satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第210話

~前回までのあらすじ~
ピカが一時離脱し、ポチャメインで今回行きます。頑張るぞい。
ポチャ「頑張るのって、作者じゃなくてぼくだよね?」
ピカ「だね。……というか、このまま寝てれば終わってないかな」
無理だね。さっさと起きなさい!
ピカ「鬼め」
ポチャ「悪魔」
ええええー!!??


ピカから離れ、標的のガオガエンを視界に捉える。セツを強く握ったかと思えば、ふっと手放した。セツは地面に落ちることはなく、空気に溶けるように姿を消した。
「さあ。ぼくが相手してやるよ」
セツが得意とするのは氷を使った攻撃だ。相手は炎タイプで、正直なところ、スイを使った方が有利になる。しかし、無防備なピカに不利なセツを置いておくわけにもいかない。自分の動きで攻撃の得手不得手は操作出来る。
「“ハイドロポンプ”!」
体勢を整えていたガオガエンに有利な水タイプの技をヒットさせる。そこに追い討ちをかけるため、ポチャは水で弓を造り出し、弦を引く。
「……“水弦”!」
狙いを定め、水で造られた矢を三本射る。自身の能力を使い、本来であればあり得ないような軌道でガオガエンを狙っていった。少しでも攻撃の手を緩めると、敵をピカの元へ許してしまう気がして、立て続けに矢を放つ。
ヴァルツとピカが手こずる相手を自分一人でどうにか出来るとは思っていない。ピカも時間稼ぎで十分だと言っていた。それは、ポチャを信じていないわけではなく、それほどの相手であるという判断だ。つまり、あくまでも倒すのではなく、相手の注意を引くめに動く。
「セツ!」
「ウ、ガァ……」
空気に溶かしたセツに合図を送ると、ガオガエンの周りに冷気がまとわりついた。その冷気で相手の動きが鈍っていく。
セツとスイを手元に置いていない今、ポチャの攻撃手段はほぼ遠距離に限られる。銃や能力で作り上げた弓がそれに当たる。ポチャは一度、水の弓矢を消すと、どこからか拳銃を取り出し、足下を狙い撃った。二度の銃声が響き、ふっと息を吐いた。
『てぃー、このひと、まだぴんぴんしてるー!』
「……だろうなぁ」
敵にとって、ポチャは何番目かは不明だが、少なくとも初めてではない。が、それでも力任せに突っ込んできたり、手負いとはいえピカを退ける相手だ。何らかのカラクリはあるだろうと思っていた。そのカラクリについて、ピカから聞いていないから、なんなのかは分からない。それでも、厄介なのは分かる。
「“あやつり”! セツ、凍らせろ!」
『はいなっ!』
再び能力で弓矢を作り、素早く射つ。ガオガエンの周りにある冷気が水の矢を凍らせ、水から氷へと変化させた。氷の矢はガオガエンを射抜いて、微力ながらもダメージを負わせていく。しかし、ガオガエンは何も感じないのか、氷の矢を抜き、地面に投げ捨てる。そして、セツを振り切らんとばかり、ポチャへと剣を構えて突っ込んできた。このままでは突きの一撃にやられるだろう。
「体力ありすぎ……というか、回復? あのお化けみたいな感じなのかな」
それならば、どこかに弱点が存在する。そこを探しだし、攻撃を通せば今まで以上のダメージを負わせられるだろう。
「質より数で勝負するか。……“氷水撃”」
最初に攻撃したものと同じ技を繰り出す。氷と水の矢を一斉に飛ばした。相手の反応を考慮し、水の矢の割合を多めにしている。攻撃がヒットするも、相手を怯ませる程度の効果しかなく、あれだけでは止まらない。彼は冷気のままである、愛剣に語りかけた。
「セツ、戻ってきて」
『あいっ!』
セツを本来の剣の姿に戻すと、ガオガエンの攻撃に備え、腰を落として防御の姿勢を取る。ピカとガオガエンの間に割って入った際は、二振りで受け止めたが、今はセツのみで受けきるしかない。そして、仮に受けきった後、どのように反撃するのかも想像が出来ていない。
「ガアァッ!」
「くぅっ!」
『むー!』
