satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第78話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で学園生活を謳歌する話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツバサちゃんの魔法すごい! って感じでした。それくらいっすね。
今回からは一時休戦……というか、お休みして、ご飯ですよ。お昼休憩! 飛ばせよって?? 飛ばさない時点で察して!!←
そろそろ、ラル視点以外もやりたいです。(願望)


《L side》
ツバサちゃんのお陰で、救護室の地獄絵図から解放され、ようやく静けさを取り戻した。ここで人がいなくなることはないが、それぞれが交代で昼休みを取ってもらう……そんなシフトになっているはずだ。とはいえ、状況整理は必要なので、一部のリーダー達を集めた打ち合わせをしなければならない。
私は包帯や薬等の整理中のリリちゃんの肩をそっと叩いた。
「リリちゃん、お昼前にいいかな」
「はい! 軽い打ち合わせですね~♪ 無線を聞く限り、変なことはなかったみたいですし、落ち着いてますね。今年の大会」
「開会式の理事長のお言葉の賜物でしょ」
「やっぱり、あれなんでしょーか」
だろう。多分。少なくとも、ドキッとした人はいただろうな。
「ここも落ち着いてきたし……僕はそろそろお義父さんのところへ戻ります」
結局、ポーション作りだけでなく、救護室の片付けまで手伝ってくれていたアルフォースさんが口を開いた。そんなアルフォースさんに向かって、私はペコッと頭を下げた。
「アルフォースさん。お客様なのに、こんなどたばたに巻き込んでしまって申し訳ありませんでした! 代表して、謝ります」
「いえいえ! そんな! 僕なんかが力になれたなら、よかったです。ラルさんにはツバサがお世話になってますし、そのお礼になればと」
そんなことは……! って、これ、終わらないやつか。私が引き下がろう……貴重な時間を奪うのは忍びない。
「本当にありがとうございました。……イグさんに連絡するのでもう少し待っててくださいね」
「はい。ありがとうございます♪ ツバサもこのあとのお仕事、頑張るんだよ? でも、魔力の使いすぎには注意してね」
「はーい! お父さん!」
私がイグさんに連絡している間、ツバサちゃんとアルフォースさんは少しの親子の時間を過ごしていた。そして、数分後、昼休憩中で暇してたのか、イグさんは思ったよりも早くにすぐに救護室へ顔を出した。
「よっ♪ 怪我人の治療お疲れさん」
「ほんとですよ。裏切り者めー」
軽く頬を膨らませ、どこからどう見ても不機嫌な女の子を演じる。悪ふざけなのを悟っていると思うが、イグさんは苦笑した。
「そんな顔するなよ。ラルと違って、俺がここにいたって手伝えないしな~? それに、他に仕事もあったんだって」
知ってて言ってるんだよ、オニーチャン?
「お前なぁ……つーか、全体の統括が仕事だろ? これも仕事の内なんじゃないか、生徒会長さん」
知ってて言ってるんだよ!
「あー……分かった。後で労ってやるって。……おじさんも手伝ってくれてありがとうございました」
「微力ながら、ね。それでは、ラルさん。僕はもう行きますね。これからもツバサをよろしくお願いします」
「もちろんです。こちらこそ、これからも仲良くさせてもらいますね」
「ぜひ、そうしてやってください。……そうだ。夏休み辺り、うちのギルドにも遊びに来てくださいね。きっと、いい刺激になりますから」
うちのギルドにも……?
どこか確信めいたような口振りに私は首を傾げる。いつか遊びにというよりは、すでに私がアルさん達のギルド方面へ行くと決まっているような、そんな口振りだ。今のところ、そんな予定はないし、そもそも『明けの明星』がどこにあるかなど、明確には知らない。それなのに、どうしてアルフォースさんはそんなことを言ったのだろう。
「ごめんなさい。あなたの能力の話はツバサから聞いていまして」
うん? 『時空の叫び』のことか。しかし、それとアルフォースさんの態度と何が……
アルフォースさんはイグさんの横を離れ、私に近づく。そして、私にしか聞こえない程度の音量でそっとささやいた。
「実は僕も……ラルさんと似たような能力を持っているんです。……『夢』という条件下のみで発動するですけどね」
「……!」
驚きを隠せず、アルフォースさんの顔をまじまじと見つめる。しかし、彼は微笑みかけるのみで、それ以上を語らなかった。リアさんに挨拶をし、ツバサちゃんに手を振って、そのまま出ていってしまった。
「……会長様?」
「ラルさん、どうかしましたか?」
「あ、いや……なんでも……」
私と似たような能力……何らかを見通す……夢を見る? そんな能力、なんだろうか。条件下が夢。それを根底に考えてみるならば……
「あ、ここにいた! ラル! 打ち合わせ開始時間、過ぎてるよ」
「……どうした? ぼけっとして」
ティール……フォース君も」
アルフォースさん達と入れ違いに入ってきたのは、時間になっても来ない私を探しに来たらしい、ティールとフォース君だった。思考をぷつりと切られたせいか、上手く切り替えができていないらしい。曖昧な返事をする私にティールは首を傾げる。
「ラル? 大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫。救護班が忙しそうだったから手伝ってた。ごめん。今、行くよ。……ツバサちゃんはどうする? あ、アラシ君達のところに先に送ろうか?」
ツバサちゃんがお昼はアラシ君達、昔からの友達と食べる約束をしていると聞いていたので、ここで拘束するのは申し訳ないと思ったのだ。しかし、ツバサちゃんはにこっと愛らしい笑顔を向けてきた。
「いえ! 控え室は生徒会の使っている部屋の先にありますし、打ち合わせ終わってからで大丈夫です」
「ごめんね。じゃあ、ついてきてもらっていいかな?」
「はいっ! ラルさん!」
「リリちゃんも。……リアさん、お二人借りていきますね」
「ええ♪ 私も交代してくれる生徒が来たら、このあと休憩だけれどね。行ってらっしゃい、二人とも」
まだ少し残るらしいリアさんに見送られ、私達は救護室を後にした。

