satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第62話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で日常生活をはちゃめちゃに楽しむ物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック。
前回はツバサちゃんの秘められた力が発揮しました。あれは物理法則なんて効かないんです。そういうもんです。餌食になるのはアラシ君です。
アラシ「……」
ツバサ「ふえ……」
アラシ「あぁぁぁ!! 大丈夫! 大丈夫だから! そんな泣きそうな顔になるなって!」
まあ、使わなきゃ平気だから大丈夫! 大丈夫!
でも、球技大会みたいなことするときは大変だね。そんなのあるのか知らないけど。
アラシ「もうそれ以上は言ってやるな」


《A side》
三人の先輩と面識があるらしい、ステラとリーフはぺこりと頭を下げていた。そんな二人にリリアーナ先輩はステラとリーフ、交互にぎゅっと抱き締めている。どういう関係なんだろうか。
「リリアは可愛いもの好きなんですよ。……会長よりはましな方です」
な、なるほど……? よく分からないけど、分かったってことにしておきます……
俺の気持ちを読んだのか、ユーリ先輩が少しの呆れた感じの表情を浮かべて、説明をしてくれた。そして、俺の横に並んだイツキ先輩はツバサの様子を見て、楽しそうに笑った。
「ツバサ、めっちゃ気合い入ってるな~♪」
「あぁ……色々ありまして」
ここまでを説明するのも長くなるため、とても便利な言葉、『色々』を使って、一言で終わらせる。説明にもなってないが、イツキ先輩はこれ以上、追求しなかった。
「ふうん? あ、ユーリもやってみれば?」
「やだよ。お前がやれ」
「なんで!? 俺よりユーリの方が得意でしょ」
「どこを見て判断しているんだ。……似たような会話、前にもしたよ? 僕の得意分野知ってて言ってるなら殴るぞ」
「わあ~……おんなじように返された~」
なんか、部活で先輩に言われているような感じの雰囲気……だな。何て言うか、いじられてるときの先輩って感じ。しかし、違うのは、部活の雰囲気よりも自然な空気感がある。ユーリ先輩とは幼馴染みらしいし、二人の空気ってやつなのかもしれない。
「俺、嫌なんだよね。いちいち詰め込むのダルくない?」
「全部が全部、そうだとは言わないけど、そう言うならイツキは銃は……いや、お前、弓道やってたよな。あれも矢を一つずつ構えて射つし、連射は難しいよ?」
それは初耳だなぁ。この前、部活の練習試合でも思わず足を使って、相手を牽制するような素振りを見せていたし、イツキ先輩、思ったよりも引き出し多いのか。
でも、それはイツキ先輩にとってはよくない話題らしく、うげーっとあからさまに嫌がるような反応を見せた。
「嫌なこと思い出させるなよ! 姉ちゃんの付き合いでちょーっとやったけどさ、あんな時間のかかることやってられるか!」
「マツリさんは全く関係ないよね」
「るっせー! だからって、兄ちゃんみたいのもお断り! くっそ痛いし!」
「ダイさんも関係な……」
「俺は剣一本でやるの!! おだまりー!」
「駄々っ子か?」
今出てきた名前は、推測するにイツキ先輩のお姉さんとお兄さん、なんだろう。
再び、ユーリ先輩が俺に向かって説明をしてくれた。イツキ先輩を挟んでいるため、少しだけこちらに体を傾け、俺と目を合わせる。
「イツキのお姉さん、マツリさんは弓道に、お兄さんのダイジュさんは武道、柔道や空手とかですね。そちらの方に造詣が深い方々なんです」
「へぇ……それでイツキ先輩もやったことあるんすね? 弓とか、体術とか」
「そうだな。嫌な思い出だけどね。ガキの頃、とことん付き合わされて、俺のやりたいのはこれじゃないーって泣きわめいて、剣の道に進んだ」
「僕ん家に逃げ込んだことも数知れずってね」
「お前の魔法で匿ってくれるじゃん」
「あれは粗末なもんだったけど、当時はお前の泣きべそを見てるのは楽しかった」
「鬼か、お前」
「冗談だよ。今思えばって話」
そんな話をしていると、銃を撃つ乾いた音が響いた。忘れていたけど、ツバサがやってたんだった。意味はないけど、咄嗟に額を手で押さえるが、コルクが当たった感じはない。となると、他の誰か……?
「いっつっ!?」
あ、イツキ先輩……!
突然の衝撃にイツキ先輩はぐらりとバランスを崩し、後ろへとよろける。ツバサのびっくりした声と他の人達の戸惑った声が聞こえてきた。このままでは尻餅をついてしまうところだったが、それをユーリ先輩が上手く支えてくれたようだ。イツキ先輩が後ろに倒れてしまう事態は防げたらしい。しかし、突然だったにも関わらず、最適解を判断していた。これはきっと、誰にでもできるものじゃない。ユーリ先輩、凄いな。
「す、すみません!! イツキさん!」
「そんな叫ばなくても大丈夫だよ、ツバサ。……ありがと、ユーリ」
「どういたしまして。お礼は大会終わりにご飯奢ってくれればいいよ」
おお、すっげー笑顔……時折、ラルもそんな楽しげな笑顔浮かべるときあるけど、決まってふざけたことを考えてる。ユーリ先輩もその口なのか……?
イツキ先輩はそれにどう返そうかと数秒考えて、にやっと笑った。恐らく、ふざけるつもりだ。
「何それ、お高い。俺の愛で許して?」
「うわ。気持ち悪い」
「いだぁ!?」
「いっちゃん!?」
ぺいっと無造作に前に投げ出される。当然、受けきれるはずもなく、イツキ先輩は顔面から地面と激突する羽目になった。こうなるなら、後ろから尻餅をついた方がダメージなかったのでは?
「もおー! 単なる悪ふざけに対する突っ込みが過激すぎる!! お前、俺のこと嫌いか!?」
「嫌いなら幼稚園からここまで一緒にいるわけないじゃん」
