satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第14話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
色々見たけど、結局振り出しに戻されるツバサちゃんでした。
ラル「帰宅部楽しいぞぉ」
ティール「き、帰宅部。間違ってはないけど」
フォース「肩書きはそうでも、生徒会だからなぁ」
ラル「それな」
君達は生徒会っていう部活だよね。
では、始めまーす!


ツバサちゃんはしょんぼりした様子でアラシ君を見上げた。ここまでしてきた理由は、彼女の部活探しである。現状はやりたいと思ったものの、危険だと止められ、周りの賛同が得られず断念。
では、その先に待つものは何か。
双六で言うならゴール付近にある、振り出しに戻る、である。要は、初めの議題に戻った訳だ。
「他になかったのか? これやりたいってやつ」
「うーん……」
煮え切らない返事に全員が困ってしまう。自分のことではないけれど、それなりに頭を悩ませ、考える。何かいい案はないものか、と。
……ん? そもそも、無理して部活をやる必要もないのでは?
「ここまで躍起になって探す必要ある? 無理矢理入っても楽しくないだろうし、帰宅部って選択肢もあるよ?」
「そうなんだけど……帰りは送ってやらないといけなくて、でも俺らは部活あるし」
お嬢様は辛いなぁ~……そういうことか。
アラシ君やレオン君と帰るためには、時間を潰す必要がある。それなら、ツバサちゃんも何かしら入部すれば時間を無駄にならない……みたいな感じか。さながら、きっちりお守りする騎士のようだ。専属騎士……ナイト様ね。
「はぁ。私もお守りして欲しい……言うこと聞く執事が欲しいぃ!」
「執事にはならないけど、ぼくがお守りしてるでしょ、リーダー?……適当なこと言ってないで、ちゃんと考えてあげて」
「あう。パートナーが冷たい……」
ティールの塩対応に心を涙で濡らしつつ、思考を巡らせる。今必要なのは、ツバサちゃんの居場所。二人が気にせず部活に打ち込めるような安心出来る場所が好ましい。……ふむ。
「ツバサちゃん、ここ以外に行きたい部活はなかったんだよね」
ツバサちゃんの目線に合わせ、ゆっくりと話す。ここの認識を間違えるわけにはいかない。
「は、はい。でも、ここもアラシ達が駄目って言うので……どうしたらいいんでしょうか、ラルさん」
「簡単だよ。私のところへおいで、ツバサちゃん」
「……ほえ?」
「はあ? 私のところって……え、生徒会!?」
「ほー?」
「ラルさん!?」
アラシ君、レオン君、シエル君の反応は様々だ。その中でも一番の驚きを示したのは、後輩達ではなく、私の相棒だ。黙ったままだけど、表情で察した。この後に反論されるはず。
「ツバサちゃんがいてくれたら、仕事も捗るし、アラシ君達も部活行けるじゃん? よくない?」
「……ちょっと待った。生徒会役員は選挙で決定される。こんな時期に新たな役員なんて迎えられる訳ないだろ?」
さあ、正念場だ、私。ティールを説得出来なければ、実現はあり得ない。まあ、負けるわけないんですけど!
ツバサちゃんの頭を優しく撫で、立ち上がる。そして、ティールに向かい合った。
「確かに役員編成は選挙で決定される。けれど、大きな行事の前に臨時で人員は集めるでしょ。それと似たようなものだって。私の助手って名目で皆には説明する」
「……それで納得すると思ってる?」
「ツバサちゃんの優秀さは周知の事実だと思うけれど~? 十二才の才女様だよぉ?」
彼女の能力は折り紙つきだ。更に飛び級という実績が裏付けられている。疑う人も反対する人もいないだろう。というか、私に意見する相手もそうはいないし、色々後ろ楯もある。ツバサちゃんが不利な状況に追い込まれる可能性もほぼあり得ない。
「教頭なら口で捩じ伏せるし、校長も理事長も許してくれるだろうし? 変なことしようとしてるわけじゃないんだからさ。……そんなに言うなら、私達の力になるのか見極めてみればいい。試験期間を設けて、ね?」
「OK……分かった。そういうことにしておくよ」
よっしゃ! 勝った!
私とティールの攻防を呆然と見ていた四人だったが、はっと我に返ったように私を見る。
「え、えっと、つまり、どういうことになったんだ?」
「アラシ君達の部活が終わるまで、生徒会でお預かりするって計画! 上手くいけば生徒会所属ってことにして、事務仕事をしてもらう。これなら危険もないし、問題ないでしょ?」
「ま、まあ、確かに……?」
「あ、もちろん、ツバサちゃんがよければだけど。どうかな? 生徒会の一員として出来るところを見せてくれればティールも許すって~」
「そういう体にしておかないと、色々反発が来るからね。主に教頭だけどさ」
確かに。使えるという事実は示すべきか。なんだ。ティールも案外乗り気なのか。
「わ、私……私なんかがラルさんの力になれますか?」
「うん。というか、なってもらわなきゃ、この案も破綻するから。頑張れツバサちゃんっ♪ 私の今後のためにっ!」
「はい! 頑張ります! ラルさんのためにっ!」
ふんすと鼻を鳴らし、気合いを入れるツバサちゃん。どうやら、興味は私達の方に向いてくれたらしい。よかったよかった。これで間違っても、またパルクールへと興味は移らないはずだ。
「とりあえず、今日は解散して……また明日、生徒会に来て? アラシ君達も部活終わったら迎えに来てね」
「お、おお……でも、そこまでしてもらっていいのか?」
「うん。私の活力になるから問題ないねっ♪ それを得るためなら、どんな手段使っても双方からの合意は得るから~♪」
にこやかに答えたつもりだけれど、アラシ君は少し体を震わせていた。なぜそこでビビるのか謎だったけれど、特に言及はしない。

