satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第29話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で茶番劇を繰り広げる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
とりあえず、犯人を教頭先生に突き出さず、ツバサちゃんではないとお伝え出来ました……って感じかな。今回は私がただ楽しみたいだけの茶番多め蛇足回です。
ラル「今後もたくさんのネタがあるっていうのに無駄に書くんですね」
楽しいのが一番じゃん!?
フォース「おれは楽しくない」
ラル「私は楽しかった」
フォース「だろうね!?」


《L side》
フォース君に女装っぽいことをさせた経緯を説明しよう。時間は少し遡って、校長室へ向かう前だ。
教室で協力を受け入れた彼に、私は「脱げ」と言ったのだが、それを聞いたフォース君は全力で殴ってきた。……いや、避けた。ギリギリ。
「っざけんな! 何が面白くて脱がなきゃなんねぇの!?」
避けた反動で床に尻もちをついて、彼を見上げる体勢になった。クールな彼にしてはそれなりの反応が貰えて満足なのだけれど、手が出るとは思わなんだ。これからは気をつけよう。
スカートの裾を軽く叩きながら立ち上がると、お願い内容の補足をする。
「……言葉足りなかった。ツバサちゃんに変身させるために脱いで欲しかったの」
「おれが? ツバサに?」
「ちっこくなれるじゃん。そこからメイクをすればいけるかなって。ツルギ君は魔法で化けていたけど、私らには出来ないからさ」
「あぁ……なるほど。……おれに女になれと。それっておれにカルマ時代の姿になれってことだよな」
「うん。可愛いあの姿に!」
制御者という特別な立ち位置にいるフォース君は、今まで自分の担当してきた継承者の姿に変化する事が出来る。要は、複数の容姿に変化可能なのだ。その中でも、彼が制御者ではなく、継承者として過ごしていた時期─その頃はカルマという名前を名乗っていたらしい─があり、その姿にもなれるのだ。そこら辺の込み合った話は教えてくれないが、何回か見せて貰った経験はある。あの身長なら、ツバサちゃんよりも少し小さいくらいだろう。一番、近いのはカルマ君ということなのだ。
「男子に女装させるのか……変態が」
「中身は可愛げのない成人男性だろうが!! 文句言うな、年長者!」
姿は子供になっても、フォース君がどこかへ行くなんてのはない。見た目だけが十歳そこらの少年になり、人格はいつも通りの彼だ。
「だからだよ!! え、じゃあ何か。ツバサの声まで模写すんの?」
ふっふっふ~♪ 出来るのは知っているぞ。数ある特技の中に声帯模写があるもんなぁ?
「マジで? 本気なの」
「うん。本気! ほらほら、小さくおなりよ~? そんでもって、お着替えだよぉ~?……真面目な話、実際に他人がツバサちゃんになれるって見せた方が早いからさ。ご協力お願いしますよ」
「……チッ。覚えてろよ」
冷たく鋭い目で睨んだ後、フォース君はパチンと指を鳴らす。すると、一瞬のうちに長身の青年は、幼さの残る可愛らしい少年へと姿を変えた。紅目とさらさらで少し長めの薄いブラウンの髪はそのままだが、流石に着ていた服までは縮まない。床にぐしゃぐしゃに広がってしまっている。辛うじて、インナーとして着ていた黒のシャツだけ着ている状態だ。それでもかなり動きにくそうではある。
「あはっ♪ いつ見ても可愛い~♪ あ、聞きたかったんだけど、服とかってどうにもならないの?」
「なるわけねぇだろ。魔法じゃあるまいし。ん、でも、あっちで着てる服はサイズ変わるかも……」
話しながらも、フォース君は床の制服をてきぱきと畳み、手の届く椅子の上に置いた。机も届かないわけではないが、椅子が目の前にあったから、という理由だろう。
「そいや、ツバサを真似るのはいいけど、服は?」
「あ、それは大丈夫。偶然にも魔術科の制服が手元にあるんだな~♪ サイズも小さいの!」
「なんであんの。趣味? 着ないのに?」
やめろ。憐れんだ目で見るな! 違うから!!
「リムが今後の衣装の参考にしたいからって、うちの学園の制服が見てみたいらしくって余ってる服を借りたんです! なんだろうね。学園もののシナリオでも考えてるのかな」
私が出入りする探検隊ギルドで働いているリムは、基本、明るく礼儀正しい女の子だ。そんな彼女は劇の台本を書いて、それを演出、衣装まで施すという壮大なご趣味をお持ちである。不定期ながら、ギルドの催し物で発表なんかもしていて、これがなかなか好評なのだ。必ずと言っていいくらい、手伝わされるのだが……個人的に、あまりいい思いはしていないのが現状だ。ちなみに、私だけでなく、ティールやフォース君も被害は受けているので、時折、逃げるための作戦会議を開いている。ステラちゃんやリーフちゃんも劇は手伝うけれど、彼女達は楽しんでいるので、逃走作戦には不参加だ。
まあ、今回の話に一切関係のない、どうでもいい話なんだけれど。
「ふーん? 前回はお姫様と敵国の王子の悲恋がテーマじゃなかった?」
「そうそう。よくあるやつだけど、最終的にメインが全員お亡くなりになるんだよね。……とまあ、そんな依頼があったので、手元にあるんだよ。小さいサイズとはいえ、少し大きいかもだけど、そこは何とかしてくれ」
