satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第79話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で平和に過ごす話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から、剣技大会~お昼休み編~がスタートしているところです。ラル達三年生徒会組+ツバサちゃんの話でした。今回もそんな感じで進めていきまっしょい。


《L side》
……もう一度、確認しておくか? もしかしたら、見間違いかもしれない。
「ラル? なんで今、閉めたの?」
ティール、フォース君、お願いだから、何も聞かずに部屋をちらっと確認しよう。私と」
「は? なんで」
「聞くな! 見ろ!」
自分でも強引なことを言っているのは理解している。私もティール達の側だったら、変な目で見ているに違いないからだ。それでも、ここは一人で見るよりも何人かで見るべきだと判断した。一人だと見間違いの線が捨てきれない。
二人に目配せをし、そっと扉を開ける。怪訝な顔をしつつも、ティールもフォース君も私の言う通りに部屋を覗いてくれた。
そこにあるのは、初めに見えた部屋の備品等々。そして、一つの机に大量の食べ物に囲まれ、それを美味しそうに食べる人魚族の女の子……同じクラスのアリアちゃんがいた。それをしっかりと捉え、見間違いではないと確認したところで、再び扉を閉めた。
「皆さん? どうかしましたか?」
私達三人が邪魔して、ツバサちゃんには部屋の様子が見えていないんだろう。上級生三人の奇行を見せるのは恥ずかしい限りなのだが、生憎、彼女の質問に答えてあげられる程の余裕はなかった。二人の手を引いて、扉から離れ、こそこそと内緒話をするように小声でなんちゃって会議を始める。
「え、あれ何? 夢か。私は夢を見てるのか」
「リアルだろ」
「すっごい食べてたね。幸せそうに。あれ、お好み焼きとか焼きそばとか……他にもあったよね? なんかたっくさんあったけど……同じお店のかな」
「いんやぁ……少しずつ量も材料も違ったと思うぞ。別のところだろ」
なんで分かるんだ、このお兄さんは。
「ってことは、屋台制覇でも目指してるの? 何も与えられないよ? 景品もないよ? え、私らで用意すべきなの?」
「いらないんじゃないかなぁ……流石に」
「つーか、あいつ誰だっけ」
はあぁぁ!? そこからぁぁ!?
彼女が食べていたご飯の判別はつく癖に、人の顔は覚える気のないフォース君を軽く殴る。全く痛そうにしていないところが腹立つ。
「アリアちゃん……アリア・ディーネ! 同じクラスでツバサちゃんのお知り合い! Bブロック残り組で、氷山作った張本人。覚えろ!」
「氷山見てねぇし、おれ。……で、そのディーネさんがありとあらゆる食べ物に囲まれてるって事実を確認したわけだ。……なあ、ツバサ」
「? はい」
「ディーネとやらは、食いしん坊キャラなのか?」
「ほえ? くいしんぼう?」
こてんと首を傾げるツバサちゃん。アリアちゃんとも親しいツバサちゃんなら、答えを知っているだろうけれど、その前に一つ。
「あれは食いしん坊の領域越えているよ。多分」
「直すとこそこ? 冷静に言うことでもないよね」
「冷静にならないとやってらんないんだよ!! 察しろ!」
「何してんだ、こんなところで」
いきなり背後から話しかけられ、私は思わず、フォース君の後ろに隠れる。ほぼ条件反射だ。手が出なかっただけ、感謝して欲しいくらいである。
「わっ! アラシ! びっくりした~」
「え、ごめん……?」
びっくりしたと言う割には、そこまで驚きが伝わらないティールに、これはこれで反射的に答えたのだろう。平謝りのアラシ君だ。彼は扉近くの壁に寄りかかる体勢でこちらに話しかけてきたらしい。つまり、控え室からわざわざ出てきてくれたことになる。話しかけてきたのが知り合いであると確認をすると、私はフォース君の後ろから出る。そんな私に大して興味もなさそうなフォース君から、質問が飛んできた。
「なんでおれの後ろなの」
「近かったからが一番の理由だけど、実用的な理由にするなら、一番の盾じゃん。簡単には倒れないし、最悪見捨ててもどうとでもなる相手だから」
「ははっ……殺すぞ、貴様」
「おー? やってみろや~」
……とまあ、茶番は置いといて、だ。
「お~♪ ツバサを送ってきてくれたのか? サンキューな!」
