satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第26話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃってる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ケアル兄妹による口喧嘩大会が開幕し、閉幕しました。
アラシ「閉幕?」
レオン「終わるの早かったな♪ それでよかったけど。というか、一時休戦とは言わないんだな~?」
少なくとも、あそこの兄妹の喧嘩はラルが止めたので、閉幕したよ。多分。
アラシ「……多分?」
多分!
アラシ「……」


《A side》
一応、止まりはしたがどちらも少しだけ腑に落ちない様子ではあった。言いたいことがあるような顔だ。しかし、何かを言わせる隙は与えず、ラルは続けた。あいつは、笑顔だけど、どこか冷たい雰囲気を漂わせている。怒っている訳でも、イライラしててそんな空気を出している訳ではないんだけど。
「私はさっき、ツルギ君に落ち着いたかって聞いたんだけどな? でも、ツバサちゃんと言い合ってて、落ち着いたって言えるのかな? あんなに感情的なのに?」
「うぐ……」
ド正論でツルギを黙らせた後、次はツバサの方に向き直る。今度は安心させるような雰囲気を見せていた。
……もしかして、場の空気というか、自分の気配みたいなものを使い分けてるのか?
「ツバサちゃんも落ち着いて? まあ、言いたいことは分かるんだけどね。でも、私はいっつも笑顔で可愛いツバサちゃんが好きだな~♪ 私は大丈夫だから、ね?」
「……う。ラルさんがそう言うなら……はい」
悪口の被害者(?)である、本人に大丈夫なんて言われてしまえば、ツバサは黙るしかなかった。元々、ラルの悪口に関して怒っていたんだし、ここで未練たらたらで言い訳をするやつでもない。
二人がどんな形であれ、とりあえずは収まったと見ていいだろう。が、ツルギは不満そうだし、根本的な解決にはなっていないと思う。ここで一時的に帰したとして、ツルギはイタズラをやめないだろう。ツバサに見つかり、俺達にも見つかったとはいえ、簡単に引き下がるやつじゃない。
こっから、どうにか説得してやめさせないと意味がないけど、ラルは何か考えてんのかな。
そんな意味合いを込めつつ、じっとラルを見た。俺の視線に気づいたらしいラルは、軽くウインクを返してきた。その反応は、手があると信じていいんだよな。……信じるぞ!?
「単刀直入に行こう。ツルギ君。今回のイタズラについてだけど、金輪際、やめてもらおうか」
え、あの、はぁ!? まさかの直球勝負!?
やめろの一言で終わるなら苦労はしない。ここからどうなるのか、最悪、ツバサの母親まで呼び出すような大惨事にもなりかねない。……なんて考えている間も、ラルは落ち着き、余裕を見せながら話を進める。
「この二日で君が行った数々、詳しくは問わないよ。それでも、君が多くの人に迷惑をかけた事実があるのは理解して。身近で言うなら……そうだな。ここにいる全員がそう。本来であれば、アラシ君やレオン君は部活に行っている時間だし、ツバサちゃんは生徒会の仕事をしてくれるはずだった。彼らの時間を取らせた……もっと言えば、奪ったと形容してもいい」
子供相手に容赦ない気もしたけど、間違いではない。ツバサは生徒会での大事な用事はないって言っていたけど、来たら来たで仕事はあったはずだ。俺もレオンも何もなければ、いつも通り部活はあったわけだし。言わなかったけど、フォースもティールも……あと、ラルだって、何かやらなきゃいけない仕事があったかもしれない。それを後回しにして、こんなことに付き合ってくれてる。付き合う義理なんてないのに、だ。
「あ、もちろん、ここにいる人達だけじゃないよ。君のやった件について、後始末してくれた私の可愛い後輩達が沢山いた。……つまり、彼らの時間も盗ったわけだ。……ここまではOK?」
あくまで淡々と、ゆっくりと話していくラル。それをツルギは黙って聞いていた。その表情には、ほんの焦りにも似た何かを滲ませている。
ツルギにしてみれば、困らせたかった相手はラルや構ってくれなかったツバサだったかもしれない。他の人達が巻き込まれたのは、副産物というか、気にしなかった部分。ただそれだけだ。しかし、ラルに言葉にされ、言われてしまって、自覚せざるを得ない状況になって。イタズラはあちこちに落書きや悪口を言うっていう些細なもんだったけど、その小さいもので、大変なことをしたんだと思わされた。……いや、理解させられた、と言うべきなんだろうか。
ツルギの様子を見て、ラルが一瞬、思案する。何を考えてんのかさっぱりだけど、多分、ツルギを悪いようにはしない……はず。
「ん~……勘違いしないで欲しいんだけど、責めてる訳じゃない。ツルギ君がこんなことをした理由も、私は理解しているつもりだから。ツルギ君もツバサちゃんもね、何も悪くないから。ちょっとしたすれ違いがあっただけだし」
「あら、優しい。ラルの尋問なんてこんなもんじゃないもんなぁ。聞いてるこっちが恐ろしいくらい問い詰めるのに」
この空気に耐えられなかったのか、単純に思ったものを口に出したのか分からないが、フォースがぽつりと呟いた。内容は触れたくないけど、レオンが面白そうに笑った。
「へぇ~? どんなのか見てみたいかも~♪」
「レオン、興味持たない。フォースも。茶々入れないの」