「はあ!? え、じゃあ、何か? ツンデレってやつか! ユーリ、お前はツンデレ属性なのかっ!」
「いやぁ……なんかやれって言われた気がして」
「誰にだよ!? もう、そいつのこと殴ってくるから位置を教えろ!」
「それは分かりかねます」
「ユーリの得意分野だろ!?」
遊んでる。絶対に遊んでるよ、ユーリ先輩。レオンみたいになってる。滅茶苦茶楽しそうだよ。
はあー……さてっと。最後の一発も駄目だったわけだ。流れ弾はイツキ先輩に当たって、ちょっと助かったなんて、言えないけれど。
「ほら、ツバサ。貸してみ?」
「……うん」
俺はしょんぼりしているツバサに近寄り、銃を受け取る。ここから狙いのマスコットまで、最高得点の的を連続で取るしかないだろう。ツバサの残した弾は二発。これらを全て連続で当てなければならない。まあ、多分、大丈夫……多分。
狙いを定めて、集中する。的は動かない静止した物体だ。きちんと狙えば、問題ない。
引き金を引くと、狙った通りに一番小さい的を撃ち抜いた。周りの歓声は無視し、集中力を維持したまま、次の的を定める。俺の構える位置からだと少し高いが、空気抵抗と距離を考えて、標準を合わせた。
「……この辺……かなっと!」
最後の一発も最高得点の的に当たり、なんとかツバサの欲しがっていた得点に届いた。ほっと胸を撫で下ろしていると、ツバサがいきなり俺に抱きついてきた。そして、パッと明るい笑顔で俺を見上げる。
「ありがとっ!! アラシ!」
「お、おう」
顔が赤くなるのを感じ、慌ててツバサから目を逸らした。その視線の先にたまたま、ステラがいて、にこっと笑う。その笑顔で俺は悟った。
あ、それは駄目なやつ。
「アラシさん、すごい! フォースみたいに撃ち抜いちゃった」
「すっげー! アラシ、銃できるんだな!」
ようやく顔面から落とされたダメージから回復したのか、イツキ先輩が立ち上がる。純粋に感心して、言っているようで、俺は少し照れつつ銃を台に置いた。
「え、あ、まあ……ある程度は。知り合いに得意なやつがいて、手解き受けてるんで……まだまだっすけど」
「いやいや~♪ 謙遜すんなって。アラシ、かっこよかったよなー?」
「ですねっ! ツバサちゃんのためにアラシさん、めちゃめちゃ集中してましたもんね? アラシさん、かっこよかったよね、ツバサちゃん♪」
「うんっ! かっこよかった!」
うわぁ!? これ以上はやめてくれ!!
イツキ先輩は他意がなさそうだが、ステラは明らかに意識して言ってる。わざと言ってるだろ!?
「ツバサちゃん、リーちゃん。景品もらいに行こ」
「うんっ♪」
俺の反応に満足したのか、ステラはツバサとリーフを連れ、お目当ての熊をもらいに行ったらしい。ここにレオンがいなくてよかった。心から思った。本当に。
一応、また何か言われないようにと、ステラ達からほんの少しだけ距離を取る。すると、その近くにユーリ先輩が立っていた。俺が近付いたことに気付いた先輩は柔らかな笑みを浮かべる。
「この前の件もそうですが、アラシさんはツバサさんのためなら頑張る方なんですね」
「はへぇっ!?」
思いがけない相手からの不意打ちに変な声が出る。そんな俺にユーリ先輩は、小さく笑った。
「すみません。男女関係とかそういう話ではなく、ちょっと分かる気がするなって」
「だんっ!? ん?……え、と、分かる……?」
「仲のいい人が困ってたら、何かしてあげたいですからね。力になれるなら」
ま、まあ、そうかもしれないっすけど。ユーリ先輩の場合、その相手って……
ユーリ先輩の視線の先には、イツキ先輩とリリアーナ先輩がいた。俺の目線に、先輩はそっと左手の人差し指を口に当てる。
「リリアはともかく、イツキにこんなこと言ったら調子に乗りやがるので、内緒でお願いします」
「あぁ、はい。分かりました」
それだけを告げると、ユーリ先輩はイツキ先輩達のところへと近付いた。
今、一瞬だけ見えた、左手のブレスレット。イツキ先輩の持っているものと同じものだった。紐の色や装飾だろう石の色は違うけれど。あれは、二人にとって大切なものなんだろう。なんだかんだ言って、仲がいい先輩達だ。
「見てー! もらってきたのっ♪」
ぱたぱたと駆け寄ってきたツバサの手には、手のひらサイズの小さくて真っ白の熊が乗っていた。
「ステラちゃんとリーフちゃんとお揃いっ」
「そっか。よかったな、ツバサ」
「えへへ……アラシ、ほんとにありがとね」
大事そうに熊を持って、満面の笑みを見せた。ステラもリーフも楽しそうにしていたし、何よりこいつのこんな笑顔を見れた。女の子三人のお守りも悪くはなかったんだなって思う。
ツバサはリリアーナ先輩達にも見せていて、和気あいあいと話をしていた。
「わあ♪ このくまさん、ツバサちゃんみたいにもふもふしてるね~♪」
「ラルさんとリリアーナさんのブラッシングのお陰ですよ♪」
「そいや、この二人そんな関係だった! 最近、ブラッシングしたの?」
「大会の準備で私は全然だよ。会長様もおんなじじゃないかなぁ」
「そうですね。……あ、でも、ラルさんに簡単にですけど、してもらってるんですよ。ささっと」
「へぇ……あんなに忙しい中でもツバサさんの毛並み第一なのか、あの人は」
「すーくんも髪の毛とか解くの上手だよ。ブラッシングも得意なんじゃないかなぁ?」
「かもね。たまーに結んでもらうもんね。ステラ」
「ほへー……機会があればお願いしてみるのも楽しそうだね~♪ でも、してくれるのかな?」
「ツバサの頼みなら聞くっしょ。あの先輩も!」
……どこにそんな根拠があるのか分からないけれど、まあ、馴染んでいるようで何より。
俺が生徒会の人じゃないってのもあるが、こうして、先輩と世間話するツバサはなかなか見ない。ツバサが生徒会でどんな風に過ごしているのかなんとなく、見れた気がした。
「……あいつは笑ってる方がいいもんな」
俺は誰にも聞こえないように、そう呟いた。



