satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第130話

~前回までのあらすじ~
ピカとフォースのお祭りデート(?)です。
そして今回で130話だーい!
ピカ「これは200までやっても終わらないフラグ!」
イブ「終わりませんね、きっと」
私も終わらないと思う。
あの。あれですね。気長にお付きあいくださいませです……
ピカ「これ書き始めた頃はこんなに続くとは思わなかったもんなー」
イブ「ですね。ついでにこんな計画も立ってなかったでしょうし」
ピカ「だねぇ~」
あー……は、始めますね!!


ピカに引っ張られて来たのは、チョコバナナの屋台。店主のヤナッキーはピカに気付いたのか、お、と小さく声を漏らした。
「よお♪ 嬢ちゃん!」
「やっほいやっほい! 今年も来たね、おじさんっ! つーわけで、まけてちょーだいっ」
「会って第一声がそれかい? 今年は彼と一緒じゃないんだね? 何、新しい彼氏かな」
「そうそう。あいつよりいい人見つけちゃって♪ かっこいいでしょ?」
声のトーンや雰囲気から二人とも冗談で言っているのだろう。それでも本当にポチャが聞いたら無反応ではいられなさそうである。
フォースは特に口を挟むことはせず、黙って二人の会話を聞いていた。
「あははっ! そいつはいいねぇ♪」
「見た目もかっこいいけど、中身もバッチリだから。もうこれは乗り換えるでしょ!」
「嬢ちゃん、そんくらいにしとかないとパートナー君、逃げちまうかもよ?」
「それは困るな~」
「ほら。新しい友達の分はサービスしとくよ。嬢ちゃんの分は貰うけど」
「どうせなら、全部タダでもよくなーい? ま、それだと赤字だもんね。はい」
「………はいよ。丁度! 嬢ちゃん、今度はちゃんとパートナー君と来なよー」
「はいはーい。んじゃーねー♪」
ヤナッキーから受け取ったチョコバナナをぱくりと加え、もう一本をフォースに手渡した。
「………なんだったの?」
「あほほの~」
「あのさ……食べてから喋れば?」
「んぐ…………あそこのおじさん、優しいからなんやかんやでおまけしてくれんの。それにこれ、そこまで甘くないし、子供向けじゃないんだよね!」
「……………確かに」
チョコの甘さが主張してくるかと思っていたが、そんなことはなく、甘さ控えめでバナナの風味が広がる。甘いものがあまり好きではないフォースに気遣ったのだろうか。
「バナナ好きに推してる一品ってやつかな。それならただのバナナ食えよって話だけどさ~」
「毎年行ってんの?」
「うん。ってか顔見知りだから。毎年、私もポチャもエンジョイしてるんだよ? 今年はいつもより仕事ないから、皆とも遊びたいし」
「とか言いつつ、おれとこんなことしてていいわけ? 回るなら残りのやつも連れててもよかったんじゃねぇの?」
「さっきも言ったけど、イブちゃんとのお祭りデートの下見だから。二人の方が入れ知恵しやすいしね。それにフォース君と話したいって言ったじゃないですかぁ~」
「あー……はいはい。言ってましたね」
いまいちピカの真意が見えてこないからか、適当に返事を返していく。このまま言われるがままに付き合うしかないと思っているからだろう。
「そっちから聞いといて適当だな。……ま、いいけどさ。んで、単刀直入に聞くけど馴染めそう?」
「あ? 何に」
「ここの雰囲気ってやつに、よ。どうせフォース君のことだから、こんな風に大勢に囲まれるのも初めてなんでしょ? だから、私が珍しく気にしてあげてるんですよ」
視界を遮ってしまっているフォースにピカの表情を読むことは出来ないが、彼女が嘘を言っているわけではないことは理解出来る。ここまで引っ張って来たのはピカであり、それ故に気にかけてくれているのだ。ここで素直に答えてもよかったが、それではらしくないと感じ、にっと悪意の籠った笑みを浮かべた。
「お前がおれのこと気にかけてたんだ?」
「な、何よ……そりゃあ…ちょっとは?」
「へぇ? おれはお前のことはサボり魔のだらしないリーダーさんだと思ってたんだけど、意外とちゃんとリーダーしてるんだ?」
「………はぁ!? 別に心配とかそういう意味じゃないからね! ってか何、その言い方。私だってやるときはやるし!? 馬鹿にしないでよねっ!」
「んなこと言われても仕事してるお前、見たことねぇんだもん。判断出来ないというか」
「私とポチャが仕事してるとき、フォース君がいなかったからね! ついてこないじゃん!」
「来いって言われないからさぁ~」
「言わないのは気遣ってんの! あーもう! 聞いた私が馬鹿だった。いいよ、いい。祭り終わったらこき使うからな。覚悟しろよ」
「もう使われてるけど?」
「うっせ! もっと使うんだよ! バーカ!」
ぷいっとそっぽを向き、残っていたチョコバナナを食べ始めた。フォースは小さく笑うと、ピカと同じようにチョコバナナをぱくりと食べる。
「………ったく! どう変わってもフォース君はフォース君だった。初めて会ったときと何も変わんないわよ。やな感じね」
「あはは♪ 誉め言葉として受け取るよ」
「さらっと流しやがって。誰も誉めてねぇっての。……さてっと、こうなったらとことんリーダーに付き合えよ、新人君っ!」
「あいあいさー」

