satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第83話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でふわふわーっと過ごしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、思いがけないご指名に、スカイの三人は呆然……というか、驚愕してました。
今回はその理由と結果をね。話していこうかなと。
大会終わったら、ラル視点以外も書きたい。この剣技大会編、ラル視点多くすぎやで……まあ、アラシ君が出てきてくれない or ラルの方が進めやすいってのが一因ですが。


《L side》
な、何言ってんだ、この人!!!
驚きすぎて、叫んだ以上の言葉が出てこない私達を他所に、イグさんは続ける。
「実は、来賓の人達にお前らんこと結構、聞かれちゃって。ほら、去年、一昨年は誰かしら出てただろ? 特にティールは最終まで残るからさ、目立ってたんだよな」
確かに、今年は誰一人として参加していない。それぞれ不参加の理由はあるが、まさかそれがここに響いてくるとは。なんなんだよ、来賓の方々。やめろ、そういう話を学園関係者にするの!
「や、だからって……ヒナギクの代わりて。私達、ここの生徒なんですけど」
「その前になんでおれなんだよ! ティールだろ、そこは。ラルとティールのコンビなんだから! あと、会長と副会長だし!?」
「フォース!? やめて! 巻き込まないで!?」
「待て待て! 私確定させるのやめてくれない!? ティールとフォース君がやれ!」
「「お断り!」」
完全に嫌な役目を押し付け合うという醜い争いが起きてしまっているが、なぜか来賓の方々から噂され、且つ、探検隊しているというだけで、ご指名されるのも変な話だ。
「あはは♪ まあ、予想通りの反応だな!」
「兄貴。……ちゃんと説明してやれよ。多分、話が進まないんじゃないか?」
「ん? まあ、そうだな。つっても、お偉いさん達から話が出てるってので完結してるけどな~? 三人とも俺の持ち場、知ってるだろ?」
その問いに私達は小さく頷く。
イグさんの持ち場は会場……現場監督だ。
「そこで、まあ、偉い人達から『噂の探検隊は出ていないのか』って質問が多数あったわけよ」
「噂の、探検隊……?」
「惚けるなって~♪ お前率いる『スカイ』だよ。いやぁ♪ 有名になって兄ちゃん、嬉しいぞ~♪」
惚けてないよ。そんなんわざとだよ。ちくしょう……
「話を聞くと、お前らの戦いぶりを楽しみにしている人が案外多くてさ。俺が参加予定はないって説明したときも残念そうにしてて。……そこに、ヒナギクの怪我によるゲスト辞退騒ぎだろ? これはもうお前らの出番って訳よ♪ サプライズ的な」
そんなんで予定外な戦闘なんてしたくないんですけど!! サプライズってなんだ! こっちがサプライズされた気分だよ!?
「あー……お偉いさんらが『スカイ』をご所望なのは理解した。なんでそこまで人気あるのか知らんけども」
「えーっと……ぼく達的には理解なんてしたくなかったけどね?」
「で、なんでおれなのかさっぱりなんだけど。その説明で行くと、適切なのはラルとティールだろ?」
「あ、それはイケメン補正? フォース、淑女様方……奥様方に人気あるんだよな。このイケメンはいますかって聞かれたし。何かしたんじゃね?」
「は? いや、おれ、今日は会場外の連絡本部にずっと……い、や、待って……あ、あぁ……あれ、かなぁ……えぇ? 嘘だろ……マジか」
イグさんの言葉を聞き、頭を抱えてその場にうずくまるフォース君。理由が個人的すぎるというか、特定層に向けたものすぎて、何とも言えないところが、更に微妙なところである。
しかし、なんか心当たりがあるんだな。こいつ。
「ってことで、噂の探検隊のリーダーであるラルとイケメンで人気のあるフォースが適任じゃね? ってことよ。出番のないティールには悪いけどな~」
「いえ! ぜんっぜん!! むしろ、二人抜けるならぼくが生徒会の仕事をカバーしないといけないので! いいです!」