~あとがき~
なっっっがいな、大会前の探索!!
そして今回の話が長い!(全体で六千字超え)
いや多分、あとがきが長い! 暇なときに読んでください。語ってます。あれなら、読まなくていいです。語ってます。(二回目)

次回、終わります。終わらせます、探索を終わらせますよ。本当に。

茶番を入れまいとしたけど、勝手に喋りましたね。ユーリとイツキ。まあ、いいです。楽しかったので。お互いがお互いを大切な親友、相棒だと思っています。しかし、それをあえて表に出さないユーリと、前に出しまくるイツキコンビです。
機会があれば二人だけの話とかもありかもしれない。ネタがないけど。

ツバサちゃんの残った弾を代わりにやる人選は思った以上に悩みました。せっかく考えて、ある程度の形にはなっているので、没ったパターンをささっとご紹介します。今回、話に書いたアラシ君パターン含めて四つ考えてありました。
初期の私の考えとしては、ユーリがやる予定でした。イツキに「やってやれよ。後輩のためだぞ~!」みたいなことを言われて、「僕でいいなら、別にやるけど」って感じの。休日編で銃に興味を持つシーンもあったので、ありかなぁと。しかしまあ、何分、こいつ滅茶苦茶目立ってたので、そっと降りてもらいました。あと、この場合だと、イツキがぺいっとやられるシーンからの茶番はなかったでしょうね。普通にお礼言ってから離れて、お前やってやれよ感じになると思うんで。
次に考えたのは、イツキがやるパターンですね。こいつに関しては、ぺいっとやられて、地面とこんにちはした後に、ユーリが「こういうときはお前の出番だろ」と急かされ、頭にはてなのイツキに「できたら好きなもの買ってあげる」とかなんとかで乗せられ「やってやんよ。見てろよこんにゃろー!!」とムキになってやる感じでした。で、ここでユーリがイツキを褒めるってシーンがありましたね。今回の最後の方にあった感じのやつです。それで、アラシ君が二人の友情というか、信頼関係を考えるってシーンを入れるつもりでした。
最後には言い出しっぺの法則としてステラがやるってのもありました。責任持って私がやるね! みたいな感じに。まあ、このパターンが一番短く収まるやつでしたね。今考えると、ですが。
とまあ、そこに今回書いたアラシ君パターンを合わせて四パターンですかね。それら考えて、ユーリはそっと外したわけですが、それでも三つ残ってて、どれにするよ、私!! って状況に陥ったわけです。これはもう私の考えたストーリーは言わずに友人に誰がいいかと聞いたところ(相方には、男子三人+ステラの中で誰がいいと思うかという話しかしてない)、今の今まで大したイケメンポイントのないアラシ君でよろしくされたので、アラシ君になりました。
結果、アラシ君で、ステラやイツキ(イツキは意識してないけど)に茶化されるシーンや、ツバサちゃんがアラシ君の見ていないところでも、楽しく学園生活を送っていることを彼自身が再確認したので、よかったのかなーと思います。

ではでは!