satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

未熟な新芽が華開くとき

~前回までのあらすじ~
ないですね! 出来れば、ヴァルツ視点の『幼き騎士は何思う?』を読んでいただきたい! それらのネタバレを含みますので!
今回からはもえぎ視点です! 大丈夫かな?
もえぎ「あ、あ、あぁぁぁぁ~……!!」
ヴァルツ「お、おい……急にうずくまるな。どうした? いや、粗方、予想は出来るが」
もえぎ「わ、わたっ……私、そんな重荷、耐えられ……ふえぇぇぇ」
ヴァルツ「諦めろ」
もえぎ「あうぅぅぅ」
ってことで、簡単なプロフィール紹介を入れてから、始めまっしょい。


~人物紹介~
もえぎ(リーフィア・♀)
セイバーギルド所属の隊員でヴァルツのパートナー。過去にヴァルツに助けられた経験を持つ。内向的な性格で、コミュニケーションに若干の弊害があるものの、心優しい少女。

ヴァルツ(ブラッキー・♂)
セイバーギルド所属の隊員でもえぎのパートナー。二つの神器を所有し、ギルドトップクラスの実力者だが、身体的な問題を抱えている。そのため、戦闘参加を頻繁に行わない。クールで自分を顧みない性格。

トリス(♂寄り)
ヴァルツが所有する神器の一つ。普段は細剣であるが、どのようにも姿を変えられる能力を持ち、攻撃力はずば抜けている。楽観的でおちゃらけた性格。しかし、ときに冷淡な一面も見せる。

マリー(♀寄り)
ヴァルツが所有する神器の一つ。姿は短剣。情報収集の力を持ち、どちからといえば、後方支援型の能力。ヴァルツのことを溺愛し、誰にでも優しいが、トリスのことは嫌っている。


まろ(ロコン・♀)
セイバーギルド所属の隊員。ヴァルツの後輩でもえぎの先輩。普段は薬品開発等を行う。その関係上、ヴァルツの健康面のサポートをしている。もえぎのよき話し相手。明るい性格でムードメーカー。

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じっと見つめられ、思わず目を逸らしちゃいました。逸らしちゃ駄目なのは分かっているつもりなのですが、つい体が反応してしまいます。
「あのねぇ、お嬢ちゃん。こんな無茶な要求が通ると本当に思っているの? こっちも好きで突っぱねる訳じゃないんだけどねぇ」
「で、でも、こちらも……その、お仕事なので、お願いを聞いてもらわないと……えと、その。あの、実力行使、しないと……はい」
自分もビックリするようなか細い声で反論してみますが、これも相手の神経を逆撫でしてしまったみたいです。何も言わなくても、直接見なくても、相手がイライラしているのが分かりました。そのイライラも分かります。だって、これが一時間以上も続いているのですから。申し訳なさと自分の力不足を痛感して、小さくなるように体を縮こませます。すると、後ろの方から溜め息が聞こえ、私と相手を隔てる机に紙が置かれました。頭をあげると、ヴァルさんが呆れた表情で相手を見ています。埒が明かないと思ったようで、割って入ったのでしょう。
「長く反論するのもいいが、こちらも暇ではない。難しいことを言っているつもりもないのだが? お互い、時間を無駄にするのも得策ではないだろう」
「つっても、いきなり来て、お前らんとこにやる金を増やせってのは……」
「最近、稼いでいるだろう。こちらが知らないとでも? ここで断ってもいいが、そのときはこちらでお前らの組織を潰すだけだ。どうする?」
「……っ! わーったよ……こっちもあんたらを敵に回したくないんでな」
渋々、ヴァルさんが差し出した紙に相手が署名をすると、私へ返してくれます。ちゃんと確認して、不備がないことをしっかりとチェック。
……うん。大丈夫……なはず。
「大丈夫、です。ヴァルさん」
「……だ、そうだ。これで滞納なんかしていたら、実力行使をさせてもらう。それでも態度が改善しないのなら、潰すのみだ。他へ逃げてもいいが、それ相応の制裁を覚悟することだな。……それでは、失礼します」
ヴァルさんが部屋を退出し、その後を慌てて追いかけました。入口近くで待っていてくれて、私が追い付くのを見ると、再び歩き始めました。隣に並んでヴァルさんに話しかけます。
「ヴァルさん、あの、ありがとうございました……それに、ごめんなさい。私、一人で出来なくて」
「あ? あぁ……いいよ。この仕事はふぃーには荷が重いから。それより、今日はどうする? ギルド行くかこのまま帰るか」
空を見れば、オレンジ色に染まっています。日が短くなっているこの頃です。これからすぐに日が沈むのでしょう。目線をヴァルさんに戻します。
「あ、えと……もう、戻るのも遅いですし、帰りたい……って、思っています……お夕飯、作らないとですし! 当番、私ですから」
「夕飯ねぇ……ふりかけご飯?」
「違いますよぅ……ヴァルさんの意地悪……」
「ははっ。悪い。冗談だ。……行くぞ」
「……はい! ヴァルさん」

