satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第46話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で奮闘する物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回はアラシ君が軽くキレてましたね。ぶちギレとかではないと思う。本気でキレたらもっと怖いと思いますし、周りにいたレオン君とかももっと焦ると思うんで。多分ね?
そいや、相手の団体さん人数決めてなかった。……何人だろ。三、四人くらいかな?←適当


《A side》
くっついてるツバサを離そうとするが、結構がっちりとくっついていて、なかなか引き剥がせない。
「ちょ、おい! 離れろって。大丈夫だから」
「大丈夫じゃない! こういうときのアラシは大丈夫って呼ばないもん!」
え、えぇ!? どういうこと?
「……ほ、ほんもの……!」
あ? こいつら、今、なんつった?
「なんだよ、あんたら……」
「だめー!!」
言葉の意味を聞きたかっただけなのに、なぜかツバサに止められる。こんなんじゃ格好つかないんだが。
すると、集団の一人がツバサに手を伸ばすのが見えた。俺はツバサを抱き上げて、バックステップで距離を取った。これ以上、何かをしてくるつもりなら、本気で負かしてやろうかと思ったが、そんなことになる前に何かが目の前を横切った。
「狼……? いや、影?」
俺達と怪しい上級生達の間に割って入ってきたのは、真っ黒な狼だ。……狼というよりは、中型犬くらいの大きさだが、見た目は完全な狼。そんな狼の姿に怪しい集団はたじろぎ、俺達と若干の距離ができた。割り込んできた狼がゆらりと揺れると、そこから人が現れる。幻術か何かで姿を変えていたのだろうか。
「こんにちは。……生徒会所属、二年のユーリ・ケインと申します」
俺達に挨拶をしたというよりは、上級生達にしているらしい。ユーリと名乗る先輩は確かに腕に腕章をつけていた。俺と同じ牙狼族で魔術科。違うのは髪の色くらいか。ユーリ先輩は真っ黒な黒髪だ。
ユーリという名前は時折、イツキ先輩から聞いたことのある名前だけど、この人がそう、なのか?
「逃げようとしないでくださいね。斬っちゃいますよ、後ろの彼が」
俺の疑問なんて知らないユーリ先輩が指差す方向には俺の見慣れた先輩がいた。明るい若草色の髪を風になびかせ、手には片手剣が握られている。
「にひ! 同じく生徒会所属、二年! イツキ・カグラだ! 許可はラル先輩から貰ってんだ。妙な真似したら無傷じゃすまないぜ? まあ、俺の仲間が治し……あり? リリィ? ユーリ、リリィちゃんは」
「置いてきたかも」
「おうふ。蹴られる……」
まだ来るのかと心で突っ込みを入れつつ、数秒待つと、校舎の方から誰かが走ってきた。多分、イツキ先輩が言っていた、リリィという人なんだろう。
「はふー! 二人とも早いよ~……あ、と、そこの二人とおんなじ、生徒会所属の二年生。リリアーナ・キルシュです。あなた方に窃盗の容疑がかかっていて~……ってのは、会長様が仰るかな」
ぱたぱたとやって来たのは、薄いオレンジの髪をショートにまとめた女の子。……ツバサよりは大きいが、小柄な方だと思う。うさぎ族特有の長い耳が垂れていて、その片方の耳に緑のリボンがついていた。恐らく、学年を表すリボンだ。本当ならローブに結ぶやつだったと思うんだけど。
え、えーっと? ツバサの出現だけで混乱しているのに、生徒会の人達が三人も……? どういうことなの。イツキ先輩に問いたい。
「……詳しい話は会長からあるそうなので、今は動かず、じっとしておいて欲しいです。一ミリでも動けば、そこの剣術馬鹿の剣が飛びますよ」
「ん? おお! いいよ! 俺の華麗な剣捌きを見せてやろう~♪ 腕の一本は飛んじゃうかもね」
「いっちゃん、物騒! ゆっちゃんも、脅すようなこと言わないのー! 危ないでしょ。ごめんね、ミユルちゃん、シエルくん。会長様、直々にこの場を収めてくれるから……それまで待っててね?」
リリアーナ先輩がこちらを向き、安心させるように優しく笑う。どうやら、ミユルとシエルの知り合いらしいが……いや、ツバサもか。
「ユーリさん、ラルさんのお願い事は」
お願い事の内容は分からないが、ツバサとユーリ先輩は理解しているらしく、先輩はこちらを振り向かずに話し始めた。
「終わりましたので、こちらに。当初の予定であれば、生徒会室で意見をまとめ、準備が整い次第、確保される予定でした。が、ご覧の通り変更になりました。多少、足りないものはありますが、後日揃えられるでしょう」
……ってことは、ラルはラルで動いていたのか?
イツキ先輩が器用に剣をくるくるとバトンのように弄ぶ。鞘にも入っていない真剣のそれをよくそんな風に扱えるなと、感心してしまった。イツキ先輩はそのままの状態でユーリ先輩に話しかけた。
