satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第86話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃっとしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、組み合わせが発表されました。なんか、あれですね。レオン君が災難ですね。
レオン「そう思うなら、慈悲を!」
いやぁ……君ら、幼馴染み組の参加人数多いから結局は誰かが犠牲にならなきゃじゃないですか。仕方ないんじゃないかな……
レオン「(´・ω・`)
アリアちゃん担当はレオン君なんだと思います。
レオン「う、うえぇ!?」
なんて、レオンVSアリアの話をしているけれど、今回はアラシVSイツキ戦です。視点はせっかくなのでアラシ君。


《A side》
放送にあった通りフィールドに向かうため、俺はその場で立ち上がる。とりあえず、準備時間があるから、武器を取りに行く必要がある。俺もレオンみたいに瞬時に取り出せなくはないが、他の奴らと比べて魔力量に自信がないため、無駄に消費したくないのだ。抑えられるところは抑えなければ。
「よっしゃー! んじゃ、頑張りますかね! 見てろよ、ユーリ! 勝ったらやきとり買って♪」
「え……優勝したら考えなくはないけど」
「それ、絶対に買わない人のセリフだよな。つか、優勝はもっと豪勢なもん買え!……まあ、いいや。また後でな。アラシー!」
魔法を使わないイツキ先輩は近くにあった自分の武器─恐らく、予選で見たもの─を素早く手に取ると、部屋を出ていく。
「……アラシくん、どうするの?」
ミユルの質問に俺は答えられなかった。俺はちらりとアリアを見る。変わらず、興奮した様子で……事情を知らない人から見れば、大会を楽しんでいるようにも映るかもしれないけれど、ウキウキしているらしかった。
……さて、俺はどうすべき……なんだろうな?

