satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

Fantasy world

この物語はファンタジーポケモンを掛け合わせたものだよ! 魔法出てくるよ!
最近使ってないよ! これ、書くのもサボってたよ!! 始めるんだよっ!!
イオ「……なんなの?」


~第15話 気紛れ主とご対面~

シェルのところに挨拶は終わったが、思ったよりも時間を使ってしまった気がする。こんな風にだらたわらしてしまっていては、全員紹介など今日中に終わらないのではないかと不安になってくる。
まあ、なるようになるだろう。
「……つーことで、ファードの家の前なんだが」
「……? 開きませんね?」
うん。行くとは言っていたんだが、こうなることもなんとなく予想はついていた。仕方ない。行くと言ったんだ。こんなのも予測してあるだろ。
「メイ、開けろ」
『かしこまりました~♪』
メイの“サイコキネシス”で鍵を開けさせた。カチャリと小さく音が鳴ると扉は簡単に開いた。こういうとき、エスパータイプは得だよなと思う。もちろん、その能力を正しく使えたらの話だが。
「え、イオさん! いいんですか?」
「いい。いつものことだから」
扉を潜って中にはいると、周りには沢山の機械が置かれていた。役に立つのか、そもそも動くかどうかすら怪しい物ばかりではある。中にはぬいぐるみなんかも混じっているだろうか。相変わらず、整理はされていない。
「……お化け出てきそうですね」
「出ては来ないだろうが、手厚い歓迎は受けそうだな。……言ってる側から、右から飛んでくるぞ」
「へ?……!? きゃあ!」
飛んできたのは何かもわからないようなぼろぼろのぬいぐるみ。一応、怪我をしないようなものを選んでいる辺り、まだいい方だ。
「な、なんですかこれぇ……」
「ファードの支配魔法。要するに物を操る魔法だ。……ファード、いるなら鍵を開けとけよ」
「やーだよ。今日は仕事をしたくないからな。それにお前が来るなら閉めといた方がいいだろ」
奥から気だるげに現れたのはファード。左耳と右前足に包帯を巻いて、首からゴーグルを下げていた。明らかに俺達を仕事をサボる理由にしている気がするが、追及しても仕方がない。
「お前がイオの言っていた、記憶のないブースターだな。……ま、関わることはないだろうけど、俺はアルファード・フェブラリーだ。好きに呼んでくれていい」
「あ、えと……ミルフィーユ、です」
感情は籠っていないものの、あの面倒臭がり屋のファードがきっちり自己紹介をするなんて思わなかった。誰も催促していないのに、自分からするなんて……どうしたんだろう。
「……珍しく自己紹介してるぞ、あのファードが! どうした、なんかあった!?」
『イオ様、そんなに驚くことはないのでは?』
「いや、だっていつも無愛想だし。口悪いし」
「聞こえているぞ、お前」
聞こえるように言ったつもりだし……
なんて言ってしまうと何されるか分かったものではない。ここは愛想笑いでも浮かべておこうか。
「……イオ、ちょっと面貸せ」
あ、凄い。さっきのは本当に表面上の優しさだった。一気にいつものファードだよ。
「ガスト、メイとミルフィーユのこと頼むぞ」
「はぁ~い♪ お任せくださーい♪」
「うわっ! どこから出てきたの……?」
ぼわん、とその場からいきなり現れたのはファードの使い魔、オーガストだ。ファードと違っていつもにこにこ浮かれている明るいやつだ。ファードが動かないときは大体、オーガストが入ればファードは引っ張ってこれるものだ。
「イオ」
「分かってる。……メイ、少し待っててくれ」
『はい』
ファードの家の中にオーガストとメイ、ミルを残して、俺とファードは外に出た。外に出る必要があったのかは分からないが。
「で、どうした?」
「変なタイミングだと思わないか」
「……クヴァールの増加とミルの出現が?」
俺がそう言うとファードは黙ってうなずいた。口が悪く、人付き合いも避けるファードだが、こういう現状把握というか分析力は人一倍ある。
「俺はまだ偶然で片付けられるレベルだけど、ファードは引っ掛かることあるのか?」
「うっさいんだよ」
「……ん? え、何が?」
「クヴァールがざわついてる。いつもかもしんねぇけど、それ以上に、騒いでやがる」
ファードが見つめる先には森が見える。きっとあそこにもクヴァールが存在しているのだろう。移動魔法を使っているから距離感を忘れるが、ここは俺の家からかなり遠い。ついでに都市からも大分離れている。
「突拍子もないが、意図的なものを感じるんだよ。俺の杞憂ならいいんだがな。……イオも気を付けた方がいい。ミルフィーユを自分の元に置いておくなら、な」
「あぁ。ご忠告どうも。ところで、今日は丁寧だな。なんかあったのか?」
「気紛れだ。……あとは後々話したくねぇし」
……嫌なことは今のうちってことか。ファードらしいと言えばらしいか。
ファードの支配するのは何も無機物だけではない。有機物……つまり、生きているものに対しても支配は出来る。何を支配出来るかなんて術者の思い描くもの全てだ。まあ、生きているものを自分の思い通りに支配すること自体、禁術だし、そもそもそんな高度な魔法はファードしか出来ない。
「他になんかあったら教えてくれよ」
「……めんどくさ」
「そう言いながら言ってくれるんだろ」
「言わねぇよ、馬鹿」
そう吐き捨てると家の中に戻ってしまった。素直じゃないななんて言うと、本当に相手にしてくれなくなるから言わないでおこう。





~あとがき~
聞いてください、奥さん! これ、前回更新が約二年前でしたのよ(滝汗)
もうこれ、いっそのこと打ち切りした方が潔いのでは……??

次回、家に残された三人の会話。

ファードが使うのは支配魔法。簡単に言えば何かを操る魔法です。それが心のない物だろうが心のある者だろうが自分の主の意のままに操ってしまう魔法。なんやかんや、こいつの魔法が一番怖いかもしれませんね。

なんか今回、ファードがめっちゃ丁寧に喋りましたね。ここで最初で最後かもっすけど……

ではでは!