ティールさん、ここの数字、去年のとズレがあります。他の数字に違いはないので、記載ミスだと思うんですけど」
「んー……あぁ、本当だ。ありがとう、ツバサ」
「いえいえ!」
ツバサちゃんが仮の生徒会役員として加盟して、三日。私の想像以上の働きを彼女は見せていた。言葉通り、認めてもらうために頑張っているらしい。これで仕事も捗るし、ツバサちゃんの安全は保たれるし、win-winな関係と言える。
他のメンバーにもお試し期間とは伝えてあるものの、ツバサちゃんの要領のよさ、的確な目を持っている。これで反対する人達はいない。実際、試験期間なんてやめて、本格的に迎え入れるべきだと肯定的な意見すら耳にするくらいだ。
「ツバサが働いてくれてるっていうのに、ラルは呑気だね? 書類に目、通したの?」
私の机に乗っている小さな書類の山。それを一瞥し、窓に視線を戻す。
「んあ~……後でやるわぁ」
「一時間前にも同じセリフ聞いたんだけど!?」
「ツバサちゃーん。私のとこおいでぇ」
「はーい♪」
読書中のフォース君の隣で仕事をしていたツバサちゃんは、ファイルを持って、私の目の前に駆け寄ってくる。そんな可愛らしいツバサちゃんをだっこし、膝の上に乗せた。
「はー……私の癒しだよぉ」
「えへへ~♪ 元気出ますか?」
「出るっ! しばらくこのままがいいなぁ?」
「もお! ラルってばぁ! 後回しばっかり!」
「ほっとけ。結局、後になってまとめてやるような奴だ。首絞めてんの。そういう趣味なんだろ」
本から顔を上げずに、助け船なのか茶々なのか分からないような言葉が飛んでくる。そんな趣味はないが、訂正したところで、意識は変わらないだろうし、注意する意味もないだろう。
「……というか、君も全体の会計報告書、出てないんだけど?」
「そんなのありましたっけぇ?」
「フォース! 君までそんなことを!?」
「嘘でーす。ラルの机の上で会長様の判子待ち」
「……はぁ。……ラァァルゥゥ!?」
「知らなぁい」
ティールの怒号を聞き流しつつ、頭では別のことを考える。これからどう動くべきか、である。
生徒会メンバーの合意は得たと思っていい。次は教師陣か。校長、理事長はいいとして……というのも、理事長に関しては、ツバサちゃん自ら話したらしく、その後で娘をよろしくね、とありがたいお言葉を頂いていた。校長には言わなくてもバレているだろうし、問題は教頭……校長の鶴の一声でどうとでもなる気がする。結局、あいつは上の顔色しか窺わないアホ鳥だもんなぁ。チョロい奴は楽でいい。いつ動くか。……うん。今かな?
ティール君、ちょーっと用事を思い出したから、出掛けてくるね~♪ ツバサちゃん、お留守番よろしくね」
「はあ!? 仕事放置でどこ行くの!」
「行ってらっしゃい、ラルさんっ」
「帰りに購買でコーヒー買ってきて。冷蔵庫ん中入ってなかった」
こんな状況でお使いか。自動販売機の方が早くないですか、フォースさん……?
「コーヒー? 豆挽けよ」
「道具がねぇし、豆なんて購買にないだろ。さっさと行かないとティールが追いかけてくるぞ」
確かに。行くか。
後ろの窓を開けて、抵抗なく足をかける。前回同様、雷姫呼び出して、着地をすれば問題ない。そっから職員室……いや、校長室か。そこに行って~……と。
特に面白味もないため省略するが、ティールを振り切り、教頭を捩じ伏せ……いや、説得するのに十五分もかからなかった。
本当にチョロい人だなぁ。



~あとがき~
よし! 終わり!

次回、学園から離れ、休日を過ごす皆様をお送りします。出てくるのは私のキャラ達だけですん。

これで場が整った感じですかね!
あとはステラとツバサちゃん達が出会えれば……!
本当にあの子だけ出番がね! ないね!
リーフは園芸部繋がりで出られたんですけどね。うん……ごめんな。
まあ、顔見せの場は友人が考えてくれているので、もうしばらくお待ちを! 高等部メインだとどうしても二人は影が薄い!(泣)
中等部絡みの何かがあれば一緒に行動しますよ!

生徒会加盟後のシーンは友人から貰ったプロットにはなかったものです。ネタとしてはあったので、それを私が改編し、くっ付けました。これからの日常はあんな感じになると思われ。
ティールの胃痛はなくなりません。

ではでは!