satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第47話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃってる物語です。本編とは一切関係関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
かなりの人数が出てきて、影が薄くなってる子達もいますが、その場にいるので脳内で補完しておいてください!!
以上!
ラル「……はい?」


《A side》
緊張感のあるこの場には相応しくない言葉が聞こえた。え、なんだって?
「モフモフファンクラブ、です。我々はモフモフを愛し、愛でるために生きているのです!」
あ、こいつら狂ってるぞ。
ここにいるほぼ全員が引きまくっている中、モフモフファンクラブの一員らしい上級生はモフモフのなんたるかを語りまくる。それを聞き流しつつ、ようやく冷静になってきた俺は、今の状況を理解しつつあった。
つまり、こいつらに悪意はなく、ツバサを好いているがための行きすぎた行為に走ったのだろう。俺達の考えていた、嫌がらせやいじめの類いは何一つなかったのだ。ラルがいじめではないと言ったのも、こいつらのことを知っていたのだ。
「……こんなやつらのために時間割いてたの、アホらしく思えてきたんだけど」
「ま、今日も平和ですっつーことだろ? よきかなよきかな~♪」
俺もレオンみたいに楽天家だったら、そんな風に割り切れたのかもしれない。今だけ、その性格が羨ましく思えてきた。
「えーっと、確認したいんだけれど、あなた方はツバサちゃんを傷つけるつもりはなかったってことでいいのかしら?」
ミユルの確かめるような問いに、上級生達は何度も頷いた。本当に悪意はないらしい。
「わ、悪いことにならなくてよかったけれど……会長さん、この人達はどうするんですか?」
「ん? 逆にどうして欲しい?」
え……? それをこっちに委ねんの?
「生徒会として、窃盗という行為は取り締まるけどね。反省文書いてもらって、それを提出し、盗ったものを返す。それくらいの処置しかしない。それ以上を望むなら、それでもいいって話だよ。重くて謹慎処分とか、退学とかもまあ、やりようによっては持ち込めるかなぁ」
こっわ……!! 敵に回しちゃいけない人、No.1だろ、この人!!
ラルの言葉に青ざめていく一員。そりゃ、ここまで大事になるなんて思ってもなかっただろうし、当然の反応かもしれない。冗談で言っている可能性もあるが、ラルの場合、冗談を本当にしてしまう気がしてならない。
「先輩の言葉が冗談にしろ、本気にしろ、それを決めるのは僕達じゃなくて、ツバサだよね?」
「ふえ!? え、えっと」
シエルに言われると、ようやく俺から離れ、モフモフファンクラブのメンバーらしい人達をぐるりと見渡した。そして、ラルを見上げた。
「私は盗られちゃったものが返ってくれば大丈夫です。なので、それ以上は望みません。……許してあげてください、ラルさん」
「被害者のツバサちゃんがそう言うなら、私達はそれでいいよ。……と、いうことなので、通常通りの処分を行います。ユーリ」
「承知しました。残りの人達はどうしますか? すでに帰宅した者もいるようなのですが」
「明日でいいよ。任せる」
「では、後日ということで。イツキ、リリア」
簡単な会議を終わらせたユーリ先輩は仲間であるイツキ先輩とリリアーナ先輩に呼び掛ける。どこかつまらなそうにしていたイツキ先輩はユーリ先輩の声にパッと明るく反応した。
「よーやくか! 待ちくたびれた~♪」
「はーい! いつも通りにやっちゃうよ」
「そうか。じゃあ、張り切って仕事してくれ」
「OK♪ ほらほら、ちゃっちゃと立って、ちゃっちゃと指導室へgo! 逃げようとしたり抵抗するなら斬っちゃうよ~?」
かなり物騒なことを言いつつも、ファンクラブメンバー達を誘導していく。斬るってところは冗談……脅しであるはったりだと思っておこうかな。うん。
「あ、そだ。アラシ!」
「……え、あ、はい!?」
もう終わりという雰囲気だったため、イツキ先輩に話しかけられると思っていなかった。若干反応が遅れたが、先輩は全く気にしていないらしい。にっと明るい笑顔を俺に向けた。
「ちょっと熱くなりすぎてたけど、ツバサのために色々してて、守ろうとしててかっこよかったぞ。んじゃ、また部活でな!」
「は……はいぃ!?」
あの人、どこから見てたんだ……!?
俺の疑問には察したのか、気づかないうちに声に出ていたのか分からないが、近くにいたユーリ先輩が答えてくれた。
「僕の魔法で隠してたので。全部見てましたよ」
「え、と……つまり?」
「最初からです。正確にはツバサさんがアラシさんに駆け寄る少し前からイツキはここにいました」
え、えぇ~……? 気が立っていたとはいえ、それに気づかない俺って……
「僕、魔力のコントロールには自信があるので。それでは」
ふっと笑い、丁寧にお辞儀をすると、ユーリ先輩は先を歩くイツキ先輩とリリアーナ先輩の後を追いかけた。この場に残ったのは、ラル達生徒会三人と俺達顔馴染み六人だ。どこか気不味い雰囲気を壊したのは、ずっと喋らなかったティールとフォースである。二人は同時に溜め息をついたのだ。
「丸く収まってよかったぁ~」
「まじそれな……おれ、武力行使も考えてたぞ。ラルがおれ達を引っ張ってくるから」
「不測の事態に備えただけだよ。ありとあらゆる可能性を考えて行動するのが私よ?」
にこやかに答えるラルの手には、どこから取り出したのか、白いハンカチがひらひらと風に揺れている。というか、ラルの言う不測の事態って……いや、終わったことだ。考えるのはよそう。
「それ、使う気だったのかよ。つくづく敵に回したくねぇ奴だな。……んじゃ、おれは帰るぞ。やることねぇだろ」
「お疲れ様。ステラちゃんとリーフちゃんにお礼言っておいて」
あの中等部二人も協力していたのか。俺達の知らないところで色々やってくれていたんだろうか。
フォースはさっさと校舎方面へと戻っていってしまった。それを見送りながら、ラルはぐっと背伸びをする。
「んー! 私達も帰ろっか。疲れた~」
「ラルは特にそうかもね。早めに切り上げよう。すること……は、あるけど、明日の君に託してね」
「うへー……ま、しゃーないね。ツバサちゃん、これは洗って返すよ」
「ほえ? そのまま返してくれても大丈夫ですよ?」
どっかで見た気がするなと思っていたら、あれ、ツバサのハンカチか。なんでラルが持ってるんだろう。借りただけだろうけど、フォースの反応からするに、何かに使う予定でもあったんだろうか。
「いやいや。礼儀としては綺麗にして返すのが一番だからね。……それと、アラシ君達に言うこと、あったよね?」
「う、はい。あ、あのね、皆」
くるりとこちらの振り向き、少し言いづらそうにしていたが、意を決して深々と頭を下げた。いきなりでこちらとしては、何のこっちゃ状態だ。
「心配かけて、ごめんなさいっ! 皆に心配かけたくなくて、黙ってたんだけど……それが逆効果になっちゃった。……本当に、ごめんなさい」
唐突でびっくりしたけど、恐らく、ラルか誰かに何かを言われたんだろう。黙っていたことをよくないと教えたのかもしれない。そんなことで、謝る必要なんてないのにな。
「いいよ。結果、何にもなかったし。お前が嫌なことされてないならさ」
俺がそう言うと、アリアがツバサに近づき、頭を軽く撫でる。
「……好きでやってただけ。大丈夫」
「そうね♪ むしろ、目立っちゃったのは私達だったし、こちらが謝るべきかもしれないわ」
「確かになぁ~? どっかの誰かが上級生に掴みかかるからぁ」
うっ……
ここぞとばかり、いじってくるレオンをよそに、シエルはラルに話しかけていた。
「でも、反省文書かせたくらいで止まるんですかね? ラル先輩」
「うーん? まあ、愛でるのは止まらないだろうな。また暴走するようなら……そうだな。あげてもいいようなの渡すとか」
「た、例えば……?」
「……相手は変態だからな。ツバサちゃんの何か。……彼ら、モフモフのファンクラブって言ってたし、毛とか? ブラッシングするときに出てきたやつとかさ」
……いよいよ、変態じみてきたな。