ここでその話を広げても意味はないし、脱線しかしない。ティールがさっさと止めに入り、二人は素直に黙った。下手すれば、空気を壊しかねないが、ラルはそんな三人を完全に無視したまま、話を続けた。
「……今回、ちょっとしたきっかけでこんなことになったけれど、そこから派生される可能性については考えて欲しい。仮にイタズラを目撃した人達がツバサちゃんを、間違った印象で受け取ってしまったら。印象なんて、落ちるのは早いけど、取り返すのは難しいものなの。そうなって、ここに居づらくなるかもしれないし、嫌な思いをするのはツバサちゃんなんだよ? ツルギ君はツバサちゃんの悲しむ姿なんて見たくないよね」
ツルギは小さく頷いた。ラルに反発していたとしても、ツバサのことは大好きだから、ツバサのこれからに迷惑なんてかけたい訳がない。
ツルギが理解したのを確認すると、ラルは優しく笑った。
「さっき言った、沢山の人達の迷惑をかけたっていう部分も忘れちゃ駄目だよ。……だから、今後は私によろしくね」
「……え?」
「不満があるなら、私が相手になってあげるってこと。それなら、私の仲間にもツバサちゃん達にも迷惑はかからない。……あ、あんな安っぽい悪口だけじゃなくて、試合みたいな攻撃でもいいよ。武器使用ありでも、組み手でも。魔法対決は私に勝ち目ないから、受けないけど……それ以外なら、なんでもどうぞ?」
流石のツルギもこの提案にぽかーんと口を開けていた。いや、この場にいるほとんどが驚いて、ラルの方を見ていた。ティールだけは、またこれか、みたいな反応ではあるけれど。
ラル個人を狙うのはどうかと思うけど、前半の話はその通りだ。後半の発言は、何か考えがあった……そう思っておこう。ラルはこれ以上は何も言わないらしく、俺に視線を移した。この先は任せたって感じか。……よし。
「ツルギ、ラルの言う通りだよ。……最後の方はともかく、周りに迷惑をかけすぎるな。今回、かなりの人が巻き込まれたのは事実だからさ。お前を知ってる俺らはともかく、関係ない人に迷惑をかけるのは不本意だろ?」
「それは……そう、だけど」
「じゃあ、もうこんなことはするな。いいな?」
「……うん」
渋々って感じではあるけど、嫌いなラルに正論を言われたってのもあると思う。ここで分かったと納得するのも難しい話だ。年頃の男子は難しいなぁ……俺も、かもしれないけど。
ツルギはハッと何かに気付いたように、ラルを見た。少し慌てて取り繕うような雰囲気だ。
「い、言っとくけど、お前に言われたからじゃないからな! ツバサがやめろってうるさいし、アラシが言うからやめるんだからな!! お前のためじゃないから!」
あぁ、認めたって思われたくないのか。ほんっと、難しいやつだ。
「うん。分かってるって♪」
ツルギの心情を察したラルが、ふっと笑う。どうせ、可愛いやつめ、なんて思ってるんだろう。
「さて! 今日はもう遅いし、お開きにしようか。やることもないし! ツバサちゃん達も走り回って疲れたでしょ?」
確かに今日はあちこち走り回って疲れ……ん?
「ラル、なんでそんなこと知ってるんだ? 言ったっけ?」
ラルとはツルギを捕まえたあの教室で会ったはずだし、その間に何があったとか話した記憶がないんだけど。
「あは。ただの勘だよ」
勘でそんなこと当てられるもんなのか? う、うーん? 考えたって分からないけど、もう考えるのも面倒になってくるくらい、今日は色々あって、もうどうでもよくなってきた。
「……いいや。帰るか。ツバサ」
「うん。……お兄ちゃん」
「な、何?」
「一緒に帰ろう? お兄ちゃんのことだもん。じいじに黙って来たでしょ」
「うっ……まあ」
ツルギは、ばつの悪そうに答えた。まあ、んなことだろうと思ってたよ。
「じゃあ、俺らは帰るか~♪ あ、ラル達は? 途中まで一緒に帰る?」
「ありがたいお言葉だけど、ちょっとやり残したことあるから、先に帰って大丈夫。ありがと、レオン君。また今度誘って! 気を付けて帰ってね、四人とも」
そう言うラルと、ティール、フォースは生徒会室に残るらしい。三人に見送られながら、教室を出た。
「ちょっとの間だけど、一緒にお話ししようね、ツルギ!」
「……しょうがないな! いいよ!」
ツバサの申し出に満更でもないように返すツルギ。さっきまで口喧嘩していたのが嘘みたいに仲直りしている。兄妹なんてどこもそんなもんだろうけど、一安心だな。
仲良しな双子を見て、俺とレオンも笑い合う。長い一日だったけど、どうにかなってよかった。



~あとがき~
まだ続くんじゃ。

次回、ラル視点に戻し、通常運転です。今回の後始末をしてもらいます。
ある意味、とばっちりとも言う。

ツルギ君についてちろちろっとご紹介しておきましょう! しなくても話を見てくれれば分かったかもしれませんけど!

ツルギ・ケアル(狐族)
ツバサの双子の兄。赤と黒オッドアイ。妹が大好きでかっこいいところを見せたい、ませた男の子。今回、ツバサの話に頻繁に出てきていたラルに嫉妬をし、事件(というほど大事ではなかったかも?)を起こした。
素直ではなく、天邪鬼な性格をしているが、妹と同様、白くてもふもふしている。若干、さらさらしているらしい。(ラル曰く)

今後も! 出てくると思いますので、出てきたときはよろしくしてあげてくださいね!

誰かを説得するラルのやり方はどこも変わりませんね。本編でたまに見る冷静ピカちゃんでした。

ちなみに、友人のプロットはここまでなんですけど、ラルパートで教頭に啖呵切りましたんで、教頭とのお話しするために私オリジナルパート行きます。教頭と会話をするためだけに! お話考えます!! 感謝しろよな、教頭!!!((

ではでは!