準備時間も終わり、放送部によるアナウンスが聞こえてくる。放送部から案内があるまでは、出入口付近で待機しておけと言われたから、俺は一人で言われた通りに待機していた。そのせいで、会場の雰囲気だとか、そういうもんは伝わってこないけれど、観客の歓声は聞こえてくる。盛り上がってんだろうな~……なんて、判断はできるくらいに。
『さあさ! 大会も後半戦突入だ! ここで、トーナメントの詳しいルール説明をしていくぜ!! 相棒!』
『ひゃい! えっと、予選の時とほぼルールは変わりません! 戦闘フィールドは会場中央のリングです。制限時間は三十分! 武器使用と技使用者は魔道具使用はOK……ですが、他の道具は不可能です。片方が戦闘不能、あるいは降参宣言。または、場外に出てしまうと試合終了で、そこで勝敗がつきます』
一対一になった以外はルールに変更点はなさそうだな。
『さっきも言ったが、後半は素敵なゲストが参加予定だからお楽しみに~♪ いやぁ♪ 俺としてはトーナメントもさることながら、ゲスト登場が待ちきれねぇや!』
あ~……ラルとフォースのことだな。ま、これはその場にいた俺達しか知らない情報だし、それを知らないだろうミユル達にも言わないようにしておこう。
『さぁって! そろそろ本題に入るぜ! 一回戦、第一試合の選手の入場だあぁぁ!!』
……よし!
軽く深呼吸をし、しっかりと前を見据える。そして、戦場へと歩を進めた。
視界が明るくなり、俺の耳には直に観客からの歓声が響いた。そして、目の前には楽しそう笑うイツキ先輩。
先輩とは、部活内で乱闘の練習することもあるが、こんな風な試合は初めてだ。乱闘のルールの一つに魔法や技の使用は禁じているから、今回は普段と違う戦闘ができるだろう。
周りに手を振っていたイツキ先輩と目があった。互いに、目線を合わせ、小さく頷く。いい試合にしようという意志が伝わってきた。
そんなやり取りの中、テンション高いリュウ先輩の声が聞こえてきた。
『初参加でのまさかの予選突破! 我らがイグニース先生の弟であり、剣術部期待の次期エース! そして何より、学園で噂の愛しの白狐姫の騎士! 魔術科一年! アラシ・フェルドォォォォ!!』
「って、なんだその紹介はぁぁ!? 人がせっかくいい感じな雰囲気出してるときに! ってか、し、白狐!? ナイトって何!!!」
選手同士、士気を高め合っているときに何言い出してんだ、あの放送部!? いや、部長の独断か!? ある意味、間違ったことは言ってはいないけども、どこ情報なんだよ。おい!?
『続きましてー!』
「聞こえてんだろ、こっちの声! 無視してんじゃねぇ!!!」
しかし、この呼び掛けにも答えることはなく、さっさと進めてしまう。この流れでいくと、次はイツキ先輩……?
『我らの生徒会のメンバーであり、こちらも剣術部所属! 昨年の剣術部大会では舞の部、審査員特別賞を受賞! ある人物から「あいつは頑丈だから容赦なく叩きのめしてもいい」という伝言も預かっているぞ! 冒険科二年! イツキ・カグラァァァァ!!』
いつだったか、幼馴染みがどーのって先輩達がやり取りしていたのを聞いた記憶がある。……その幼馴染み、ユーリ先輩、かな。ツバサと同じようなほんわかリリアーナ先輩が言うようには思えないし。
「よろしく~……って、その伝言! いつ聞いたんすか!?」
『ちょっと前に選手紹介の参考になればと思って、色んな人にアンケートしてたんだぜ☆』
「ユーリの馬鹿ー!!! ってか、俺はアンケートされてない!! ユーリのあれこれ教えるのに!」
そこなんだ……って!
「なんでイツキ先輩の呼び掛けには答えるんだ!? 俺も言いたいことあるんすけど!! おい!? 聞け、放送部部長!!」
『さあ、開始のゴングまであと少しだぜ!! カメラワークの調整中だから、ちょっと待っててな!』
「無視すんなーー!! ここまで来るとわざとだろ! そうしろとか言われてるだろ!? レオンか!? あいつか!!」
身辺にアンケートなんて取ってたら、そうとしか考えられないんだけど。くっそ。なんだよ……!
「……そいやぁ、アラシ、今回は大剣なんだね?」
「へあ!? あ、あー……実はこれを機に練習しよっかなって。こう実戦に近い試合なんて早々ないですし……相手も知り合いだから、いいかなぁ……なんて」
先輩の言う通り、俺のベルトには普段使う双剣の類いはなく、代わりに背中に大剣を背負っていた。
「ほーん? ま、練習は大切だもんね!」
「なんかすんません」
「いいよ。俺も大剣の相手なんてあんまりしたことないし、いい経験になるから♪」
心優しく許してくれたイツキ先輩に向かって、俺はやんわりと微笑む。
……イツキ先輩に言った内容は嘘ではない。が、一番は、この勝負に勝つつもりがないのが大きい。俺の得意なのは双剣。普段使うのも、部活で使ってるのもそれだ。もちろん、他の剣の類いも兄貴や親父に習ってはいるから、扱えなくはない。大剣もその一つではあるのだが、俺にはどうにも扱いにくいのだ。
つまり、程よく試合運びを行えて俺の負けられる武器がこれだろう……という判断だった。で、なんでそんな考えになったかと言えば、言わずもがな。アリアのせいだ。
これに勝ってしまえば、次はアリアと当たる可能性が高い。……いや、絶対にアリアは上がってくる。絶対にだ。そして、俺は奴の餌食にはなりたくない。それだけだ。
普通に双剣使って、先輩に勝ち、アリアとの勝負に望むか、大剣の練習として先輩と戦うか……そんなの後者を選ぶ方が有意義だ。当たり前だ。何が楽しくて、負けの分かっている勝負に挑まねばならないんだ。嫌だよ。俺は! 予選でもあれだったんだし!!
しかし、こうなると先輩をアリアに差し出すような形になってしまい、罪悪感がないわけではなかった。結局のところ、先輩を身代わりにしているのは変わらないからだ。それでも、予選みたいな気苦労を俺はもう味わいたくなかった。
大会終わったら、謝ろう……誠心誠意、謝罪しよう。うん。
「トーナメント前、レオンがうわーってなってたけど、どうかしたの?」
「あ、えー……まあ、一回戦の相手が苦手なやつなんで、嘆いてただけっすよ。今はもう復活してると思います」
嘆いてもアリアなのは変わらないしな。この試合中、ずっとメソメソするような奴じゃない。今頃、自分への被害を抑えるための算段でも立てている……だろう。多分。即降参が一番、被害ない気もするけれど、トーナメント進んでそれはないだろうな。
「ま、いい試合にしよ! お互い、悔いなくね」
「うっす!」
元気よく挨拶はしたけれど……俺、負ける気満々なんだよな……すんません。ほんと。



~あとがき~
まさか、二話いくとは……始まるまでが長かったか。

次回、アラシVSイツキ!

本当は一話に収めるつもりだったんですけど、バトル描写だけで2000字越えしてしまい、泣く泣く二つに分けました。申し訳ない。バトル入るまでに3000字越えなんすよ。おかしいなぁ……?
アラシ君視点でやっているので、仕方ないのかもしれません。

リュウ君の前口上というか、選手紹介のやつは全員分やるらしいです。他の人達のお楽しみに。
つっても、モブさんのはないけどな……慈悲なんてなかった……(笑)

ではでは!