satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第12話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で気ままに楽しむ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人と作っている話でもあります。苦手な方はブラウザバック!
はい。謎に二話使いました、剣術部とはさよならしまして、また新たな新天地へ!! ところで、お前らは仕事をしているのか、予算うんぬんは!?
ラル「今更なんだけど、予算うんぬんは年度末に行うべき案件だと思うんだよね。今? やる??」
……さあ?
ラル「おい、作者」


この後、私の仕事の都合上、いくつかの部活を回るものの、ツバサちゃんのピンとくる部活はないみたいだった。フォース君の言っていた生徒会室を開けとくと言っていた五時までもう少し。下手したら、明日も色々回る必要性が出てくるな。
そんなことを考えつつ、部室棟が多くあるエリアを重点的に回っていると、ツバサちゃんがぴたりと止まる。
「ん~……なんだか、甘い匂いがします」
料理部とは離れているし、こんな時間にお菓子作りもしていないだろう。となると……
「園芸かな? あそこ、色々作ってるから」
「あー……園芸ってミユルがいなかったっけ? 中等部からそうだったし」
アラシ君達の知り合いがまたまたご登場みたいだ。ミユルという名前が出た途端、ツバサちゃんはパッと顔を輝かせる。その反応からして、ツバサちゃんの大切なお友達のようだ。
「行ってみる?」
「はいっ!」
ここからそう遠くない園芸部へと足を運ぶこととなった。園芸というと……リーフちゃんもいる部活かな。
園芸部は大きな土地を持ち、そこで様々な食物を育てている。もちろん、花も育て、学園内の植物は園芸部が世話をしている。また、うちの食堂の野菜等々も園芸部がほぼ賄っていると言ってもいい。育てた食物は時折市場へ売買されるらしいが、そこら辺は部員ではないので詳しくは知らない。
「あ、ラルさん! それに、ティールさんも! こんにちは~♪ って、もうすぐこんばんはの時間ですかね?」
園芸部の花壇の前で挨拶してきたのは、中等部の制服であるセーラー服に身を包んだリーフちゃんだ。若草色のセミロングを赤いリボンでポニーテールにまとめ、快活な笑顔を浮かべている。手にはじょうろを持っているため、水やりをしていたのだろう。
「こんな時間までご苦労様。大変だね」
「そんな! ラルさん達の方がお忙しいでしょう? で、今日はどうしたんですか? それと……高等部の先輩方も……」
「んーと。ツバサちゃん、アラシ君、レオン君! 覚えた?」
一人一人指差しながら名前を言っていく。ツバサちゃんは少し戸惑った様子を見せ、アラシ君は呆れたように私を見る。そして、レオン君は順応が高く、リーフちゃんに向かってひらひらと手を振っていた。
「まあ、ツバサちゃんは噂になってるから知ってると思うけど。フォース君、家で何か言ってたんじゃない?」
「あーえと、はい。言ってましたね。白いお姫様がどーのって。ステラとは大違いとかなんとか?」
自宅でも楽しそうで何より……ステラちゃん、フォース君に蹴りでも入れたかな。蹴られたとしても、フォース君が変わるわけないし、何ともないって思ってそうだなぁ。
お姫様呼びされたツバサちゃんは自分のことだと思っていないらしく、ちょこんと首を傾げている。そろそろ、私とリーフちゃんだけの会話から離れるべきだな。
「えと、ワタシは中等部三年のリーフです。よろしくお願いします!」
「よろしくな、リーフ♪ 早速なんだけど、ミユルって知ってる? 俺らの友達で会いに来たんだ♪」
「ミユルさんですね。奥のリンゴの果樹園にいますよ。呼んできますか?」
甘えてもいいんだけれど、もう夕方だし、あまり拘束するのも悪い。というか、そんなことをしたなんてバレたら、フォース君に睨まれる。
「いや、自分達で出向くから大丈夫。ありがとうね。フォース君によろしくって言っといて……あ、あと、近々家行くからね」
「はい! ん? え、なんでですか?」
「そういう約束……この後も行くけど。しーくん預かってもらってて~」
「なるほど。りょーかいです! なんなら、一緒に遊んでますから、安心してくださいっ♪ あ、果樹園は右手に進んだ先にあります。看板あるので大丈夫だと思いますけど」
