satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第85話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で面白おかしく学生している物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回までが昼休みの休憩回(?)でした。今回から剣技大会─トーナメント戦編─となる……はず……うん。なる……(汗)
始めていくぞ!!
ラル「適当でうける」
アラシ「最近、物書きから離れてたからな」
へへっ……(泣)
ソシャゲの闇が……闇が……ふふっ……


《A side》
中等部二人とはその場で別れ、俺達は控え室にいた。到着した途端、そくささと部屋を出ていこうとしたラル達三人を、当然ながらツバサが引き留めたのだ。ということで、選手ではなく生徒会の三人も選手控え室で予定よりも遅くなってしまった昼飯を一緒に食べている。
まあ、食べているとは言ったが、アリアやイツキ先輩達はまだ帰ってきていないし、ミユルやシエルは俺らよりも先に食べ終わり、すれ違うように屋台を見に行ってしまった。フォースはいつの間にか消えていたし、ラルは椅子の上で体育座りしているんだけども。ティールだけが普通に昼飯を食べていた。とりあえず、今、部屋にいるのはフォースを除いた、屋台巡りしたメンバーのみというわけだ。
「なんかさぁ……めっちゃ働くやん……おかしくない? 私、学生じゃん? 青春謳歌すべきだよね」
「何言ってるの。リーダーがちゃんと働いてくれないと、したっぱのぼくらはご飯食べられなくなって死んじゃうよ~」
兄貴からの頼みも関係しているのだろうが、ステラとリーフ─主にステラだけだった気もするけど─のおねだりを受け入れてしまったせいでもあるだろう。更におかしな方向へと意識が行ってしまったらしい。目から光がなくなったラルは、隣に座るティールに文句のような愚痴のような話を永遠と繰り返していた。それを適当に受け答えをしているのはある意味、才能というか……慣れなんだろう。
「いやいや。ムーンお兄ちゃんとクラウお姉ちゃんが何とかしてくれるって……」
「隊員頼りなのやめなさい」
「……リーダー頼りもやめない?」
「隊の権限、君がほぼ握ってるよ」
「投げる! 捨てる!! もしくはあげるよ!?」
「いらなぁい」
ティールさまぁぁー!! お願い!」
「ここではただのティールだから」
「あぁ~……ここでも能力発揮してもいいよ?」
「疲れるからやだ」
「非情だー! 世界が優しくないー!!!」
「大人げないな。さっさと気持ち、切り替えなよ」
呆れたようにため息を漏らすティールに、駄々をこねる子供っぽく頬を膨らませる。
「嫌ですぅー! そんなんしたら、認めるようなものじゃないですかー! やだー!!!」
「我儘言っても、予定は変更されないし、宣言したことは取り消せないよ。諦めて、先生との……イグさんとの約束守りなさい」
「理不尽だって! あんな手を使うなんて!! イグさんなんて嫌いだ!」
「はいはい。イグさんに負かされたときだけ、そういうの言ってるね」
「そんときだけが嫌いだからだよ!!」
「押し付けはお互い様だろ」
「それを言われると何も言えないっす」
なんか、理不尽な言い訳ばかりなんだけど、大丈夫なのか?
俺の隣にいたツバサが少しだけ考えるような仕草をして、こちらを見上げる。
「ん~……生徒会室でもおんなじようなやり取り、いつもしてるよ?」
あ、そうなんだ……
俺達が聞いているなんて気にしていない二人の会話は更に続く。
「今度、討伐依頼に連れ回そうかな」
「えっ!? 報酬出るように取り付けたのにまだ何か求めるの……? 欲張りだね」
