satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第205話

~前回までのあらすじ~
流血表現、暴力表現、またその他過激表現にご注意を。
前回はようやく敵の詳細を出し……え、出した? 出したのかな? あ、あれだ! ピカがどう知ったのかってのが分かった! これでいいか!
ってことで、その続きです。
コン「もっともっともーっと、出番がほしい!」
チル「こういうのは貪欲に行くべきです!」
ソル「え、あ、チルさんまで……!?」
ピカ「そうなるよなぁ」
ソル「助長させるようなこと、言わないでくださいね、ピカさん……?」
はーい! 始めるぞー!!


文章を読みつつ、頭の中で整理をしていく。そして、通信相手のピカに簡潔に伝えるために文章を再構築していった。
「使い手はガオガエンの男。能力値はいたって普通です。名前は……ないですね。被験者番号ならありますけれど、ここでは省略します。神器の名はピンキー。能力は超回復……ですか」
『神器って攻撃特化ばっかだと思ってた……あーでも、ヴァルツさんの持つ神器も支援型か。……ピンキーって危険なやつ?』
「ピカさんの雷姫さんよりは優しいですね……ガオガエン以外にも適正者はいるみたいです。これを暴走させるのが目的みたいですが、これが真の目的とは言い難いのでは?」
ピカの持つ雷姫のように攻撃特化でない武器を暴走させても、ピカの方が力量は上である。そうでなくとも、そこには実力者ばかり集まっているため、失敗する確率の方が高いのではないかと考えたのだ。しかし、ピカはそう考えていないらしく、若干の焦りを含んだ声で話を始める。
『神器は神の宿る器。それを暴走させるんだから、それなりの被害はある。それに、今は周りのお化け? みたいなのが出てきてる。それも、こちらの力を分散させるためだと考えれば……暴走も意味をなす。こっちの戦力も削りたいのかも?』
「少人数のところを狙い打ちってことですか。確かに、普通なら神器相手、手も足も出ませんね」
使い手を選ぶ神器がもたらす力は計り知れない。使い手のピカでさえ、全力で使ったことはないと言うのだ。暴走状態などは、意思もなく、ただ本能だけ求め、むやみやたらに振り回すのだ。下手に近付きたくはない。
『……が、私と雷姫で止められないなんて思えないのも事実。ポチャもいるし、二人でなんとかなりそうだけど。……となれば、敵の目的は……なんだ。止められると知っていて行う理由はなんだ?』
通信機から漏れる思考をソルは黙って聞いていた。聞いていたと言うよりは、それを聞き、自分でも考えているだけなのだが。
ピカは色々口に出して整理するタイプだが、ソルはじっと考えるタイプだ。時折、ぽつりと話すことはあれど、全てを吐露することはない。まあ、ピカも聞かれて不味い相手がいる場合は黙って思考を巡らす。つまり、現在、彼女の近くに驚異はないといえる。
『他の人を抜きにして、必ず駆けつけるのは、私とポチャだ。あいつが私達の……今までの戦い方を知らないわけがない。……神器使いは神器使いで相手取る……そう仮定すると、私の力を……? あは。いいねぇ。そうだとしたら、そんな光栄なことはないわ』
「……ピカさん。黒幕の正体を教えてくれてもよいのでは? 焦れったいですよ」
勝手に一人で納得し、自己完結しようとしているピカに割って入る。
『ごめんごめん。でも、明確なことは言えないから、教えな~い♪』
「ピカさぁん?」
『あはは……なんてね。本音はソル達を巻き込みたくないから何も言えないの。ごめんね、分かって』
肝心なことは答えたくないらしい。こんなピカを説得するのも難しいのを知っている。ソルは早々に諦め、別の話題を切り出した。
「話を戻しますが、暴走した神器を止める手立てはあるのですか? ガオガエンが被験者ということは、何らかの実験をさせられていたということになります。暴走させるための実験とも考えられなくはないで……ん?」
『お、どしたん?』
