satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第219話

~前回までのあらすじ~
五人で夏祭り堪能しました。(全カット)
ピカ「フォース君とポチャが二人で射的するシーンも!? 私が珍しくポチャはかっこいいんだぞーとかなんとか言ってるのに! 私の彼氏かっこいいだろ的なことを言ってるのに!?」
イブ「すーくんが初日に寄ったところのアズマオウさんにマイエンジェルとかイケメンに言ってるシーンあったのにー?」
それだけで一話は無理やて……
ピカ「いけるって! 無駄話を伸ばす天才じゃん」
ポチャ、フォース「やめてください。お願いします」(土下座)
チコ「……は、始まりまーす!」
今回は時間が進んで、花火大会前です!


花火大会開始までの時間が迫り、お客さんもすっごく増えた。昨日よりもいる気がして、それくらい、皆が楽しみにしていて、大切にしているってことなのかもしれない。
昨日は私とチコちゃんとすーくんの三人だったけれど、今はピカさんとポチャさんもいる。場所取りする前に買っておいた、屋台飯を各自好きなものを食べながら時間まで待っていた。
「こんなにゆっくり花火を待つのは久しぶり? いっつも警備に駆り出されてるよね」
「屋台は巡ってたけど、花火は初めてかもね」
ピカさんはべっこう飴、ポチャさんはりんご飴を食べている。ピカさんはその前に焼きそば食べていたけれど、ポチャさんはずっとりんご飴のような……? あれ、いくつ目なんだろ。実は一つのりんご飴をゆっくりのんびり食べてる……のかな。
「三つ目だよ。イブちゃん」
ポチャさんの横でちろちろとべっこう飴を舐めていたピカさんが呆れた様子で教えてくれた。そんなピカさんに臆しないポチャさんは本当に美味しそうに食べている。
「あはは♪ まだまだいけるよ~♪」
いやいや! りんご飴大食い選手権じゃないんですけど!! そこまで食べなくても!
「ポチャ的には屋台毎に使っているリンゴが違うんだってさ。飴で包まれちゃえば、味なんて全部一緒だろって気もするんだけどね」
「分かってないなぁ、ピカ。これはね、飴とリンゴの酸味のバランスが大事なんだよ? 拘ってるところは飴にも力入れて、リンゴのほのかな甘みを忘れずに引き立てて……」
「あーはいはい! 分かった! 分からないけど、分かったからじっくり堪能しててねぇ~? 至福の時なんでしょ?」
「うんっ!」
普段と立場逆転してる気が……
ピカさんがそっとポチャさんから離れ、すーくんの横に座る。場所取りしておいたところは余分なスペースがあるから、移動してもきゅうくつになることはない。
「ペンギンにもこんな一面あるんだな」
「残念ながら、私の相棒はこんなんだよ」
すーくんとピカさんでどうでもよさそうな話が始まる。
「海の国の王子様、威厳ねぇなぁ」
「それは元々ない。そういえば、ウィルさんもあんまりないよね。神様なのに」
「捨ててきたからな。威厳」
「ふうん。……俺様のときはあるよね。普段よりはだけど」
「あっちが本性だからな」
「……普段のウィルさんがいいなぁ。親しみを感じるお兄ちゃんで」
「あ、馬鹿。そんなこと言ったら……」
「やっほー! 皆のお兄ちゃんだよぉ~♪」
お兄ちゃん呼びが嬉しかったのか、るーくんが飛び出してきて、すーくんに飛び付いた。けれど、すーくんはそれを全力で阻止する。
「呼んでねぇ。帰れ」
「照れなくてもいいんだよ、かーくん! お兄ちゃんはかーくん大好き! かーくんのために生きてるからねっ!」
「誰がここでそんなことを言えと」
「ウィルさん、どこでも現れますねぇ~♪ はい。たこ焼きのプレゼント」
ピカさんの発言で来ちゃったんだけど、なんだろう。わざと来るように呼んだ気がしてきた。
ピカさんがるーくんの口にたこ焼きを突っ込んだ。買ってから時間は経っているから熱々ではないけれど、大きなものをサービスで入れてくれていたから、結構なボリュームがある。それを気にせず、ピカさんはぽいぽい入れちゃってる。すぐに口の中がたこ焼きでいっぱいになったるーくんはもごもごしていた。
「ふぉーふあ」
「何。後にしてくれ」
「ふぃふぉーの、ふぇふぇふぁー」
「あれ、何かありました?」
