satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第168話

~前回までのあらすじ~
雑だったけど終わりましたね。雑だったけど。
フォース「なんか最後までラルにしてやられたって感じだったな……結局、自分自身の力だけってことだろ」
ピカ「え? いや、そんなことはないけど。フォース君も言ってたじゃん。誰かが気付かなかったら意味がないって」
フォース「……そこは自覚してたんだ?」
ピカ「まあね。あ、でも……それが一番いいシナリオって位にしか考えてなかった」
フォース「そういうところだぞ。お前」
ピカ「え……ん? 何が?」
お二人さん? そういう話は本編でしなさい?
では、始めるぜ!


係の人が持ってきた回復道具でようやく目を覚ましたピカはフラフラになりながらも表彰台へと上がらされた。こんなものいつ用意したんだと心の中で突っ込みを入れつつ、また、リムの話を聞き流しながらぼんやりと終わるのを待った。表彰台に上がる前、フォースに軽く睨まれつつあることを耳打ちをされた。
「色々聞きたい。覚悟しとけ」
この言葉で自分の立てた計画をそれなりに理解してくれていたのだと察した。実際、フォースなら分かってくれるかなと期待はしていたのは事実である。ホノオは考えて動くタイプではないため、気付く可能性は低いだろうと踏んでいたのだ。
「……これ、勝ったらいいことってあるんです?」
目の前でにこにこと笑顔を絶やすことのない、我らの親方、プクリンに話しかけた。彼の治める領地で行われた祭りであるため、このイベントのトップも彼なのだろう。そもそも、なぜこのようなイベントを組んだのかも謎ではあるが。
「うんっ♪ 楽しかったでしょ?」
「思い出が『イイモノ』だよっ♪ ってオチかよ。いや、いいんだけど……もうどうでもいいんだけどさ」
「あはは♪ 大丈夫! ピカの喜ぶようなもの、ちゃあんと用意するから♪ だって、頑張ってたもんね! 偉いねぇ」
純粋にプクリンが褒めてくれたことに驚いた。ギルドで修行していたときはそれなりに褒めてもらっていたが、のれん分けをしてギルドを離れてからそういった機会も減っていた。当然、ピカの評価が上がったことも原因の一つである。久し振りに親方に褒めてもらったことが驚きつつも嬉しくもある。
「よく頑張ったね。お疲れ様、ピカ」
「……はい。プクリン親方の弟子ですからこれくらいします。親方の期待に応えるために」
「頼もしい~♪」
話もこれくらいに切り上げなければだらだらと続いてしまう。聞きたいことは聞いたつもりなので、ピカは軽くお辞儀をする。
「優勝おめでとう~♪」
「ありがとうございます」
差し出された小さなトロフィーとメダルを受け取り、仲間達の方へ振り返る。
「そういうの用意してあるんだね~?」
「無駄に力入れるんだな」
二人の反応はそれぞれだったが、どこか達成感はあるようだった。ホノオは目的を達成したようなものであるため、そちらのおかげかもしれない。そして、ピカの目標も達成された。このバトルロイヤルで優勝するという最大目標を。

