satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第61話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃる物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック推奨。
前回は色々巡って、射的屋に到着したところまでですね。そこで女の子三人は射的にチャレンジするぞ! ってところで終わりました。
思ったより屋台探索が長いなと思っております。まあ、楽しいんでいいんですけど!
アラシ「やり過ぎると後が辛いぞ」
ステラ「そうですよ。試合の描写とか」
いや! 聞きたくないわ!!
アラシ、ステラ「……」


《A side》
三人同時ではなく、まずは言い出しっぺのステラが銃を構える。弾はよくあるコルクで、これまた普通の射的によくある銃だ。銃口に弾を込め、引き金を引けば、簡単にコルクが撃ち出される。
的には様々な形があり、大きければ得点が低く、小さくなればなるほど得点が上がる仕組み。これまたよくあるルールだ。景品を撃ち落とす代わりに的を撃ち落とすのだろう。見る限り、的は簡単に撃ち落とせると思うが、それは狙いどころがよければの話だ。ぼったくりする気がないだけましなのかもしれないけれど、レイ学の生徒で銃を専門に扱う人からすれば、楽勝過ぎる気もした。遊ぶのは専門家だけじゃないし、問題ないのか。
ステラは両手でしっかりと構え、銃身を支えている。じっと狙いを定めて、引き金を引く。高く乾いた音が響くと、直径が二十センチくらいの丸い的を撃ち落とした。もう少し大きい的があるから、それよりは得点が高いはずだ。
「お。思ったより撃ち落とせる気がする! 景品はもらったー!」
「ステラはいいよね。これ、得意分野だもん。ワタシの代わりにやってほしいくらいだよ」
「へっへっへー! ま、銃を撃つのは久しぶりだし、すーくん達の足元にも及ばないけどね」
二人の口振りから、フォースやティール─話には出てきてないが、もしかしたら、ラルも─はこういった類いは得意なようだ。ラルは刀を使うけど、残りの二人が銃をメインに扱うのかまでは分からないが。
ステラに続けて、リーフも同じように構える。とりあえず、一番大きな的に狙いを定めて、引き金を引いた。当たるには当たったものの、場所が悪く、倒れるまでには至らなかった。
「うっ……当たったのになぁ」
「んーと。リーちゃん、もう少し上だとバランス崩せると思う」
「了解っ!」
ステラもリーフも楽しそうにしているが、ツバサだけはどこか緊張している面持ちだ。場所がないってのもあるかもしれないが、苦手だって気持ちと例によってあんなことになるのではと、頭の中がぐるぐるしてるのかもしれない。
ステラが狙っていた景品をもらえるくらいには稼ぎ終えた頃、ようやくツバサが銃を構える。
「ごめんね、待たせちゃって。頑張れ、ツバサちゃん!」
場所取りの関係で、一人終わるのを待っていたと考えているらしいステラは、そくささと後ろへと下がった。そんなステラにやんわりと笑うツバサ。
……大丈夫かなぁ。
「……えいっ!」
銃を撃つときのかけ声としては可愛らしいものを発したツバサの渾身の一発は、狙いを定めた大きな的を目掛けて一直線に飛んでいく……のが、普通なのだ。本当なら。
「……ってえ!!」
「ひゃあ!? ご、ごめん! アラシ!!」
後ろで見ていた俺の目の前に、ツバサの撃ち出した弾が額に直撃する。本来ならあり得ないのだが、足元にコルクが一つ落ちているために、嘘ではないことがはっきりと分かる。
ツバサのやる遠距離攻撃……と言っては語弊があるが、銃や弓、道具を使った投げる、『うつ』ことに関しては、天才的な能力を発揮する。今のようにあり得ない軌道で物が飛んでくるのだ。銃なら狙った物以外に……誰かに当たる。ボールも同じように明後日の方向に投げ、誰かに当たる。なんかもう、とりあえず、誰かに当てまくるという謎の迷惑能力なのだ。じゃあ、魔法の遠距離攻撃はと思うかもしれないが、そちらには適応されないらしく、しっかりと狙った的や敵に当てることが可能だ。
「えーっと、これはどんな軌道なんだろ……? 弾って、前には飛ぶけど後ろに……?」
ツバサと俺を交互に見て、ステラはしきりに首を傾げている。分かるよ。俺も当たる度にいっつもそんな気持ちだ。これに関しては理屈ではないので、諦めるしかないんだけれど。
