satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 5ー4

~attention~
これは時、闇、空の探検隊のシナリオを元にした創作ものです。ゲームのイメージが下がる可能性が大いにあるので、嫌な方はバックしてくださいな!
ピカ「最初の頃はうちらに任せるとか言っといて、結局作者が全部言うんだよね」
ポチャ「まあ、そっちの方がすぐ伝わっていいんじゃないかな……?」
ピカ「ふーん? まあ、いいけど」
今回で……終わるかな。無理かな。とりあえずやってくぞー!


~5‐4 初めての謎解き~


こういう絶体絶命の時とかって、なぜだか一番冷静になれる気がする。今、私の目に写るものがスローモーションになっている。実際は秒単位だろうが、体感的には何分も空中に留まっている感覚だ。
このまま落ちたらどうなるんだろう。やはり死ぬんだろうか。それは嫌だな。それなら、バッジの機能で帰ろうか……いやいや、それでは本末転倒。リーダーがやられたらメンバーも強制的に帰されてしまう。
あ、じゃあこの状況駄目じゃない? どう転んでも失敗ってことになりますよね? なるほどなるほど。つまり、計画が甘かったってことか。
「………ピカ!」
私を呼ぶ声にハッとする。見上げると、ソルに乗ったポチャが私に向かって手を差し出していた。
……まだ終わってない。
「ポチャ! ソル!」
ポチャの手を掴むため、私も手を差し出した。私の手を掴んだポチャは片手だというのに、私のことを引き上げ、抱き寄せる。背丈は私とそう変わらないのに、こういう力のあるところを見せられるとポチャも男の子だということを見せられた気分だ。いやまあ、元から男の子だけれども。
「届きます! 掴まっててくださいね!」
それを聞き、ポチャの肩越しに前を見ると、もう入口は目の前だった。しかし、掴まると言っても私、ポチャに掴まるしかないんだけれど……いいか。
ソルの声で私の腰に回している片手に力が入るのを感じた。私のことを離さないようにしっかりと抱き寄せるためだろう。意識してやっているならば、それはとてもかっこいいとは思うけれど、多分彼は無意識だ。全然気にしている素振りを見せていないから。これが素だと言うなら話は変わるか。しかしまあ、短い間ではあるけれど、ポチャと過ごしてきてこいつはかなり顔に出やすいらしく、深読みする必要もなく、すぐに考えていることが読める。そんなことがあるため、無意識だろうという結論に至るわけだ。………って、何考察してるんだろう、私。
そんな下らないことを考えているうちにソルは地面に着地していた。すなわち、洞窟の入口まで来たわけだ。
「ふわぁ~………緊張したよ……」
ここで第一声を放ったのはポチャだった。その言葉と同時に彼の手の力が緩み、私はポチャから離れた。
「ピカ、大丈夫? もう無茶するんだから」
「大丈夫だよ。ポチャが助けてくれたからね」
「当たり前だよ。ぼく達はパートナー同士! 仲間だもん」
満面の笑みでそう宣言をした。恥ずかしくないのか、こいつ。ま、いいけどね。
「ソルもありがとう。なかなかの跳躍だったね」
「いえいえ。ピカさんとポチャさんの努力あってここまで来れたんです。次はここの探索ですよ」
そうだった。入口を見つけただけで終わりではない。次はここの洞窟を調査せねば。
私とポチャはソルの背中から降り、三人で洞窟の入口を見た。洞窟内はダンジョンになっているはずだ。外からの光が入らないとはいえ、真っ暗と言うこともないだろう。
「よっしゃ! 一番奥、目指すよ!」
「もちろん! そのつもりだよ」
「そのために来たんですからね」
私達三人は気合いを入れ、見知らぬ地へと踏み出した。

