satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第166話

~前回までのあらすじ~
ピカちゃん大ピンチ。一方、違和感の答えを見つけたらしいフォースでした!
ピカ「……マジでヤバイなぁ」
フォース「そうだな」
やめて! 主人公のあなたが倒れたら誰がこの小説を引っ張っていくの!?
ピカ「それさぁ、最終的に『次回、ピカ死す』! みたいなネタバレタイトルコールされる奴……?」
デュエルスタn…
フォース「やめろ。悪ノリをするんじゃない」
ピカ「始めまーす」


どう動くかはまだ曖昧にしか考えてないが、第一段階としてはどうするかは決まっていた。レンを見上げながら、ぷくっと頬を膨らませる。
「飛んでるの、ズルいんだよ。ズルいから地面に落としてあげるねっ!」
「落とす? なんかの技でも……でも、イーブイにそんな技ないよな?」
「この戦いではオリ技が使えるんだよ?」
にこりと笑うと、パチンと指を鳴らした。その瞬間、レンはいきなり圧迫感を感じた。何かに縛られているような感覚。そして、そのせいで翼は機能しなくなり地面へと垂直に落下する。
「いだっ!? え、なん……麻痺のわりには痺れを感じないし……? どうなって……」
レンは見える限りの範囲で体を見るものの、何も異常は見当たらない。が、確かに縛られている圧迫感はある。原因がまるで分からないらしい。
「おれの知り合いに似たようなことする子がいるんだよね。面白そうだから真似てみた。まあ、あの子のとは性質はまるで違うし、原理だって違うんだろうけど、効果は似たようなもの創れた」
「……は?」
「その子のは“ファントムチェーン”っつったかな。強度も申し分なくて、尚且、視界に写らないって言う鎖。おれのそれは視界に写らないけど、絶対に壊れないって言い切れない。むしろ、おれの使う中で一番弱いものだ。仕方ないよね。見せないことに力を使えば他が疎かになっちゃう……だけど、他に能力を付けたんだ。他のものにはない、特別な能力」
困惑しているレンに対して淡々と説明をしていく。律儀にする必要もないが、フォースはお構いなしに話を進める。
「一つ目はおれが発動するまで鎖としての役目を果たさないこと。さっき、おれ、おじさんに触ったでしょ? 実はあのときに技を仕掛けてたの。でも、縛られている感覚なんてなかったと思う。まあ、そういう時限装置のような……うん。遅効性の毒みたいなものだと思ってよ。そういう効果」
縛られて動けないレンは黙ってフォースの話に耳を傾けていた。自分の知らない技を使われ、この状況に陥っていることは理解していた。それが一体なんなのか、それが知りたいのである。
「二つ目。その鎖は人の目に見えない。でも、見せることも出来るんだけど、そのときにはもう別物ってことだ。つまり、別の効果を持つ鎖に変化する。全くの別物に変化するってことだ。だから、脆いそれをこうすることも出来る」
フォースが足元から何かを拾う仕草をし、もう一度パチンと指を鳴らした。すると、フォースの手の中に鎖が現れ、レンに巻き付いているものも可視化された。フォースの持っている鎖がレンを縛る鎖と繋がっていることも分かる。
「これ、おれの得意技“チェーン”って技。で、まあ、ただの鎖ではないんだよな。……燃え盛れ“フレイムチェーン”!」
「フレイムってことは……っ!!」
フォースの持つ鎖から導火線のように火がつき、レンを縛る鎖へと燃え移る。“れんごく”の中にいるかのような錯覚を起こすかのような熱さに驚きを隠せなかった。全身を包むほどの火柱が立っているわけでもない。強く燃え上がっているわけでもないのに、かなりの熱さに話すこともままならない。
「見た目以上に熱いんじゃないかな。いやはや、最初は苦労したよ? ひさっしぶりに技の特訓なんてしたし、全然扱えないし。あはは。もうね、落ち込んだわ~…………嘘だけど」
鎖自体が炎へと変化し、本来形なき炎が鎖としてレンの体に巻き付いていた。じわじわとレンの体力を確実に奪っていく。
「おれがペラペラと無駄なこと喋ってるのも理由があるわけよ。単純なんだけどさ、時間稼ぎしてるわけ。ホノオの技をお前にちゃんと当てるための」
「!?」
ホノオの技について心当たりでもあるのだろう。どうにか抜け出そうと無理矢理引っ張ってみるも、ある一定以上離れることが出来ない。フォースをそこから一歩も動かすことが出来ないのだ。
「無駄ついでにもう少し話そうか? “フレイムチェーン”は縛られている以上、相手の自由を奪うだけでなく炎によるダメージが入る。そこそこ頑丈でおれの力加減で炎はどうにでもなるってやつ」
見せた方が早いと思い、持っている一部分だけの炎を弱めてみた。ごうごうと燃えていた炎が落ち着いた暖炉のような静けさを見せる。
「まあ、こういう感じ。……さて、そろそろホノオの準備も終わるだろ。楽しかったよ、一応ね」
持っていた鎖をパッと手離すと、その場から離れた。ホノオの技に巻き込まれないようにするための処置である。何も話せないレンは、フォースのやることすることを黙って見ていることしか出来ない。フォースが何か気づいたのかくるりと振り返る。
「そうそう……一生そのままってことはないから。きっとホノオの技を受ければ壊れてくれるよ」
それだけを言うと、再びレンに背を見せてその場から歩き出した。ここまで時間稼ぎをすれば、問題ないと判断したのである。
「ありがとね、フォースくん。俺の仕事は確実に仕留めることだね~」
集中して、技の精度を高めることに専念していたホノオが両手で強く地面を叩く。それだけで会場全体が揺れ、地震でも起きたのかと錯覚してしまうほどの圧が放たれる。
「”インフェルノ“」
静かにその技名を言い放つ。その瞬間、レンの周りで火柱が立ち始める。一つ二つと囲うように現れては消えを繰り返している。
「地獄の業火、たんと味わってね?」
ホノオはそう言うと、拳を地面に叩きつけた。すると火柱が今までで一番高く、また激しく燃え上がった。これが戦いの場ではなく、パレードのような類いで見世物であれば、間違いなく歓声が上がっていただろう。それほど美しくもあるのだ。
その火柱の中心にはレンの姿がある。フォースの鎖は壊れてしまったが、もう縛る必要もないだろう。

