satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第202話

~前回までのあらすじ~
流血、暴力表現、その他過激表現等々にご注意を。
ということで、前回からスカイメンバーの暗躍をご覧になっているわけですね!
ソル「そうですね。暗躍なんてそんな格好いいものではないですが」
コン「……はっ! 久しぶりの出番!! わーい! でっばーん!」
チル「うふ♪」
普段、全くピックアップされない面々なので、ここで活躍の場を書ければと!
では、始めます!


大まかではあるが、ピカから聞かされたものを二人に伝えた。チルには概ね理解してもらえたらしいが、コンはひたすらに首を傾げていた。
「ふふっ♪ つまり、敵の本拠地で大暴れをしてこいということですよ」
チルのこの一言で、コンは難しい話を投げた。こくこくと頷き、オッケーと大きな声で了承した。
「こいつの将来が心配で仕方ないよ」
「ソルさん。行きましょう。のんびりしているよりは、向かった方がよいと思います。ここから少し距離がありますから……」
「そうですね。行きましょう。場所の把握は」
「問題ありませんわ。三十分で到着します」
ソルとコンはチルの背中に乗り、チルが大きな翼を広げると空へと飛び立ったのだ。

「ヴァンガルの基本情報はぺラップさん達に言った通りなんだけど、他は知らないんだよ」
「調べてる途中だったの? ソルにしては準備不足だねー?」
「この件に関しては、僕じゃなくてピカさんがメインに動いてて、情報共有が間に合わなかった」
空での移動はソルもコンも大してすることがない。そのため、こうなった状況整理と共に、敵の情報などの共有をしていた。この話は参加はしていなくとも、チルも聞いている。
「んー……じゃ、なんで、ピカは一人でやってたの?? いつも、そんなことしないのに?」
「いや、結構してる」
「はい。していますね」
「まっじー!? うーむむ。あたしの知らないピカがいるー!!」
「コンが子供だから知られたくないだけだと思うけどな。……チルさん、ここまでどうですか?」
「子供とはなんじゃー!!」
ぽかぽかとパンチをしてくるコンを無視し、チルに意見を求める。こういった情報をチルに話すことをピカはしない。だからこそ、第三者の意見が聞けて、別視点からのアプローチが出来る。
「そうですね。ヴァンガルの裏には大きな組織が動いているのは確かです。それが何なのかは、行ってみれば分かると思いますが……分からないのは、ピカさんの求める情報ですかね?」
「そこですね。……行って集めてこいとは言われたんですが、重点的にこれをとは言われてませんから。……そして、最終的には殲滅。全員殺してこいってことですから」
「いっつも、ピカとポチャばっかりだったもんね! こーゆー、ちまなさ……ん? ちぐな??」
「血腥い」
「そ! ちまなぐさい!」
「なまぐさい、な? 言えてないぞ。……裏の仕事はほとんど、僕達に回してこなかったから。今回も、本来ならピカさん自身で行くつもりだったみたいだし」
「しかし、こうして頼ってくれたのは嬉しいことですわ♪ 不謹慎ですが、心踊っていますもの」
「僕もそう思いますよ。……コン、頼りにしているから」
「ん! まっかしてー!」
裏の仕事はピカとポチャの担当だと決められたように、メンバーに回さないようになっていた。とはいえ、全くなかったわけではない。ソルの主な仕事が情報収集というもので、場合によっては危険と隣り合わせの仕事であるためだ。時にある組織に侵入して、そのまま全滅させることもあった。コンが子供だからという外されなかった理由は、そこにある。ソルと共に修羅場を潜り抜けているからこそ、必要不可欠な存在なのだ。対して、フィフィはまだこのような仕事があることは知らせていない。幼い彼が知るには早すぎるのだ。