「んー」
制服の入った紙袋を手渡すと、フォース君は躊躇いもなく、シャツに手をかけ、着替えようとしていた。見るのは気まずいので、そっと目を逸らす。別に小さい子の裸なんてしーくんで見慣れている。フォース君とはいえ、見た目が幼い男子なので、仮に見たところで何とも思わない。が、殴られそうなのでやめておいた。ここは安全にいこう。
「んー……ワンピ、大きい。……なあ、リボンとかない? 腰辺りで上げて誤魔化すわ」
「私のでよければ」
「首のチョーカー的な奴? じゃあ、それ貸して」
チョーカーにしているつもりはないけれど、首周りに巻いているから、チョーカーの部類なんだろうか。……リボンをほどき、フォース君に手渡した。器用な彼は、適当な長さに合わせると、くるくると腰にリボンを巻き付けた。ふんわりしたワンピースの出来上がりである。
「うへぇ。ローブもでっかい……」
「そればっかりは我慢してよ。……いやぁ、でも、可愛いな。フォース君、実は女の子なんじゃ」
「……あ?」
いつもなら、咄嗟に謝りたくなるくらいの眼力だけど、今はそうでもない。見た目って大事だな。
「ごめんて。ちょっとくるっと回って。くるっと」
「何の意味があるんだよ」
文句を言いつつも、下手に時間がかかるよりはましだと思ったんだろう。素直にくるりと一回転をしてくれた。ふわりとワンピースが広がり、より彼の可愛さが引き立っている。
「うん! ここからは私の仕事だね! パパっと済ませちゃうね!」
「そうだな。今撮った写真は消そうな」
「そんなことより、ここに座った座った! まあ、フォース君、可愛いし、ウィッグ被って整えたらわりといけそうだなぁ」
端末はそっとポケットにしまい、フォース君の長めの髪をある程度まとめていく。男子にしてはかなり艶のいい髪だ。特に手入れをしている訳ではないんだろうから、彼の体質なのだろう。
「無視すんな! ウィッグなんて持ってるの?」
「流石にない。どうにかして?」
「とことんおれ頼みな作戦。……ほれ」
「便利な力だねぇ。ついでに制服も創っちゃえばいいのに。出来るんでしょ?」
フォース君の能力は力の具現化だ。自分の持つ力そのものに何らかの形を与え、可視化する。制御者の力の一つらしいそれは、結構なんでも創れてしまうのだ。普段は武器を創り、それを用いて戦うという使い方なのだが、必要があれば武器以外も創り出す。例えば、今見せたように、ウィッグを一瞬にして創ってしまうとか。
「やだ。面倒くさい」
まあ、そう言うと思ってた。
時間をかけてやっても、フォース君の機嫌を損ねるだけなので、ここはてきぱきと準備を終わらせた。必要があればメイクで誤魔化そうと思っていたんだけれど、ほぼ必要ないレベルで可愛い。小さい子は皆可愛いんだろうか。それとも、私の周りが完璧なだけなんだろうか。
「……よし! 完成! うん。完璧! ほら~♪」
「うっわ……」
フォース君の前に手鏡を向けると、彼自身はかなり引いていた。が、私的には満足のいく仕上がりになった。ツバサちゃんと比べると、髪のふんわり感が足りないが、それでも、ゆるふわに仕上げてある。これで男の子だって言い当てられないだろう。
「ちょっとツバサちゃんっぽく喋ってみてよ。仕草とか、声の調子とか真似てさ!」
「はあ!? あー……んんっ……『こ、これくらい? えーと、ツバサっぽく。……ラル、さん、私をぎゅってしてください……?』 こんなも……ぐえっ!」
「ひゃあぁぁぁっ!! 可愛い! 天使!!!」
あまりの完成度の高さに、言われた通り思い切り抱き締めた。きらきらの上目遣いでそんなお願いをされてしまったら、お断りなんて出来るはずがない。例え、中身がそこそこ一緒にやって来た男でも! 気心の知れた相手だとしてもだ!
「……“チェーン”」
彼お得意の技の一つ、“チェーン”で体の自由を奪われ、フォース君はひらりと後方へ宙返りをしながら飛び退いて、私から距離を取る。
『うふふ。ラルってば、変態さんなんだから~♪』
ツバサちゃんに絶対に言われないだろう台詞のオンパレードかよ!! レア度高いな!?
「そのまま、お姉ちゃんって言って。ついでに好きって言って欲しい」
『……ラルお姉ちゃんのこと、だーい好き♪ だけど、今はポンコツ過ぎると思う』
呆れつつもリクエストに応えてくれるフォース君、大好き……さて。もう少し楽しみたいところではあるけれど、時間は有限だ。またの機会に置いておこう。
「フォース君、いけそうだね。んじゃあ、最終決戦といこうじゃありませんかー!」
「いきなり真面目になるお前が怖い」
私からすれば、可愛い女の子ボイスからクールな男性ボイスに変化した今に若干の驚きを隠せませんけどね。



~あとがき~
茶番回でした。

次回、後日談といきましょう!

今回、フォースが声を変えているところを分かりやすく示すため、『』を使用しました。
そして、ラルのポンコツ具合が凄まじいです。なんだろう。もうこれ、一種の変態だよね←
ツバサちゃん……というか、可愛い子が絡むと終始こんなもんなんでしょうね。やるときはやりますけど。

ラルとフォースが話していた劇については特に何も考えてません。ラルが主役だったかもしれませんし、別の人だったかもしれません。ご想像にお任せします。

ではでは!