satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第51話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で自由気ままに生活している物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラル達が一切出てきていないオリジナルキャラ達の話、四話目です。怪しい人達の半分を撃退し、残りも同じように倒していくぞ。ってところですかね。
ユーリ「こちらとしてはいきなり攻撃されたから戦ってますが、本当に悪なのか確認出来ていないんですよね」
……あ~……そうね。まあ、大丈夫。本当に悪い人達なので。
ユーリ「この物語ってほのぼのと言いますか、ギャグ路線の日常系だと思っていたんですが」
それは相方さんの役目だ……! せっかく、探検隊という設定があるんだから活かしたいよね!
ユーリ「……それ、言い訳」


イツキは剣を中段に構えたまま、小屋の入口へと踏み込もうとした。が、それは叶わず、素早く横に回避した。僕もイツキと同じように回避していた。イツキが避けたのは偶然なのか、日頃の感覚なのかは分からないが、僕に関しては微かな臭いで判断した。
何かが燃える臭いだと。
小屋の入口からいくつもの火の玉が飛び出してきて、さっきまで僕のいたところめがけて飛んできていた。これを放った人物は一人だけだ。
「炎属性魔法……赤髪の」
「ファイヤーボールだよ! 燃える弾丸だよ!! 燃える!」
弾丸だとバレットじゃ……まあ、いいか。
炎に有効な水属性の魔法は僕もリリアも使えない。防御するだけなら、リリアが壁を作ってくれるだろうけれど……遠距離魔法対決になんてなったら、戦いなれているであろう敵に軍配が上がりそうだ。リリアはあくまでも後方支援。回復を得意としているし、本人もそれを優先的に行う。魔法戦闘は期待しない方がいいだろう。
それにしても、だ。僕の魔法が効いていない? 確かにかけたと思ったんだけれど。不発なんてことはあり得ない。素早さダウンはかかっているはずで、魔法発動にも時間がかかる。僕らの突入前に魔法を完了させてたなのだろうか。
「……っ!? ユーリ、来るぞ! 下!」
「マジか」
野生の勘を発動させたイツキの指示で、前に飛び出す形で避ける。イツキも飛び退いて、その場から移動していた。規模は小さいながらも、確かな威力がある火柱がいくつか上がる。幸いにも全て避けられているけれど、これからもそうなるとは言えない。
「火ぃ、こっわ!! 魔法攻撃なら回復でどうにかなるか!? いや、でも怖いわぁ! 火傷痛いもぉん」
子供か。痛いけども!
突撃を中止したイツキが僕の近くまで駆け寄ってくる。リリアのところまでは火柱は届いていないみたいだ。火の玉は射程圏内ではあっただろうが、当たっていないみたいだ。その証拠に彼女の元気な声が聞こえてくるし。
「あっぶないなぁ! もう! むやみやたらに魔法をぶつけてこないでよねっ」
彼ら視点からすると、僕達は排除すべき存在で、こちらも攻撃しているんだから、おあいこなのでは。まあ、先に仕掛けてきているのは、あっちだけど。しかし、この先どうしたら……?
中には三人。一人の魔法使いがいて、その一人は遠距離から炎属性の魔法をばんばん打ってくる。残り二人は魔法メインではないにしろ、彼らからの洗礼もあるかもしれない。そして、なぜだか僕の魔法も無力化されている。状態異常の回復用の魔法を使っているのか、それ用のポーションでも使ったのか……いや、多分、最初の妨害で対策されたんだろう。魔法かポーションで対抗値でも上げてきたと考えるべきだ。
僕はイツキの手を掴み、小屋の入口から離れる。それと同時に二つの幻を作り上げた。これで、敵はあの幻を狙って攻撃してくるはずだ。少しの時間稼ぎにはなるだろう。
相手の死角になる場所へと移動すると、イツキと向き合った。これからについて話す必要がある。
「……僕の魔法、通用しないかも。ここまで解除が早いってことは、対策されてるってことだから」
「じゃ、真っ向勝負といこうぜ。それしかないし」
「馬鹿か。魔法相手に素手? 勝てるわけないだろ。お前の使う技も炎と相性が悪い。リリアの魔法で入口塞いで、誰か助けを呼ぶ方が得策」
「えー? その間に壊されたら? 逃げられたら? あの人達、またどこかで悪さする。分かってて見過ごせって? んなの、俺のプライドが許さねぇ。先輩に色々教えてもらってるのに、ここで活かさないでどこでやるんだよ」
「じゃあ、ここで危険を侵せって!? 僕達は学生で、探検隊でもなんでもない! ただの子供だぞ! ちょっと戦えるからって勝てる相手じゃないのは分かっただろ!?」
イツキの言葉も一理あるのは分かる。狼を通して見た物の中には、怪しげな品々に多額のお金もあったのだから。何かの取引をした後なのは明白だ。それを見て、知っているから、ここで食い止めた方がいいのは理解している。しているが、それを僕達だけでできるかどうかは話が別だ。力がないのは、自分達がよく知っている。
「分かるよ! 一人じゃ勝てっこねぇよ。まだ残ってるかもしれないし、増援が来るかもしれないって考えてる。……だからって、諦めるのは俺じゃない! 善悪以前に、俺が俺でいたいんだよ!」
この馬鹿! お前の気持ちなんてどうだっていい! ここでできもしないことをするなって話だよ。理解してくれ。
イツキは引くなんて考えていない。目をぎらつかせ、できるって信じきっている。できなくても、少しでも可能性があるならそれに掛けるべきだと考えているんだろう。しかし、僕はそんなのはどうだっていい。結局、周りがどうかなんて、二の次なのだ。
「……僕はイツキとリリアに怪我なんてして欲しくない。危険すぎる状況なんだよ。二人でも通じる相手じゃない確率の方が高いんだから、引き返して、誰かに助けを乞うべきだ」
「ユーリ。……喧嘩するのに無傷なんてあり得ない。危険を承知でやらなきゃなんないときだってあるよ。ここでやらなきゃ、あの人達は俺達を狙ってくるっしょ? 俺達自身を守るために戦うんだよ」
何それ。馬鹿みたい。それ、ここで突き通す必要あるのかよ。逃げるのも手だって理解しろよ。……けど、昔、同じようなことをイツキに言われたのを思い出す。

