satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第221話

~前回までのあらすじ~
長かった夏祭り編がようやく終わりました! やったね!! ってことで、久し振りの日常。のんびりゆっくり流れに任せてお話をしていきますぞ。
今回はポチャ君視点でお送ります。なかなかないよ? ポチャ視点でやるとか。これが最後かもしれないよ!? 喜べ!
ポチャ「!?」
ピカ「何それ。ウケる」
ポチャ「えっ」
はっじまるよぉ~!


「せっかくだから、この辺見て回ろうよ。どうせ暇だろ~? はい、決定!」
夏祭りの一件から約一週間。溜まりに溜まった仕事を片付けるべく、各地を回っていた。そして、それもようやく一段落した。……のだが、彼女の一言で、仕事を終えたぼくらが基地へと帰る予定が変更された。まあ、こんなものは日常茶飯事であるし、驚きはしない。どういった気紛れなのかは知らないけれど、きっと気分なんだろう。今現在請け負った仕事も終わったし、問題はない。
そんな我らのリーダー、ピカはぼくの半歩前を歩いていた。いつもなら首に空色のスカーフをして、トレジャーバッグを肩にかけて、探検隊らしく、どこかのダンジョンへと出掛けている。が、今の彼女の姿は首に桜の花びらのような淡いピンクのマフラーをし、空色のスカーフはリボンのように左耳にしてあった。流石にトレジャーバッグは肩にかかったまま。どこかに置いておくわけにもいかないし、それは仕方がない。対するぼくも首に空色のスカーフはなく、右手に巻いてあった。
ちなみに、ピカがこんな格好をするときは完全にオフのときだけ。つまり、休みのときに外に出掛ける格好なのだ。それにしたって、マフラーはしないけれど。しかも、桜色……そんなの持っていたなんて聞いてないんだけれど。
「ねえ、ピカ? なんでマフラーなんてしているの? まだ秋にもなってないよ……?」
「秋になってなくても、ここら辺寒いんだもん! 聞けば、ここの夏はもう終わったらしいじゃん」
そう言いながら、ピカは首の巻いているマフラーを少しだけ上に上げて、口許を隠しながらこちらを見た。そして、ぼくはピカに言われて気がついた。そういえば、動くのが嫌になるくらいの暑さを感じない。ぼくにとっては丁度よいくらいだけれど、それはぼくが寒さに慣れているから。基地のあるトレジャータウンは温暖な地域だ。そして、寒さが苦手なピカにとってはこれも寒いのうちに入るようで。
「ふぅん……でも、言うほど寒いかな? ぼく的にはもう少し低くても……」
「あーあーあー! そんなことになったら死んじゃう! 永眠しますぅ~」
「永眠って」
冬眠じゃなくて、永眠なんだな、と思いつつ、そもそもピカチュウは冬眠なんかしないよな、と思い直す。
ピカは耳を下げ、両手で塞ぐような仕草をしながら、ぷくっと頬を膨らませていた。これ以上この話題の話はしたくないという意思の表れか。こういうところはなんだか、子供っぽい。
こんなの、ぼくくらいにしか見せないなぁ……なんだか、嬉しくなってきちゃう。
「ごめんごめん。冗談だよ。だから、怒らないで」
「別に怒ってないけど。でも、次その話したら、麻痺状態にして、その辺に置いてく」
「それを怒ってるって言わないで何て言うの!?」
「何て言うんだろーねぇ♪」
これまた子供っぽい、いたずらっ子のような笑顔を見せて、くるりと前を向いてしまった。

