satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第48話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんべんだらりと過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんの周りに起こった物盗りさん達を撃破(?)しました。今回は私の中で準レギュラー化してきた、生徒会の後輩組三人をピックアップします! 今後ないかもしれない!!←
視点はユーリです。よろしくね~♪


近所の公園にあるブランコに意味もなく揺られながら、ぼんやりと暇潰しをしていた。
今日は休日で学校もなければ、大した用事もないが─少くとも、僕の中では─暇だからという理由だけで意味もなくブランコに座っている訳もない。単純に待ち合わせをしているのだ。幼馴染みと呼称しても問題ないくらい、付き合いの長い友人を僕は待っているのだけれど。
待てど暮らせど、なかなか現れない。時間を間違えたのではと疑うくらいには待たされている感覚がある。とは言え、あの友人達と付き合うならこれくらいは許容範囲内ではある。
「ゆっちゃーん! お待たせなのでーす!」
「別にいいよ。暇だし」
やっと現れた一人目は薄いオレンジ色の髪とウサギ族のリリアーナこと、リリア。学外ということもあり、シンプルな白のワンピースと若草色の薄手のカーディガン姿だ。斜め掛けの鞄をぽんっと叩いた。
「今日やるはずの宿題が見当たらないので、もしやと思って、学校行ってたんだよ~……机に入れっぱなしだった」
「見つかってよかったね。……ところであいつ知らない?」
「いっちゃん? まだ来てないの?」
リリアの言葉に無言で頷いた。
もう一人の待ち人。リリア以上に付き合いの長いイツキだ。今回、休みだし遊ぼうぜとかなんとか言ってきたのはあいつなのに、待ちぼうけにさせているのは如何なものか。
「あ、メッセージ来てる。大変って何が?」
知らない。
リリアの個人チャットにでも送ったのか、僕の方には何もない。というか、電話を掛けるという行動は思いつかないんだろうか。
「二人でこっち来てーって言ってるよ? どこにいるのって返しとくね!」
何してんだ、あいつ……?
こちらは合流していると考え、リリアだけに連絡を取ったんだろうけど、何をしているのかをまずは伝えるべきじゃないか? それとも、それもできないくらいのことに巻き込まれ……いや、ないか。馬鹿に気の利いたことをやれとお願いする方が無茶な話だ。つまり、そういうこと。……そういうことだといいなぁ。
「あ、ゆっちゃん! なんか、大通りの方にいるみたい。行ってみよ」
「分かった。……何してるかは説明ないの?」
「うん。ないね。聞いてみる~♪」
リリアがメッセージを打ち込むのを待ってから、僕はブランコから立ち上がる。ふと、こんな休日からブランコ占領する高校生は、子供達から見れば敵なのかもなんて思った。まあ、誰もいませんけど。

イツキとの合流は案外早くできた。語ることがないくらいには早かった。そして、出会って開口一番に言う台詞は決めてあった。
「何してんの、イツキ」
「そーだよ、いっちゃん。何してるのって送ったのに、お返事ないし」
「やぁ~……変な奴見つけちゃってさ。尾行中?」
Gジャンにチノパンという完全休日スタイルのイツキは物陰からある人物を指差した。確かに、異様に辺りを見回して警戒しているみたいだけれど、それ以外には特に不審なところはない。
「私に連絡するくらいなら会長様にご連絡すればいいのに……?」
リリアの言う通りだ。身近にプロがいるんだから、そっちに指示を仰ぐべきだし、任せるべきだ。素人が首突っ込んでいいことなんて何もない。
イツキは僕達を見ず、怪しいと呼称する人物から目を離さない。
「ラル先輩には連絡してみたけど、出ないんだもん。多分、仕事中でダンジョン潜ってるよ。こうなると、俺の持ってる端末じゃ連絡取れない。ティール先輩も同じくでした」
ダンジョン内は電波障害が多く、一般に出回っている通信機器では対応出来ない。それこそ、探検隊や冒険家の持つ、専用機器でないと駄目だと授業で習った。まあ、ダンジョンなんて所は普通、用事があっても専門家に任せるのが常識で、一般市民の僕達には関係のない場所ではあるけれど。もちろん、授業でダンジョンに行くような実習はあるが、冒険科ではない僕とリリアは簡単な実習しか経験していない。やりたければ、個人的に授業を取るしかないが、残念ながら、僕もリリアも未経験だ。イツキは必修でやっているだろうけど、まだ二年に上がったばかり。未熟者だと言われても仕方がない。
「フォースさんは?」
「出てくれなかった~」
まあ、言ってはみたけど、あの先輩とは連絡がつく方が珍しいか。
「ってことで、尾行中」
「大人には知らせないの?」
「んなの言ったって、言いくるめられるだけだろ。そして、俺が怒られる! 当然の結果」
あぁ、そこまでは考えられるのか。よかった。
「ユーリ、俺のこと馬鹿にしてる?」
「いつものことだろ。……つまり、イツキはあの人の犯行を目撃してやろうって思ってる?」
「そそ! さっすが、相棒! 分かってるぅ♪」
馬鹿なのかな。探検隊でも冒険家でもない僕らが、そんなことしていいわけない。できるわけない。
「勘違いで責められても擁護ができない。資格もない僕達がやっていいことじゃない……って聞いてる? イツキ。リリアも」
いつの間にかリリアもイツキに倣って、影から相手をこそこそのつけて回っている。僕は数歩後ろについて回る。
「ゆっちゃん、なんか面白そうだからやってみよ。あと、こうなったいっちゃんは満足するまで止まらないよ!」
「リリィ、分かってるな!」
面白そうが本音か。
僕達は学園内で生徒会として色々やる身ではあるけれど、一歩、学園を出れば、どこにでもいる学生と変わらない。本当なら、こんなこと引っ張ってでも辞めさせるべきだ。……辞めさせるべき、なんだけど。こうなったイツキをとめる術を僕は持っていない。……つまるところ、僕も結局、お馬鹿な一人のようで。
「分かったよ。付き合えばいいんでしょ」
「おー! それでこそ、俺の相棒だよなぁ!」
抱きつこうとするイツキを片手で抑え、ついでに軽く手首を捻る。もちろん、怪我しない程度で。
「尾行しているつもりがあるなら、大声出すのやめろ。馬鹿」
「あだだだっ!?」
「よぉし、生徒会出撃~♪」
リリアが楽しそうに言っているけれど、それはちょっと……いや、かなり語弊が……?
こうして、僕ら三人の何でもない休日がとんでもない休日へと姿を変えるわけだけれど……当然ながら、このときの僕が知るよしもない。



~あとがき~
この三人の話の中で、イツキに対してユーリは何回「馬鹿」って言うんでしょうね?

次回、唐突に始まる尾行大作戦。

ユーリの服装についての描写がありませんが、まあ、普通です。ロングベストにYシャツとかそんなんです。←適当

当初のプロットではおふざけシーンもあったんだけど、丸っとカットしてます。というか、話の流れ……導入ですね。三人で買い物して、なんかイツキがお菓子を買わされるってネタ的な導入的な何かがあったんだけど、没ってます。まあ、いいか。

ではでは!