satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 6ー5

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊を元にしていますので、原作のイメージが崩れることがあります。苦手な方はバック推奨です!
ピカ「謎にオリジナルの展開が来た。いつになったら遠征は始まるのだろうか」
ポチャ「い、いつだろうね……?」
でもさぁ、遠征始まったら始まったできっとボス戦で手こずるから。どうでもええやん?
ピカ「どうでもよくない」


~6‐5 やってきたあいつらと失敗~


いつもの朝会が終わり、いつも通りに掲示板の仕事を終わらせるかと考えていると、ペラップに呼び止められた。
「今日は依頼ではなく、食料を調達してきてくれ」
食料?
私達は顔を見合わせ、ペラップに近づいた。いつもの依頼ではなさそうだ。
「あぁ。今朝になって倉庫を見たらいきなり減っていてな。……しかもセカイイチだけが全てなくなっていたのだ」
セカイイチ? なにそれ。どんな食べ物だよ……
「リンゴの一種だよ。とても大きく、とても美味しいリンゴでな。そして、なにより親方様の大好物なのだ♪ セカイイチがないと親方様は……親方様は……」
そんなリンゴがあるんだ。親方が夕飯になると頭の上に乗っけているのはそれなのかな。確かに普通よりは大きなリンゴだなとは思っていたけれど。
で、親方がどうなるのかという話だったか。ペラップは黙ったままで言いにくそうにしている。
「…………なのだ。だから、頼む。セカイイチを取ってきてくれ」
え、今、何て言ったの? 親方がどうなるって言った?
私とポチャはお互いの顔を見合わせ、首をかしげた。私もポチャも聞き取れなかった。もしかしたら、言っていない可能性もあるけれど、そんなの探ってても仕方がない。
「よく分からないけれど、セカイイチを取ってくればいいんだね」
「あぁ♪ セカイイチは『リンゴのもり』の奥地にある。いいかい? これは簡単な仕事のように感じるが、とっても大切な仕事なのだ」
「うん、分かった。ピカ、頑張ろうね!」
「はいはいっと……」
セカイイチが親方のなんなのか全然分からないけれど、まあ、いいか。いつも通りこなせば問題ないでしょうし。
どこか心配そうなペラップをよそに私達は教えられた『リンゴのもり』へと向かうことにした。
……それにしても、急にセカイイチがなくなるなんて……誰の仕業なんだろう。親方が勝手に食べたのか、弟子の誰かのつまみ食いか。あるいは……スカタンク達のせいか。ここで犯人探しをしても仕方がないんだけれど、なんだかとばっちりをうけているような気分だ。別に悪いことなんてしていないのにな。
そんなことしか考えていなかった私は、私達のことをじっと見ていた視線に気が付かなかった。もしここで気がついていたら、このあとの結果も変わっていたかもしれないのに。