簡単な打ち合わせの後、今後の方針─とはいえ、午前とほぼ変わらないが─の確認、予選落ちした生徒会メンバーの割り振り等を各班のリーダーに伝え、解散となった。リリちゃんもユーリ君やキーくんと約束があるらしく、ぴゅーっと飛んでいってしまった。
「ラル、ツバサのあれ、どういうこと?」
ティールの言う「あれ」とは、ツバサちゃんの衣装のことだろう。フォース君は開会式のときに一度見ているが、ティールはここでお初である。
そんな会話をしている私とティール、フォース君は、打ち合わせが終わった後、ツバサちゃんのお着替え待ち中だった。ツバサちゃんは、打ち合わせ前に着替えてきます! と言って、そのまま帰ってきていない。打ち合わせ自体、大して時間をかけていないので、特に何かあった訳でもないだろう。
ということで、他愛ない話を続けていこう。
「え、可愛いでしょ。可愛いは正義でしょ。そういうことだよ」
「どういうことだよ」
「やめろ。不毛な会話だ。似たようなことおれも言った」
「あぁ……開会式中のあの連絡って、そういうこと?」
「そういうことだ」
男子二人には分からないかなぁ……? ツバサちゃんの天使級の可愛さ!
「だからって、あんな服着せなくってもいいよね。暇なの? ラル」
「暇じゃないけど、ツバサちゃんのためなら、何だってできるよぉ?」
「こっわ。新手のストーカーじゃね?」
節度はわきまえてます。大丈夫です。
可愛い女の子を、更に可愛くする行為の何がいけないのだろう。本人もノリノリだし、問題ないと思うのだけれど。
「別に私はツバサちゃんと特別仲良くやりたいと思ってやってる訳じゃないからね。可愛いから! それだけだよ。理由としては。仲良くなるのは、二の次的な? そんな感じ?」
「それが怖いっつってんの! あのモフモフファンクラブ? とかとそう変わらねぇって」
「せめてもの救いはツバサ本人にちゃんと許可取ってるってことだけだよね。それもツバサの優しさというか……気を使ってるとかだと、アウトだけど」
「あー……それはねぇな。ツバサのやつ、本心だから。ラルに撫でられんのも、ブラッシングされんのも、全部、喜んでやってもらってる」
心が読めるフォース君が言うんだから間違いないよね。えへへ。愛の勝利だね!
「ほんっとうにわきまえて欲しいんだけど。君、ここでは生徒会の会長で、外では探検隊のリーダーなんだよ? ぼくらのリーダー!」
びしっと指を指して、念を押してきた。ティールと一緒に過ごして、生徒会に入ってから、何度、似たような台詞、同じ台詞を聞いたんだろう。
「学園内では単なる生徒ですので~♪」
「生徒会長だって言ってるだろ。ぼくは!」
「なぁんでこんなやつがトップ張ってるんだか」
「私が望んでこの地位にいる訳じゃない。前会長に言え。むしろ、私が聞きたいわ。あの人から」
とっくに卒業してしまった前会長。あの人はあの人で物好きな人ではあったと思う。今思い返しても、振り回された記憶しかない。……なんだろう。私の過去は思い返したくもない思い出ばかりだ。悲しいくらいに。
あの人との過去を振り返ると、色んな意味で涙が出てきそうなので、無理矢理、記憶に蓋をする。そして、強引に締め括った。
「とにかく。ツバサちゃんは可愛いから、もっと可愛くあるべきなの! 以上!」
「あれ? そんな話だったっけ?」
「いや? 違うと思うがな。……んでも、いつも通りじゃん。さっきはぼーっとしてたくせに」
「あれは考え事してたんだよ。大したことじゃないんだけど……」
フォース君なら何か知っているかもと思い、話を続けようかとした矢先、部屋の扉を開ける音で中断される。三人とも音に釣られて、そちらを振り返ったのだ。
そこには水色のエプロンドレス……ではなく、魔術科女子制服姿のツバサちゃんだった。
「お待たせしました♪」
「よし。じゃあ、行きますか~♪ アラシ君達のところ!」
「はい♪」