「んー……ふぉーお、ふぁんふぁふ」
「あぁ、兄貴の分野になんのね。能力関係ならマスターだと思ってたわ」
「んー! ふぁーらふぉれぇ!!??」
「頂点はマスターさんだけど、割り振ったときにウィルさんに属するんでしょうか」
「ふぇ……ふぁやぁ~」
……なんで会話出来てるんだろ、この三人。
会話しながらも口の中のたこ焼きはなくなったのか、ごっくんと飲み込んだるーくんは当たり前かのように話を続ける。
「……俺なのおかしいよねぇ~? やだやだ」
「昨日のやつに参加したお咎めは? 神様」
「ないよ。まだ誰にも言ってないからね。まあ、何か言われても大切な弟の頼みなのでって言い訳するけどね!?」
「その言い方だと、おれが怒られる奴だな」
「大丈夫大丈夫。なんとかなるよ。神様である前にお前の兄ちゃんだからね!」
「んー? じゃあ、ウィルさん、私が助けてって言ったら助けてくれますか?」
「もちろん。いいよ!」
そう簡単に安請け合いしちゃっていいのかな。神様なのに……
こんな下らない話をしている間に、ところどころに設置されたスピーカーから、まもなく始まりますというアナウンスが流れる。
「もうそろそろ始まるって」
「うんっ♪ 楽しみだね、チコちゃん。昨日は途中だったもん。最後まで見たいよね」
私より前に座っていたチコちゃんの近くに移動し、空を見上げる。雲一つない夜空。ここに今から花火が上がるんだ。
じっと見ていると、小さな火の玉が空へと昇っていき、大きな破裂音と共に大輪の花を咲かせた。一つが上がれば、次々と昇ってはきらきらの花を咲かせていく。周りからの歓声も聞こえてくる。
「おお、今年もいいね~♪」
「こういうときは君の方が綺麗だねって言うんだよね!? ね、ポチャ君!」
私と同じように空を見ていたピカさんにるーくんが後ろから抱きついた。そして、どこで覚えてきたのかべたべたな口説き文句を嬉々として口にする。突然、話を振られたポチャさんが慌てて反応した。
「ん!? え、えっ!?」
「やっだぁ、ウィルさん。それは月を見て言う奴ですよ~♪ まあ、あれは月が綺麗ですねって言うんだけど」
「遠回しじゃない? 分かりにくくない?」
「そういうのをロマンチックって言うんですよ」
「人の子って難しいなぁ」
ピカさんとるーくんの話に、ポチャさんがどうしたらいいのか滅茶苦茶戸惑っている。言えってことなのか、無視していいのか、対応に困るやつだ。
「直球に可愛いねっ! って言っちゃ駄目?」
「いいですけど、連発すると軽く見られますよ。それに有り難みもなくなりますし」
「ふうん? あ、ってことは、かーくんに会う度、可愛いって言っちゃ駄目なのか! だから、かーくんからの視線が冷たいの!?」
「フォース君のそれは違うと思いますけど、しつこいとは思われてるのでは」
「可愛いじゃなくて、大好きって言えば……」
「そうじゃないと思います」
冷静なピカさんの突っ込みにるーくん、ガクッと落ち込んでる。……なんだか、かわいそうなことになってきてない? と、いう気持ちを込めてすーくんを見る。私の視線に気付いたすーくんは、私をちらりと見て、一言。
「ほっとけ。花火見ろ」
……あ、はーい。
その後も大輪の花を空に咲かせ……こちらでも会話に花を咲かせながら、花火大会を過ごした。ここまで……特に昨日は大変だったけど、それでも最後は楽しく終われそう。楽しい思い出に出来たから、終わりよければ全てよしってやつだ。
「また、来年。皆で来たいなぁ」
未来がどうなっているかなんて分からないけれど、変わらず楽しく、花火を見たいなって、思わず呟いた。それを聞いていたらしいチコちゃんが私を見て、満面の笑みを見せる。
「そうだね! また、来られるように頑張ろう」
「うんっ♪」



~あとがき~
さぁさ。次で最後だ。

次回、ピカとフォースの密会です。
密会っていうとあれだけど、まあ、秘密のお話ですよ。お話。

どうでもいい話ではありましたが、これくらいが一番楽ですよ。わやわやしてくれる方が気が楽です。いや、本当にね。

あ、皆さんはりんご飴三つも食べないようにね!! ポチャの真似っこしちゃ駄目だよ!?
ピカがよく許したなって気もしますが、頑張ったご褒美だと思います。明日からは制限されます。きっと(笑)

ではでは。