僕は子供の頃、いじめられていた。小学生の低学年くらいか。魔法を使えるかどうかの判断がつき、学校でもそれらの使い方なんかを学んでいた頃だ。攻撃魔法を使えないか、使えるかという差の優越感を浸りたいだけの悪ガキ共に目をつけられてしまったのがよくなかったのだろう。今にして思えば、本当に下らないし、イツキと一緒に様々な稽古をしていたのもあって、蹴散らす力はあったと思う。しかし、当時の僕にそんな勇気はなくって、悪ガキ達に言われるだけ言われ、やられるだけやられていた。泣きながら小さくなるしかなかった僕に、イツキは何度も助けてくれ、いじめっ子達を追い返してくれていた。その度にイツキは不満げにしていたが。
「ゆっくん、強いのに。あいつらをたおせるくらい……ばーんって、できるのに」
幼い頃、イツキは僕のことを「ゆっくん」と呼び、僕はあいつを「いっくん」と呼んでいた。
むっとしているイツキ……いっくんに「いっくんみたいに強くはない。立ち向かう勇気がないんだから」と言うけれど、全然納得はしてくれない。でも、それ以上は何も言わずに、僕の手を引いて家に帰ってくれた。ある日、登校中にいっくんは真剣な顔をして言ったのだ。あのいじめっ子達と喧嘩をすると。そんなのは駄目だと言ったものの、頑なに納得してくれなかった。
「どっかで立ち向かわなきゃ、ゆっくん、ずっといたいまんま。何かを守るためには、たたかわなきゃダメってじっちゃんも言ってたから。……おれ、ゆっくん、守るためにたたかうってきめた」
小学生が言う台詞かよと高校生ユーリは、突っ込めるけれど、聞かされた小学生ユーリはかなり慌てたし、焦った。いっくんの強さは知っていたし、怒ったら手がつけられないのも知っていたから。その心配は的中して、いじめっ子相手に大暴れをした。それはもう、盛大に。いっくんのお祖父さんに習っていた剣道でこてんぱんだ。─そして、お祖父さんに滅茶苦茶に怒られていたけども─それを機にいじめっ子はちょっかいを出さなくなった。出さなくはなったけれど、よくある話で、上が出てきたわけだ。おれのにーちゃんすごいんだぞ! 的なやつである。お前の兄さんは強くてもお前は強くないんだが……まあ、いっくんが呼び出され、お前も来いよと僕までも呼び出された。これ見ようがしに魔法と年齢を全面的に出して、一方的に暴力を振るう彼らに、いっくんは僕を守ると聞かずに果敢に挑んだ。しかし、一対多で勝てるはずもなく、やられそうになった彼を見た僕は……
僕は、戦ったんだ。
魔法攻撃なんて出来ないし、いっくんみたいに剣……当時は竹刀を握る勇気はなかったから、僕に出来る最大限の魔法を使った。