何かの気配を感じ、後ろを振り向くと、何かが勢いよく部屋に滑り込んできた。よく知った顔で、先程まで意気揚々と部屋を出ていったコンだ。
「ぷきゃぁぁぁー!! ぞーんびぃ!」
「……はい?」
「うごうごしてるよ! 人の動きじゃないよ! 気持ち悪いよー! って、伝えるために戻ってきたの!」
「あー……そういう計画?」
『となると、そのガオガエンもその部類なのかな? というか、ゾンビに勝つのって頭落とせばいいの? 助けて偉い人~』
ピカは完全にふざけて言っているが、実際問題、そこまでお気楽に言えるものではないはずだ。ほうっておくわけにもいかない。
「ピカさん、知りたいことは得られましたか?」
『ある程度はね。残りは任せる。……私のおすすめは全焼させることかな? んじゃあねぇ~♪』
言いたいことだけ言って、プツリと通信が切れた。今欲しいものは得られたらしいが、それがなんだったのかは分からないし、どう繋がったのかはピカにしか分からないのだろう。が、今はコンの言うゾンビをどうにかした方がいいのは明確だった。
「チルさんは?」
「ゾンビ観察してる~」
「あの人も肝が据わっているよ……どこ?」
「こっち!」
コンの後を追って、更に奥へと進む。ある檻の前でチルがじっとしていた。二人が近寄り、チルの目線の先を見てみた。
「あぁ、これは……」
「これでは、私の能力なんて効きませんよね。この方からは何も感じませんもの。……もう生きてはないのですね」
「リアルなお化け屋敷に来た気分です。……作り物の方が可愛いですよ」
立ち上がることも出来ず、這うように移動していた。元々、なんだったのかも分からなくなるほどに体は崩壊してしまっている。或いは、ミイラとでも呼んだ方がいいかもしれない。それでも、壊れたおもちゃみたく、ぎこちなく動いていた。
「こんなのがいくつもあるんだよ~」
「ピカさんの言う通り、燃やした方が早そうだな」
「ですね。炎で浄化出来ないものはありませんから。……この方もある種の被害者ですわ」
チルは憐れんだ瞳を向けつつ、そっと檻の側から離れた。この人から得られるものは何もないだろう。こんな風にした実験記録を持ち帰るだけでいいはずだ。それらを回収した後、ピカの言う通りにしてしまえばいい。
「コン。最終的にここ燃やすから。そのつもりで」
「! あたしの出番だね! おっけー!」
「まだ燃やさないでくれよ。やることが残ってるんだから。……資料を探しに行ってきます。チルさん、コンを連れてもう一度、屋敷内を見回ってくれませんか? 何かないか確認を」
「ええ。分かりました♪ ソルさんのお仕事が終わったらご連絡をお願いします」
チルとコンは来た道を戻り、屋敷の探索へと戻っていった。燃やすと決めた以上、重要なものがないか確認を慎重にしなければならない。誤って燃やしてしまったとしても、それは復元出来ないのだ。
ソルはすぐに資料室に戻ることはせず、檻の端の方まで……つまり、奥まで進んでいた。空いている檻も多いが、何かしら入っている檻には状態がまちまちであった。かろうじて、どんな種族か判別可能であったり、体の一部がない者であったりと数は多くはないが、悲惨な姿をしている者はいた。
「元々、ここの所属なのか、関係のない一般人なのか……判別は出来ないけれど。これ、実験の成果なのかな。……それとも何らかの能力……?」
そこら辺の情報はまだ目にしてなかった。探せばあるだろうかと思いつつ、資料室まで戻ることにした。



~あとがき~
一悶着起こします。多分。

次回、ソル達は無事に仕事を終えられるのかって感じですね。(何も考えてない)

ピカがある程度の情報はここで揃えてます。なんなら、彼女の頭の中には敵のシナリオまで読み込めたかもしれません。まあ、ピカさん、持っている情報が違いますんでね。ここで何か分かる人はいるはずがない。何も言ってないもの。私が!!←
いつかは分かります。いつかはね!!

コンがゾンビとか言ってたけど、怖がってる訳ではないです。チルもだけど。いやぁ……女性人の肝が据わってるのなんのってね。

ではでは。