当たった額を撫でつつ、落ちているコルクを拾う。コルクは何の変哲もないただのコルク。射的の弾。まじまじと見たところで、その事実が変化するはずもない。
「ていっ!」
もう一度、ツバサが引き金を引く。そして、結果は変わらない。
「いっったぁぁ!?」
再び、吸い込まれるように俺にヒット。いや、もう、本当に……清々しいくらいキレイに当ててくる。その命中力にはその、あれだ。……アコガレマスワー……
「みゃ、みゃあぁぁっ!! ごめん!!!」
申し訳なさとどう頑張っても俺に当たるという理不尽な状況に涙目のツバサ。
「ツバサちゃん、ちょっと貸して?」
「う、うん……」
後ろで見ていたステラがツバサの銃を持ち、さっと構える。そして、一番小さい的を狙う。さっきは全く狙ってなかったけれど、当たるのか……なんて、心配は無用だったらしい。きっちり撃ち抜き、ツバサに銃を返した。
「ちゃんと前に出てるよね……ってことは、ツバサちゃんが何かしてるの?」
「ううん。……実は、いつもこんな感じ……なの」
「えぇ!?」
「偶然じゃなくて?」
ようやく終わったらしいリーフも困ったような表情を浮かべた。そんなリーフの質問に、ツバサは無言で頷いた。
「も、もう一回、撃ってみて? ちょっとちゃんと見てる!」
どうなっているのか気になるのか、ステラはとんでもないお願いをする。今は俺だけでも、他の人に……なんなら、ステラ自身やリーフにも当たるかもしれない。周りの人にだってあり得るかもしれないのだ。しかし、好奇心の方が強いんだろう。
ステラに言われて、ツバサは三度、銃を構える。狙いは変わらず、一番大きな的。
パンと乾いた音にステラとリーフの視線は俺に向く。見られている俺はというと、額を押さえてしゃがんでいた。ここまでくると、悲鳴をあげる暇もない。
ふっつーに滅茶苦茶、痛いんだけど……理不尽……
「三発全部、アラシさんに当たってますね。ある意味、ツバサはスナイパーの素質があるのかも。狙ってない人に当てるスナイパーさん……」
「百発百中だね! ある意味……だけど」
「ふ、ふえぇぇ……」
ステラとリーフの慰めも苦しく、ツバサの声も震えている。これ以上はやっても無駄だろう。
「ツバサ、あと何発あんの……?」
「あ、あと、三発……かな」
「残りは俺が……」
「あ、あと一回だけ! 最後! やってみる!!」
今日に限って、なんでそこまで気合い入ってんだ。
「くまさん、自分で取りたい……」
ステラと……あと、ギリギリだったみたいだが、ステラのアドバイスの下、リーフもお目当ての熊のマスコットをゲットできる範囲まで点数を取っている。一人だけ、取れていないのが嫌なんだろう。
「この展開はいけるやつだー! ツバサちゃん、いっちゃえー!」
……ステラのやつ、面白がってるな。
ラストチャンスにツバサは変わらず、一番大きな的を狙う。それにステラもリーフも目一杯声援を送る。ただのお遊びなのに、手に汗握る展開じみてきたのはなんでだろう。
「あ、アラシじゃん。こんなところで奇遇だな~」
「え? あ、イツキ先輩。と、ユーリ先輩、でしたっけ……とリリアーナ先輩?」
ひらひらーと軽い挨拶をしてきたのは部活の先輩のイツキ先輩。それに先輩の友達のユーリ先輩とリリアーナ先輩も一緒にいる。
ユーリ先輩は何を食べていたのか竹串を口に咥え、リリアーナ先輩はたい焼きを頬張っていた。イツキ先輩は何も持っていないけれど、多分、食べ終わってごみは捨ててきたって感じだろうか。
「覚えていてくれて光栄です」
「一回だけだったもんね。会ったの!」
二人の先輩はほぼ初対面レベルの俺に対しても、笑顔を向けてくれた。
例のもふもふ事件が初対面で、そこから面と向かって話した記憶はない。……あの件は思い出したくもないけど。



~あとがき~
長くなりそうなんで次回に続く。
ここまで続けるつもりなんてなかったんや……(汗)

次回、観客が増えてきた射的屋さん。ツバサちゃんは見事当てることはできるのか!!
……まあ、当てはするか。

本編ステラ……イブですね。イブが銃を使うシーンはほぼないに等しいですが、使える設定ではあるんですよね。んでもって、こちらの世界ではメインとまではいかないまでも、ある程度は習得しています。ステラの相方がフォースですし。
私のメインキャラで言うと、銃の腕前は
フォース→ティール→ラル=ステラ→リーフの順ですかね。ラルとステラはどっこいどっこいだと思います。現場慣れしているという面で、ここぞという対応力が抜きん出ているラルに軍配が上がるでしょうが。今回の場合だと、ラルもステラも変わらなそうです。

ではでは!