まあ、変なところに行く天才であるティール君じゃないからな。……正面からこんなこと言えないけど。
リーフちゃんと別れ、リンゴの果樹園を目指す。ミユルちゃんがどんな人なのか聞き忘れたけれど、ここの三人が知っているし、問題ないだろう。
「ラルさん。リーフちゃんとフォースさんって兄妹なんですか? あんまり似てないけれど……」
あぁ、あの会話から一緒に住んでいると考えたのか。間違いではないな。
「兄妹ではないけれど、一緒には住んでる。兄妹つったら、名前が出てきたステラちゃんの方が合ってるよね」
後ろを歩くティールに投げ掛けると、そうだねと肯定が返ってきた。まあ、ステラちゃんもフォース君と兄妹ではないけれど。
リーフちゃんの言う看板を見つけると、そのまま果樹園へと足を踏み入れる。色々な果実が生っている中、リンゴのエリアへとやって来た。時間も時間でほとんど生徒もいないけれど、本当にいるんだろうか?
「! みーちゃん!」
ツバサちゃんがみーちゃんと呼んだのは、魔術科の女子制服を身につけた女の子だ。濃い緑色のロングヘアに横に流した前髪。髪に隠れて分かりにくいが、少し尖った耳をしている。私から見て右にピンクの星、左に赤い花の飾りを着けている。制服は規定通りだ。私みたいに変に着崩していない。
手にはリンゴが詰まったかごを持ち、小さく首を傾げた。
「あら、ツバサちゃん♪」
ミユルちゃんは、自分に向かって駆け寄るツバサちゃんを見ると、持っていたかごを優しく足下に置いた。そして、優しく抱き止め、頭を撫でながらも、こちらにも視線を向ける。
「あらあら? 会長さんに副会長さんまで。それに、アラシくんにレオンくんも。どうかしたの?」
彼女は私とティールを知ってくれていたようで、優しく微笑みながら問いかけてきた。
「ラルさん、みーちゃん……えと、ミユルちゃん、です! ドライアドなんですよ~♪」
「高等部魔術科二年、ミユル・ノフェカです。よろしくお願いしますね」
ドライアド……樹妖精か。読んで字のごとく、樹の妖精を指す種族名だ。パッと分かりやすい特徴は、創作にあるような妖精が持つ、尖った耳だろうか。
「よろしくね。私達は……ってまあ、言わなくても分かるか。ラルとこっちがパー……じゃなくて、副会長のティール」
ティール・クランドです。よろしくね、ミユル」
いつもの探検隊のノリでパートナーとして紹介するところだった。癖って抜けないな。
「部活の見学をしていたら、なんだか甘い匂いがしたから、来てみたんだ♪」
「あぁ、なるほどね。ここには沢山の花や果実があるもの。その匂いにつられちゃったのね」
「そっかぁ……うんっ! いい匂いだねっ♪」
ツバサちゃんはミユルちゃんから離れ、明るい笑顔を見せた。ツバサちゃんの笑顔に優しく微笑むと、彼女は地面に置いてあったリンゴのかごを持ち直す。そのリンゴ、パッと見、ただのリンゴだけれど、どこかで見た気がする。
「あっ……あの、ラル。……ちょ、リーダー!」
何かに気付いたのか知らないが、ティールがやけに慌てた様子でオーバーなくらいに私の肩を叩きまくる。そんなティールを一瞥し、再びミユルちゃんのかごを見つめる。
通常のリンゴよりも大きな品種で、匂いも甘い香りが漂っている。この匂い、どこかで嗅いだ。……確か、校長室の……あっ!?
「んんんっ!!??」
「? ラル、ティールもどうかしたか?」
変なものを見るような目でアラシ君が聞いてくるものの、それに答えられるほど、余裕はなかった。ティールの腕を掴み、四人から距離を取る。そして、四人に背を向けると誰にも聞こえないくらいの声量で話し始める。
「嘘だろ嘘だろ!? あれだよな! 親かぁ……じゃねぇや。校長のセカイイチ! え、私、初めて知った! これ、教頭は知ってるわけ!?」
ここでは校長……外では私達も所属していた探検隊ギルドも運営するため、つい校長ではなく、親方なんて出てきてしまった。いや、関係ない。今はどうでもいい話だ。
時折校長室を覗くと、美味しそうにリンゴ……セカイイチを食べている。この辺だとセカイイチは入手しにくく、よく手に入るななんて考えたものだ。深く考えたことは今までなかった。どこか独自の入手経路でもあるのだろうと適当に考えていたのだ。
……たった今まではそう、思っていたんだけれど。
「もしかして、ここの食べてたの? 親方……あ、校長か」
「うちの学校こっわ……」
