satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第167話

~前回までのあらすじ~
レンとピカ、両者ダウンしたところですね。
どっちが勝つんでしょーか!?
フォース「語彙力皆無かよ」
もうここまでくると何も言うことはないんじゃよ。わかる? この気持ち!
フォース「全然わからない」
くそうっ!! もう始めてやる!!
フォース「お、お好きにどうぞ……」
引くんじゃない。悲しくなるだろ……


フォースに防がれたと分かると、太陽はすぐに飛び退いて距離を取る。どう仕掛けようか様子を見ているのかもしれない。
「話通じてる? そっちの大将は討ち取ったからこのバトルもする必要ないんだけど」
「俺から楽しみを奪うってこと? そんなのやだな」
「嫌とかそういう話じゃないのでは……?」
ピカとの戦闘でそれなりに消耗はしているはずだが、まだまだ戦い足りないようで、気持ちが高ぶっているようだ。疲労よりも気持ちの方が先立っている。一方、太陽と先程まで戦闘していたピカは立ち上がることもなく、倒れたままだ。フォースもピカ達の方を見ていたわけではないため、どちらが先に倒れたのか判断出来ない。
「今度は君が楽しませてくれよ……♪」
「だから……無駄なことすんなっての!」
太陽の“ブレイククロー”とフォースの“チェーン”がぶつかり合う。当たり所が悪かったのか、力を抑えているのが悪かったのか、フォースの鎖の方が砕けてしまう。
「めんどくさい……“でんこうせっか”」
でんこうせっか”で太陽の攻撃をかわし、背後へと回り込む。そしてもう一度、“チェーン”を出現させて太陽の身柄を拘束する。今度は力を抑えることなく、いつも通りのものを創り出した。
太陽は力任せに解こうとしているが、流石にびくともしない。フォースが自分側へ引っ張ると呆気なく倒れてしまう。
「……ったく。もう終わりなんだって」
「終わりなんてつまんないー! やり足りないんだけどぉぉ!!」
バタバタと駄々っ子のように足をばたつかせ、暴れるがフォースにはなんの意味もない。そもそも敵側の要求を飲む必要もなければ、終わりなのも事実である。
『どうやら決着が着いたみたいです!』
「やっと終わりか」
呆れつつホノオの方を見ると、たった今火柱が落ち着いたようで、倒れているレンのところに歩き出しているところだった。フォースも縛り上げた太陽を引きずりながらピカの元へと向かう。
「生きてる?」
なんて話しかけてみたが、見るからに無事ではないのは分かった。太陽の攻撃で軽い切り傷も出来てしまったようで、出血もしている。回復道具がなければ、目覚めないだろう。そして今、道具は何も持ち合わせていないためしばらくこのままだ。
「過激だな、お前」
「んうぅぅ!! もっと暴れたぃぃ!!」
「アホかこいつ」
ここには変な奴しかいないのかとでも言うように冷めた目を向けた。同時にこんなことに付き合っている自分も自分だと呆れてきた。
「だってぇ……ワンチャンいけるかなぁって」
「はぁ?」
「俺の方が早かったからさぁ……ピカちゃん倒すの。だからワンチャン、君ともいけるかなって?」
「……ふぅん」
太陽がそう言うのならそうなのかもしれない。レンより先にピカが倒れたのだろう。まあ、ある意味今更だが。
『なんだか色々ありましたが……結果だけを端的に申し上げますっ! 優勝したチームは……』
発表前のよく聞くドラムロールが流れ、ジャンッと一際大きな音が鳴った。そして司会を勤めるリムの声が響いた。
『ピカさん率いるチームです! おめでとうございますっ!』
リムの明るい声と会場の歓声。そして、戸惑いの声が混ざり合う。歓声は決着がついたことによるもので、戸惑いは理解出来ていない人がいるのだろう。主にフィールドで戦っていた張本人達である。
「……ほへぇ?」
レンをずるずると引っ張ってこちらに寄ってきたホノオが首を傾げながら不思議そうに呟いた。彼もまた、理解していない人物の一人だ。
「聞いた通りだ。おれたちの勝ちってこと」
「ピカちゃんがやられたのが先だったよね? 太陽くんがそう言ってるんでしょ?」
「そうだな。実際は見てないから知らないが。でも、見ていなくてもおれ達の勝ちは分かってたよ。あいつはチームの大将ではないからな」
「……そうなの?」
「そうなの。そう審判が言ってるんだから。大体、ピカの行動でも察することは出来たんだ。あいつの思考回路からして、自分が重要人物ならば守りに入る。そういう性格だからな」