ピカに引っ張られ、祭りを案内されていく。だんだん時間もいい感じに暮れてきたからか人が多くなってきていた。それなりに回った気もするが、ピカが戻ろうと提案することはなく未だに引っ張られていた。
「なあ、まだどっか行くわけ?」
「うん。あと一つだけどね。……今年はどこだろ」
どうやらピカは目当ての屋台を探しているらしかった。先程のやり取りは全く気にしていないようで、普通にフォースと会話を交わしている。ピカもフォースも本気で言っていたわけではないことを互いが互いに理解しているためだろう。
「…………あ、あった! やっほーい! お兄さんっ! 今年はお兄さんなんだね! もしかして、もうおじさんって歳!?」
やっと見つけたのか、嬉しそうに声のトーンを上げ見つけた方向へと早足で向かった。相変わらず引っ張られることしか出来ないフォースはされるがままである。
「まだ二十代! まだ兄さんだから!」
「そうだっけ。去年はお父さんだったからさ~♪ フォース君、目当ての屋台を見つけたよ。おじさ…お兄さんのフローゼルさん! ここ、面白いんだよね。まあ、マニアックだけど」
「屋台にマニアックって……?」
ピカにお兄さんと紹介されたフローゼルはフォースとピカを交互に見比べこくっと首をかしげた。
「ピカ嬢ちゃんにこんなイケメン彼氏いたのか?」
「うん。最近出来た」
「……行く先々でそれ言うよね。全員」
今まで寄ってきた屋台全ての人に彼氏だのなんだのと言われてきたのだ。いちいち訂正するのも面倒だったフォースは違うと言うこともなくピカの少し後ろで沈黙を続けていた。全員本気で言っていないことは感じ取れていたから、訂正しなかったのもあるのだが。
「そりゃ、毎年毎年、ポチャ坊っちゃんと来てんだもん。違う人と来てれば気づくし、気になるもんよ」
「その前に全員と顔見知りなのが怖い。どんだけ顔広いんだ」
「えへへ♪ もっも誉めてもいいのよ?……ま、ネタバレすると、毎年三日間のお祭りは私達がずっとうろうろしてるからね。お祭りの仕事ってのもあるけど、それ以前に探検隊ってのも影響してて顔を覚えてくれてるんだよ」
「有名な探検隊は違うんだな…」
「ありがたいことにね。……うふふ。さてさて、早速いかしてもらってもいいかな? お兄さん!」
「いいよ。どーする?」
「もちろんやる。いつも通りにね」
フォースの知らないところでどんどん話を進めていくピカ。特にどんな屋台だとか説明をすることなく、何かしようとしているようだ。
「……ピカ? ここってなんなの?」
「ここ? ま、ざっくり言っちゃうと金魚すくい屋さんかな」
「き、金魚すくい……?」



~あとがき~
雑? 知ってる。
久しぶりの更新で申し訳ねぇっす……今後もこんなペースかもしれぬ……

次回、金魚をすくいます。

ポケモンしかいないのに金魚すくいとはって思うかもだけど、大丈夫。分かる人にはピンとくるはずだよ! ヒントも何もないけどさ!
ヒントとしては私達が知っている普通のお祭りの屋台で出来る金魚すくいではないですよ。それだけは言っておきますね。ま、ピカにマニアックとか言われている時点で察してくれよ。

フォースとピカは持ちつ持たれつの関係でしょうか。どうだろ。ちょっと違うかも(笑)
でもまあ、言い合いもするし、ピカはフォースにいじられるし、反対にフォースはピカにいじり返されるし、みたいな関係です。ピカとポチャとはまた違った関係ですね。あの二人ははピカが一方的にいじって、ポチャは仕返ししないんで。突っ込むだけだからね。
この二人はこれからも協力するときはするし、嫌なときはフォースもピカも無視するし、息ぴったりなときもあれば、すこぶる相性悪いときは悪いよ。フォースはピカに反発する数少ない人物です。基本的には受け入れる優しいやつですけど。フォース君。

ではでは!