見た感じ、どこにでもあるような森の入口。しかし、生えている木々にはリンゴがたくさん実っていた。季節感というものは存在しないところ、ダンジョンなんだなと思わせる。
「ここが『リンゴのもり』だね! 奥にあるって話のセカイイチ目指して頑張ろう~♪」
いつにも増して、テンションの高い奴め。何がお前を駆り立てるんだよ。
「だって、リンゴって美味しいもん」
うわ。探検とはなんたるかを語るときと同じくらいきらきらした目をしていらっしゃる。もしかして、リンゴ好きなのか。
そう聞いてみると、ポチャは嬉しそうにうなずいた。本当に隠し事が出来ない性格のようだ。将来困りそうだな、ポチャ。
「ポチャ、分かってると思うけど、目的はリンゴ回収じゃないからね?」
「もちろん! セカイイチだよ♪ 分かってる分かってる!」
本当だろうか。ま、もうどっちでもいいか。
ダンジョンの中は森だし草タイプのポケモンがたくさんいらっしゃるくらいだ。ポチャが本当に使い物にならなくて、というか、草タイプのポケモンに耐性がないのか、見かけるだけでびくびくしている始末だ。
おい、お前。氷タイプの技あるやん。飛行タイプの技あるだろう? なぜ逃げる??
「……じょ、条件反射……?」
「勘弁してよねー? 電気タイプの技、通りにくいんだから……それ教えたのポチャだよ。私にタイプ相性を教えたのポチャさんですよ!?」
「面目ないです……」
しょぼんとして、申し訳ないという気持ちは伝わってきた。それは分かる。が、しっかりしてほしい。いや、本当に。ポチャは多くの知識を持っていて、色々な場面で助かっている。が、それだけでは意味がないのだ。恐らく、探検というものはそれだけでは成り立たない。
「もう。頭だけよくても使えなきゃ意味ないっての……私、初心者! OK!?」
「お、おーけー」
「もう、一国の王子様が聞いて呆れるよね」
「やめて。その話はやめて……」
「あっはっは~♪ まあ、仲間を大変な目に遭わせるようなことは極力避けるけど。リーダーとして、お仲間は守るよん♪」
今は右も左も分からないけれど、少しでも頼れるリーダーになれればいいんだけどね。いや、面倒は嫌かな。ポチャやソルはそんなことしないだろうけれども。
「……ぼくも、ピカのこと、皆のこと守れるように頑張るよ。だから、一緒に強くなれるといいね」
「…………なるんだよ。一緒に」
こんな何でもないようなところでいうことではないかもしれない。それでも、私達は。
「それがチームの意味だと思うな。私は」
「うん。そうだね……そうだよね!」
「じゃあ、強くなる一歩だ! 目の前のクサイハナさんを撃退しなさい」
決意を改めてしたところで、さっとポチャと位置を入れ換える。その瞬間、ポチャを顔がさっと青ざめたのが分かった。こんな風に訓練して苦手なタイプにも慣れさせるのもリーダーの務めですよね。分かります分かります。心苦しいけど、ポチャのためだ。私は我慢するよ。
……本音は状態異常が怖いだけです。やだ、言わせないで? 恥ずかしいな、んもうっ♪
「ピ、ピカァァ!! 攻撃してきたよ!?」
そりゃここにいる皆様は私達を住みかを荒らしに来た敵さんに見えているわけだから、襲いかかってくるのはデフォルトだ。それが不思議のダンジョンというものであるのは、学習済みのはずである。
いやはや……ワーキャー言いながらクサイハナから逃げるポチャはほんっと情けないです。離れて見ているけれど、滑稽だよ。いや、うん、知ってた。
「どどどどうしゅたらいいの!!」
あらあら。慌てすぎて噛んでるよ、ポチャ君。仕方がない。指示するか。
「まず、向き合うことから始めてほしいかな。んで、相手をよく見て、“つつく”を出せばいいんじゃないかと思うよ」
「む、向き合う……!」
ポチャは走るのをやめて、クサイハナに向き合った。クサイハナもピタリと動きを止める……はずもなく、そのままポチャに突っ込んでいく。
「うわうわうわ!?」
「落ち着けー? “つつく”だよ。あ、一発狙うなら“ふぶき”でも可だよ。今から必ずや命中するでしょうね」
なんせ、敵から突撃してきてくれている。これで外れるなら、とんだノーコン野郎かクサイハナがラッキーさんだったということになるが。ポチャはよく分かっていないようで、えっと不思議そうにしていた。これくらい一人で気づきなさい。
「え、え? あ、じゃあ……“ふぶき”!!」
理屈を考えるよりも私の言葉を信じたらしいポチャは、力一杯の“ふぶき”を放つ。それは相変わらずの威力で、離れて一休み気分だった私にもその冷気が伝わってきた。その冷気をほぼゼロ距離から受けて、耐えられるはずもないクサイハナはばたりと倒れてしまった。
「お、おぉ……! 当たった!」
「よし、行くか。クサイハナさんに合掌してけよ」
「え、倒せってピカが言ったんだよね……?」
「ポチャが草タイプ苦手みたいだからさ。克服のお手伝いだよ、お手伝い。でも、苦手タイプの話なら私も苦手だよね? 電気タイプだもんな」
「? ピカは苦手なんかじゃないよ。だって、ぼくのパートナーだし、友達だもん」
いや、だから、最初に会ったとき……あぁ、あのときは私に敵意がなかったからか。納得した。
「そうかそうか……うん、ありがとう。よしよし行こうか」
「うん? うん、行こっか」
理解しているのかいないのか分からないけれど、ポチャは私の言葉にうなずいた。もう少し奥に行けば目的地だろうか。



~あとがき~
あ、これまだかかるわ。

次回、『リンゴのもり』の奥地到着! そこには一体何があるというんだ!?
いや、セカイイチの実る木ですよね。知ってます。

ちょっとだけでもダンジョンにいるときのピカとポチャを書いてみようかと好奇心で書きました。大体こんな感じです。ピカがポチャのことをいじりながら奥まで進みます。それか、普通に話ながら進みますん。
苦手タイプが来ればポチャはいちいちびっくりしてますし、そんなポチャを見てピカは頼りない奴めと思っています。ピカは地面タイプを目の前にしたら、ポチャにすっと差し出します。びくっともせず、おら、お前の仕事だ的なテンションで。たまに自分でもやっつけますよ。

ではでは!