satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第43話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界を楽しむ物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラル的にはなんとなーく見えてきているみたいですが、読み手としては全然だと思います。大丈夫。私も全然だから。
ラル「嘘をつくな」
ツバサ「書き手さんが把握してなかったら、お話が崩壊しますね~……」


《L side》
これで最後にしようと心に決め、しゃがんでツバサちゃんのロッカーに手を触れると、本日四度目の集中タイム。これだけしていると、一回くらいミスってもおかしくないと思うのだが、私の能力は優秀なのか、しっかりと発動してくれた。
まだ誰もいない教室にそろりと入ってくる人物。迷うことなく一目散にツバサちゃんのロッカーへと歩み寄ると、中に入れてあった体操服を袋ごと持ち去っていった。ここで映像は終わり。
盗るという行為は変わらないが、今までとの相違点は一つ。盗っていった人の制服が中等部の制服であったということだ。
「……はあぁ~」
「ラルさん?」
ツバサちゃんの呼び掛けには応じず、代わりにポケットから電子端末を取り出す。真っ先にフォース君と連絡を取った。二、三回コールが鳴るものの、切れることはなく、しっかりと繋がった。
「……もしもし」
『はい。なんでしょうか』
なぜ、敬語? いや、突っ込む元気もないわ。このまま話を進めよう。
「確かめて欲しいことがある。……ツバサちゃんのこと、中等部で噂になってないかっていう感じかな。ステラちゃんとリーフちゃんに聞いた方が早いかもしれない」
『なるほど。そういうこと? 分かった。五分……三分くれ。再度、かけ直す』
察しがよすぎるフォース君はピンと来るものがあったらしい。細かく質問しなくとも、調査してくれるようだ。こういうとき、フォース君は本当に有能である。
しかし、電話か。……うーん。
「いや。メッセージ送って。電話出られる気がしない」
『? 了解』
疑問に思ったらしいが、それを聞いてこなかった。ぷつんと電話が切れると、今度は別の人物に連絡を取る。恐らく、出てくれると思うのだけれど。
フォース君とは違い、ワンコール鳴った後に電話が取られる。あちらから落ち着いた声が響いてきた。
『はい。どうかしましたか、会長』
「ここ最近、頻繁に呼び出してごめん。ユーリ君が有能なのがいけないんだよ。自分の才能を恨んでね……?」
『は、はあ……お褒めいただき光栄です……?』
電話の相手は、ツルギ君の落書き事件やらで駆り出し、生徒会の仕事ばかりさせているのが申し訳なくなるくらい、頼りまくっている後輩の一人、ユーリ君だ。
「調べて欲しいことがある。詳しいことはメッセージで送るから……あ、時間、大丈夫? というか、今は学校?」
『ええ、学内ですよ。時間は気になさらず。会長の命とあれば、そちらが最優先ですから』
あひゃぁ~……頼もしい。流石、私が見込んだだけのことはあるな。我ながら、人を見る目はあるものだ。
「何人かと協力してどうにかして欲しいんだよね。人選は任せる。時間は……二十分でどうにかなるかな。時間がないから、これ以上は妥協出来ない」
『問題ありません。それでは』
ユーリ君との連絡が終わると、手早くメッセージ画面を開き、そこにやって欲しいことを簡潔に打ち込む。そして、それを送ると、端末をポケットにしまった。
これで、なんとか……うん。なんとかしよう。
「ど、どうなったんですか……?」
「長くなりそうだし、話は生徒会室戻ってから話そうかな。ここでやれることはもうないからね」
「ってことは、犯人分かったの?」
そうなるのかな。まだ推測の範疇ではあるけれど、恐らく、これが答えだと思う。
二人が立ち上がり、私もそれに倣って立ち上がる。が、そうは問屋が卸さないようだ。久し振りの能力発動に加え、短時間に連発したことが重なって、視界が大きく歪む。かなり強めの目眩に立っていられなくなり、ふらりと前のめりで倒れる。意識はあるので、スローモーションに感じながら、倒れているなと呑気に考えていた。
「ラルさん!?」
「ラル!」
二人してそこまで叫ばんでも……
多分、ティールに支えられ、床にべったんとすることはなかった。まだ視界が回復していないせいで、自分がどうなっているのかはさっぱりである。それでも、ゆっくりと床に寝かされる感覚はあり、頭は柔らかい枕的な何かがあるから、痛くはなかった。誰かの体操服でも引っ張ってきたのか、何なんだろう。……いや、考えない方がよさそうだ。知らなくていいこともある。うん。
ぐるぐるする視界が回復するまで、意味があるかは分からないが、目を閉じておく。
