satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第50話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で無茶苦茶して遊んでいる物語です。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、攻撃されました。
イツキ「わ~い♪ ざっくり~」
ユーリ「されたこちらとしては、突然なので正当防衛ってことになりますかね」
まあ、なる……かな? 君達、知らない人をつけ狙ってたけど。
イツキ「必要なことだったので!」
ユーリ「本当に勘違いだったら、怒られるだけじゃ済まなかったよな」
イツキ「いーの。攻撃されたから、悪い奴なの」
ユーリ「……」


それなら、わざわざ幻術を維持するのも魔力の無駄だ。勝手に解かせてもらおう。パチンと指を鳴らして、魔法を解除した。とはいえ、気配は殺したままではあるが。僕の腕をぎゅっと掴み、リリアが少しの焦りの色を見せた。
「ど、どうするの? 銃なんて……魔法弾の銃なら見たことあるけど、本物だよ!?」
「本物もまあ、見た目は一緒だよ。実弾銃の方が重いとは思うけど。……イツキ、使った経験は?」
「な~い。俺の得意なの、近距離戦だぞ。牽制で遠距離技は使うけどね。ユーリは?」
「見たことはあるけど、撃った経験はない」
「やってそうなのに」
「僕の得意分野知ってて言ってるなら殴るぞ」
リリアが僕らのやり取りを黙って聞いていたが、小さく息を吐いた。
「二人とも、冷静だにゃ」
「焦っても仕方ないし。……ふむ。ま、使い手を封じればいいよね。あの小屋周辺に状態異常系魔法をかける。……視界を奪えば、ある程度パニックになって何人かは倒せるかな。イツキ、適当に殴ってこい。リリアは窓を塞いで、その後は僕達のアシスト。極力、攻撃するな。唯一の回復要員なんだから」
「待って。俺に対する配慮が何もないんだけど」
「戦闘馬鹿に配慮する余裕はない。じゃ、合図したらそれぞれ動くぞ」
僕は周りの状況を探るために放っていた狼達の視界から得られる情報を、丁寧に且つ素早く頭に叩き込む。この周囲と小屋の内部だ。魔法の使い手がいるなら、この魔法もバレるかもしれないけれど、そのときはそのときだ。
「りょ、りょーかい!」
「納得いかない……ユーリが冷たいよぅ~」
周囲に敵の気配と姿はない。となれば、あの小屋内部にいる人達だけを相手にすればいいようだ。……後から増援が来るという線も捨てきれないけれど、そうなったら、全力で逃げて街のギルドかどっかに逃げ込もう。そうしよう。
「……中は五人……いや、六人か。魔法使いは見える範囲には一人。色は赤だから、炎系統の魔法だな。光魔法はなさそう」
小屋の中はかなり殺風景だ。そんな室内にいくつも積まれた段ボールと大金が異様に写る。
扉のある方面の窓から銃口を向けている人が一人。残りのメンバーでこれからどうするのか慌ただしく会議しているらしい。その隙に先制攻撃を仕掛けられると更にパニックに陥り、尚いいだろう。
「じゃあ、魔法での回復はされないね!」
「準備しよう。……イツキは扉のところに。リリアはここで窓を塞いで、それが出来たら、イツキの後ろに静かに移動してきて」
狼達を消し、次の魔法の準備をする。視界を奪うための妨害魔法……一種のデバフ効果のある魔法をかける。普段はここまで中規模な魔法は使わないけれど、使わない=使えないではないのだ。
「……リリア」
「うんっ! じゃあ、造るね!」
リリアの魔法で無数の岩が窓へとはめ込まれていく。石垣のように組み上がり、あっという間に窓を覆った。それが出来上がったのを見届けると、僕は両手を小屋へと向けた。
「……よし! 暗転!」
小屋周辺に大きな魔法陣を出現させ、その魔法陣が怪しく光ったと思ったらすぐに消える。僕らはイツキの元へと近付き、リリアは後ろ、僕はイツキの隣に立つ。
「一応、聞いてあげる。武器は?」
「あったら構えてますよ~」
そりゃそうだ。こんなことになるなんて想像していなかったし、普段から武器を持ち歩くタイプでもない。元々、遊ぶつもりで家から出てきたわけで、外である程度遊んだ後は、イツキの家に行くつもりだった。武器を装備する必要なんてない計画だったはずなんだけど。どこからおかしくなったのやら。
「今は敵の視界を奪ってるけど、効果は三分足らずで切れる。とりあえず、出てきた奴らを倒していこう」
「OK! ま、武器なくても戦えますし! いけるいける~♪ ユーリもいるし!」
その、僕に対する絶対的な信頼はどこから生まれてくるの。意味が分からない。
どたばたと音を立てながら、六人中三人が小屋から半ば転がるように出てきた。突然暗闇に襲われ、外に光を求めて、手探りで出てきたのだろう。だが、それでも視界が明るくなるなんてこと、ないんだけれどね。
「な、なんでここも暗いんだ!?」
「お、まずはひとーり!」
イツキが立ち上がろうとする敵一人を寝技で押さえつける。綺麗に技が決まっているようで、全く抜け出せない。剣の才覚を見せるイツキだけど、一通りの武術は取得しているため、こいつの接近戦は何かと恐ろしいものがある。空手、柔道、合気道と思い付く武道系の格闘技というか、その辺はマスターしている。勉強より運動という典型的な例だ。
さて、じっとしてないで残りの二人を黙らせるか。