夏が来る少し前、ぼくはピカに自分の気持ちを伝えた。本当ならもっと前に言えたらよかったんだけど、ぼくの性格が災いして、あとピカが天然なのか作戦なのか定かではないが、全くぼくに興味を示さなかったから、タイミングが掴めなかった。
ううん、きっとこれはただの言い訳だ。単純に怖かったのだ。彼女の隣にいていいのか、分からなかったから。難しいことを何でもないようにやってしまうピカがぼくの誇らしいパートナーで、親友であった。一番近くで見られて、支えられて嬉しく思う自分もいた。
だからこそ、怖い。
チームのリーダーとして、前を歩くピカがぼくのことなんて待ってくれないような気がした。待っててくれたとして、それはピカの邪魔なんじゃないかと、そんな風に思ってしまった。
置いていかれるのが嫌だったんだ。
だから、必死でついていきたくて。
ぼくが守ってあげるって言えるようになりたくて。
でも、そんな強さなんて持ち合わせていなくて。
強くなるまでは、何も言わない。気持ちは伝えてないんだと決めて。
……そんな言い訳をして、ぼくはずっと探検隊のパートナー同士、親友でいることに満足してしまって。
いつの間にか、一歩後ろでいることがピカの幸せだと思い込んでいた。それが違うと思い知ったのは、不思議なピカチュウと会ったときだ。ピカにどことなく似ている彼女はフォースと関わりがあって、そのときはお互いすれ違っていた。だからかもしれない。伝えなきゃいけないと思わされたんだ。
……色々言ったけど、結論的に言うと、ぼくとピカは友人よりももっと深い関係になったわけだ。なっただけで、他に行動を起こした訳じゃないし、いつも通りで何も変わりない。ぼくにとって、恋人同士になった事実だけで精一杯なのだ。
そういえば、ピカはそこんところどう思っているんだろうか。

今回、訪れたのはスノウレイタウンというところ。ぼくらが住むトレジャータウンより北にあって、夏が短く、冬が長い地域の一つ。大陸はトレジャータウンとスノウレイタウンは同じだけど、こうもがらりと気候が変わるのが面白い。まあ、単純に、大陸が広いのかもしれないんだけど。
この辺に来たのも、依頼があって来ただけだった。ピカが嫌う遠出になったけど、嫌とも言えないし、言わせない圧力をかけつつ、難なく依頼を完遂してきた。で、寄り道をすることになったわけ。
ぼくの隣でゆっくりと歩きながら街を観察しているピカは楽しそうだ。
「トレジャータウンとは違った雰囲気のある街ね」
「そうだね。……気候的にも、草タイプがほとんどいないんだね。寒いから当たり前か」
「氷タイプとか水タイプ多めで、街の雰囲気もそれに合わせてるって感じ。……こういうの、私、結構好きだなぁ」
白を基調とした全体的に静かな街だ。いつも賑やかで、ぽかぽかしているトレジャータウンとは真逆と言っていいかもしれない。だからといって、活気がないわけではなく、人もそれなりに多い。
「地域ごとに雰囲気違って、造りも違って、見てて面白いよねっ♪」
わぁ……ピカがそんなことを言うとは。
なんてことを考えていたら、そのことが顔に出ていたらしく、じとっとした目で覗きこんできた。
「なぁにぃ? 変なこと言ったぁ?」
「ううん。ピカからそんな言葉を聞く日が来るなんて思わなかったから」
「馬鹿にすんなよ~? 興味くらいあんだぞ~」
「どっちかっていうと、ピカって引きこもりじゃない……? なんか変な感じする」
「いやいや。引きこもりなら探検隊とかアクティブなことしないから! ってか結局、変だって言ってるじゃん! フォローしようとか、隠そうって思わないの!?」
「そう言うってことは、ぼくの考えてたこと分かってたんでしょ? 隠す必要なくない?」
「あはっ♪ まあねぇ~」
隠したところで、結局ピカの口から「こう思ってたくせに」なんて言われるんだから、意味ないんだよね。……なんてことを言うと、また何か言われるから黙っておこう。



~あとがき~
ポチャ視点だとなんか色々脱線しそうです。
なんでやねん。

次回、ピカとポチャがうろうろする。多分。

実はこれ、お祭り編の執筆途中で書いています。本来なら順番通りに書いているんですけどね。ネタがね、ふっとね、来たもんだからね!!
というか、バトルが嫌になったから反動ですね。仕方ないね。

ピカはマフラーとか依頼先ですることは普段しないです。理由は単純。邪魔だから。よっぽど寒くなければ、いつものスカーフ姿ですね。
でも今しているのは、仕事終わってお休み気分で気が抜けているからです。あとちょっと寒いから。
寒さが苦手ってのは、本編のどこにも言ってない気がします。ピカは寒いの苦手です。それ関連の話ははじソラの方でやると思います。こっちでは……もうやらないかな……多分(笑)

ではでは!