satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第60話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しく過ごす物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックです。
前回は、アラシ君視点で大会前ののほほんとした女の子達のお出かけを……あ、違う?
じゃあ、屋台巡りを開始しました。はい。
アラシ「この後が殺伐としてるみたいな言い方してない?」
してないよ~?
アラシ「……そうかぁ?」
そうですよ……決して、この後のバトルが~とか考えてませんよ、はい!
アラシ「考えてたな」
……はい。


《A side》
それぞれ、お目当ての食べ物を見つけたようで、それをパクつきながら、だらだらと屋台巡りを楽しんでいた。
「そういえば、アラシさん。大会には参加するんですか?」
鈴カステラを頬張るステラが俺の方をちらりと見ながら質問をする。その答えとして、俺は小さく頷く。
「まあな。この大会に参加するっていう憧れはあったんだよな。中等部時代に見学してたからさ」
「ほへー? 私はあの乱戦見て参加したいなんて思いませんけどね~」
そこら辺は価値観の違いだな。毎年が乱戦だらけではないが。
「アラシさん以外にお知り合いは参加しないんですか? ツバサは出ないんだよね? 確か」
リーフの言葉にツバサは肯定する。おばさんに止められたって話は俺もツバサ本人から聞いていたから、把握済みだ。理由が理由なだけに、どうしようもない。
「俺はレオンと同じ部活の人達くらいしか知らないかな。……出そうだなってやつの見当はついてるが」
レオンに関しては、大会の受け付けが始まってすぐに、「勝負しようぜ!」と持ちかけられた。参加人数が不明だったのもあり、試合ルールが明らかになっていない状況で、何を言い出してんだと呆れたが、気がついたら了承してしまっていた。
「レオンのやつには絶対負けねぇ」
「? 何があったんだろう」
俺の反応に不思議そうにしているリーフに、ツバサが笑顔で答えた。
「ん~……いつものことだよ♪ アラシとレオンは何かある度に勝負するから♪ 勝った方が言うこと聞くーとかそんな話してるんじゃないかな?」
よくご存じで……なんて。ガキの頃から似たような光景を見てきたツバサなら予測なんて簡単か。
「今回の試合ルールは、ブロック戦からのトーナメント戦でしたっけ。アラシさん、どこのブロックかは決まってるんですか? すーくん、知らないの一点張りで教えてくれないんですよね~」
フォースの場合、説明するの面倒だから言わないだけって可能性の方が高そうだ。まあ、答えは本人にしか知り得ないだろう。
「ブロックは直前のくじ引きで決めるらしい。……あいつとは被りたくないんだけどな」
俺の脳裏に目をぎらつかせ、片っ端から相手をなぎ倒すアリアの姿が浮かぶ。想像しておいてあれだが、そのイメージに少しの寒気を感じてしまう。俺はそれらを振り払うように頭を横に振った。
事情を知らないステラとリーフはきょとんとしていたが、アリアを知るツバサは何とも言えない表情を浮かべていた。
何も知らない二人に軽く説明してやろうかと考えていると、ステラが何かを見つけたのか、はっとしてあるところを指差す。
「あ、駄菓子屋さん! 私、行ってきまーす!」
「わあ♪ ほんとだ! 待って、ステラちゃん! 私も行くー!」
よく見えたな。って、お前が行くなら俺も行かないとじゃね……?
先に行ってしまったステラとツバサを追いかけようとするが、ふと視界に見知った人を見た気がして、ぐるっと見回してみた。すると、俺達から離れた屋台付近に、話に出てきたレオンとアリアの姿がある。嬉々としてたこ焼きをこれでもかっていうくらいの量を買い占めているにも関わらず、更に買おうとしているらしい。それをレオンは必死に止めている。俺を散々いじり倒す馬鹿でも、アリア相手にはあんな風に振り回されるもんだから、アリアの食欲というものは恐ろしい。
俺としては、ある意味見慣れた光景だ。レオンがアリアの暴飲暴食を見張るため一緒に行動しているのだが、あれで少しは抑えられているのかは怪しい。いやまあ、アリア一人だとこの辺の屋台全部、平らげるかもしれないが。
友人として、仲間としてはあそこでレオンの加勢に行くのが美しき友情なのかもしれないが、生憎、今の俺はツバサのお財布係……もとい、女の子三人のお供として忙しい身だ。……まあ、忙しくなくても、助けには行かないけど。だって、関わりたくないし、俺一人行っても変わらないし、色々怖いし。試合前にアリアのパンチとかチョップとかその他諸々食らいたくない。マジで。
「どうしたんですか、アラシさ~ん? ツバサ達、行っちゃいますよー!」
少し離れたところでリーフが手を振っている。追いかけてこない俺を心配して、呼んでくれているんだろう。アリアのこの一帯を買い占めそうな勢いに焦るレオンと、あいつの心配なんてどこ吹く風といった雰囲気で、美味しい食べ物を目の前に楽しそうなアリア。彼らを見て、そっとリーフに視線を戻した。
「何でもない! 今行く!」
つーことで……レオン、任せた!