これは後日談であるが、ラルがツバサをブラッシングした際に、面白半分で出てくる抜け毛をモフモフファンクラブに提供したらしい。そのときのことをラルは多く語らないが、これだけは教えてくれた。
「ツバサちゃんガチ勢怖いわぁ」
と。一体、その場で何があったのか気になるが、きっと……いや、絶対ろくでもないから、考えたくはないし、知りたくもない。卒業まで、関わらないようにしていきたいものだ。



~あとがき~
なんか投げやりですが、終わりでっす!!

次回、せっかくなので、この物語オリジナルキャラのユーリ、イツキ、リリアーナの物語をば!
こんな機会でないと書けないですし! いつもの五人の休日回はお休みです。

ティールやラル、フォースのファンクラブがあるのはどっかで言って……作中ではティールしか出てきてないか。まあ、とにかく、有名人の三人にはあるんですよ。で、まあ、ツバサちゃんにも出来ちゃったって話ですね。今後は絡まないとは思いますが、どうなるんでしょうね。
というか、すでにある三人はそこら辺の管理どうしてるんだろう。干渉しているのか、不干渉なのか。フォースやティールは興味なさそうですが、ラルはいざこざ起きる前に手を打ってそうですね。

ラルがツバサちゃんのハンカチをどうしようとしたのかはご想像にお任せします。あれ、やらなかったネタの名残みたいなもんです。前の話で持ってくシーンをぶっこんだはいいけど、いざここまで書いたら、考えていたシーンを書く必要がなくなったんですよ。んでも、前のを手直しするのも面倒なので、そのままにしてあります。まあ、なんていうのかな。やれることはなんでもやっちゃうよ、みたいなことを伝えたかっただけですね。
フォースだけはどう使うか察してますが、ティールは気づいてないかな。そのやるところを見たら、「またそういうことする(汗)」ってなるとは思います。

ではでは!