satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第227話

~前回までのあらすじ~
ピカとポチャのほのぼの回……もとい、ちょっぴり甘いお話でした。フォースよりはましでしたね。
フォース「おれが普通じゃないみたいな言い方すんな」
ピカ「手慣れてる感凄いけどな」
フォース「本当のことだし……?」
ピカ「うわぁ」
さてさて! 今回はがらっと変わりまして! オーシャンの二人とフォース、三人のお話です。お仕事の話です! バトルはやらない! つもり!


今日は珍しく、親方さんに呼び出しを受けて、どきどきしていた。私とチコちゃん、そして、ちょっと後ろの方で暇そうにしているすーくんの三人で親方さんの話を聞いていた。
「ここから南西の方角にある『シキやま』ってところに行ってきて欲しいんだ~♪ そこにはある集落があってね? その長にお届け物をお願いしたくって」
「お届け物、ですか?」
「うんっ♪ あそこ、街から離れてるからさ、定期的に物資のお願いがあるの~」
あ、あぁ……そういうことか。
「それで、あっちで郵便とか、そういうお届け物を預かったらそれを持ち帰ってきてね。持って帰ってきたものは、こちらで改めてお仕事として引き受ける手筈になってるから」
なるほど……つまり、あっちで持ってきて欲しいって頼まれた荷物をお届けして、代わりにあっちで届けて欲しい物を持ち帰る……っていうお仕事か。
「『シキやま』自体、ダンジョンでもなんでもないんだけれど、ちょっと道が険しいんだよね~? 斜面が急だったり、道がややこしくなってたり? だから、ある程度の知識のある人に任せるの」
……知識のある人? 私とチコちゃんは『シキやま』なんて行った経験はない。となると、この場で親方さんが指す人物は。
私とチコちゃんは親方さんから後ろのすーくんを見た。見られた本人は全く気にしていないとかと思ったけれど、嫌な予感はしたんだろう。そっと明後日の方向に目線をやる。
しかし、それくらいで親方さんが折れるわけがない。
「ってことだから、よろしくね! フォース!」
「……くっそ!!」
まあ、うん。そうだよね。
「しょーがないよ、すーくん。一緒に頑張ろ?」
「ワタシ達と一緒に行こうか」
「行くのはいいけど、おれ頼みなのが気に食わん。何なの?」
「あはは~♪ それとも、『シキやま』、知らない?」
「知ってるけど、そうじゃなくて」
「知ってるなら適任だね! ピカ達でもよかったんだけど、あの二人、忙しいからさ~♪」
「おい。話を聞け。おれの、話を!」
ピカさんでも勝てないんだから、すーくんだって勝てないって。諦めなよ。
すーくんは、あからさまに舌打ちしているけれど、親方さんはものともしない。よろしくね! と笑顔のままだ。
私達が出ていこうとすると、親方さんはすーくんだけを呼び止めた。見るからに嫌そうな表情を浮かべるものの、避けて通れる道ではない。
「二人は先行って、準備してこい」
……という、すーくんの指示を全うすべく、私とチコちゃんは、ギルドを出てそのまま、トレジャータウンへと足を運んだのだった。

