satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第72話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやする物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
予選の箸休め、氷山解体は終了しました! Cブロックをね! やっていこうと思いますよ!! はい!
また苦手なバトル描写。単調なものになりそうですが、気晴らしにでも見てってくださいな。わちゃわちゃっとしたのは次回にね……きっと、うん。あるから……(笑)


セラとツバサが全ての花を配り終え、観客に向かって頭を下げる。鳴り止まない拍手の中、セラは顔を上げたツバサにそっと呟く。
「お母さん、ある人のおもてなししないといけないの。イグくんと会長さんのところに一人で戻れる?」
「うん。お仕事、頑張ってね、お母さん♪」
笑顔で頷くツバサの髪をふわりと撫で、セラは入ってきた方と反対側へと歩いて行った。ツバサもセラに背を向けると、周りの観客に手を振りながら別の出口からフィールドを離れた。

二人が出ていった後、お馴染みになりつつある、放送部二人の声が聞こえてきた。相も変わらず、ハイテンションなリュウの声が会場を包み込んだ。
『言葉に表現するのが難しいくらい美しく、可憐なショーだったな! いやぁ……こんなショーは二度と見られないかもだぜ!?』
『そ、そうですね! 二人のお陰で大会も続行できそうですし……』
『だなっ!! つーことで、予定通りCブロック開始するぞぉ!!』
『ひゃ……!? Cブロックしゅちゅ、出場者は、こちらのリングへとお集まりくださいっ!!』
キャスの言葉に被さるように話し出したリュウに驚いたのか、キャスの声が若干裏返る。最後は何とか持ち直したものの、噛んでしまった事実は消えてはくれない。熱くなる顔を手で押さえながら、モニターを見た。
すでに通路近くで待機している生徒達がいたのだろう。ばらばらとフィールド上に移動しているところだった。
予選も残るはあと二つ。Bブロックでは予期せぬトラブルに見舞われたが、残りのブロックは平和に終わって欲しい。これは、キャスだけが考えている訳ではないだろう。取り仕切る生徒会も、大会実行委員会も同じように思っているはずだ。
隣ではリュウが涼しい顔で台本をチェックしている。とはいえ、チェックなんてせずとも、次の予定は頭に入っているはずだ。手持無沙汰なだけで、なんとなく近くにあった台本をペラペラと捲っているだけに見える。キャスにとって、鬱陶しいくらいに構ってくる先輩ではあるが、それと同時に頼りになる人でもあった。
最後までリュウ程ではないにしろ、努めて明るく振る舞い、来てくれている人々に楽しんでもらいたいと気持ちを入れ直すのであった。