この後のレオンとアリアを俺が見届けることはなく、また、レオンとアリアの今を知らない三人は駄菓子屋でお菓子を楽しそうに選んでいる。
別にいいんだけれど、食べてばっかだな。
「アラシ、これにする!」
「……はいはい」
財布を取り出して、店員にお金を渡す。選んだお菓子を袋にまとめてもらい、それを受け取ったツバサは嬉しそうにしていた。
「今度、ツルギと一緒に食べよーっと♪」
「いいんじゃないか? あいつも喜ぶだろ」
「うんっ!」
ステラとリーフも選び終わったらしく、俺と同じように会計して、それぞれ袋を手にしている。
「こういう素朴な味って美味しいですよね。洋菓子甘さとは違ってと言いますか」
ステラはそう言いながら、金平糖をいくつか手のひらに出す。そして、リーフとツバサに分けた後、残った金平糖を俺に差し出してくれた。ありがたく二、三個ほどつまみ上げ、口の中に放り込むと、ほのかな甘味が広がった。ずいぶん、久し振りに食べる金平糖を味わいつつも、苦笑を浮かべる。
「そうかもな。でも、素朴なって聞くと、年寄りみたいだぞ……?」
「そんなことないですよー! あ、でも、すーくんはこういう方が好きです。だから、すーくんのせいですね」
え、あ、そうなのか……? いや、フォースのせいじゃない気が……
「次はどこ行こっか?」
切り替えの早いステラはもう次の目的地の話をしている。うぅん……ま、いいか。
「せっかくだし、何かゲームみたいなのもしたいなぁ……近くには、射的があるけど。フォースとかティールさんに任せた方が確実……」
「あ、でも、あの射的屋さんの景品、一番のマスコットかわいい! くまさんっ!」
そこの射的は景品を打ち落とすのではなく、的当てのような感じらしく、得点毎に景品が選べるようなルールらしい。ツバサが可愛いと言ったマスコットは、三番目に高い得点の中に含まれている。そしてこれは偶然だろうが、熊のカラーはブラウン、エメラルド、ホワイトの三色が揃っている。三人の髪と似たような色だった。
「私、欲しいなぁ……」
「ツバサちゃん、挑戦する? じゃあ、一緒にやろ! 行こ行こー!」
「ふえぇ!? わ、私は……!」
「あーもう。強引だなぁ、ステラは」
「リーちゃんもやるんだよ? 三人でくまさんゲットだー!」
「得意じゃないのにー……まあ、いいけどね~」
ステラに背中を押される感じでツバサが連行される。それを呆れつつも、ついていくリーフ。
……えっ!? ツバサがやるの? それはちょっと……いや、かなりまずいやつなのでは。遠距離系全般、大の苦手なのに。
しかし、止める隙もなく、ステラが手際よく三人分の料金を支払ったらしく、射的屋の人は三つ銃をツバサ達に手渡していた。こうなってしまうと、断るに断れない。かくなる上は俺がやるしかないが……どういうわけか、銃を持ったツバサはやる気満々で、コルクを銃に装填しているところだった。
「……大丈夫か、ツバサ? なんなら変わるけど」
「うん。……せっかくだから、挑戦してみる……!」
えーと、嫌な予感がするのは俺だけか?



~あとがき~
思ったより屋台巡りするな……?

次回、苦手な遠距離系に挑戦するツバサちゃん! 一体どうなる!
部活見学のときに出てきた話を今ここで出します。覚えている方はいらっしゃるのか……(汗)

アラシ君がレオン君を見捨ててますが、別にアラシ君が冷たいからとか、レオン君が嫌いとかではないです。単純に空腹アリアちゃんに関わるのが嫌なだけですね……(笑)
こういうときのアリアちゃんは、レオン君に任せるのが基本なんだと思います。なんかそんな風に習いました。まあ、アラシ君がレオン君に助け船を出さないのは、日頃の仕返しの意味合いもなくはなさそうですけど。……どっちにしろ、レオン君が大変な思いをするのは変わりません。ドンマイ、レオン君。

ではでは!