「一度、分かっていることを整理すると……ヴァンガル自体、大きな組織ではないが、大きな組織の傘下にいる。今回の騒動を起こしたのはヴァンガルである可能性が高い。そして、その裏には巨大組織がいる。……ん? それが分かっていて、ピカさんは殲滅しろと?」
「どゆことー? 悪い人にはお仕置きしなきゃじゃん? 何もまちがってないよ」
「裏が誰なのか分からないのに、全員殺す指示はおかしい。……聞き出す必要がないってことだ。でも、組織の中に特定出来る情報があるとは限らないのは、ピカさんだって分かっているはずなのに」
コンはソルの話を聞いても、大して理解出来なかったらしい。頭の上にはてなマークを浮かべているらしかった。それを気にすることなく、ソルの思考は進んでいく。
「……ピカさんは、どこの組織が裏にいるのか知っている? となれば、必要なのはどこの組織の傘下なのかじゃない。……もっと別の何か」
「ソルさん。着きましたよ。あれが敵の本拠地です」
チルに呼び掛けられたことで、一度、思考がストップした。上から覗きこむと、小さな宿のような長方形の建物が見える。高さはそこまであるとは思えないし、広さもない。本当に小さな組織が今回の混乱を招いている。
「……もしかすると、ヴァンガルは利用されただけなんだろうか」
「りよー?」
「簡単に言えば、捨て駒。後ろに巨大な組織があるって言っただろう? その組織に捨てられたってこと」
「協力ではなく、ですか。……後ろの組織は何がしたいんでしょうね」
「それこそ、入れば分かると思います。……なるほど。ピカさんの知りたいものはそれか。今回の騒動の本来の目的を探ればいい。あとは、それに対する対処法か」
「おー? あたしはなにすればいーの?」
「とりあえず、何もするな。チルさん」
「はい。人のいる空間のみ、操ります。数分で終わりますわ」
チルはポチャ同様、“あやつり”の一種を扱うことが出来る。空の国では空気を操る。一概にこれが出来るとは言いにくいものだが、普段は空気というよりは風を操ることが多い。その場の空気を乱し、風の刃を作り出して攻撃したり、空気自体を固めて人を受け止めるクッションにしたりなど。
そして、今回行うのは敵の殲滅。大雑把に言ってしまえば、敵のいる空間の空気を奪い、真空状態にしてしまう。そうなれば、呼吸困難に陥り、数分で死に至る。離れすぎると扱えないが、今は敵の本拠地の上空である。それくらいは容易いというものであった。
チルの目が薄緑色に変化し、その瞳が怪しく光る。集中して、中にどれだけの人がいるのか空気の流れを読み取っていく。
「そこまで多くないですね。……では」
「コン」
「はーい! 出入口、“ふういん”しちゃうっ!」
本来、自分の覚えている技と同じ技を“ふういん”するものだが、それを応用した。コンが考える自分と同じ思考、考えを“ふういん”してしまうのだ。つまり、逃げるという思考を封じてしまう。
ここまでしておいて、ソルはなんだか酷い殺し方をしているなと片隅で考える。まあ、実行しているのは、彼ではないのだが。
チルの能力が発動してすぐに家が騒がしくなったのを感じたが、すぐにそれは収まる。酸素が回らなくなり、意識を失ったのだろう。もう少しすれば窒息する。それくらいの頃合いを見計らい、中に侵入するかとぼんやりと考えていた。



~あとがき~
ポチャもポチャだけど、チルもチルでした。

次回、まだまだ続きます。このトリオ!

この三人、ピカがいないとソルがピカの代わりに色々考える役割を請け負います。元々、色々考えるタイプなんですけどね。なので、ピカがポチャの次に頼る相手かもしれません。もしかしたら、ポチャ以上に頼ってるかも?(笑)

ピカはどんな組織が後ろにいるのかなんてのは分かっているらしいですね。
そして、これを通して読んでいる人には、二度三度と出た情報が出てくる(敵の目的とかそんな感じの)と思いますが、確認だと思ってお付き合いくださいませ。

ではでは!