何から話せばいいのか迷いますが、一つ一つ話していこうと思います。私の名前はもえぎと言います。現在、セイバーギルドで一隊員として働き、ヴァルさんのパートナーをやらせてもらっています。
私がギルドに入ったのは、十五歳の頃。この大陸では十五になると、いわゆる、大人の事情というものを教えられます。ここでは悪いことも合法であるとして扱われるので、悪い人達が堂々と表を歩ける……そんな制度を採用しています。それでも、野放しにするのはよくない。よくないから、野放しにしないために、ギルドが一括管理をしているのです。それが、この大陸で最大にして唯一のギルド……セイバーギルドなのです。
セイバーギルドは危ないこともたくさんするので、入るために適性があるかテストをし、入った後もランク分けをするためにテストを定期的にしています。私は真ん中くらいのランクですが、ヴァルさんは一番上のランク。ランクの数は大体、十くらいに分けられていたと思います。……多分……はい。
えぇっと、私とヴァルさんは子供の頃、一度会っていました。ほんの少しの間でしたが、ヴァルさんは私に優しくしてくれたことを覚えています。十五になってから聞かされたのですが、ヴァルさんがこの辺で有名な名家の人であったという話……そのヴァルさんがギルドで働いていること等。幼い頃、変な人に襲われ、どこかの森に連れていかれたときもヴァルさんが助けてくれたこと。それもこのとき、初めて聞きました。……あぁ、この話はヴァルさん本人から聞かされた気がします。
えと、その……私がセイバーギルドに入った理由は、恩返し……です。助けてくれたヴァルさんがいるギルドで働けば、ヴァルさんの手助け出来るかもしれない……そんな気持ちだけで入りました。色々あって、ヴァルさんが私をパートナーに選んでくれ、それもあってか、一緒に住んでいて、今に至ります。……ギルドに入って一年くらい経ったのでしょうか。時は早いものです。

お家はそこまで広くありませんが、二人で暮らすには十分すぎるくらいの広さがあります。二人の個室もありますから、プライベート空間もバッチリです。施設暮らしだった私にとって、これが初めての一人部屋でした。ちょっぴり嬉しいのは内緒です。
「ただいま……です」
「はい。お帰り……っ…けほっ」
「あ、あの! ごめんなさい! 私が連れ出したので……大丈夫ですか? どこか、変なところとか……!」
「んんっ。……大丈夫。バッグ放り投げたら思いの外、埃が舞っただけだから」
確かにヴァルさんのバッグが床に投げられていました。最近、忙しくてお掃除出来ていないから、埃が貯まってしまったみたいです。よかったですけれど……体調悪くなったのかと。
「あれだけで体調を崩す訳がないだろう。心配性もいい加減にしておけ」
「あう」
今日のお仕事は少し悪いことをしている組織から、お金を徴収するお仕事でした。セイバーギルドは組織の管理をしているので、ある程度大目に見ると太鼓判を押す代わりにお金を要求しているのです。そのお金を回収するのも隊員の役目。役目なのですが、私、そういうのが苦手で、お休みだったヴァルさんがついてきてくれたのです。……本当はゆっくり休んでほしかったんですけど、お仕事出来なかったなんてなったら、今日以上の負担をヴァルさんにかけてしまうかもしれません。
どっちに転んでも、迷惑しかかけてない。……本当に、嫌になります……
「ふぃー? 玄関に突っ立っていないで早く入れ。夕飯、作るんだろう?」
「あ、は、はいっ! 今、行きますっ」
被っていた帽子を取ると、買ってきた食材を手に持ち、玄関を上がる。そのままの足でキッチンへと入ると、近くにあったエプロンを身につけます。帽子はリビングにあるコート掛けに引っ掻けておきました。ヴァルさんのキャスケットも同じように掛けてありました。すでにくつろぎモードのヴァルさんはお仕事の資料……ではなく、趣味で集めてる本を読んでいます。そんなヴァルさんに話しかけました。
「今日、夜は冷え込むみたいですから、お鍋、作りますね」
「いいよ。任せる」
本から顔をあげることはなく、ぶっきらぼうに答えました。いつものヴァルさんなので、私は気にしません。ちょっと遅めのお夕飯かもしれませんが、なるべく早く、作り終えないと!



~あとがき~
もえぎ視点。ですます調は読みにくいかもですが、お付き合いください……というか、ほとんど書かないので、なんとか読みやすいように試行錯誤しつつ頑張ります。

次回、ご飯食べます。あとはなんだろ。事件の導入的な?

ここでこいつら何歳だよって思われると思いますが、細かくは考えてません。もえぎは大体、十六~十七ですね。そうなると、ヴァルツは二十二、三になるかな? 多分。
空と海ではもう少し時間が経つので、また一、二歳上になりますね。

ここで大まかにもえぎ達の住む大陸についての説明を入れました。いつか設定として、まとめたいと思いますが、エルフーンのエルンがまとめる大陸はこんな感じですね。悪いことしてもいいけど、お金は寄越せよ。みたいな制度があるのが特徴。まあ、やっていいよなんて言ってますが、悪いことにも限度がありますし、ある程度の規約はあります。それは紹介出来るときにしますね。

今回は説明回でしたので、何か聞きたいことが遠慮なくどうぞ! 分かりにくいのって絶対にあるし!

ではでは!