satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第203話

~前回までのあらすじ~
流血、暴力表現、過激表現等の描写にご注意を。
前回は敵をフルボッコ(?)にしたところですね。このトリオ怖いなぁ……
ソル「意識を失って眠るようにあちらへと逝けるのですから、いいことだと思いますよ?」
ピカ「その前に苦しむのでは?」
それな。ポチャは液体操るけど、チルは空気を操っちゃうから……
チル「うふふふふ」
ピカ「嫌な笑顔してるなぁ」
で、では、始めていきまーす……


ほんの数分だったろう。チルの安堵するように息を吐く行動で、意識を思考の海から現実に覚醒させた。チルは二人の方をちらりと見ると、にこっと笑うがそれもすぐに曇ったものへと変化した。
「終わりました。……ですが、変ですね。まだ命の気配を感じます……いえ、違いますね。何かの生命、動きを感じます。生きている……のでしょうか?」
「動いてるってことは生きてるでしょ! へんてこりんなこと言わないでよー」
「そうですよね。そんなお化けみたいなこと……ありませんものね」
「お化け、か。一理ありそうだ。……コン、お前も倒せない敵と戦っただろう。あんなものが中にいるとしたら。……それはお化けの何者でもないだろう?」
「はっ! 確かに! じゃあ、お化けだね。うようよしてるんだねっ」
簡単に意見を変えるコンの将来を心配しつつも、チルに降下するように指示した。それに素直に従い、敵の本拠地の屋根に到着。そこからソルとコンは降りた。屋根の上で地面とは言えないものの、コンはしっかり足で感触を確かめる。それも満足したのか、くるりとソルと向かい合った。
「そんで? どーする? ここから侵入!?」
「まあ、侵入はするけれど。……チルさん、どこら辺から空気の流れは変わりますか? 僕の感じるものと同じ位置なら十中八九、間違いないかと」
「はい。……地下ですね。そこに十はいるかと」
「十もお化けいるの? うげうげ~……攻撃、通じるといいな」
「僕の見立てもそんな感じです。それならば、地上階はほぼ安心です。コン、蹴破れ」
屋根をとんとんっと指差した。それだけで通じたのか、コンは小さく頷くと、小さな体で大きくジャンプし、落下の勢いと“ニトロチャージ”で意図も容易く屋根を破壊する。そのままの勢いでコンは家へと侵入した。空いた穴を覗けば、チルですら侵入可能なほど大きなものになってしまったのを確認する。ここまでのものは望んでいなかったが、これで中に入ることは出来る。
「怪力馬鹿もこういうことには役立つ」
「ふふ。ソルさんってば、手厳しいですわね」
「僕はコンの教育係。優しくなんてしてあげませんよ。さて、チルさんはどうしますか? ここで待機して待っていてもいいですよ」
「あら。レディをこんな不気味な場所に置いておくのですか? 紳士ではありませんよ」
「失礼。それでは、ご一緒にどうぞ? お姫様」
「はいっ♪ このようなこと、あまりないので、心踊りますわ♪ ソルさんは手慣れていますわね」
このような場面で心踊らせる空の姫もどうかと思うが、それに関しては口にするのは無粋である。彼女もまた、スカイのメンバーだ。このような世界があることは承知の上だ。
「慣れてはいませんよ。チルさんよりは経験ありますけれど……コン!」
「ほいほいっな! 見て! みぃんな、死んじゃってる! うん? 死んじゃってるよね?」
中に入って一番に見たのは、あちこちで苦しむようにもがいたであろう人々である。すでに事切れているが、その最期は容易に想像出来た。
「どいつももう生きてない。放っておけ。……とりあえず、重要な場所へと向かいたいな。情報とか、敵の心臓部……重要機密のあるところへ」
「おっけ! 探してみる!」
「頼んだ」
「まあ。死屍累々、とはこのことなのでしょうか? 我ながら、恐ろしい能力ですこと」
優雅に降り立つチルはさながら、空から降りる天使のようだが、この場では天から迎えに来た天使に見えてくる。とは言え、そこら辺に転がる彼らの命を奪ったのは彼女であるから、天使よりも死神に近いかもしれない。
「真っ赤に染まっていない分、幾分かは歩きやすいですよ。チルさん、あまり動揺しませんね?」
「このようなことで動揺しては国を担う主として、示しがつきません。それに初めてではないですから、問題ありませんわ。このような使い方が出来ると父からも聞かされていましたもの」
それにしたって、落ち着きすぎだとも思うが、そこら辺は、ピカの英才教育でも行き届いているのかもしれない。或いは、国で何か習うのか。一般人のソルには見当もつかないが、つける必要もない。
自分のペースを崩さない姫はコンがいないことに気がついたらしく、辺りを見回していた。
「コンはお宝探し中ですよ」
「あらあら。そんなもの、ここにあるんですか?」
「あいつは嫌に鼻がいいから、僕らが闇雲に探す必要がないんですよ。元泥棒に任せておけば大丈夫です」
「そういえばそうでした。いつもこのように?」
「はい。もちろん、勘なので間違うこともあるんですけれど、大抵あってますからね。本当に恐ろしいというか」
中を探索しつつ、コンの帰りを待った。二階部分であろうここには特に何もないらしく、組織の者が寝泊まりするような簡易ベッドが多く並ぶ部屋があったり、武器が詰め込まれた部屋があったり、はたまた何もおいていない部屋があったり。それでも、ソルの求めるものはここにはないらしい。コンがいないということはある程度予想はしていたが、万が一ということもある。可能性は潰しておくに限るのだ。上から見た通り、部屋数は少なく、広さはない。探索にも大した時間はかからないだろう。
「一階に行きますか」
「はい。目ぼしいものはないようですから」
階段を使って下へと向かう。一階も二階と同じように苦しみもがいたであろう人々が転がっていた。誰もが出口に向かって手を伸ばし、来るはずもない助けを乞うように。
「これを見ると悪いことは出来ないですね」
「はい。このような末路、辿りたくありません」
「わー! いた! ソル、チル! あったよ! なんかファイルいっぱいで……えっと、ピカがいじってる、箱があったの」
意味もなく滑り込んできたコンが慌ただしく告げた。ピカのいじる箱というものは、コンピュータを指しているのだろう。そして、ソルが探していた部屋に間違いない。
「一階か?」
「んと、違う。下だった」
「あら。早速、地下探検ですか? 面白くなりますわね」
「お化けのいる地下にもう突撃か。……どうせ、行くだろうけど、そこにあるの?」
「地下はろーやみたいなのがあったよ。中はちゃんと見なかったけど! ソルが探してた部屋はその手前? かな?」
どうやら、お化けと対面せずとも目当てのものは見つかりそうである。しかし、そうもいかないのだろうとも思っていた。ソルとチルはお互いに目配せすると、コンを先頭に地下へと足を踏み入れることにした。



~あとがき~
時間軸的には多分、あれっすね。皆が頑張ってる辺りです。ポチャがピカ(スラ)と対面して色々やってる辺りとか、そんなんだと思う。

次回、ソルが見つける情報とは? そして、ピカの求める情報は……?

ここまで三人を喋らせることがなかったので、キャラが壊れていないか心配です。大丈夫? 問題ない?

ここで今更ながらにコンの設定が出てきました。彼女はピカに拾われる前は泥棒やってました。経緯は追々、はじソラで話すと思いますので、多くは言いませんけどね。

ソルとチルのコンビになるとまた違う空気感で好きですね。お互い、年が上で近いのもあるかもしれません。他のコンビで似たような奴らがいないので、面白いですな!(笑)

ではでは!