satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第95話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しんでる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
適当な回を皆様に見せてしまった……なんか、申し訳ない……(後悔)
ラル「するくらいなら、やらなきゃいいのに」
んでも、ウィル兄さんは出したかったからね。ええねん! 自己満足!
ラル「……」
とまあ、前回に引き続き、アラシ君視点でお送りしまーす!


《A side》
今までの展開からして……あと、アリアと馴染みである俺から見ても、残念ながらイツキ先輩に勝機はない。それは救護室のメンバーも理解しているらしく、ラルがモニターを見つつ、ニッと笑う。
「レオン君よりは長く戦えるに一票! 百ゴールドかける!」
「じゃあ、俺はその逆に百かける~♪ イツキ先輩の実力知らねぇけど♪」
お前、同じ予選グループだっただろ。
「そーだけどさ、別に剣を交えたわけじゃないし? 俺はイツキ先輩の戦いっぷり見てねぇもん。アラシとの試合も自分のことでいっぱいいっぱいで、観戦してなかったしー」
こいつ……!
「イツキ先輩は強いよ。その辺の高校生よりはな。……けど、今日のアリアには誰も勝てねぇわ」
トーナメントで交えたとき、部活での練習試合とは違う気迫を感じた。あの人の引き出しは多いし、何かと器用だ。きっと、才能と多くの練習が実を結んでいるんだろう。
「耐えろよ、キーくん。褒美がかかってるぞー」
「ほんとに叶える気あるんだね、ラルは」
「もち! 私が見込んだ子だよぉ? 約束は守ってもらわないと、ね?」
俺の知らないところで、ラルとイツキ先輩とで何か話があったらしい。それが何なのか予測はできないけど。
『それではー!!! 試合開始!!』
リュウ先輩の掛け声とゴングの音が鳴り響く。
それと同時に、アリアはレオンのときと同様、大きな魔法陣を出現させ、二頭の龍を思わせる氷……“氷双龍”を繰り出す。螺旋状に天へと登り、イツキ先輩めがけて突進をした。レオンは避けきれなくて、あえなく全身凍結という秒殺コースだったが、イツキ先輩は、二本の片手剣を使って上手く滑らせて、龍の突進攻撃を避ける。
「お、一撃避けた」
「イツキさん! すごいですっ!!」
しかし、まだ龍の攻撃は終わっていない。アリアは氷龍を操り、イツキ先輩へと攻撃を仕掛けるつもりらしい。
『…………斬らせてもらいますっ!!』
しかし、それも予測済みだったのか、先輩は二本の剣を横平行に構え、体の捻りを利用した斬撃……所謂、回転斬りを放つ。その攻撃で一頭の龍は破壊され、素早いステップで体勢を整えてから、立て続けにもう一頭の龍も連続斬りで破壊する。目にも止まらぬ、斬撃。イツキ先輩の武器はスピード……?
「へぇ……いいね、キーくん。それは予想外だよ」
破壊された“氷双龍”の氷達がばらばらと雨のように降ってくる中、イツキ先輩は剣を構えたまま、アリアを見据える。そこに油断はない。……ない、が。
『……♪』
フッとアリアが小さく笑みを見せる。
その瞬間、イツキ先輩の背後から新たな魔法陣が出現する。その魔法陣から、氷でできた獅子が飛び出し、イツキ先輩に飛びかかった。背後からの不意打ちにも関わらず、イツキ先輩は即座に反応した。ライオンの方を向くところまではよかったものの、流石に反撃までは間に合わず、ライオンに突進され、その追加効果として氷漬けという結果となった。試合続行不可と見なされ、アリアの勝利で終わる。
『準決勝、第一試合を勝ち上がったのは……アリア・ディーネ! 予選、一回戦と変わらずに相手を圧倒する氷の刃を見せてくれたぜ!!』