「”インフェルノ“……とんだ大技仕組んでたな。”れんごく“の上位互換の技だったっけ」
被害が飛んでこないところで”インフェルノ“を見上げていたフォースは苦笑を浮かべていた。確実に倒せる技をと言ったものの、ここまでの大技を出すとは思っていなかったのだ。
「炎タイプですら火傷を負うって話だけど、実際はどうなんだろうなぁ……まあ、あり得る話か」
インフェルノ“を繰り出すにはそれなりの鍛練が必要で時間もかかるため、使用する人はあまりいないという。戦闘ではほとんどの場合、咄嗟の判断が必要で迅速な対応が求められる。そのため、溜めが必要な技なんかは必然的に使用者が減る傾向にある。
「とりあえず、これでフライゴンは戦闘不能になるだろ。断定出来ないが、問題はない……?」
ふとここでは感じることがないものを嗅ぎ取る。ものというよりは、気配、臭いと言った方が正しいかもしれない。むしろ今までどうして気づかなかったのか不思議でならないくらいはっきりと感じ取れた。
「……血の臭い? どこから」
臭いの元へ目線を向けると誰かが倒れているのが見えた。そして、その倒れている人物へ向かって攻撃をしようとしているのも見える。それを見たフォースは反射的に”チェーン“を出して、攻撃をしようとしている人物に向かって叫んだ。
「もう決着は着いた! 無駄なことするな!」
この言葉が届いたのか、ピタリと動きが止まる。動きは止まったが攻撃体勢なのは変わらない。ゆっくりこちらに方向転換すると、かなりのスピードで突進してきた。振り上げた腕を”チェーン“で防ぐ。
「あいつは戦闘不能になってるのに攻撃する必要なんてないんじゃないの。ねえ、ザングースさん」



~あとがき~
おかしいぞ……こんなはずじゃなかった……
ピカちゃんをボッコボコにするシーンは面倒なんでないです。多分。

次回、レンとピカが倒れ、勝敗はいかに……?

全体を通して、フォースが保護者ポジションにいますね。指示出したり、考えたりと忙しいね。
フォース繋がりで補足するけど、今回のルールではオリ技は一つだけ使えるって話でした。彼はあくまで“チェーン”を使っているので、“フレイムチェーン”とか透明の鎖は派生技って感じです。つまりノーカンです!!((←暴論

今回はオリ技がいっぱい出ました!
まずはフォースの”チェーン“より、応用ver.に当たるんでしょうかね。透明で見えない鎖と“フレイムチェーン”です。見えない鎖は名前はないんじゃないかと。その場で即席で創った奴なんで(笑)
“フレイムチェーン”は前に登場したマグマラシのアラシ君から伝授してもらったものをフォースが自分で使いやすくするために改造(?)してます。
次にホノオが使っていた“インフェルノ”です。作中でフォースがちらっと言っていますが、“れんごく”の応用技ですね。単純に攻撃範囲が広いのと大ダメージが与えられ、炎タイプだろうがなんだろうが火傷状態にさせちゃう技。代わりにそれなりの溜めはいるし、隙は出来るし避けようと思えば避けられちゃいます。まあ、中途半端に避けようとしても無理そうだけどな!

ではでは!