「今日はイグさんのいいように使われてるから、それくらいは許されるよ。大丈夫。リアさんの許可は取る」
「いや、そういうことじゃ」
「私とイグさんだけじゃないし。デートにすら見えない……つーか、あの人と二人で歩いたとして、彼女に見えるわけがない。女性の扱いじゃなくて、身内だもん。扱いが!」
「ん? ラルはイグさんと恋人に見られたいの?」
「リアさんに殺されるから見られたくない。見られたくはないけど、見られた方が変な虫は寄って来ないから難しいよね。……んでも、イグさん、周り見てるから、そんな人がいたら追っ払ってくれるわ。紳士だから」
「紳士?」
「睨み付けの紳士」
「それは紳士じゃない気がする」
……話が別の方向行ってないか? つか、他人の兄貴に対して言いたい放題だな。
「そういえば、ラル達ってイグさんと結構親しかったんだな。ラル達が探検隊してるのは知ってたけどさ~♪」
レオンの言葉にラルとティールの話は途切れ、こちらを振り向いた。
「あー……ツバサちゃんには言ったけど、探検隊として何年か付き合いあるからね。分かると思うけど、あっちが先輩ね」
ふぅん……たまに兄貴が話していた後輩チームってのはラル達だったのか。いやでも、兄貴って交流広いし、ラル達以外にも気にかけてそうではある。
「初めましてのときから二人は強かったし、今思い返しても、なんでよくしてもらったのかさっぱりなんだよね。……? 電話? ちょっとごめん」
ラルは制服のポケットから端末を取り出し、それの通話ボタンを押しながら部屋の外へと出ていってしまった。
「お電話? 誰からだろ?」
首を傾げるツバサに、面白そうにしているレオンがにやりと笑う。
「予想してみるか? 噂をすればなんとやらって言葉に乗っ取って、イグさんだな!」
「イグ兄なら、直接ここに来ちゃいそうだよ~? ししょーだよ!」
「にしし。……リアさんの機械音痴なめてるのか、ツバサ?」
「……はっ!!」
レオンの言葉にはっとしているが、流石に電話はできるだろ。機械音痴でもだ。
ティールは誰だと思う?」
「え? あ~……そう、だな。ぼくもレオンと同じでイグさんからかな。さっきのこともあったし、それに……」
「ただいま」
ティールが言い終わる前にラルが帰ってきた。変に気分が落ち込んでいるとか、そういう変化はなく、いつものラルに見える。
「お、帰ってきた~! ラル! 電話、誰からだったんだ?」
「え? イグさん。リアさんがヒナギクの様子を見に病院行ったから、代わりに救護室で救護班の生徒まとめろって……なんで私だよ!?」
それに関しては、生徒会長だからだな。
「まあ、結局は途中抜けしないとだから、その時間にリアさんがいなかったらリリちゃんに任せるけど」
「! ってことは、午後もラルさんと一緒にいられるんですか?」
ラルが大好きなツバサが目をキラキラさせながら質問をする。その声も嬉しそうに弾ませていた。
「まあ、そうなるかな。……そろそろ時間か。ティール」
「了解。ぼくも仕事に戻るよ。仕事の引き継ぎを済ませてからラルの仕事を引き受けるってことで」
「頼んだ。フォース君の仕事もどうにかしないとな……はあ。ご指名がティールだったら、フォース君に全部やらせたんだけど」
「いやいや! それはフォースがパンクするだろ」
「分かってないな、アラシ君。フォース君はやろうと思えば一人でなんでもできるんだよ。でも、しない。理由は面倒だから」
例えそうだとしても、流石に全部を押し付けるのはどうかと思うって話なんだが……まあ、ラルの言う通り、フォースなら涼しい顔でそつなくやれそうだけど。
「あ! ラルさん、私も一緒に行きます!」
なんてことを考えていると、席を立ったティールとラルはひらりと手を振りながら、控え室を後にした。その後ろをツバサも追いかけて出ていく。