ダンジョン内の探索は今まで行ってきたところと大差はなかった。敵は水タイプが多く、ポチャが使い物にならなかったくらいだろうか。あと、ニョロモにマッドショット食らった。初めて当たったとき、地面タイプの技ってあんなに痛いんだと痛感した。……タイプ相性、恐ろしい。ポチャは当たっても平気な顔なのに。これから地面タイプの技はポチャに受けてもらおう。そうしよう。
さて、私達は今、ダンジョンを抜けて別の道を歩いている。今までの水の多い雰囲気とは変わり、どこかの炭鉱の様に至るところに鉱石がキラキラと輝いていた。
「うわぁ……綺麗…」
ダンジョンではないようですね。ここが奥地に繋がる道ってことか。……ここにある石は宝石……?」
「そうだとしたら、凄い発見かもね。うわ、テンション上がってきたよ、私!」
私も初めての探検で今更ながらテンションが上がってきた。探検、凄い。
「ピカ、ソル。ちょっと来て」
私達の先を歩いていたポチャが手招きをしている。何か見つけたらしい。ソルと顔を見合わせ、ポチャのいる方へと歩みを進める。
「何それ、おっきい!」
「それも宝石でしょうか。………それにしては大きい過ぎるような…?」
「これ、持って帰れたら皆ビックリするよね」
そりゃまあ……するだろうけども。現実的に考えてこの大きさは無理だろ。
ポチャが指差す宝石はここに見えている物の中で一番大きいものだった。しかしそれは私の背丈よりも大きく、抜けるわけがないと触らずとも察することが出来る。
「何事も挑戦、だよ。ちょっとぼくが引っ張ってみるね!」
どこからいけるという自信が湧くんだ。馬鹿なの。探検馬鹿なの?
何とかして抜こうと頑張るポチャをよそに私はぐるりと辺りを見回した。それにしても、先程とは本当に雰囲気が変わった。左右にまだ道があるから進めるのだろう。ということは、ここが本当の奥地ではないのだろうか。
「………っぷはぁ! 駄目だぁ……びくともしないよ。ピカ、やってみてよー」
ポチャに無理なら私にも無理だろ。やる必要性あるのか。……とは、言えず。
こんなに一生懸命にやっている彼を無下に出来ない。やるだけやって見せよう。それで納得するならいい。
ポチャと場所を代わり、宝石の前に立つ。そして宝石に手をかけた。私より大きい宝石をどうやって抜けというのだろう。とりあえず引っこ抜くのだから、引っ張るか。
「…………んっ!」
いやいや! これは無理だって! 動かないっていうか、そこに固定されてるみたいなんだけど!?
力一杯引っ張ってみるが、全然動く気配がない。結局、私が力尽き、後ろに倒れた。
「ポチャ、これ無理だってぇ……諦めろよ…」
「見れば無理だって誰でも思いますけどね」
確かに。ソルのが正論だよ。
「えー……でもなぁ……ぼく、もうちょっとやってみる」
諦めろよ!! そこはもう無理だと悟れ!
私の心の叫びが聞こえるはずもなく、ポチャは宝石に近づいた。これは気がすむまでやらせるのが得策か。
私は立ち上がるとポチャの邪魔にならない隅の方まで避ける。ソルも私と同じ考えなのか、じっと座って待機してくれる様だ。
いっそ、周りにある小さい方を掘り出した方がいい気がしてきた。取れるかな。
「…………っ!」
壁ににある宝石に触れようとすると、ぐらりと目眩がした。滝に飛ばされたときと同じものか。となれば、また何か見えるのだろうか。
見えてきたのは、先程滝に飛び込んだポケモンだろうか。私達と同様にここまでやって来たらしい。そのポケモンは迷わずあの大きな宝石に触れると、引っ張るのではなくカチッと押した。しばらくすると、右から大量の水が流れ込み、そのポケモンもろとも流れていった。
………あのポケモンはこのあとどうなったのかまでは見えなかった。しかし、あれは仕掛けのスイッチということが分かった。引っ張るのではなく押すのか。押して駄目なら引いてみろ、の逆バージョン?
引いて駄目なら押せ、的な。いや、今回の場合、それだと流されるだけか。
今、ポチャは引っこ抜こうとしているから間違っても押すことはないだろう。
「…………あ」
ポチャが何かに気付いた様に引っ張るのを止めると、何を思ったのか宝石を押した。
………は? 押しただあぁぁ!?
「あ、それ押せるんですね」
「みたい。…………なんだろ、この地響き…」
何も知らない二人は首を傾げる。対する私はさっきの夢がある。どうなるかは夢の通りだろう。
「ポチャの馬鹿ぁぁ!! なんで押した!? なんで押した!」
「え、いや……何となく……? ピカはなんでそんなに慌てて…」
「二人とも、何か来ます!」
「水だよ! 水!! 濁流みたいな水!」
「え、水? 分かるんですか、ピカさん?」
「そんな話はいい! とりあえず逃げ…ってあぁぁぁ!?」
呑気にしていたらもう水が目で捉えられる程まで近付いていた。終わった。
「水の匂い………? ってうわぁぁぁぁ!?」
「うわっ! 流されるっ……!」
気付いたときには時すでに遅し。私達は抗う術なく濁流に飲み込まれて流されてしまった。



~あとがき~
流されましたね。三人。

次回、初めての謎解き完結!
……したらいいね。

ポチャ君、ピカを助けるところ、かっこよかったですね。ピカもポチャのこと、かっこいいかなって思ってますよ。多分ね。
ただ、無意識にやっている&恋愛感情を持っていない(or自覚していない)ために全然気にしてません。ピカが然り気無く助けてくれたから、と告げても動じませんでしたし。ピカの腰に手を回したこと覚えていないのかもしれません。言われるまで気づかないやつです。

ちなみに描写してないけど、凍らせた滝はちゃんと元通りに流れてますのでご安心を!

では!