ここから供給してもらっているのか。なるほど……
「ラールさぁん? どぉしたんですかぁー?」
ツバサちゃんの呼ぶ声で、私とティールは顔を見合わせる。とりあえず、これが本当なのかは分からない。本当に独自ルートがあって、そこから仕入れている可能性もないわけではないからだ。決め打ちはしない。情報が揃ってから正確に予測するのが鉄則である。
この話はここで終わりにすると、アイコンタクトで伝え、ティールが認知したのを確認する。そして、四人のところへ戻ると、ミユルちゃんからラルさん、と話しかけられた。
「ん? どうかしたの? 園芸部は部費を増やしたいって聞いてなかったと思うけど」
「はい。部活動経費は足りてますよ♪ そうではなく、ご相談がありまして。……園芸部では一部の生徒だけでセカイイチというリンゴを育てているんです。これがそうなんですけど」
かごの中身をそっと見せてくれた。生徒が育てたというそれを私は凄いというよりも、別の感情が沸き上がって来ていた。
あ、これは……
「このセカイイチが収穫前にいくつもなくなっていることが多いんです。何か対策出来ませんか?」
「マジか。……生徒の犯行か?」
「リンゴの果樹園と紛れているし、ここの部員も知らない人が多いの。知識のない人が見れば、大きなリンゴと変わらないでしょう? だから、生徒とは思えないんだけれど」
「普段から見てる人なのかなぁ? 魔法でどうにかしちゃえないかな?」
「罠とか仕掛けたこともあるんだけれど、どれも引っ掛からないのよね~?」
「なんじゃそりゃあ!? 意味わかんねぇ!」
アラシ君達が話している正体不明の犯人。セカイイチを見分けられるくらいの目利きと罠にもかからない身のこなし。うん。決まりか。
……親方ぁぁぁぁあ!!! あんたここの校長なんだから、変なことしないでくれぇぇぇ!!!
ここで校長ですなんて言ったらどうなるんだろうか。……じゃあ、仕方ないなんてなるわけがない。説得してくれって言われるだろう。そこで、説得に行くとして、校長が仕方ないねとなるだろうか。
……ならないな。というか、例のアレを受ける可能性がある。それだけは困る。今後に関わる。無理!
「あー……こっちでも考えてみるね~」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
ごめん。ミユルちゃん。今後もセカイイチは盗られ続けます。……いや、話くらいはそれとなくしてみよう。止まるとは思えないから、対策を考えるべきだが。いや、なぜ私が親方……いや、校長の尻拭いをしなきゃいけないんだ!? 元弟子だからか!? そういうことか!? 嫌だよ! 脱退するよ!……いや、もう出てってる。ご卒業してました。あぁ……はぁ。
……ご乱心の私の心は置いておいて、ここはさっさと退散しよう。家に帰ってどうするか考える必要が……いや、あるかぁ?
「時間的にもあと一つかな? どうする、ツバサちゃん」
「そうですね~」
「あ、部活見学してるんだっけ? それなら、パルクール行ってみたら? シルが所属しているの」
「シエルが? 分かった! 行ってみる!」
ミユルちゃんの提案で、行き先が決まったらしい。最後の行き先はパルクール部だ。シエル……あ、シエル君ね。OK、知ってる子だ。
ティール、このことは」
「分かってる。……帰ってから話そう」
セカイイチについては、ティールとどうにかしよう。最悪、フォース君も巻き込んでどうにか……うん。しなきゃな。
まだ仕事があるらしいミユルちゃんに見送られつつ、本日最後の行き先である、パルクール部へ向かうことにした。



~あとがき~
無理矢理一話に納めました。長いです。いつもよりなげぇ……
雑な部分はありますが、許してね☆

次回、パルクール部へ! そして、シエルとは一体誰だ!!

ここでも生きてきますね、校長のセカイイチ
これで分かると思いますが、校長はプクリンギルドの親方です。ここでも、ギルドの親方してるんですけど、それと平行して校長もやってるって思ってくれていいです。ラルとティールはそこのギルドにも通いつつ、勉学にも勤しんでいました。まあ、ギルドは塾的なそんな感覚だと思ってくださいな。

初登場! ミユルちゃん! いっつも、ユミルとか語順を入れ換えて認識する私です。申し訳ない。ミユルが正しいので! よろしくね!!
ふんわりした可愛い女の子です。よろしくね!!

ではでは!