satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第81話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやっと過ごす話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回は本当にただの繋ぎでした。ひとっつも進んでませんが、レイ学世界でのスカイの紹介的な何かを突っ込みました。有名な探検隊の一つやでってのを知ってくれればええで!
さてさて、今回はメインシナリオ進めようね……(笑)
今回はこちらの都合により、ラル視点に戻します。こっちの方が分かりやすいと思いますので!


《L side》
お昼時で一層、賑わいを見せる屋台から全員が好きなものを手にし、そろそろ会場付近に戻るか、と話をしていた頃。つけっぱなしにしていたインカム……ではなく、制服のポケットに入れていた個人的の持ち物である端末に着信が入った。これで話してもいいのだが、周りが騒がしいために、予め端末と同期させていたインカムで通話を繋げる。この方法だと、誰から来たのか、声を聞くまで分からないのが難点ではあるが。
「もしもし? どちら様です~?」
歩きながら、呼びかけてみると、あちら側から落ち着いた声が聞こえてきた。
『会長、ユーリです』
「およ。どうしたん? こっちで連絡して……あ、通信機持たせてないな。ごめん」
『はい。予選勝ってしまったので。生徒会の仕事ができずに申し訳ありません』
大会出場中のユーリ君とキーくんは仕事免除中だった。そんな彼がインカムも通信機も持っているわけがないな。
「いいよ。トーナメント戦も頑張ってね。……それで? 要件は?」
『簡潔に述べますと、噴水広場に設置してある休憩スペース付近にて、事故……といいますか、トラブルが発生しています。原因は探検隊同士のいざこざですね』
「はあ!? 馬鹿じゃないの?」
『それを僕に言われましても……』
そうだね! ごめんね!?
思わず叫んでしまい、一緒に歩いていたアラシ君達が私の方を振り返る。全員不思議そうにしていたり、怪訝な表情を浮かべていたりだ。
「ラルさん?」
「んっと、ツバサちゃん、ごめんね。ちょっと待って。……状況は?」
『たまたま近くにいた、イグニース先生とリア先生が対処に当たってくれています。現場に居合わせた生徒会役員は、先生の指示でお客様の整理等しています。そのお陰でお客様から怪我等の被害報告はないですが……何と言うか、問題が』
「問題? イグさ……先生がどうにかしてくれているなら、それも直に収まるでしょ。私が出向く必要ある?」
『あぁっと……少しややこしくて。できれば、会長には現場に来ていただけると助かるのです。僕達じゃどうしようもなくて』
うぅん? 話が読めないけれど、いざこざのせいで別問題が発生しているという認識でいいんだろうか。それをどうにかするためには、イグさんじゃ駄目……なのか? あの人で駄目ってもう無理なんじゃね? 理事長とか呼べ。何とかしてくれるよ。多分。
しかし、戸惑いの混じるユーリ君の声を聞いていると、大丈夫なんて笑い飛ばせる状況でもないのは明白だ。それに、自分で見た方が言葉で聞くより分かりやすいだろう。
「……今から向かう。ユーリ君は私が行くまで先生達から指示を仰いで」
『了解です』
ユーリ君からの通信を切ると、今まで黙っていた皆を見据える。
私の発言だけを聞いて、状況を察しているのは、相棒達だけだ。
「ぼくら、どうすればいい?」
「昼にやめろよ~……トラブル嫌いで~す」
「私と噴水広場の休憩スペースに直行しろ。……ツバサちゃん達はどうする? イグさん達の手伝いすることになったんだけど、来なくてもいいよ。危ないかもだし」
危ないというフレーズに引いてくれるかと思ったけれど、先に手を挙げたのは真剣な表情のツバサちゃんだ。
「私も行きます! イグ兄がいるなら、師匠もいると思いますし、お手伝いできることもあるかもしれませんから。それに、私も生徒会の一人です!」
その言葉は、私に訴える……というよりは、アラシ君に向けたもののように聞こえた。危険なところに行くのは、アラシ君的になしだろうが、返した言葉は意外なものだった。
「……ま、兄貴がいるなら、多分大丈夫だろ」
「面白そうだし、俺らもついてくけどな! いいだろ? ラル」
アラシ君と肩を組むような形で、レオン君が申し出る。ツバサを連れていきたいなら、俺達も連れてけ! 的な感じだ。ユーリ君の話から、怪我人は今のところいないらしいが、収まるまで一人も出ないとは言い切れない。そのため、貴重な回復要員のツバサちゃんの申し出は正直なところ、ありがたい。
……現場にはイグさんとリアさんもいる。大丈夫か。
「分かった。一緒に行こうか。ツバサちゃんは生徒会だから、まだ言い訳が立つけど、アラシ君とレオン君は変に手を出さないでね?」
「分かってるって! サンキューな!」
噴水広場方面に向かって歩を進める。人の多いこの状況で全力疾走はできないものの、できる限りのスピードで現場に向かう。私の隣にいたティールが少しだけ、心配そうにしていた。
「いいの? ラル」
「多人数まとめるのが私だしねぇ……問題ない。それに、私達のお兄ちゃんが対処してるなら、出番はないよ」
「確かに。……了解だよ。会長」