「おーい? ユーリ?」
さっきまで言い合いをしていたにも関わらず、急に黙った僕に心配そうな表情を向けていた。ぶんぶん目の前で手を振るのは当時と変わらない……変わらないでいてくれるイツキ。勇気のない僕とは大違いの、僕の親友で相棒で。僕の憧れ。
「……っぁあー! もう!」
「お、おおう。……んだよ。ユーリに止められたって、やる気満々だかんな!?」
「いいよ。止められないのは分かってるから。僕はいっくん……二人を守るって決めた。そのためになら、何でもするさ」
「……え、と、ユーリ……?」
戸惑うイツキには目もくれず、再び小屋の入口へと足を運ぶ。何か具体的な案がある訳じゃない。確信がある訳じゃなかった。漠然とした何かを浮かべながら、何が出来るのかを考える。体内にある魔力を感じながら、少しずつ組み上げていく。ここまでにかなりの魔法を連発してきた。今の魔力量でどれだけのものが出来上がるのかは分からない。しかし、ここで失敗するイメージなんてなかった。
「あいつが解けないくらいの魔法を見せてやる……僕の専門分野だ。負けてたまるか」
「ユーリ……ちょ、ゆっくん!」
「後は任せる」
「待て待て! ゆっくん、何を」
「いつも僕の前を歩くいっくんが好きだよ。……いつもみたいに、かっこいいところ見せてくれよ」
さあ、そのためのお膳立てをしてやろうか。



~あとがき~
初期プロットから大幅変更してないか!? なぜだ!!?? 構成組んだ意味は何処へ!

次回、顔も見えない敵との決着だー!
こいつらに時間かけすぎ! ヤバイ!

最初、ユーリ、イツキ、リリアの三人をピックアップするつもりが、いつの間にかユーリとイツキの二人に変わってますね。特に視点がユーリなのもあって、ユーリがなかなか目立ってます。……おかしいな。まあ、しゃーないか。いつか、リリアはリリアでメインにしましょう……イツキ視点は書きにくそうだからやりたくはないけど、イツキメインもやりたいです。願望です。
ほのぼのしてぇ~(笑)

ユーリの過去がチラ見えしましたが、彼の最大の暗黒期は多分、高校上がる前です。事ある毎にちょっとしたチンピラに囲まれる体質(笑)のユーリは、年を重ねる毎に反抗するという行動を覚えますので、中学辺りはイツキと一緒に暴れてたと思います。いや、吹っ掛けられた喧嘩しか買わないと思いますけどね!? イツキは色んなところから買ってそうだけど、それにユーリが巻き込まれる……とか? イツキは正義感からチンピラに立ち向かってるんでしょうけどね。その迷惑を被るのはユーリという……かわいそうなポジション(笑)
あ、彼が好戦的な感じになるのはこの辺の影響です。つまるところ、イツキが悪い。可愛くて草食男子っぽいユーリを奪いました←

ちなみに、今回出てきた回想時、リリアーナには出会っていないので、出てきませんでした。彼女とは小学三、四年で出会う感じです。小学生卒業まで、二人はリリアーナをりっちゃん呼びしてました。呼ぶとこなさそうだし、もしかしたら、一生出てこないかもなので、ここで出しときます。
ゆっくん、いっくん、りっちゃんです。リリアーナからすると、ゆっちゃん、いっちゃんを今の今まで貫いてますね。

ではでは!