「まあ、知ってたよね。番狂わせなんて起きないと、誰もが予想してたよ。キーくん、お疲れ。……ツバサちゃん、キーくんを頼んだよ」
「は、はい……」
レオンのように全身氷漬け状態で運ばれてくるためか、ラルはその解除をツバサにお願いする。また、流石に、この一日だけで同じようなものを見ているツバサも少しだけ苦笑を浮かべて返事をした。
「なんか、ハードル上がらない? 決勝もどうせアリアが勝つんでしょーって思われてるってことだもんね。ラル、大変だねぇ」
ティールのその他人事はムカつくけど……確かに、決勝で瞬殺展開はあかん……どうにかする」
いかにして引き延ばし、もしかして……? と思わせられるか、そんな高等テクが必要になるのか。生徒側のミユルにはあまり関係ないが、ゲスト参加であり、生徒会のラルには難しい課題なのかもしれない。
「そーいや、結局、ゲストってどういう扱いな訳? って、これは聞いてもいいやつ?」
レオンが首を傾げ、問うた後に少し戸惑ったように笑う。俺達は関係者ではないから、聞くのはマナー違反というか、よくはないんだろうが、確かに気になるところではある。
「……ゲストはゲスト。決勝でのお助け要員みたいなもんだよ」
ラルが少しだけ考え、その結果、大雑把に答える。分かったような、分からないような答えだ。そして、ラルは更に詳しく答えることはなく、隣に座るティールへと目を向けた。
「ねえ、ティール。この話の流れで言うけど、セツちゃんを貸してほしい。私、まだ死にたくないんだよね」
「……狡くない?」
「お前は私が死んでもいいと」
「そうは言ってない」
「なら、差し出せ。献上しろ。私が死んでしまう前に貸せ!!」
「なんで脅迫してんの!?……ま、ぼくは構わないけどさ。セツもラルにならちゃんと従うから」
「えへ~♪ ティール、だいすきー!」
冷めた表情から一転、ぱっと笑顔を咲かせ、ティールに抱きつく。突然の行動にも関わらず、ティールは特に動じずに目の前のノートパソコンを眺めていた。この一連の流れをレオンがニヨニヨと眺めているが、俺は特に突っ込まない。巻き込み事故はごめんだ。
「はいはい、ありがとう。……ってことだから、出てき……あ、駄目。パソコン壊れる。ラル、ちょっと離れて」
ティールに言われ、ラルはティールから離れる。
話からすれば、セツとやらはなんからの武器か何かなんだろう。
セツという正体を知っているらしいリアさんがくすりと笑う。
「ラルちゃん、考えたわね~♪」
「いやぁ……実のところ、ゲスト参加って話を聞いた辺りから考えてましたよ。アリアちゃん来るなら必須かなぁって。雷姫だけでもいいけど、保険はほしい」
「ふふ♪ まあ、まだどうなるか分からないけれどね?」
「どっちに転んでも必須です。死にたくないんですって!」
おばさんの結界内で死ぬなんてないと思うけど?
俺の疑問が聞こえたのか、表情に出ていたのか。理由は定かではないが、ラルが不機嫌そうにこちらを見る。
「私、寒いの駄目なの!」
あ、そっち……?
突然、ふわりと冷気を感じ、そちらに目を向けると、ティールがどこから取り出したのか一つの剣を握っていた。全体的に透き通った水色をしており、氷を思わせるような剣。宝飾品のようにも思える美しいそれを、持ち主であるティールは無造作にラルに差し出した。
「はい。どうぞ」
「やったー! よろしくね、セツちゃん!」
ラルは大事そうに両手で抱え、剣ににこやかに話しかける。その様子を冷ややかな目で見ていたティールだったが、驚いたように体を震わせた。
「え?……あ、いや。お前はるすば……やめろ! うるっさい!! 黙れ。まずは範囲を絞れ」
「ありゃあ……ごめんねー? スイちゃんは応援隊長として見ててくれると……あ、そーね。しりとりね……これはしりとり関係ないかなぁ……?」