まず必要なのは何かと言えば、道具を買い揃えるためのお金だ。ってなわけで、フゥさんの銀行へとやって来た。今までにゲットした道具はまだたくさんあるし、そこまでのお金は必要ないだろうけれど、多く置いておく分には問題ない……はず。
「こんにちは! 二千……いや、千ポケくらいでいっか。引き出し、お願いしまーす」
「はいよ~♪ 珍しいな、お前達二人で買い物か?」
後ろの金庫をガチャガチャやりながら、フゥさんが話しかけてきた。フゥさんの言う通り、私達二人だけってのは久し振りな気がする。
いつもはすーくんがてきぱきやっちゃうし、ピカさんと探検行くときも横で見るだけだもんなぁ……
「時間短縮ですよ。フォースは今、親方とお話し中なので。ところで、フゥさん、『シキやま』って知ってますか?」
「おー……知ってるよ。四季に合わせた山の風景が綺麗だって有名だぞ。ま、一般人だけで行くようなところじゃないからな~? 専門家と行って楽しむようなところ。……イブ達、今から行くのか?」
お金の入った小袋をカウンターに置いて、フゥさんは首を傾げる……とは言っても、フゥさんに実際首なんて存在しない。まあるい風船みたいな体を少しだけ斜めに傾け、それっぽい動作をして見せた。
「はい♪ 実は親方さん直々にお仕事を頼まれたんですよ~♪」
「はあ~……プクリン親方からねぇ? 成長したってことだっ!」
「あはは。そうだといいんですけどね」
「謙遜すんなって、イブ。ほらよ。きっちり千ポケ! まあ、あそこは何かと噂が絶えねぇけど、頑張れよ~♪」
フゥさんからお金を受け取り、そして、何やら気になることも添えて、だけど。……でも、次のお客さんの対応を始めてしまい、詳しく聞けなかった。
「なんだろ、噂って……?」
「さあ? 行くの大変って話だし、迷子が絶えないとか? 遭難スポット第一位……とか」
なんでそんな方向ばっかり。もっと明るい噂がいいなぁ。景色はきれいって話もあったし、そんなのがいいよ。せっかく行くんだもん。
お次は倉庫と商店か。お隣同士だから、いっぺんにできちゃうかな?
倉庫はチコちゃんに任せ、私はその隣にあるアイスさんとホットさんのお店を覗く。丁度、お客さんがいなかったらしく、アイスさんが私達にすぐ気がついた。そして、ホットさんも少し遅れて、こちらを見る。
「よっ! 何か用か?」
「あら、お仕事かしら?」
「はい! えっと、ダンジョンじゃないので、食料全般を見たいなーって」
「ダンジョンじゃないのか。どこ行くんだ?」
「『シキやま』です」
場所の名前を告げると、アイスさんとホットさんはお互いの顔を見合わせた。やっぱり、有名なところらしく、探検隊でもない二人がこんな反応をするとは、どんなところなのか。
「あら、あそこ……イブちゃんとチコちゃん、ちゃあんと帰ってこられる……のかしら」
あ、あう。いや、すーくんいますし!!
この辺だと、すーくんも姿を隠さずに出歩くようになったため、ホットさんもアイスさんも……ついでにフゥさん達、トレジャータウンのみんなは、顔見知りだ。すーくん本人は不服っぽいけれど、ピカさんが面白おかしく紹介しまくったのが主な原因。私的には全く問題ない─むしろ、もっとやって欲しいくらい─ので、名前を出しても大丈夫だし、すーくんの頼もしさはみんなが知っている。
「あらあら。それなら、大丈夫かしらね? 大丈夫じゃなくても、捜索隊が組まれるから大丈夫ね」
怖いこと言わないでくださいよ、ホットさん!
「ふふっ♪ ごめんなさい。あそこ、遭難者が多いって話を聞くの。それに……なんだっけ? 悪魔? が住むとかなんとか」
あ、あく、ま?
すると、アイスさんは首を傾げて、そうだっけと呟いた。
「俺はありとあらゆる不思議現象があるって話を聞いたぞ。何もないところから火が出たり、物が浮いたり? 幽霊的な……こう、オカルトチック? な噂だと思ってたけどな」
ゆ、ゆーれー!!??
私の反応に、アイスさんはやっちゃったみたいな表情を浮かべた。そんな顔をしたところで、聞いちゃったものは聞いた。忘れるなんてできっこない。
「ま、まあ、フォースがいるなら、大丈夫だろ。あいつ、そういうの平気そうだし?」
「平気ですけど……すーくんはちょっと意地悪なので、そんな話聞いたら、面白がって、いたずらするかもじゃないですか!! 責任! 取ってください!!」
「ごめんって! 単なる噂だし、他にも色々あるっぽいしよ~……でも、噂は噂。その域を出ないってやつ? 多分、しょーもないもんが一人歩きしてるんじゃないかな。こういうのって、するのは楽しいだろ?」
私は楽しくないです……けど、確かにうわさはうわさだよね。気にしても仕方ないかな。
「ほい。一応、予算内ギリギリの分。まあ、こんなにいらんだろうけど」
ぼんっと置かれた食料袋を受け取って、ちらっと中身を確認。思ったより入っているから、少し返そうかと思ったけれど、アイスさんは首を振った。
「いいって。貰っとけ貰っとけ」
「で、でも……食料以外も入って……」
「出世払いでいいぞ。これでも期待してっから。ピカ達から直々に指南受けてるし?」
うっ……そういうの、プレッシャー……だけど、素直に期待してるって言われるのも悪くない、かもしれない。それだけ、見てくれているってことだ。私達のことを応援して、頑張れって言ってくれているんだもん。
「ありがとうございます、アイスさん! ホットさん! 行ってきますね♪」
よぉし! 頑張るぞー!



~あとがき~
月一更新な空と海です。
忘れそうになってたのは内緒。

次回、三人揃って『シキやま』へ!
そこまで長くしないぞって思ってるけど、多分、長くなると思う。(無計画)

ちょっと謎の多い『シキやま』にオーシャンとフォースが挑みます。悪魔とか幽霊とかなんとかありますが、どうなることやらですねぇ~(いつも通りの見切り発車)
そして、久し振りにフゥ、アイス、ホットの三人が出てきました。もうな、何年ぶりよ!! ヤバイね!?
本当はロールとかも出そうかと思ったけど、出るタイミング逃しましたね。ごめんね。ごめん……
ホノオも出そうかとちらっと考えたけど、カットです。カット……いいかなって(汗)

ではでは!