そこまで離れていないため、連絡を貰って数分と経たずに休憩スペースへと到着した。アラシ君達には、『探検隊同士のトラブルをイグさんがいさめているらしい』という、簡単な説明だけをしてある。
そして、休憩スペースには本来なかったものがそこにはあった。ドーム状にスペースの一部を覆う結界が存在しているのだ。
「多分、師匠の張った“シールド”ですね」
と、ツバサちゃんが一言。
リアさんの魔法で作られた結界は、恐らく、周りに人を入れないようにするための物だ。結界に近付かないようにと、何人かの生徒会の子達が人の整理をしているのが分かる。これも、二人の先生の指示だろう。結界の外には野次馬と思われる人々が多くいるが、その人々の隙間から結界内の様子も、遠目ながら窺えた。中には、得意武器である大剣を携えるイグさんと、見知らぬ男性一人。こちらは片手剣だ。
「何してんの、兄貴。……え、武器持ってるんだけど」
単純な話し合いでその場を収めていると考えていたらしいアラシ君から、驚きと戸惑いの混じった呟きが漏れる。私もアラシ君と同じ考え……というか、可能性を願っていたけれど、それは叶わなかったようだ。
「イグさんはいいけど……リアさんはどこだ。フォース、探せ」
「もう終わってる。人が多すぎて気持ち悪いけど。……こっち」
人の探知能力を持つフォース君の先導で、リアさんと合流を計る。野次馬を掻き分け、─体の小さいツバサちゃんは、アラシ君がどうにか、かばいつつの移動となってしまったが─なんとか全員、たどり着いた。そこにはリアさんの他に、連絡をくれたユーリ君とキーくん、リリちゃんがいる。そして、二人の男性の姿も。この二人は、話に合った探検隊のいざこざに巻き込まれた人だろう。
色々気になる点はあるが、とりあえずやることは一つだ。
「リアさん! それに、ユーリ君も! 詳しい説明求むですよ!!」
「ラルちゃん!……あら。皆も、来てくれたのね」
リアさんの周りに人が近づかないようにしているのか、ユーリ君とキーくんが人払いをしているようだ。理由は巻き込まれたと思われる二人の治療をしているリアさんとリリちゃんのためだろう。彼らは意識があるのか、時折、呻き声が聞こえてくる。命に別状はないだろうが、軽傷とは言えないくらいの怪我だ。
「すみません、会長。説明はリア先生から伺ってください。僕とイツキは野次馬整理に向かいますので。……イツキ」
「おけ! じゃ、先輩方、後はお任せしま~す♪」
私達が来たから、この場は任せるのだろう。ユーリ君とキーくんは人払いに四苦八苦しているところへと向かうために、この場を離れてしまう。元々、昼休憩で警備の人数もギリギリまで減らしてしまっている。こちらに連絡が回らなかったのも、イグさんやリアさんがいたから、後回しにしていたのだろうか。それとも、私達が昼休憩するからとか言ってしまったのが仇に……いや、今考えることではないか。
「オレ、赤髪が勝つに百賭けるわ~」
「あ!? ずっりぃー! 俺も赤髪に賭けるつもりだったのに!」
周りからは目の前で起こっているものが、何かのイベントか何かに見えているらしい。まあ、イグさん達がそうなるように気を回したんだろうが、これはこれで面倒臭い。いやまあ、本気の喧嘩をされるよりはましなのかもしれないけれどもだ。
「なんか、すっごいことになってんなぁ~♪ こういうのも祭りって感じするけどさ」
「呑気なこと言うなよ、レオンのアホ」
「んだよー! つれないなぁ、アラシは!」
「うっさいなぁ……つか、うちの兄貴は探検隊相手に何してんだ、マジで」
ほんとにな。
イグさんは自分に突っ込んでくる男を適当にあしらいつつ、適度な距離を保っていた。完全に手加減している図だ。
「邪魔すんな、炎鬼!」
結界内での会話も聞き取りにくいものの、全く聞こえない訳でもないらしい。片手剣持ちの男がイグさんに向かって叫ぶ。それにイグさんは笑って答えた。
「べっつにいいんだけどさー……そろそろやめにしない? 時間は有限って言葉もあるしさ」