遊び感覚で勝ちに拘っていなければ、当てはまらないのかもしれない。しかし、今回はピカは本気で勝利することを目指していた。必ず勝てる道筋を通るはずだ。いくつもの策を講ずる彼女なら、そうすることは分かりきったものである。
「自分が倒れたら即終了なのに、単騎で危ない人のところに突っ込むか? 実力も分かっている相手だぞ。無理があるだろ。それに気付いたから、ザングースはこっちに突っ込んできたんだろ?」
「まあねぇ……ピカちゃんが倒れても終わりそうにないからさ~……やられたなーって思って。まあ、君に声かけられて冷静になって考えた結果なんだけどね?」
フォースが声をかけてなかったら、まだ攻撃するつもりでいたのだろうか。何かのトリックでも使って、倒れたフリでもしているとでも考えていたのだろうか。そこら辺の真意を確かめてもよかったのだが、ろくな返答が返ってこなさそうなので何も言わなかった。
「つまり、自分がやられても試合が終わらないと知っていた。だからザングースとも本気になってぶつかったし……囮になったってことだ。ピカは司令塔ではあったが、大将ではない……大将はおれかホノオのどちらかだな」
「二人ともどっちが大将か知らなかったの?」
太陽の質問に二人は同時に頷いた。知っていたらもっと慎重に動いている。
フォースの違和感の正体はここであった。彼女の性格とは違う行動を取っていたこと。大将というポジションにいながらも、自ら危険な立ち回りを請け負っていた。また、ピンチに陥っていたにも関わらず助けを求めることなく、一人で戦っていたこと。これらのことに関して不思議に思っていたのだ。代わることだって出来たし、回復したいのならそれなりの時間を稼ぐことだって出来た。しかし、そうしなかった。否、する必要がなかったのではないかと考えたときに、最初の前提が間違っていると思ったのだ。大将がピカであるという前提。ここが間違いであった可能性だ。そう考えれば、彼女の行動は変ではない。
つまり、ピカは仲間をも騙している可能性に気付いたのである。
「自分が重要人物でなければ、大胆に前に出られる。元々自己犠牲精神高めな奴だし、囮なることだって疑問にも思わない。それに相手はピカが大将だと思っていただろうから適任ではあるし」
「え~……? つまり、俺達は策にはまってたってことぉ?」
「あ、レン。起きたの?」
大の字になっていたレンが目を覚ましたらしい。あんな技を受けたのに話せるくらいには回復したようだ。
「ま。アナウンスも火柱が収まってから流れたし、それも大将がピカではなかったってことの証拠の一つでもあるだろう。きっとピカだったならザングースにやられてすぐに流れていたはずだよ」
「にゃるほどねぇ……敵を騙すなら味方からってね。ピカらしい~」
この場にいるピカ以外のメンバー全員、彼女の筋書き通りの物語を演じたということになる。フォースとホノオはピカが大将だと思っていたし、そう思って行動をしていた。また、敵である三人もそう考えていただろう。
「……賭けが大きすぎる。気付かなかったらどうするつもりだったんだ」
彼女の策は、味方の誰かが気付かない限り利用することは出来ない。今回はフォースが気付いたから、レンを倒すことに本腰入れたわけである。仮に気付かなかったら“チェーン”を使った強行突破なんてしなかった。
「逆に言えば……それくらいしなきゃ勝てないって思ってたのかも」
そこら辺はピカが起きてたから聞いてみてもいいかもしれないとなんとなく思った。



~あとがき~
ごっちゃごちゃやな……
分かりにくくてごめんなさいね。まあ、でも、終わりですよ……

次回、バトルロイヤル締め括りまっす。
ぶっ倒れたままのピカちゃんも起こします。多分。

何が言いたいかってピカちゃんはフォースもホノオも騙してましたってことね。何も聞かされてないんで、二人ともピカが大将だって思ってました。敵側もそうですね。ピカでしょ、やっぱ。みたいな先入観に囚われてたってことです。
最初のルール説明、わざと大まかにしか説明しなかったので色々裏は突けるんですよね。なのでピカは運営側に確認取って今回の策を実行しています。……屁理屈と言われればそれまでですね!((殴

何か聞きたいことあれば次回以降お答えしますよ! バトルの作戦とかもピカが本編で話してくれると思いますよ。あればだけど!

ではでは!