Cブロックに割り振られたミユルを含めた百名の生徒達がフィールドへと集まっていた。ミユルが周りを見渡せば、知った顔よりも知らない顔の方が多く、彼女のような女子生徒は少ない。先に行われた二つも、傾向的には男子生徒が多かった気がする。元より、このような戦いを楽しめるのは好戦的な人達に限るのだろう。友人であるアラシ、レオンが賞品に興味がなく、自らの力試しのために参加しているのがいい例だった。対するミユルは、今回が初参加。そして、優勝賞品ではなく、入賞賞品に興味があり、セラの講習会がなければ、参加してなかったかもしれない。つまるところ、ミユルは優勝をしたいわけでなく、四位入賞……準決勝まで駒を進められれば目的達成であった。
『色々あったが、これから予選! Cブロックを始めていくぞ!! このブロックは魔法使用者が少し多いようだな? どんな魔法が炸裂するのか! 見物だぜ!!』
『そ、それでは、試合、開始ですっ!!』
甲高いゴングの鐘が鳴り響き、フィールドは一気に戦場化していく。リュウの紹介通り、魔法使用者が多いのか、あちこちに魔法陣が浮かび上がっては、何らかの魔法が発動していた。もちろん、参加者各々が持つ、武器同士のやり合いも勃発している。
「確実に決めていかないと、ね♪」
ミユルは自分のメイン武器である鞭を構え、周りの生徒達から距離を取る。アリアやレオンのような攻撃的な魔法はあまり得意ではないし、アラシのように力強い武器の扱いもシエルのような体術だって不馴れだ。そもそも、戦闘自体、好きではない。
そんな彼女がこの戦闘を生き残るには、なるべく相手の攻撃を受けないように立ち回り、かつ、短時間で終わらせるのだ。長時間続いてしまえば、攻撃手段に乏しいミユルの勝ち目はなくなってしまうからである。
しかし、先に述べたように、戦闘は好まない。では、どのようにして戦闘を終わらせるのか。
それに関しては、ミユルの中でしっかりと考えてあった。それを実行するため、鞭にあらかじめセットしてあった植物の種を取り出すと、そっと地面に埋め込む。これを何度か繰り返せば、ミユルは勝てると確信していた。
この単純な作業は、何もなければ数分で全てが完了するのだが、現状、そんな楽にいくはずもない。地面に種を蒔く姿が無防備に映ったのだろう。ある生徒が武器を振り上げた状態でミユルに向かって来た。彼の持つ武器は、何の変哲もない片手剣だ。彼の間合いまではあと数歩と言ったところだろう。
……あくまで、彼の、だが。
「そこはもう、私のテリトリーです」
そう呟き、鞭を振るう。鞭が吸い込まれるようにガードが緩くなっていた脇を打つ。バシンと痛々しい音が響き、打たれた生徒は無抵抗に吹っ飛ばされた。呆気なく場外へと……とまではならないものの、地面に力なく倒れているところを見ると、一撃でノックアウトできたようだ。
「ごめんなさいね。これでも、勝ちを狙っているものだから」
年上なのか、下なのか、はたまた、同い年なのかは分からないものの、ミユルはぺこりと頭を下げてから、深緑の髪を揺らしながら、その場を離れた。別の場所に種子を植え付けるために。
それを使うには端ばかり植えるのでは、あまり意味はない。ランダムに植えてこそ、勝率が上がるというもの。そのために、混戦している中央付近にもいくつかは埋め込みたいのである。
それには戦闘が不可欠なのだが、相手との間合いを上手く見極め、相手の武器を取り上げて、峰打ちを決め込んでいく。そして、少しの暇を見つけては勝利の鍵となる種を植えていく。
ある程度、時間が経った頃。ミユルは中央を抜け出し、戦場の端へと移動していた。戦闘によって汚れてしまったワンピースの裾を軽く叩く。
「……私、あまり、戦闘は得意じゃないの」
バシンッ!
ミユル自身が持つ鞭で地面に叩きつける。誰かがいて、牽制するために打ったわけでも、攻撃のために打ったわけでもなかった。
「だから、ごめんなさい。……少し、卑怯な手を使わせてもらいますね?」
申し訳なさそうな言動とは対照的に、彼女はもう一度、鞭を打ち鳴らした。バシンと地面に鞭が当たる音が響く度に、ミユルを勝ちへと誘う花が咲きつつあった。風に乗り、それを運んでいく。
異変に気付いた生徒はどれだけいたのだろう。そして、異変に気付いた生徒の中で、瞬時に対策できたのはどれだけいたのか。
「な、なんだ……か……ねむ、く」
「は、花? いった、い……だれ、が……」
バタバタと倒れていく参加者達。彼らが倒れる瞬間、瞳に映るのは、鞭を持ち、笑みを浮かべる一人の少女。
ミユルが仕掛けたのは、強制的に睡眠状態へとさせる花粉を撒き散らす植物の種だった。その花粉を少しでも吸ってしまえば、対策していない人は瞬時に眠ってしまう。
植物を愛し、操るミユルだからこそ、使える手段でもあった。
『勝負あったー!! このCブロックを勝ち上がったのは……』
『魔術科二年、ミユル・ノフェカ先輩と、魔術科三年、セジュ・クルール先輩です!』
どうやら残れたのは、たった一人だったらしい。そして、なぜ残れたのかもミユルには理解した。
「同じ部活の先輩なら、私の植えた植物の判断できて当然……ってことね♪」
要するに、ミユル同様に植物に精通する人物であった、ということである。とはいえ、知識の面で言えば、ミユルの方が何十倍もあるのだが。
小さく笑みを溢すと、周りの観客に向かって一礼をした。そして、近くの出口からフィールドを後にする。



~あとがき~
頑張ったな……私……(笑)

次回、一方その頃は~……ってやつです。
別名、バトル休憩回!←

ここら辺のミユルちゃん戦闘描写は私オリジナルなんです。相方が「戦闘……思い付かねぇ……」ってなってたので、ミユルちゃんの戦い方を聞いて、私がてっきとうに練り上げました。ほんわかミユルちゃんのかっこいい一面が出ていれば……いいなって……私、そう、思ってる……うん……
話を戻しますと……多分、このCブロックで大きな出来事がなかったので、創造神の相方も頭を悩ませたのだと思います。私もこれを書き上げるのに珍しく、一週間くらいは放置していました。レイ学の放置ってほぼないんですけどね。ほら、シナリオが送られてくるから、「書けない!!」ってなることが少ないのでね。本編は細かくプロットを書き上げてないので、何ヵ月放置も不思議ではないんですけど、これは作り手の違いですね(笑)

ではでは!