ぶんぶん首を横に振って全否定のティール。
逃げやがって……!
ここで頷いてしまうのは簡単だ。しかし、どうしても嫌なので、冷静に返してみようか。
「……えーっとイグさん。確かに私達、生徒会は大会成功を第一に考えています。裏からバックアップしていますし、それを中止に終わらせたくはない。これを楽しみにしているお客様も生徒も、来賓の方々がいるのを理解しているつもりですけど、『スカイ』を参加させるなんて、いささか強引すぎるのでは? 私達は『スカイ』だけど、生徒でもあります。参加したければ、事前に意思表明してますし、それ故、反感を買いかねません。我々の探検隊も生徒会も、信頼を落としかねない」
「まあ、言いたいことは分かる」
「別の手を考えましょう?……例えば、いっそ、イグさんが参加すればいいと思いますよ。ほら、知名度も人柄も実力も申し分ないです」
「俺はそれでもいいけど……教師と生徒って立場上、目新しさはないぞ? どうしても授業っぽさが抜けないと思う。あと、俺、一人しかいない」
ぐっ……確かに。
このあとのゲストの役割を考えると、一人では無理だ。もう一人は必要になる……元コンビのリアさんがここにいるけれど、彼女はとある事情で戦えない。そんな状態のリアさんを戦闘の場にイグさんが出すはずもない。
「ラル」
「はい?」
「ゲスト参加自体は取り消せない。そうだな?」
「……はい」
笑顔で冷静なイグさんは怖い。怒りを感じるからではない。何かを企んでいる……もとい、確信めいた自信があるから冷静な対処をしてくるのだ。
「生徒会のお前に依頼するんじゃなくて、スカイのリーダーに依頼する。……生徒ではなく、一人の大人として。俺の後輩としてお願いする。……それじゃあ駄目か?」
「ぐ……そ、んなのは、屁理屈です」
「じゃあ、仕方がない。もっと別の言い方してやる。なあ、ラル~?」
あ!? これ、逃げるべきだ!
頭で理解していても、反応速度はイグさんの方が上手である。逃げようと後ろを振り向くものの、イグさんの手で簡単に捕まってしまう。彼の腕が私の肩に組まれ、がっしり捕まる。ちらりとギャラリーを見ると、アラシ君やティールは諦めろみたいな顔してるし、レオン君は面白そうににやにやしている。そして、イグさんをあまり知らないユーリ君とリリちゃん、現状を理解しているのか怪しいツバサちゃんとキーくんは不思議そうにしていた。フォース君はすでに諦めているし、リアさんにいたっては、笑ってこれを見ている。要は、誰も助けてくれないのだ。世界は無情である。酷い。
「俺はラルを妹のように思ってるんだよ? 出会ってから結構経つもんな~」
「そ、そうですね……イグさんには、大変可愛がってもらっていると感じてますよ。その節はありがとうございます……」
「いえいえ~♪ 俺もお前らの成長を楽しみにしてるし、いいってことよ! で、そんなかぁわいい妹ちゃんは俺の……俺達の頼みをお断りしたことありましたっけ? なぁ、リア~? どうだった?」
う、そ……だろ!? リアさん巻き込むの!?
「そぉねぇ~……なかったと思うわよ、イグ?」
リアさんは、日頃の恨みと言わんばかりに楽しそうに参加してきた。空いていた右側にぴったりと寄り添ってきた。イグさんとリアさんに板挟みされた状態である。
「だって、ラルちゃん、とっても優しいもの♪ 皆のこと、大切に思ってくれる、優しい子。私達の自慢の妹ね」
「だよなぁ? それに、ゲストが決まらなきゃ大会は失敗したと言っても過言ではない。そうなったら、来年以降の開催も危ういかも。……そんな事態は避けたいだろ。後輩達の将来がかかってるかもしんないぞ?」
う、ぐ……うみゅぅぅっ!!
「卑怯ものー!!! こういうの、弱いの知っててやってるんだもん! 酷いですよ、イグさんもリアさんもー!!」
「えー? 俺達は事実を述べてるだけだぞ~♪ ほれほれー? どーするー?」
イグさんがにやにやと笑いながら私の頬をつつく。リアさんも同じようにつんつんとつついてくる。
結託しやがって、このバカップル!
