satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第177話

~前回までのあらすじ~
敵と遭遇! なんかいっぱいいる! 意味わからん! こんな感じですかね。
ポチャ「それでちゃんと伝わるのかな……?」
視点がぐるぐるしそうです。一話一話、あるいはきりのいいところまでは、なるべくその人視点にしますけど……今回はイブ達の視点です。次回は……分からない。
イブ「適当すぎる!」
フォース「またバトル」
チコ「苦手なのによくやりますよね」
そ、その言葉にはグサッと来るわぁ~……


最初は何が起こったのかは分からなかった。わからなかったが、「囲まれている」だの「攻撃してくる」だの叫びながら、色んな人たちが流れ込んできた。どこからというよりは、四方八方からと言った方が正しいかもしれない。
「な、何!? どうしたらいいのー!」
「チコちゃんっ!」
はぐれそうになるチコをウィルが引き寄せ、イブをフォースが引き寄せる。年長者二人による会議じみたものがイブとチコの頭上で行われ始める。
「えーどゆこと。俺、パニック~」
「何も感じなかったし、今も感じない。……敵が攻めてきてるのか?」
「かーくんに感じ取れないってもう化け物でしょ。幽霊ですら感知するかーくんをどう掻い潜るのぉ」
押し寄せる人々の荒波を少しも意に介することなく、話を進めていく。逃げ惑う人々からすれば、彼らは邪魔以外の何者でもないが、それに構えるほどの余裕は周りにはないらしい。
「人が多いせいかもしれないんだが……兄貴、飛べるか?」
「ほいほいっと。でも、どうする?」
「三人運べるならなんでも」
「はーい。任せて♪」
チコをフォースに預けると、眩い光に包まれる。イブとチコはその光に思わず目を閉じた。そして、再び目を開けたときにはイーブイのウィルはどこにもいなかった。自分達の何倍もあるカイリューへと姿を変えている。
「るーくん……え、るーくん?」
「るーくんだよ。俺も神様だから姿は自在だよ!」
「神様の特権ってやつ……というよりは、制御者としての能力だよ。まあ、だからってカイリューを制御したことはないだろ」
「ないね。でも、俺は生命の神。一般的な模写なら任せんしゃ~い♪」
なんでもありなのだと関心に近い何かを感じつつ、イブは考えることを止める。このことについて考えていても、明確な答えはみつからないと踏んだためである。
フォースの手で手早くウィルの背中に乗せられると、空高く舞い上がった。それでも、ある程度祭りを行っていた会場全体を裸眼で見られるくらいである。フォースがイブの横で目隠し用のリボンを外し、左耳にぐるぐると巻き付ける。イブは空をぐるっと見回していたが、やがて真下を覗きこんだ。それにつられるように、チコ、フォースも下を覗く。そこで見たものは、四人を驚かせるものであった。
会場をぐるりと何百何千という人が囲んでいた。所々で警備隊が応戦しているのか、爆発や技が火花のように激しく散る。
「ふぁ……!? すーくん、どういうこと!」
「え、これ……夢?」
「マジか……これを気づけないってあるのか? おれが鈍ったわけでもない……よな」
「そういう効果でもあったとしか思えないね。流石に、周りに人がいなかったって理由で出来なかったとは言えないレベル」
四人とも反応は違えど、今の状況を理解出来ていないのは共通していた。フォースは頭の中でそんな技や能力を探してみるも、何も思い当たることはなかった。フォースのマスター、ファウスならば、さっと答えられるのだろうと心の片隅で思う。
「おれは何を使ったのか分からない。……それほどに古いものなのか、新しいものなのか……恐らく、前者なんだろうけど」
「俺は専門外だかんねぇ~」
「すーくん達に分からないなら、私達に分かるわけないよ。“テレポート”やワープ玉とかで飛んできたのかな? それなら、急に出てくることも出来るよね?」
「それにしたって、多すぎるんじゃないかな。でも……数が減ったようにも見えないよ? ワタシの気のせいならいいけどさ……」
チコに言われ、注視するとその通りだった。これ以上増えることはないが、一向に減る様子もない。技を当てられ、倒れる様子もないのだ。
「無敵かな? そんなコマンドでも存在するのかな。無敵コマンドー! みたいな?」
「あり得ねぇわ。……何かあるはずだ。技や能力なら使い手がいる。その使い手を叩けば、この無敵状態もどうにかなるかも」
「フォース、捜せるの? 誰かも分からないし、こんなに広い中から特定なんて」
チコの心配も尤もである。普通なら不可能に近い。しかし、それをしなければ事態は好転しないし、むしろ悪化していくだけだ。
「するしかないだろ。……ウィルにぃ」
「神様は余計な手立てはしちゃいけない決まりだ。下界の人達が何して運命を決めようが傍観するのが暗黙のルール」
「るーくん、手伝えないってこと……?」
イブの不安そうな顔を横目に見ると、ウィルはにこっと安心させるように優しく笑った。
「そーんなルールなんだけどね。……でも、俺の弟かーくんの頼みだし! すっちーやりっちーもいる。ちゃあんと守るさ」
「ありがとう。……よし、やる」
「どうやって?」
不思議そうに首を傾げるチコ。そんなチコに向かって、フォースはただ黙って薄く笑うだけだった。イブも長年、フォースと一緒にいるが、何をしようとしているのか見当もつかない。唯一、ウィルだけが何をするのか分かっているようで、平然としていた。
「……捜す。そうしなきゃ、始まらねぇだろ?」



~あとがき~
イブ達でした。

次回、ポチャやイブ達以外の方に視点を置きます。なので、あれかも。ころころ場面変わるかも……視点を変えないようにしようと決めたのにこの低堕落だよ!!

ウィルは色んなポケモンに変身することが出来ます。メタモンみたいですね。理由としては二つあります。一つ目は制御者としての経験がある。二つ目は生命の神として、様々なポケモンを見てきた知識と観察があります。それを再現するのは造作もないことなんでしょうね。

フォースはどうやって敵を捜し出すのか……
まあ、分かる人には分かるよ。多分。

ではでは!