大きな衝撃と共に敵の剣を受け止めた。しかし、ここから指一本も動かせないくらいの重さで、跳ね返すのも、受け流すのも難しい状況である。この均衡を保てるのは今だけで、崩れてしまうのも時間の問題かもしれない。
『てぃー! おもいよー』
「ぼくも、同じ気持ちだよ……っ!」
そもそも何倍も大きな相手の攻撃は重みも段違いであり、弾き返すのも一苦労なのだ。普通は回避に専念するべきなのだが、あの突進を避けて、ピカへ標準を変えてしまったら取り返しのつかないことになってしまう。そのため、ここは何としても攻撃をしのぎ、更なる攻撃の一手を繰り出す必要がある。
『うりゅぅー! こ~わ~れ~る~』
「! “ふぶき”!」
愛剣の叫びを聞いて、咄嗟に“ふぶき”を放つ。接近した状態での“ふぶき”は炎タイプであろうとも、相手の体を足元からみるみる凍らせていく。流石に危険だと感じたのか、ポチャへの攻撃を緩め、退避しようと体をよじらせる。
そこをポチャは見逃さなかった。かなりの圧がかかっていたのに、それが少しだけ緩んだのだ。“ふぶき”を止めると、剣の攻撃へと移る。
「ってやあぁぁあっ!!」
完全に押し切り、瞬時に体を捻らせて、回転斬りを繰り出す。ふらつく相手に休む暇を与えぬよう、片手剣一つで出来る限り斬擊を与え続ける。
「氷華連擊っ!」
突きの攻撃と斬擊を組み合わせ、十連擊技だ。本来、スイとセツの二振りで繰り出すのだが、今、ポチャの手に握られているのは一振りのみ。それでも、どうにか技は全てヒットしていた。ガオガエンを吹き飛ばすほどの技を出したものの、体力の限界なのか、ポチャはその場から動けなかった。
「も、これ、双剣、技、なんだけど……」
『おー! てぃー、すごぉい』
「腕が死ぬ……上がらなくなってきた」
ガオガエンの剣を数十秒受け続け、無理矢理、双剣技を片手剣技として繰り出したせいで、体に相当な負荷がかかってしまったのだ。手が痺れ、上手く剣が握れなくなっている。今はセツを地面に軽く刺してあるため、倒れてこないが、これを今抜くと、地面に落としてしまうだろう。
『あんまし、てごたえなかったにゃぁ』
「言うなって……知ってるから。なんなの、あいつ。死ぬの? あれ」
『うーみゅみゅ……わからにゃいのら』
「ゾンビって頭落とせば止まるかな。……届かないなぁ」
ピカと大して身長が変わらないため、ガオガエンとの身長差もかなりある。踏み台か何かがなければ上へと登れないし、ジャンプも届きもしない。
「! 戻れ、セツ!」
『はわわっ!』
地面に刺していたセツを消し、ポチャは“アクアジェット”でその場から離れた。理由は一つだ。ガオガエンがかなりのスピードで突進してきているのである。
「グアァァア!!」
「怖い怖い怖い!! 待って!? あれでまだそこまで動けるの!? お化けじゃん!」
足で走るよりも技を使って逃げた方が得策であるため、そのまま“アクアジェット”を使って、その場から……というよりは、ガオガエンから離れようと試みていた。幸いにも、ターゲットはポチャに向いているらしく、ピカの方には目もくれない。
「ガアァアッ!!」
「情けないけど! 攻撃手段ないから!」
『てぃー、つっこめー!』
脳内で能天気なセツの声が響く。突っ込んでダメージが与えられるなら、そうしている。が、今までの結果からそれは難しいのは明白だ。直接突っ込むのは悪手だろう。
「してみてもいいけど……多分、あの大剣に斬られて終わりだって。でも、逃げてても仕方ないんだよね」
『ぴーのとこ、いかれちゃうかもよ』
「そうなったら、突っ込むよ……死んでも、ピカは守るって決めてるから」



~あとがき~
そろそろ終わらねぇかなぁ~……(n回目)

次回、まだまだ続くよ。VSガオガエン戦!

ピカとかフォースの影に隠れてますが(多分)、ポチャも強いんだよーって話をしたかった。頑張って一話書きました。さっさとピカ起こして、二人で共闘しろよって思いつつも、ポチャ一人でどうにかこうにかして欲しかったっていう願望だけで作ったけど、これがなかなかの苦行でした。全く書けなかった。

ではでは!