「大丈夫ですか、ラルさん!?」
「だ、大丈夫……ふらついただけだから」
「前はもっと連発しててもこうはならなかったのに。……年?」
「女の子にそれはねぇだろうよぉ、ティールくぅん……? こんなんでも、乙女だからねぇ? 見えないかもだけど、乙女! 女子! OK?」
「乙女はそんな汚い言葉遣いはしません。……無理するなって言ったのに」
「もっとやれると思っていたってのもあるけど……こんな短い時間で連発は初めてだったんだよ。四回だぞ。四回」
どうせなら、もう一回やって、きりよくしておこうかな。意味もなく。ここまで来たら、目眩を何度体験しても同じだろ。
「ツバサちゃん、手、握って~」
「は、はい!」
……今、私の頭上からツバサちゃんの声が降ってきていた。いや、気にするな。私は寝かされているんだから、上から聞こえるのは当たり前なのだ。
どう思われたのか分からないが、きゅっと握られた手を私も握り返す。そして、これが本当の最後ですなんて思いながら、能力を発動させようとする。
見るなら、未来かな。……今後、被害に遭うかどうかを確かめよう。なければ、間違っていないってことだし、続くようなら根本的に考え方を変えるべきだ。
流石にこの状態じゃ、無理だと思っていたのだが、律儀な能力さんは発動した。能力の反動の目眩は感じなかった─現在進行形でふらふらしているので、気付かなかっただけだろう─が、映像がフラッシュバックする。四回やっても明瞭な声は聞こえなかったのに、今回はしっかりと、しかし、一言だけ聞こえてきた。
『っざけんなよ!』
どこかで聞いた声とその声の人物が誰かに掴みかかろうとする絵。そこにツバサちゃんが……って!
「わあぁぁっ!? そういう展開かぁぁ!? って、視界が気持ち悪い!」
驚きすぎて、体を起こしてしまった。が、完全に回復していなかったのもあって、ふらふらとまた後ろに倒れる。
「ひゃあ!? ラ、ラル、さん?」
「何してんの?」
「時空の叫び……泣きの一回だよ。……そうなるのか。かなり時間ないのでは。これでもかなり時間を巻いてる方なのに……!」
「どういうことですか……?」
これは、説明しちゃおうかな……
「アラシ君達が勘付いて動いてる。……これ、私達がどうにかする前にアラシ君がどうにかするかも」
「ア、アラシが? 私、何も言ってないのに」
うん。ツバサちゃん、隠し事向いてないと思う。私が気付いたんだもん。アラシ君達だって気付いてると思うよ。
「そ、そうなんですね……演技、学んだ方がいいかな……?」
今のままが可愛いので、そのままでお願いします。
「解決するなら、それはそれでいいんじゃないかな? アラシ達が捕まえてくれるってことでしょ?」
「だ、だめです!!」
ティールの言葉にツバサちゃんは即否定した。視界不良で見えないけれど、恐らく、首をぶんぶん振りながら。
「アラシ、怒ると怖いんです! 大変なことになっちゃいます! 相手が!」
「あ、相手ぇ!? え、そっちの心配なの? というか、暴力沙汰……?」
「あ、あわ……どうしましょう。み、皆が……あーちゃんとか一緒にいれば止めてくれる、かな。ラルさん、あーちゃん、見えました!?」
え、と。アリアちゃんだよね? いやぁ……そこまでは視えなかったな。
「生徒会室に戻ろう。ティール、おんぶ!」
「その体勢だとだっこの方がやりやす……いや、そもそもスカート履いてるんだから、おんぶなんてしません! ちょっとごめんね」
どう運ぶのか知らないが、ひょいっと抱き上げられる感覚がした。ツバサちゃんに出来るはずもないため、これはティールがやっている。……あー、つまり、あれか。
「今まで、ツバサちゃんが膝枕してたの……?」
「え、あ、はい! 床に直接は痛いかなって。あ、その、嫌でした?」
「ううん。至福の時でした……天使の膝枕とか、死んでもいいかもしれない。天に召されるあれだよね。天使のお迎え的な」
「ろくでもない発言しない。生徒会室戻るよ。いい?」
「お願いします。あともうちょい休めば多分、立てるまでには回復すると思う」
ツバサちゃんはアラシ君達を巻き込みたくないと言っていたが、すでに手遅れ。しかし、それはある程度予測していた展開だ。が、アラシ君が暴力的展開をお望みなのは想定外。ヤバいヤバい……ツバサちゃんのためにも、どうにかしなければ。



~あとがき~
あと少しかなぁ~……?

次回、調子の悪そうなラルさんの推理ショー……いや、推理でもなんでもないけど、お話しします。

ラルばっかで申し訳ないです。いやね? アラシ君パートは……やること、なくてな……(泣)
次回のラルの話が終われば、一話は挟みます。

そして、今回は特に話すことねぇだぁよ~((
え、ツバサちゃんの膝枕? あれはツバサちゃんの優しさですよ。優しさ! ラルは見てないし、大丈夫大丈夫(?)

ではでは!