satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第192話

~前回までのあらすじ~
フォース達がきりのいいところまで終わりました。長かった……フォースは一旦、退場です。お疲れ様です……! 何気に戦いっぱなしでしたね、彼。
そして、今回はもえぎとヴァルツですな。
ヴァルツ「時間経過分かりにくい」
せやな……まあ、警備始めて、二時間は経ってるんじゃない?? 今回からは敵が現れ、戦い始めて一時間くらい経ってる予定。トータルで三時間は経ってるね!
ヴァルツ「わーお」
もえぎ「結構……経ってる…」
うすうっす。
では、始めます!


もえぎから離れたところにいるヴァルツに指示された弱点を狙う。単純作業ではあるが、これはこれで集中力を使うのだ。狙う核の大きさがバラバラであるために、確実に狙わなければならない。その指示もヴァルツが出しているが、それを狙えるかはもえぎの技量次第なのだ。
「はうぅっ!」
「次。右肩付近。……あー、直径五センチ?」
「ちゃんと正確にくださぁいっ!」
大鎌を振るいつつ、そうリクエストした。したものの、これが通るとは思っていない。そもそも鎌が大きいので、直径五センチとか言われてもそこだけを狙えるわけではない。よって、攻撃としては、右肩から斜めに切り裂くのである。大きな動作を有するからか、ヴァルツも大体の情報しか言っていないのだ。大まかな位置と大きさを言って、駄目なら再チャレンジすればいいという考えである。
「……正確に言ったところでだろ」
「ま、まあ……そうなんですけど……っ!」
それでも着実に敵は減ってきているため、この作戦は悪くないのだと感じる。一人なのが効率が悪いものの、それは嘆いたところで人材が増えるわけでもない。
「ヴァルさん」
「なんだ?」
ヴァルツの方を向かず、敵に体を向けた状態で話しかけた。この間にも彼の指示は飛び、もえぎはそれに従う。
「あと、どれくらい……ですか?」
「ん……まあ、聞かない方が楽しいぞ」
「まだまだ……なんですね。あの、大丈夫ですか」
「大丈夫じゃないが、やるしかないだろ」
ヴァルツは長時間、戦うことが出来ない。普段は戦わずに傍観しているか、戦うことがあっても短期戦に持ち込むようにしていた。しかし、今回に限っては、参加しないわけにもいかないし、短期戦に持ち込めるはずもなかった。どれだけ早く敵を倒して終わらせることが出来るかが重要である。下手に時間をかけると、ヴァルツの手を借りれなくなり、敵の弱点も分からなくなってしまう。
もえぎがマリーを扱えればいいのだが、マリーと波長が合わないのか、能力を上手く引き出すことが出来ない。正確な情報を探るには、ヴァルツに使ってもらう他ないのである。
「トリスさんは気配とか……そういうので分からないですか……?」
『無理。いくら僕が天才だからってそこまでの能力はないよ~♪ というか、僕がそんなこと出来たら、マリーの存在意義がなくなるでしょ?』
『愛し子よ。あの無礼な兄様、灼熱の炎の中へと放り込んでくださいませ。そして二度とこの世に生まれないよう封印すべきですっ!』
『はっはっはー! そんなことでやられる僕じゃないもんねー!』
「黙れお前ら。気が散る」
『申し訳ありません、愛し子』
『うげー……怒られたんだけど~』
そんなやり取りを黙って聞いていたもえぎは、また自分のせいで余計な揉め事を起こしてしまったと、しゅんとする。しゅんとするが、手はしっかり動かしていた。止めるわけにはいかないのは、痛いほど理解していたからだ。
ここからはヴァルツの指示に黙って従い、淡々と敵を倒していくことにした。余計なことを言えば、また面倒なことになるだろうと思ったからである。

敵の数も目視で数えられるくらいになった頃。遂にヴァルツの指示が飛んでこなくなってしまった。もえぎはもえぎで、何百という敵を一人で相手にしたせいで、動きも鈍く、呼吸が乱れている。健康でそこそこ丈夫なもえぎですら、この状態なのだ。体が弱いヴァルツはここまでやって来たこと事態、健闘したと言える。
「はぁ……っ! ヴァル、さんっ!」
後ろを振り向くと、何とか気力だけで意識を保っている状態らしく、限界なのは誰が見ても分かる。それでも、マリーを手放すことはなく、マリーの能力を使い続けているのは明白だ。
「けほっ……いいから、目の前を、見てろ……来るぞ! 右斜め! 頭部……三センチ!」
「は、はいっ! トリスさんっ!」
『はいはーい♪ 任せてよ』
言われた通りの箇所に鎌を振り下ろす。真っ二つに斬り捨て、ついでに近づいていた敵を流れで攻撃する。弱点は流石に捉えられずに、怯ませる程度に留まった。怯んでいる間に距離を取り、攻撃体勢を崩さないように踏ん張る。
『ヴァルツ、もう少し頑張りな。あと少しだよん』
「っ……うるさい。知っている。……マリー、残りは、何体だ」
『残り十体です』
「やっと、先が見えてきたな」
「ですね……なんとか、なりそうです」
ヴァルツとマリーの会話でほっと息をつく。これを倒せば、少しは周りの助けになるだろう。弱点を教える方法でもあればいいのだが、いちいち、ヴァルツを駆り出す訳にもいかない。
『もえぎ! 来るよ!?』
「えっ……!? あうっ!」
「ふぃー!」
今までの動きとは明らかに違う。ノロノロとした動きではなく、もっと俊敏なものに変化していた。格段に動きがよくなった敵達は、一気にもえぎに襲いかかった。そして、運の悪いことに敵全てがもえぎに向かった訳ではない。何体かは離れているヴァルツを標的にしたらしい。
攻撃され、地面を転がされるものの、受け身を取り、ダメージを最小限に抑えた。もえぎは自分のことよりもヴァルツの方へと目を向ける。
「ヴァルさんっ!!」
完全に膝をつき、肩で息をしているヴァルツの様子を見ている限り、とても戦える状態ではない。が、もえぎの声に敵が来ていることを確認したのだろう。顔を上げ、マリーを握る手に力を込める。
『お止めなさい! その状態では……っ!』
「同じだよ。結局、死にかけるのは変わらないんだ。……なあ、マリー?」
『……分かりました』
マリーの承諾を得ると、ヴァルツはふらつきつつも立ち上がる。マリーを構え、向かってくる二、三体と対峙する。
『もえぎ。よそ見してられないよ』
「は、はい……でも、ヴァルさんが」
『大丈夫。ヴァルツはやられない。さあ、目の間の過半数を足止めしよっ♪』
もえぎよりも長くヴァルツを見てきたトリスが言う。今言ったことは全て真実なのだろう。嘘をつく理由がないからだ。
そうなれば、やることは一つだ。もえぎは再び鎌を構えると、近づいてきた敵に向かって振り下ろした。



~あとがき~
内容的にやっと半分以上終わった感じかな……?
いや、分からんけども。

次回、まだまだ続くよ。もえぎとヴァルツ!

ヴァルツとマリー、もえぎとトリスの四人組、なかなか騒がしいですね。基本的に、マリーとトリスが悪いんだけど(笑)

ではでは!