部屋の状況をアラシ君に質問しようとしたところで、レオン君がひょこっと扉の隙間から顔を出した。そして、アラシ君の隣に立つと、レオン君は話を続ける。
「んでも、なんで扉を開け閉めしてたんだ?」
「……大方、アリアだろ?」
「えへ。アラシ君の仰る通りです」
それだけで何が言いたいのか、レオン君も察したようで、ばつの悪そうに「あ~……」と呟いた。
「ま、最初はびっくりするよな♪ なんつーか、その、アリアの食いっぷりには……色んな意味でため息が尽きないからなぁ……」
きっと、幼い頃からの付き合いで、この二人にも絶え間ない苦労があったのだろう。同情する。
「あ、そっか! だから、フォースさん、食いしん坊って言ったんですね? あーちゃんの食べてるところが見えたから」
ツバサちゃんは、ぽんっと手を合わせて、合点が言ったというように明るい笑顔を向ける。
「食いしん坊っつーか、ブラックホールだけどな~? アリアの胃袋の場合♪」
胃袋の表現にブラックホールとは……
「ラル達も中入るか? 今、俺らしかしないし」
「ん? そうなの? ユーリ君達は?」
「イツキ先輩、Dブロックだったユーリ先輩を迎えに行くって飛び出してたんだよ。で、そのまま外で飯行ってくる! とかなんとか。まだ帰ってきてないから、外にいると思うぞ」
アラシ君の説明に妙に納得してしまった。なんか、キーくんらしいや。リリちゃんも約束していると言っていたから、三人でご飯を食べる約束でもしていたのだろう。とことん仲のいい三人だ。よきかなよきかな。
さて、中に入ってもいいけれど、私達もすぐに外回るし、ここはさっさと退散してしまおう。元々の役割はツバサちゃんを送り届ける、だ。それは終わったわけで、ここに居座る理由はない。
「じゃ、私達はこれで行くわ。ツバサちゃんを届けたことだし。……あれ、アリアちゃん」
「……ん。ラル。……と、皆も」
え、あれだけ大量にあった食べ物、食べ終わったの? 嘘だろ。
ここを立ち去ろうとした瞬間、アリアちゃんが扉を開けて、私達と出会した。話し声は聞こえていただろうが、彼女の性格からして、スルーしそうなところだ。しかし、私が呼び止めたから、アリアちゃんも素通りせずに立ち止まってくれたらしい。
「あーちゃん、どこか行くの?」
「……ご飯、買いに行く」
「よく食べるね、アリア。……さっき、ちらっと見えたけど、食べ物、たくさんあったよね?」
ティールの問いに、アリアちゃんはこくんと小さく頷く。
「けど、足りない……それに、あれ、お昼じゃなくて、間食……まだ、いける……」
どこか誇らしげなアリアちゃん。彼女と私達とで、かなりの温度差があるけれど、彼女は全く気にしていない。
「んーと、間食ってなんだっけ。ぼくの記憶と違う意味合いな気がしてきた」
「間に食べる何かだろ」
そのまんまだな……間違ってはないだろうけども。食べている本人が間食だと言うのなら、間食なのだろう。この問題に深く突っ込むと、自分の常識が崩れそうなので、これ以上はやめておくのが吉だ。
「行くのはいいが、トーナメント始まるまでには帰ってこいよ? 賞品もらえなくなるぞ」
「……ん」
アラシ君の忠告に短い返事で答える。そして、そのまま外の屋台方面へと歩いていってしまった。
残されたのは私とティール、フォース君にアラシ君、ツバサちゃん、レオン君の六人だ。
「アリアちゃ……というか、ディーネ家の一ヶ月の食費気になるけど……きっと聞かない方が平和なんだろうね」
「にゃはは~♪ それが懸命だと思うぜ。ま、ディーネ家のつっても、アリアだけだな。親元離れて暮らしてるから」
あー……え? じゃあ、あれ、一人で賄って……仕事か。稼ぎのいいお仕事、ね。こちらも深く突っ込まない方がよさそうだ。
「さて、私達もそろそろ行こうか。いっくぞー、ティールにフォース君。ご飯の時間だー!」
貴重な一時間をお喋りに費やすわけにもいかない。フォース君は食べなくても平気だろうけれど、私とティールはそんな風にはできていないのだ。
アラシ君達に軽く手を振り、アリアちゃんが向かった方向へと歩き出す。
「おれも行くの? 部屋にいたいんですけど」
「荷物持ち」
「自分で持てや」
「まあまあ。せっかくだし、三人で行こうよ」
ティールに言われ、─相棒が間に入っていなくても、大丈夫だったと思うけれど─ため息混じりながらも、フォース君も後ろをついてきてくれていた。



~あとがき~
ネタを押し込んだ感が凄い。

次回、まだまだ続く! お昼休み!

このアリアちゃんの大食いネタで一話使えるとは思いませんでしたね。ここまでにちょいちょい見え隠れはしてましたけれど。

ではでは!