satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第184話

~前回までのあらすじ~
ポチャが離脱して、フォースがピカ(偽者)と戦うことに。そして、偽者の正体はスラでした! 懐かしいね。覚えている人いないのでは……?
フォース「どんだけ出てないんだ?」
わからん。……春祭り前……なんだけどね?
フォース「こっち側としては、三、四ヶ月前くらいの感覚なんだが」
じゃあ、こっちは年単位ですね……
フォース「……」
では、始めますかね!
あ、ここら辺から描写注意かもです……別に血がぶっしゃー的なのはないけれど。(これは)
フォース「……これは、ねぇ?」


うようよと沸いて出てくる敵を片っ端から切り刻んでいた。プクリンからの武器使用が認められたために、容赦なく殺っているのだ。太陽は無心で殺っているのだが、時間が経つと復活してしまう。
ぐぬぬ。原理が分からない!……あ~さ~ぎぃ……たしゅけてぇ~」
「分かってるわよ。けど、私もさっぱりなの。百の内、二、三体は起き上がらないのだけれど」
「その起きないやつの共通点は?」
暴れまくる太陽の肩から落ちないように浅葱はバランスを取りつつ、全体を観察し続けていた。時折、太陽から離れて敵を倒しに行くのだが、基本的な定位置は太陽の傍であった。そこが安全地帯だし、敵の観察もしやすいのである。
「ないわ。強いて言うなら、貴方が殺しまくった中から出ているってところだけれど、確率的にそれは当然だから、共通点ではない」
「んう~……ま、いいけどね? 俺は殺りまくって満足出来るし、敵もおこぼれで倒せるし? 一石二鳥! でも、俺の体力も無限じゃない」
「底無しの体力馬鹿が何を言うのかしら。現に暴れまくって、私と話しているのに、息一つ乱れない」
呆れつつも、関心はしていた。ここまで何一つ苦だと思っていないその能天気な太陽に、である。しかし、今も昔もそれは変わらない。今更な話であった。
「まあ、いいわ。貴方が壊れるまで殺り続けなさい」
「OK♪ そうなる前に解決策の見出だして」
「ええ。私の愛しくも狂おしいナイト様のためだもの。いつも通りにいくわ」
「ふふーん♪ いいねぇ~♪ 楽しいねっ!」
太陽の闘志に火を着けたようだ。浅葱は横目でそれを確認すると、じっと前を見つめる。
見て分かることと言えば、種族を特定出来るような容姿をしていない。動く度、復活をする度に姿形を変えていく。一言で言うなれば、目の前にいるそれらは化け物なのだ。だから、攻撃は意味をなさないし、倒せない。が、その中でも倒れて動かなくなったものは数える程しかいないとはいえ、存在していた。それはなぜなのか。
「……敵にも弱点があるのかも」
「じゃくてーん? どこに?」
「さあ? 調べてみる?」
「……あーいよっ! まずはどこから? 定番中の定番! 頭潰してみる?」
「それを言うなら、体と首を切り離す方が楽」
「そお? んじゃ、そーしてみますかねぇっと!」
刃物と見間違えるほどの輝きを放つ爪を使って、目の前の敵を浅葱の言う通りに切り離す。それは呆気なく、二つに分かれて地面に転がった。続けて、近くにいた敵も同じようにする。
それを何十体も続けた後、一度、その場から飛び退く。戦況を確認するためである。確認するまでもなく、大して変化は見られないのは、太陽の目からもはっきりと分かっていた。
「……変わらなさそうだね?」
「でも、一、二体、動かなくなった。……つまり」
「弱点は個々に存在するってことだ。マージか。果てないよ。負け戦だよ。浅葱、あちらに行かないように食い止めは出来る。でも、倒すのは二人じゃ圧倒的に足りない」
弱音を吐きつつも、近付いてきた敵をきちんと処理をしていく。攻撃はしてくるが、避けられないスピードではない。むしろ、トロいくらいである。が、数が数なだけに、攻撃が遅くとも消耗戦に持っていかれているのは目に見えていた。
「太陽の言う通りよ。弱点が固定なら、二人でなんとかなるけれど……今は、倒すよりも食い止めることに専念しましょう。いい?」