私達三人は椅子から立ち上がり、出入口へと向かう。今、アルフォースさんのあの言葉の真意を考えて、答えを出したところで、何かになるわけではない。それに、この大会の対応に追われてしまえば、きっと、すぐに忘れるだろう。
「あ、そういえば。ツバサのパフォーマンス、凄かったね。上から見てたけど」
今、思い出したようで、ティールが突然話し始めた。それでもツバサちゃんは何の話なのか理解しているため、しっかりと受け答えする。
「ありがとうございます! あ、ちゃんと届きましたか?」
「うん。氷の花だよね。ぼくのとこまで来るとは思わなかったけど」
「えへへ。ステラちゃんとリーフちゃんのところ最優先だったので……できればって感じでした」
「そっか。それでも、嬉しかったよ」
ステラちゃんとリーフちゃんも、会場で見学するという話だったから、ツバサちゃんのショーも間近で楽しめたはずだ。そんな二人のためにプレゼントしたいという、ツバサちゃんの思いはきっとステラちゃん達にも届いているだろう。
「そのティールが貰ったっていう花は溶けちゃわないの?」
「あーちゃんの魔法でできてますから……常温でも一週間くらいは……多分、大丈夫かと」
わお。魔法って怖いわ。
「……にしては、手元にないけどな。花」
そういえば、そうだな。
ティールが貰ったらしい花は、彼の制服のポケットにあるわけでも、手元にあるわけでもない。誰かにあげてしまったのだろうか。
「ん~……セツがね」
言いづらそうにして出てきた名前は、ティールの愛剣、セツちゃんこと、雪花だ。氷を司る聖剣でティールを主として慕っている。このセツちゃんと水の聖剣、スイちゃんは何というか、やんちゃなのだ。剣にやんちゃっていうのもおかしな話なのだけれど。
「セツちゃんか。盗られた?」
「あー……まあ、そんな感じ。『きれー! てぃー、ちょーだい!!』 とかなんとか言って、吸い盗りました」
冷気、氷なら意のままに操るセツちゃんらしい。きっと、彼女に言えば、ぽいっと出してくれそうではあるけれど、多分、一生返ってこない。
「固形物のあれを持っていかれるとは、思わなかったよ。きっと、氷の花が発している冷気を一気に吸収したんだろうけど。まあ、セツの中……というか、セツの一部になったんなら、一生残ると思うから、それはそれでありなのかなって」
セツちゃんを知らないツバサちゃんは終始不思議そうにしていたけれど、きっと、ティールが教える気がないので、私も黙っておく。勝手に話しでもすれば、ティールに何をされるか分かったものではないからだ。
「おっと。そんなこんなでつきましたな。控え室」
「あ、そうですね♪ ありがとうございます。ここまで送ってくれて」
「ううん。せっかくだし、皆に一言言っておこっか。特に何も考えてないけど!」
「無計画な奴だ」
「ラルだからね……」
止めもしない男子二人は放置で、私は目の前のノックもせず、ゆっくりと扉を開けた。そして、開けきらないうちにすぐに閉めた。勢いよく。
この控え室にはトーナメントへ駒を進めた八人が共同で使っている部屋。もちろん、今は昼休み中だから、全員いるわけではないが、少なくとも、ツバサちゃんを待つ、アラシ君達は全員いた。
部屋のレイアウトは簡素なもので、試合を中継するためのモニターと机と椅子あった。簡単な軽食と飲み物が常備されているだけで、単純に選手達が出番を待つための部屋。……それのはずなのだけれど。
……一瞬見えた、あの大量の食べ物はなんだったんだ?



~あとがき~
途中、ごちゃっとしているのは、適当につらつら書いたせいです。

次回、ツバサちゃんを送り届けたラルが見たものとは……?
いやもう、予想つくわ!!

アルフォースさんの言う能力やら、彼の言葉とか、色々ありますけれど、これだけ言いたい!
ラルとティール、フォース三人のくっそ下らない会話! 久し振りですね!! どうでもいい話しかしませんね!!
三人でっていうと、開会式始まる前の屋台飯の話が最後でしたね。いやぁ……久しぶり。
それだけ。以上。

ではでは!