「はあぁぁ……生きた心地がしなかったよぉ」
会場裏に移動したピカは用意されていた控え室に入るなりベンチに身を預ける。このまま目を閉じてしまえば意識を手放してしまうだろう。道具を使って体力は回復したとはいえ、精神的ダメージ、疲労は時間が必要だ。またしばらく起きることはないかもしれない。
「お疲れ様、ピカちゃん~♪」
「ホノオさん、お付き合いくださりありがとうございました……助かりましたよ」
行儀悪いと思いつつも、顔を上げることも億劫であったために突っ伏したまま返事をした。
「いえいえ♪ 俺も楽しかったよ。あいつのことボッコボコに出来たからね。満足」
「ブイさんのこと、あんなんにしちゃっていいんですか?」
「うん。連絡もなく放浪してたのが悪い」
ホノオはおおらかでポチャのように懐が深いところがある。あるのだが、パートナーには当てはまらないようでなかなか厳しいのである。そこは仕事と割り切っているのか、そちらが本性なのか、ピカには分からなかった。まあ、分かる必要もないかと思っている部分はあるのだが。
「おい。色々弁明したいことはあるか?」
「やぁだぁ……怒ってるのぉ?」
「それなりに。お前の言う通りに動くとは言ったけど、あそこまでするのは聞いてない」
「まあ、言ってないからね」
フォースの苛立ちも当然である。本人の知らないところで自分を大いに関わらせるような作戦を考えていたのだから。勝手に巻き込むなよってところだろうか。
重い体をゆっくりと持ち上げて、フォースと向き合う。ベンチに座っているため、フォースを見下ろす形になってしまっていた。
「色々聞いてあげるよ。ご質問はなんでしょう」
「とりあえず、お前のシナリオを教えろ」
「そうだね。……如何にレンさんを倒せるかどうかに焦点を当てた結果なんだけど。ホノオさんとフォース君で何とかしてもらうのが大前提なの。レンさんを倒すことの大きな障害は太陽さんとレンさんだ」
太陽の強さはホノオとピカは知っていた。相手のペースに乗せると恐ろしいくらい強さを発揮する。仮に二人がかりで大陽に向かっていたとしたら、先程以上に調子を上げていたことが予測出来た。それ故、太陽と戦うのは一人の方がよいと考えていた。
次にレンは強さで言えばなんとかなるレベルではあったが、何よりも空を飛べることが大きい。空中へと逃げてしまえば彼の独壇場だ。こちらからは手が出せず、相手の攻撃を避けるだけになってしまう。そうならないためには飛んだ相手に対抗出来るような手を持つ人が相手するしかない。
「レンさんに対抗出来るのはフォース君だけ。太陽さんは強い相手程、テンションを上げていく。だから、ホノオさんを太陽さんの相手に当てるわけにはいかなかった。太陽さんの相手は私しかいないわけ。でも、大将が私だったらその作戦は実行出来ないと思ってね。……リムに確認したの」
リムに確認した事は二つだ。一つはフォースの技について。もう一つが大将についてだ。
「フォース君の“チェーン”については感謝してよね。色々聞いたんだから。“チェーン”と“フレイムチェーン”は別物ですって言われないように誘導したんだからな!」
「頼んでねぇわ。どこにお得意の話術使ってるんだ。もっと使い道あるだろ」
「いやいや。こういうときに使うべきだから」
「まあまあ……それで、大将の件はどうして聞こうと思ったの? そもそも変更可能だったの?」
「リムの説明を聞いたときです。ルール説明の時に私達の名前を言わなかったでしょう? 大将のピカさんとレンさんを倒せば終わりですよって説明した方が見ている人には伝わりやすいと思いません?」
「言ってなかったね……確かにそう言った方が分かりやすいよね?」
「ですよね。それを聞いたとき、もしかしたら自由に選択出来るのではと思ったんです。……ま、案の定、私以外でもいいって返答が返ってきたんで」
「適当かよ」
「適当、というよりはわざとな気もする。あくまで私の予想だけれど、四天王の見守る中、補佐達が戦うなんて今までに一度もない。何て言うのかな……抜き打ちテスト、みたいな。そういうものだったのかも」
不自然なくらいに曖昧なルール説明で不信に思ったのだ。まるでルールの穴を見つけて相手を出し抜けと言わんばかりに。恐らくだが、これも補佐のリーダーとしての能力を測られたのかもしれない。未来的に四天王として束ねる可能性のある者達である。それ故、この機会に技量を見てみようと思ったのかもしれない。
「これ考えたの誰なんだろう……まあ、誰だろうと遠回しで嫌らしいけどね」
こんなことはこれっきりにして欲しいという思いが強い。お祭りのイベントでほぼ全員が深く考えていなかっただろうが、本気になったらこうはいかないだろう。お遊びの内だからこそ許される範囲だ。ピカは太陽のバトルに関してはお遊びの範囲を越えていたが。



~あとがき~
これで問題解決すればいいなって。

次回、とりあえずまとめは続きますよ。

親方がピカのために用意するご褒美ってなんだろうね。うーん……? ピカは何を貰ったら嬉しいんだろう。なんて、想像して待っていてくれると嬉しいです。本編でいつか出てくると思います!

バトル終盤、全然喋っていなかったピカちゃんが今回喋ってます。なんだか久し振りですね(笑)

ではでは!