「もう見せてやれよ。先輩達が来る前に自白取ろうぜ? 俺達だけでどうにかなりそうじゃん」
「おー? 威勢がいいね、キーくん。でも、残念。来ちゃった~♪」
ひらひらと手を振って現れたのは、レイ学高等部の現、生徒会長だ。その後ろにはティールと……珍しくフォースもいる。
「ここは名乗っておくべきかな? 生徒会所属、会長務めています。三年のラル・フェラディーネです。よろしく」
「同じく、三年で副会長をやらせてもらってる、ティール・クランド。ぼく達が来た意味、分かるよね?」
「あー……会計兼書記やってます。おれの名前は知らなくていいので名乗りません」
フォースだけやる気が感じられないけど、ある意味いつも通りだ。え、凄いことに巻き込まれてる感じが凄い。何これ……?
戸惑う俺達をよそに、ラルはユーリ先輩の立っていた位置に歩み寄り、上級生の正面に立つ。営業スマイルを見せながら、淡々と話を始めた。
「まどろっこしいのは気分じゃないの。簡潔に述べます。ツバサ・ケアルの私物を盗んでいたのはあなた達ですね」
あなた……達!?
「ユーリ」
「はい。会長。……中等部での協力者……いえ、同志と呼ぶべきですかね。彼らからあなた方の話は聞いています。証言も取れていますし、お望みなら映像も用意しています。名前も全て上がってきていますし、ここで羅列してもいいですよ」
状況が飲み込めてないのは俺だけなのかと思ったが、レオン達もさっぱりみたいで、首をかしげている。そりゃそうだ。説明がない……が、ラルが来たと言うことは、こいつらがツバサをいじめていたということに……
「睨むな」
「いてえぇぇっ!!??」
別に睨んでないのだが、アリアにはそういう風に見えたらしい。後頭部にアリアのチョップを受けた。かなり不服であるし、かなり痛い。
なんで俺はこんな目に遭ってるんだ……俺、悪いことしてる? してなくないですか……?
アリアにどつかれた箇所を手で押さえつつ、痛さ故に溢れそうになる涙をぐっと堪えた。そんな俺をどう捉えたのかさっぱりだが、ツバサが俺に向かって必死に話しかけてきた。
「あのね、アラシ、いじめじゃないよ。私、いじめられてないから。あの……なんだっけ? えーと、すとーかー? なんだって!」
いやいや!! もっとヤバイやつじゃん!?
「観念して、お話ししてくれます? 彼らに」
「そ、それは……」
言いよどむ相手にラルは感情が乗っていない声を発する。俺達に背を向けているからどんな表情なのかも分からないけど、笑ってはいない……多分。
「言わないなら、しょうがない。……生徒会はある意味独立した機関。問題を起こした相手が、教師だろうが生徒だろうが関係ない。解決するために尽力を尽くすのみ。それくらいの権限と立場にいる。……今、あなた方は守るべき生徒ではなく、敵対するべき相手であると認識されているってことよ。それに、この場にいる部下達は私の命令一つで何でもしちゃえるんだよ。……生徒会を敵に回した意味をよぉく考えて、次の発言をしなさい。……ツバサ・ケアルの私物を盗んでいたのはあなた達ですね?」
ツルギのときと状況は似ているようで、まるで違う。相手を納得させるための話術だが、手加減というかツルギに対しては優しさというか、思いやりがあった。しかし、今はそれが全くない。
これが、ラルという生徒会長……この学園の生徒のトップ……なのか。
これを言われ、上級生達は全員、地面にひれ伏した。一言で表すなら土下座である。
「すみませんでした!! 彼女の物を盗っていたのは俺達です!」
やっぱり、達なのか……
「あ、あの~……口出ししてもいいっすか、ラルせんぱーい」
「どした、レオン君。急に先輩呼びして」
ユーリ先輩が現れてから怒濤の展開続きで、口を挟む余裕がなかったが、ようやくその余裕が出来たと見るやレオンが口を開く。ラルはちらりとこちらを見る。
「説明求めます……ツバサをいじめてたやつらでいいんだよね?」
「いじめてないけどね。まあ、犯人って言う点では間違ってない」
いじめじゃないって……物を盗ってたのに、それがいじめじゃないってどういうことだよ?
「落ち着け。アラシ君。……同じこというのめんどいな。ほら、説明してあげれば? 簡潔に」
熱を帯びる俺とは対照的にラルは冷静だ。再び、上級生に向き直ると、説明を促した。
「はい。……俺達、モフモフファンクラブメンバーがやりました」
……はぇ?



~あとがき~
途中までシリアスっぽかったと思うんですよ。
最後で台無しだよね。

次回、モフモフファンクラブとはなんじゃ!?
多分、ラスト! 多分!!

ユーリ達も動かしていたので、出しました。ラル的には相手が抵抗しまくるのなら、武力行使も辞さないので、そのための人手。使えるもんはとことん使う人で、そのための準備だって忘れないぞ。
リリアーナをちゃんと出したのはここが初めてですね。ユーリとイツキと仲良しです。よろしく!!

ではでは!