狙うこともやめていただけます!? 傷口開きますよ!」
ピカの訴えも物ともせず、微笑を浮かべたままのクレア。そんな彼女を見て、反論することも脱走することも諦め、その場に倒れこんだ。そして目の前に空が広がっていて、自分が外にいたことを思い出した。
「ピカねぇしゃん、だいじょーぶ?」
「ショウ君か……あー…うん。大丈夫だよ。……地獄にいる気がするけどね…」
「う?」
上半身を起こすと、首をかしげる幼いイーブイの頭をぽんと叩いた。母親であるクレアとは違い、普通の色をしたイーブイの少年だ。
「……幼い君にはまだ早い世界だよ。気にすることはない。…………琥珀さん! 見てないで助けてくれたっていいじゃないですか」
ショウの頭を撫でながら、少し遠くで高みの見物をしていたレントラー琥珀に向かって叫んだ。彼は詫びる様子もなく、にこりと笑う。
「ごめんね、ピカちゃん。ハニーが可愛くて見とれていたんだよ」
「もうっ! ダーリンったら♪ 照れるじゃない」
「照れた顔もまた可愛いよ、ハニー」
「このリア充夫婦うぜぇ……」
周りにまともな人材がいないと分かると、何か起こそうとする気も失せ、再びその場に寝転ぶ。
ピカ的には早く仲間のところに戻りたいところなのだが、連絡手段であるバッジも壊れてしまったらしく、全く連絡がとれない状況なのだ。歩いて帰るにしても、クレアが許してくれず、結局何もせずに今の今まで過ごしてきてしまっている。
「仕方ないとはいえ、これは怒られる。理由とか話したとしても、半日くらいはやられるぞ……これは」
「ピカねぇしゃん、だれかにおこられるの?」
「うん……私の友達……ま、仕事仲間にかな。こればっかりは避けようがないから、諦めるけど……考えたってしゃーないわ。……私、家戻るわ。ショウ君はどうする?」
「ピカねぇしゃんもどるなら、いっしょもどるっ! だからね、おうちであしょぼー?」
「……うん、いいよ。することもないし」
ラブラブしているクレアと琥珀をちらりと見たあと、出来れば子どもであるショウがあの夫婦から影響を受けないことを願いつつ、ショウと家に入る。
「さてっと……何しよっか。激しいことすると、またあの人からの洗礼を受けかねないから、大人しく出来るやつにしようね?」
「えっとねえっとね……じゃあ、これ! よんでよんで」
「読み聞せか……いいよ。んー……ほう、ショウ君、こういうの好きなの?」
ショウが差し出してきた絵本は拐われたお姫様を勇者が助けるという、よくある話だ。ショウは笑顔でこくっとうなずいた。
「うんっ! かっこいいんだよー」
「そっかそっか。ショウ君はかっこいい勇者さんになりたいのか」
「んとね……あのね、ぼく、こまってるひと、たしゅけられるひとになりたい! あとはね~……いろんなとこ、ぼーけんしゅるの!」
「楽しそうだね~♪ そっか……助けるに冒険か。……きっとショウ君にならなれるよ」
「えへへ……」
「よしっ! じゃあお姉さんがワクワクする話をしてあげる。絵本じゃなくて、本当の話!」
「う~?」
首をかしげるショウにピカはニッと笑って見せ、今まで自分が体験してきたことを話し始めた。



~あとがき~
かなり久しぶりの更新ですね。もう何してるのか忘れました←
まあ、とりあえず今回からショウ君の過去話です!
約束ではまだ現段階で終わっていない空と海のメインキャラ達は出さぬようにと配慮しているつもりですが、過去話だからいいかな、みたいな(笑)

次回、ショウとピカのお使い的な。

まだまだ年齢が幼いショウ君は言葉もおぼつかないですね。許してな。
一方ピカさんは空と海と大して変わらないです。当たり前と言えば当たり前。ショウの母親である、クレアさんに殺意向けられる部分はあるものの、いつものピカさんです。
しばらくこの二人メインなので、お付き合いくださいなーっと。

ピカ「こっちじゃ出ないものだと思ってたのになぁ……どもども、空と海から飛び出してきたピカでーす。面白そうだから来ちゃったぜいっ☆」
ショウ「ピカさん、緩いっす……それと若干テンション壊れてません?」
ピカ「こんくらいが丁度いいのよ。ここのトークくらい、出来ないことしたいじゃない?」
ショウ「ぶっちゃけ、俺とピカさんが話している時点で出来ないことしてるっす」
ピカ「それな」
ショウ「………次回もよろしくお願いするっす」
ピカ「よろしく~♪」