「うるせえぇぇ!! ここで終わらせてたまるか! 俺の気がすまねぇんだよ!」
相手は随分とお怒りのようで。そうなった理由は、ここにいる二人が噛んでいそうだ。その二人は今は大人しく、リアさんとリリちゃん、そしてそこに加わったツバサちゃんの手当てを受けている。一人は紺色の髪に、額には角が一本生えており、もう一人は藍色の髪に角が二本。二人とも、鬼族の特徴に一致する。
「イグニースが仲裁に入ったんだろうが……元々はあの結界内の男とこいつらの喧嘩だったのか?」
状況的には、そう判断するのが普通。いや、いい年した大人が学園内で喧嘩とは、示しもつかないが。
「……あっ! どこかで見た気がすると思ったら、ゲストの二人か! イグ先生達の知り合いの」
ここに来てからずっと黙って考え込んでいたティールが、ようやくその内容を引っ張り出せたらしい。そのゲストという言葉と姿を見て、私も思い出す。
トーナメント戦で、あるゲストを招いていると聞かされていた。それがここにいる二人なのだろう。確か、名前はチーム『ヒナギク』。紺色髪のピースさんと藍色髪のスペラさんによるコンビの探検隊だったはずだ。直接の面識はないが、名前くらいは聞いた気がする。
「えぇ、そうなの。……そっか。ティールくんは資料を見たのね?」
「事前に誰が来るかは一応、知らされましたので。で、あそこにいるの……は、あれもどっかで見たことある気が……あ。タイガ、か?」
「タイガ? あー……適度に絡んでくるウザい人? 記憶から抹消してたわ。会わないし」
「前に中身のない暴言を吐き捨てた人でしょ。あはは♪ なっつかしいねぇ」
あ、ヤバイ。ティール様、ご立腹気味だぞ。
ティールさん、お、怒ってます……?」
「はわ! 会長様のお怒りモードは見るけど、ティールさんはなかなか見ないですよ!! レアですの!」
「そ、そうなんですね!」
ツバサちゃん、そこに感心しなくていいぞ。
このまま放置していると、装備していない愛剣呼び出して、飛び込みそうなティールを落ち着かせるために、私は彼の腕に自分の腕を回す。
「まーまー、前だから。何年か前の話だから。落ち着けー? ねー? 結界張ってあるし、私達に手出しはできないよ~」
「分かってる。……それで、あのタイガさんが何を? あの人、沸点低いし、プライドも馬鹿みたいにあるので、予想はつきますけれど」
「刺々しいティールも珍しいな~♪」
「レオン、ちょっと黙ってろ。……リアさん、一から説明お願いできますかね?」
「えぇっと……何から話そうかしら。私とイグはお昼ご飯を一緒に取っていたのよね。……それで、そうね」
少しだけ考え、リアさんは口を開いた。
「まず、ネタバレみたいになるんだけれど、今回の大会ではあるゲストを招いてて、それが、ここにいる二人。ピースくんとスペラくん」
ある程度、手当ての終わった二人が私達に向かって気まずそうに会釈した。
「それで……ティールくんも似たようなこと言っていたけれど……彼、二人がゲストに選ばれたことをよく思っていなかったみたいなの。それで、二人に怪我をさせて……それを止めに入ったイグにも八つ当たりを。『ヒナギク』を推薦したのもイグだったから、かもしれないわ」
心狭すぎか。
しかし、状況は把握した。ヒナギクの二人を怪我させたのはあのタイガという探検家で、半分逆恨みにイグさんにも喧嘩を吹っ掛けたということだ。推薦者がイグさんだったという情報を、彼が知っていたかはともかくとして、大会中にこのような事件を起こすとは、とんだ迷惑者である。



~あとがき~
長いから切りました。
そして、思った以上にぐっちゃぐちゃですね。いつか書き直そう……

次回、暴れているタイガをイグさんはいかがいたすのか……!

新キャラです。ヒナギクのピース、スペラとイグさんと戦ってるタイガ! ヒナギクはともかく、タイガの描写をほぼしていないという状況です。次回、やりましょうかね。忘れてなければ。

ではでは!