ラル達が出ていった後、控え室にも選手全員が揃った頃。ずっと流れていたBGMが切り替わり、放送が流れ始める。
『Hello,every one! 紳士淑女の皆様、しっかりと体は休められたかな? そろそろ昼休憩も終わりだぜ!』
丁寧な言葉を織り混ぜてはいるが、テンション高いせいで丁寧さは全く感じない。放送部の部長のリュウ先輩の言葉は続く。
『そろそろ大会後半を始めていきたいんだが……おいおい、相棒~? 呑気にジュース飲んでいる場合じゃないぜぇ? 次、相棒の番だぞ』
リュウ先輩の声であまり聞こえなかったが、小さくストローで飲み物を飲む音が聞こえた気がした。先輩に呼び掛けられ、ガタガタッと慌ただしい音が聞こえ、キャスの焦った声が聞こえる。
『ば、番って……まだ放送の時間じゃないですよ!? 早すぎますって!』
『あり? そうだっけ? まあ、もうBGMも流れてるし、お客さんも席ついてるし、裏の準備は万端って連絡あったし、いいだろ! 後半戦の説明するぞ!』
な、なんて勝手な。いやまあ、もうすぐで所定の時間になるし、問題はないとは思うが。どうせ、説明していれば、時間にはなるだろう。
勝手に開始時刻を少しだけ早めたリュウ先輩は軽快なテンポで説明を始めていく。
『前半終了にも言ったが、確認のためもう一度言っておくぞ! 後半戦の初戦は今から行われるシャッフルによって決められ、その後の展開はトーナメント戦! つまりは勝ち上がりって訳だ! 負ければそこで試合終了! 王道なやつだな!!』
最初の組み合わせだけ、ランダムに決められて、後はトーナメント形式って訳だ。残り八人だから、一対一のトーナメント式でも問題ないのだろう。
『更に! トーナメントの決勝にはスペシャルなゲストが登場してくれる予定だ!』
『そ、そのゲストが誰なのかは、決勝戦開始前にお知らせしますです!』
『ちょぉっとだけヒントを言っちゃうと、数年前から急成長を続けていると噂の有名探検隊メンバーだそうだ♪』
『せ、先輩……楽しそうですね?』
『まあな! ゲストがどんなバトルをしてくれるのか楽しみだからな~♪』
放送部の二人なら、ゲストに変更があったと知っていてもおかしくはない。そして、リュウ先輩は三年生。ラルやフォースを知っていても変ではないし、生徒会と部活の繋がりもある。現状、一番楽しんでいる立場なのかもしれない。
『んじゃあ、トーナメントの対戦相手を発表していくぜ! モニターに注目!』
控え室に備え付けられているモニターに映し出されたのは、トーナメント表。樹形図のような見慣れたなんの変哲もない表だった。図の一番下には俺達の名前が書かれたカードのような物がある。
『選手の名前が書かれたカードがシャッフルされ、組み換えが決定する! どんな組み合わせになるかは神のみぞ知るってことだ。……ではでは、シャッフルスタート!』
リュウ先輩の合図と共にカードが裏返しにされ、シャッフルされていく。自分の名前がどこにいったのか分からなくなるくらいぐしゃぐしゃにされ、ドラムロールと共に妙な緊張感が漂う。
俺が思うのはただ一つ。
……アリアとは極力当たらないところにいけますように!! 願わくば、決勝まで上がらないと当たらないレベルの!
これだけである。この一つに尽きるのだ。
焦れったいくらいにシャッフルされたカード達は、けたたましいシンバルの音と同時に一瞬にして表に収まる。これで、一回戦の相手が分かるようになった。しかし、カードは裏のままで名前は分からない状態だ。
『一回戦の組み合わせが決定!! 一回戦、第一試合は……アラシ・フェルドVSイツキ・カグラ!』
リュウ先輩の発表と同時に左端の二枚がオープンされる。その言葉通りに俺とイツキ先輩の名前がある。
「お、相手はアラシか。よろしく~♪」
いつも通りの笑顔でひらひらと手を振ってくる先輩。それに俺は軽く会釈を返し、再びモニターへと目線を戻した。
……とりあえず、アリアじゃなくて、よかった。……うん。
『つっ……続けて、第二試合! レオン・エクレールVSアリア・ディーネ……ですっ!』
「んなあぁぁぁぁ!!??」
「ご飯……♪」
あー……ご愁傷様、レオン。
選手控え室では人目も憚らず、レオンの絶叫が響き渡る。半分は知った仲とはいえ、少しは気にしてほしいものである。
『どんどん行くぜ! 第三試合! ミユル・ノフェカVSユーリ・ケイン!』
「あらあら」
「……マジか」
二年生対決ってことか。んでも、ユーリ先輩、滅茶苦茶嫌な顔してるけど、何か理由でもあるんだろうか?
『い、一回しぇ……一回戦! 最後の第四試合!! シエル・シルフVSセジュ・クルール!』
お、思いきり噛んでたけど、大丈夫か?
とはいえ、これで一回戦の組み合わせが決定。その後の試合はトーナメントで組み合わせが決定され……あれ。そうなると、俺……勝ち上がったら、アリアと対戦するはめになるんじゃあ……?
「嘘だろぉぉぉ!!?? なんで!!」
「あ~……っと、ドンマイ、レオン」
発狂中のレオンにシエルが声をかける。この慰めもあまり意味はない。決まったもんは仕方がないというやつだ。
『よぉし! 対戦相手も決まったことだし、予定通り! 一回戦第一試合を時刻通りに開始する! 該当選手二名はフィールド上まで来てくれよな! 第一試合開始前に詳しいルール説明も行うぞ』
初っ端からアリアに当たらなくてよかったけれど、これは……どうするかな。



~あとがき~
アラシ君、レオン君が勝つと言う可能性を微塵も考えてません。そういうことだよ。

次回、一回戦開幕だー!!
バトルまで進めるかは分からないです! 入れたらいいなって感じ。

本当なら、トーナメント組み合わせ発表からのアラシVSイツキ戦をやろうかなと思ってたんですけど、どうにも……こう、好き勝手喋らせたくて、前半茶番多めにしました。つっても、ラルとティールの適当な会話ですが。
この二人だけのどうでもいい会話が久しぶりな気がして楽しかったですねー! アラシ君達も聞いているのは二人とも百も承知だと思います。

ではでは!