「浅葱がそういうなら、俺はいいよ。どこまでもついていくだけだからね」
太陽から降り、装備していた武器を構える。鞭のようにしなるその剣を振るうと、広範囲の敵を斬りつけた。
横で見ていた太陽は楽しそうに笑いつつも、そこまでするんだと驚きも混じった複雑な表情をしていた。
「えー? 浅葱、それ使うの? 俺のこともちゃっかり斬り倒さなぁい?」
「太陽と組むからこそ、これが使えるんでしょ。貴方以外の人には見せないわ」
「ウィップねぇ~……? それ、怖いんだよね。レイピアにしよ?」
「い・や・よ♪ これ、楽なんだもの」
楽と口では言うか、その武器を扱うにはかなりの時間と鍛練が必要である。刃の部分がかなり長く、敵を斬るにはそれなりのコントロールがいるのだ。
「ま。君の判断だ。俺はそれに従うけどぉ」
「そうそう。太陽は私に黙って従いなさい」
「ほーい」
「長丁場になりそうね」
「そんなの初めからだ」
「……敵の目的はなんなのかしら」
目の前の敵の攻略方法ばかり考えていたが、これを行った相手の考察はしていなかった。その場から動くことはせず、ウィップを振るい続ける。
疑似エネミーだけを産み出し続けるその先に、何があると言うのだろうか。敵に『ヴァンガル』にとっての得が存在するのだろうか。
浅葱は『ヴァンガル』にこのような技を使える者がいるのは知らなかった。情報は目まぐるしく変化するものだ。常にアンテナを張らなければ、持っている情報はただの古い知識、歴史のようなものになっていく。新しい情報を仕入れる身としては、古いものは意味のないものになる。浅葱はその重要性を知っていた。だからこそ、彼女は常にアンテナを張っていたし、自分の仕事相手のことはこれでもかと下調べする。『ヴァンガル』についても同様であった。いつか相手にするかもしれない組織のことは頭に入れていたし、把握をしていた。敵の数、ボスの特徴、全体の強さ諸々。
「私の情報が間違っていたことは一度もない。……つまり、これは……『ヴァンガル』ではない誰かの仕業?」
そう辿り着いたとしても、振り出しに戻るだけだ。なぜ、このようなことをするのか。
「はぁ……見えてこないわね。太陽!」
太陽の死角となる場所から、攻撃が来ていることを警告する。名前だけでどこから来ているのか判断した彼は、簡単に対応してしまう。
「情報を整理する時間も余裕もない。……後手に回るって損しかないわ」
「浅葱!」
「了解……っ!」
今度は太陽からの警告。素直に聞き入れ、自分の背後にウィップで攻撃をする。何体も巻き込んで倒していった。
「戦って、戦って、戦いまくって……頭を空っぽにするべきかしらね」
「浅葱も堕ちる? その快楽に」
「馬鹿にしないで。貴方と同じところには行かないって決めているの。今のは冗談よ」
「楽しいのにぃ?」
「はいはい。……太陽」
「ん?」
「いけるかしら」
「……もちろん。俺と浅葱は最強だからね♪」
根拠も何もないその言葉だけで、なんとかなるようなそんな気がしてくる。真っ直ぐに、浅葱を信頼し、ぶつかってくる太陽を鬱陶しく思うことがほとんどである。しかし、こういった絶望的な状況では、誰よりも頼もしく、信頼に値するパートナーであった。
「その言葉、嘘にしたら殺すわよ」
「うんっ♪ 任せて!」



~あとがき~
浅葱と太陽でした。口では色々言う浅葱ですが、誰よりも太陽のことを信頼してるのです。

次回、ヴァルツともえぎ行くかね。
アクアやレンのところは多分、何もないんで(笑)

太陽は武器を持ちません。己の身が武器そのものなので。対して浅葱はウィップという武器を使います。鞭のような剣なのですが。鞭ではないです。
ウルミというのが現実にあるのですが、それにちかいですね。それよりももっと柔らかいイメージではあるのですが。イメージを掴みたい方は検索することをお勧めします!
ちなみに、レイピアも使えます。これはまあ、ウィップが使えないときのサブですね。

敵について少しずつ、確信に近づく面々。
しかし、一体どうなることやら(無計画)

本編はこんなに殺伐としてますが、私はしれっと誕生日を迎えました。これからも頑張るよぉ~!

ではでは!