どうにか武器である拳銃を構え、ふらふらと立ち上がる一人の手元を狙い、蹴りを入れる。拳銃を空中に飛ばしてから、そのままの勢いで今度は頭を狙い、回し蹴りを繰り出す。ほぼ止まったままの的に蹴りを決めるのは楽なもので、簡単に吹き飛んだ。久し振りに前衛に出てきたため、加減がおかしい気がする。ここまで飛ぶか。
「人ってこんなに簡単に飛ぶもんなの?」
「お前の蹴りが威力あるだけだから!! 認めて!? 接近戦の鬼だから!」
敵に関節技をし続けてるイツキが叫んだ。昔からの友人にそのようなことを言われるとは思わなかった。戦闘はイツキの専売特許のはずなのに。
……失礼な。基本的に僕は後ろでサポートするのがお仕事。本来なら、敵に妨害かけつつ、アシストが得意分野なんです。本来なら、な。
落ちている拳銃を拾い、どれだけの弾が入っているのかを確認する。持ち手のところからカートリッジみたいなものを引き出すと、約十発といったところか。まあ、見たところ拳銃だし、弾数はそんなものだろう。
「く、来るな!!」
半狂乱していると言っても過言でないくらいにパニック状態のようで、なりふり構わず、剣を振り回している。迂闊に近づけないが、剣を落としてしまうか、動きを止めればいい。
「……当たるかなっと」
振り回す剣の当たらない位置で、相手の手元をよく狙う。実弾銃を使った経験はないけれど、少しでもかすればいいんだ。的は大きいし、なんとかなるだろう。しっかり構えて、引き金を引く。安全装置は外れたままだから、ちょっとした動作であっけなく鉄の塊が飛んでいった。
「いってぇぇ!」
敵の腕に見事命中し、相手の動きが止まる。拳銃をベルトとズボンの間に突っ込みつつ素早く移動して、相手の懐へと潜り込んだ。鳩尾に一発入れ、よろけたところを腕を掴んで投げ飛ばした。がくりと動かなくなったのを確認すると、落ちた剣を拾う。何か装飾がしているわけでも、特別な効果を持つようなものでもない。ここに魔力石とか埋め込まれていれば、魔法のような攻撃とか、補助がついて、使える武器なのだが。ま、そんな高価な物を持っているわけもないか。
「あっけないなぁ」
「こっわい……俺、お前が怖い。ノリノリじゃん」
相手にしていた一人が気絶したのだろう。引きずりながらこちらに近付いてきた。拝借した剣をイツキに手渡し、僕は肩をすくめる。
「嫌々だよ。残りの三人は……懸命に小屋の中で効果が切れるのを待ってるのかな」
足元に転がる一人とちょっと離れたところで伸びている一人を回収し、その辺の木の近くに寝かせておく。紐とかあればいいなと思ったところで、イツキにしてもらえばいいことに気付いた。
「こいつら、拘束出来る?」
「ほいほいっと……ちょっと力貸してね、植物さーん」
普段からしているブレスレットから淡い緑色の光が現れると、いくつもの蔓が伸びてくる。そして、気絶している三人を植物の蔓でぐるぐる巻きにしていく。そこそこの太さもあり、頑丈そうだ。
「リリア」
「はいはーい!」
「こいつら起きないように見張っといて。攻撃してこようとしたら、黙らせていいからね」
「リリィ、大丈夫? 攻撃出来る?」
完全に悪ふざけの顔だけど、リリアは知ってか知らずかそれに乗っかり、しゅっしゅっとシャドーボクシングをする。
「むむっ! いっちゃん、私を可愛い女の子だと思わないでよ!? ちゃあんと戦えるんだからっ」
「可愛いまで言ってないけど……リリィの攻撃魔法って遠距離専門じゃね?」
「まあ、得意なのはそうだね。でも、いざとなったら、岩を出現させてぶつけるから♪」
いや、死ぬやつじゃあ……いやいや。大丈夫。きっと、この人達も頑丈だから……うん。起きないことを願おう。
倒した三人はリリアに任せ、僕とイツキは再び小屋の近くまで近寄っていく。
「残り半分は小屋の中。……もうすぐ三分経つけど、追加で何かする?」
「攻撃力低下とか? え、難しい?」
「ううん。視界を奪うより楽」
「嫌らしいなぁ~……ま、戦いなんてそんなもんだよね。ユーリのデバフ攻撃、えぐいわ」
「……? 褒めてる?」
「滅茶苦茶褒めてる。……待ってるだけとか性に合わねぇな! 乗り込もうぜ」
「いいけど、狭いからなぁ」
イツキが渡した剣を振り回すなら、二人入るのは少し怖い。配慮はするだろうけれど、当たりそうだ。それなら、敵の動きを遅くしてしまえば、危険度も減るか? そうするか。
「……あっちの素早さ下げるから、イツキが乗り込んで。僕は後ろで待ってる」
「りょーかい。素早さ下げるって、俺らからどう見えんの?」
「ん~……強さにもよるけど、最大で掛ければ完全にスローモーション? 止まって見えるみたいな」
「うわ、それやりたい。お前の動き、止まって見えるぜ! とか言ってみてぇ~♪」
「はいはい。じゃあ、そうしてやるよ」
お調子者の要望にお応えしてやろう。イツキに言われたからというよりは、そっちの方が早く片付きそうだしね。
視界を奪ったときのように小屋周辺に魔法を掛ける。先程と同じ魔方陣が現れ、すぐに消えた。
「いいよ」
「やったー! 突撃!」
お前だけな。



~あとがき~
祝五十話。

次回、順調すぎてあれなので、試練を与えます←

ユーリがバリバリの武闘派ですが、本人はそこまで乗り気ではないです。蹴り飛ばしたり、投げ飛ばしたけど、戦いが好きというわけではない。ないけど、好戦的な態度ではあるのかなと。どこで身に付けたとか、なんでここまで肉体派(?)なのかとか考えてはあるけど、話に出てくるのか謎。

ではでは!