しかし、イグさんの言う通りだ。今ある手札で考えれば、私達が出てしまうのが一番手っ取り早く、大会を成功させる確実な方法だ。イグさんから太鼓判を押されてしまった以上、「私達では実力不足です」なんて言い訳にすらならない。
私達以外の代わりなんて見つかる保証もない。ここは私が折れるしかない、のだろう。分かっている。それが正しい選択であり、そうするしかないのも、理解はしていたのだ。しかし、嫌なものは嫌だし、嫌いなものは嫌いなのだ。……それでも、大人になるしかないのだと理解しなければ。
ふっと短く息を吐く。そこで、私の中にあるスイッチを切り替えた。
「確認ですが……それは、学園の生徒会長の私ではなく、一部隊を率いるリーダーの私に話しているんですよね。そう捉えても?」
「……いいぜ」
その一言でイグさん達から解放され、私はティールの隣に立つ。相棒に目配せをすると、彼は小さく頷いた。
「では、私とフォースの参加を受け入れるに当たって、無償で協力はできません。生徒としてではないのなら、これはビジネス。貴重な人材を貸し出すのですから、それ相応の報酬を要求します」
「強かだなぁ……けど、それくらいをしてもいいくらいの力をお前らは持ってる。その条件を呑むよ」
「ふふ♪ ただでは転ばないってところがラルちゃんらしいわね~♪」
イグさんの横でくすっと笑うリアさん。昔から、私の性格を知っているから、ある意味、こうなることは予測済みだったかもしれない。
「当然です。私はチームのリーダー。メンバーを指揮するのが私の役目であり、彼らを守るのも同義」
「……リーダーがそう決めたのなら、ついていくのがぼくらの役目で、リーダーを支えるのはぼくの役目。……ね、フォース?」
「へいへい……わーってますよ。逃げも隠れもしないから、安心しろ」
フォース君が立ち上がり、私の横に並ぶ。フォース君と視線を交差させ、互いの意思を通わせる。私に心を読む能力はないけれど、ある程度なら分かる。
「探検隊『スカイ』から私とフォースが、探検隊『ヒナギク』の代わりを請け負いましょう。若輩者ではありますが、精一杯務めます。そのように対応の程はそちらにお任せします」
「おう♪ 任せろ。仕事モードのラルなら、受け入れてくれるって信じてたけどな♪」
……なんだろう。はめられた感が。
「! ラルさんとフォースさんの戦っている姿が見られるんですか!?」
私達の後ろで経緯を見ていたツバサちゃんが好奇心と期待を含ませた、キラキラおめめで見つめてくる。それぞれ、どんな気持ちでこれを見ていたのかは、考えたくもないのでそっと目線を外した。
「探検隊ってことなら、制服はアウトだよな」
「あっ! そっか。着替えか……着替えるのか。取りに戻るにも時間ないな。誰かに持ってこさせるにしても、誰がいたっけなぁ」
しーくんはギルドに預けてきたし、ともは遊びに行くとかなんとか言っていて、家にはいない。成人二人は……どうだったか。ムーンはここ最近全く連絡ないし、クラウは……どうだろう。
「望みがあるのはクラウかぁ……ちょっと連絡してみようかな」
最悪、トーナメント中にでも帰ってしまおう。それでも、出番までには戻ってこられるだろう。
服の問題は後回しにするとして、残り少なくなってしまった昼休憩でご飯を食べなくては。
「……戻るか。とりあえず」
上に現状報告をするらしいイグさん達、ギリギリまで戻るつもりのないユーリ君達とここで別れ、私達はアラシ君達の控え室へと向かうのだった。



~あとがき~
真面目モードのラルちゃん、お久しぶり(?)な感じがしますね。なんででしょう(笑)

次回、忘れられてそうな彼女らを出します。
昼はまだ終わらねぇぜー!!

イグさんにたじたじなラルを書くのは楽しかったです。今後もあるかは分かりませんが、あればまた書きましょうね。
先輩後輩って立場もあるし、教師と生徒って立場もあるし、恩人でもあるので、本当に立場が悪い。ですが、全く勝てないわけでもないとは思ってます。いや、本当にどうでもいい話では、イグさんらが折れることが多いと思いますね。「しっかたないなぁ(笑)」みたいなね。
でもまあ、ここぞっていうところはイグさん達は強いね~! 正論を並べてるってのもありますし、ラルの性格もありますけれどね。

ではでは!