な、なんだぁ?
呆然とする俺達をよそに、二人だけの会話が始まってしまう。リアさんだけは理解しているみたいで、楽しそうに笑っていた。
「あらあら。喧嘩が始まっちゃったかしら?」
「リアさ……先生、ラル達は……?」
「そっか。アラシ君には聞こえないのね。今、二人が話しているのはスイちゃんとセツちゃんっていう剣なの。セツちゃんはラルちゃんが持っている剣で、スイちゃんは……ティールくんの傍に立て掛けてあるあれね」
リアさんが指差す方向に一つの剣がある。深い青色の鞘に納められたこちらも綺麗な剣だった。あの二つがティールの武器ってことなんだろうか。
というか、剣が喋る……?
「正式名称は水の聖剣、水泉。氷の聖剣、雪花よ。各聖剣の固有能力は色々あるけれど、全体の特徴として、聖剣は波長の合う人に声を届け、意思を伝える能力があるの。まあ、言ってしまえば、長年使い込まれて道具に意思が宿ったみたいなものよ♪ 聖剣は激レアの武器で、探検家や探検隊からすれば相当なお宝よね~」
そ、それを二本も持ってるティールって……!?
「あれはティールくんの持ち物っていうよりは、ティールくんのお家が所有してる物ね。現状の持ち主は……ティールくんのお父さんだったかしら?」
確か、ティールは海の国の王子……ってことは、国の所有物? それを易々と他人に渡していいのか!?
「だ、大丈夫だよ……ラルだから。スイもセツもラルはお気に入りだからね。こいつらは単純だけど、人を見極めるのは得意だよ」
「私は本来の持ち主ではないからね。ティールに呼び戻されれば、私の手元からいなくなるよ」
そ、そういうこと……なのか?
「ほへー! ティールってなんか凄い人なんだな! よく分からんけど~♪ よろしくな、スイ、セツ! 今度、面白い話聞かせてくれ~♪」
レオンのあっけらかんとしか感想にティールは困ったように笑う。
「ぼくは普通だよ……というか、レオンには聞こえていたの?」
「まあな! 楽しそうな二人の声、ちゃあんと聞こえてたぜ~? てぃーのばかーって」
「私も聞こえましたよ~♪ 聖剣さんの声、初めて聞きました! とっても可愛いですね♪」
レオンだけじゃなく、ツバサにも聞こえているらしい。俺とは相性が悪いのか、全くだ。水と氷なんて、炎とは相性最悪だし、そんなもんなのかもしれない。
「嘘!? だから、範囲絞ってって言ったのに!」
「いや、しまえば? スイちゃん。そうすれば周りは遮断できるよ」
「それだ。……いや、それじゃないよ。ぼくだけしんどいじゃん」
「じゃあ、このままティールの恥ずかしエピソード公開となりそうなこの空気に耐える?」
「無理! 戻れ、スイ!」
ティールの一言に、スイと呼ばれた水の聖剣は泡のように消える。俺も聖剣なんて初めて見たけど、喋ったり、煙のように姿を消したりと不思議なものだ。
「セツは喋るな。言葉発したら即戻すぞ」
「戻さないでよ。私の命に関わるー!」
「ギリギリまで戻すって話」
「じゃあ、いいか……」
……凄いんだろうけど、ラルやティールの接し方見るに、凄さを感じねぇな。悪いけど。



~あとがき~
とりあえず、茶番八割、本筋二割って感じでしたね。

次回、シエルVSミユル!
これは……どう進めようかな(汗)
と、投稿してからのお楽しみで!!

スイとセツ、ついにアラシ君達の目の前にも出てきましたね。何度も説明している気もしますが、復習だと思ってお聞きいただければと。ちなみに、これからもちょこちょこ出てくると思います。
リアさんにはスイとセツの声は届きません。届きませんが、リアさんの操る精霊(ゴーレム)を通じて意思を汲み取ることは可能です。精霊万能説。
今回はリアさんとアラシ君には聞こえてませんね。けどまあ、聞こえなくても問題ないような話をしているので、問題ないです。

ではでは!