satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 7ー8

~attention~
この物語は時、闇、空の探検隊をモチーフにしています。原作のイメージが壊れる可能性があるため、苦手な方はブラウザバックだぞ!
ってことで、単なるダンジョン攻略が思わぬ方向に……なぜこうなった。
ピカ「私らが聞きたいよ!?」
ポチャ「ほんとだよー……変な展開に巻き込まれるぼく達の身にもなってよー」
まあまあ、なんとかなるよ!
では、始めるよ!


~7-8 ギルド遠征、重なる謎~


遠くの方から声が聞こえてくる。声や音、匂いは分かるけれど、目の前だけは真っ黒で何も見えない。目隠しをされている……わけでもなさそうなのに。どういうことなのか。……そもそも、私はどうなった? ポチャとビッパを離脱させたことは覚えている。その先が曖昧で時間の感覚すら危うい。どれだけの時間が経ったのか。体内時計には自信あるけれど、こうも視覚からの情報がないと判断しにくい。気絶なんかさせられていれば、体内時計も関係ない気もしてきた。
仕方がないから、耳を澄ますことにした。不用心に声なんか出したら、危険かもしれない。今は自分の置かれた状況把握に努めるべきだ。
「……は…………か?」
「残りは……で……」
声が遠すぎる。もう少し、こっち寄ってくれ~……
「ま……だ。…………なんて、滅多に……からな」
願いが通じたのか、少しだけ聞き取れるような位置に動いてくれたらしい。これで全部聞こえるかな。
「あのピカチュウが持っていたバッグ、目ぼしいもんは特になかったっす。探検隊っぽいけど、バッジもノーマルランク。新米っすかねぇ?」
「新米にしてはあの動き……仲間を切り離した判断はそれ以上に思うけど。ボスがどう思うかじゃないか?」
私の話か……声を聞く限り、相手は二人の男。この場から感じる気配も二人だけ。……最低でも三人しかいないってことになる。なんだ、こいつら。お尋ね者? ボスとか言ってるし、何らかの組織の人?
声の反響具合から、私が顔を向けている方角に二人がいる。じゃあ、適当に寝返りでも打って、背を向けておこう。見えるようになったとき、目が合っちゃいましたなんて笑えないからね。
ころんと寝返りを打ち、手を自分の顔に近づける。この行為で分かったのは、両手は縛られていない。足の拘束もなし。……舐めてんのか? いや、しかし、視界は封じられているため、これだけでも十分な拘束力はある。ここからどうするか。そっと目元を触ってみても、布なんかが巻かれている感触もない。となれば、何らかの道具の効果か。視界を奪うような効果のある何か。それなら、待っていれば効果が切れるはず。それを待つ……? しかし、その間に何もしてこない保障はない。
どうしようかと考えていると、草の揺れる音が聞こえる。……ってことは、ここ『ツノやま』じゃないのか。そんな気はしてたけど。
複数の足音が聞こえ、同時に何人かの人が流れ込むように入ってきた。どこか慌てた感じがするけれど、何かあったのか。
「おい! 誰か近づいてくるぞ! このピカチュウの仲間じゃないのか!?」
「仲間? どんなやつだ」
足音から、ここに来るまで大した時間はかかっていない。出口が近いのか。そして、ここは自然に囲まれていてその音も聞こえる。地下ではない。そして、窓がある。……話し声を聞いている中で草の音が聞こえるくらいだ。窓は近くにあって、しかも開いていると見ていい。そして、敵側は予定外のことでパニック状態。声の位置からして、私の方は向いていないと見た。こっちに向かっている人は少なくとも、こいつらの仲間ではない。運がよければポチャやギルドの仲間の可能性もゼロではない。これだけあれば……これだけの情報があれば、問題ない。そして、少しだけ集中してみれば、攻撃手段だって封じられていないことも確認出来た。
……いける。
「に~げよっと……!」
勢いよく飛び起き、近くの壁に手をついた。そして真上にジャンプすると、案の定、窓枠に手をかけることが出来た。
「おいっ!? あいつ、逃げる気だぞ!?」
「視界奪ったから、逃げるわけないって決めつけてるあんたらが悪い! じゃあね!」
窓も開いていることを確認し、躊躇いもなく飛び降りた。バッグとバッジは取りに来るか諦めるかの二択だな。取りに来るなら、ポチャと合流してバッジの反応を追えばいい。諦めるなら、何かいい言い訳を考えておかなくては。
「いった……流石に綺麗に着地とはいかないか。……大丈夫。動ける」
敵の声が遠くなる方向に逃げて、相手をまけば何とかなるだろうか。
見えないから、とりあえず敵から離れられるようにと走った。何度か木にぶつかったため、恐らく森の中にいるんだろうなという適当な予測が立つ。見えていれば、死角になるような場所を探して身を隠すのだけれど、それが出来ないのが痛い。
「ふぎゃっ!? ご、ごめんなさい!」
考え事をしながら走っていたせいか、人の気配に気がつけずにぶつかってしまったらしい。尻餅をつきながらも、ぺこりと頭を下げた。姿が見えないから、何とも言えないけれど、敵ではないと思う。多分。
「いや、避けなかったこちらも悪かった。……大丈夫か?」
声質からして、男の人か。音の聞こえ方は少し上からだし、私よりは背が高い可能性がある。……仲間ではないのは残念だけれど、この人からは敵意を感じない。もう少し会話を進めてみるか。
「は、はい……あの、あなたは私のことを捕まえますか? 何か変なことしてきますか!?」
「は、はあ? そんな趣味ないぞ。そもそも初対面でそれはない。……というか、焦点が合っていないな。お前、目が見えてない?」
「さっきまで変な人達に捕まってて、それで何かされたのかと。目以外は至って健康です」
「波乱万丈な人生だな」
「それはもう……はい」
踏み込んでみてもいいけれど、それはプライバシーに反する。敵ではないようだし、これ以上、知らない人を巻き込みたくはない。適当に言って別れるか。
「えと、私、逃げなくちゃ。あなたのことを巻き込むわけにもいかないから。ぶつかってしまって、本当にごめんなさい。それじゃ……んっ!?」
別れるつもりだったけれど、それは叶わなかった。ひょいっと持ち上げられ、どこかに移動しているらしい。理解するよりも、彼が話しかけてきた。
「遠くの方で誰かを探している声が複数聞こえた。お前の言う、敵かもしれない。ここで素直に別れてもいいが、放っておくのも目覚めが悪い」
「え、えーっと? つまり、助けてくれるの?」
「そういうことさ。奴らを撃退しよう」
……おぉっと。変なことになってきたな?



~あとがき~
遠征とはこれいかに。

次回、ピカを助けた名もなき彼(?)の実力は!?

こんなことになるなんて思ってなかったの。何かちょーっとした事件にでも巻き込まれればいいさなんて思ってただけなんです。わざとだけど、悪気はないんです。ごめんなさい。
ってことで、もう少しお付き合いくださいね……

ピカの目が見えていないので、助けてくれた人が誰なのか分からない状態です。彼とは言ったけれど、女の人かもしれないです。ギルドの仲間ではないことは確かですけれど。

ではでは!