satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神さま達の日常記録 vol.4

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。
今回でこの企画ラストの話となりました!!
例に漏れず、登場人物紹介から!

☆サクッと人物紹介☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。最近ハマってることは、男の娘姿でのファッションショー。

ウィル:生命の神様。人懐っこい性格。普段はアルフの下で働き、暇さえあれば、弟的存在のフォースの側でにっこにこしてる。ファウスとは反りが会わない。


はい! アルフ&ウィルにラストを飾っていただきます! さあさあ、参りましょう!


★お忍び★
天界には各神ごとに、所謂、仕事部屋とも言える空間が存在する。俺にもあるし、ルフさんにも。……あの野郎にも一応はある。
ちなみに、いつかのアホが私物まみれにして、ルフさんを生き埋めにした魔窟は、あいつの私室。仕事部屋ではないので、そこは間違えないでほしい。奴の仕事部屋はかーくんこと、フォースが同じ制御者仲間に呼び掛けて、しっかり管理している。そのおかげで、滅茶苦茶整頓されてるから。その辺は安心してね? まあ、あいつの仕事部屋なんて、今ではほぼほぼ、お飾りみたいになってるところはある。
……いやはや、そんなのはどうでもいいね? 俺のかーくんは、どんなことにも気が配れるいい子なんだよ! そこだけが重要なの。
そんな俺は、かーくんの下界の住まいに~……いるわけではなくて、きちんと神様としてお仕事中。
他の人達からは『魂の間』と呼ばれているけれど、きちんとした名称はない。俺も名前なんて興味はないから、どうとでも呼んでくれていい。
この部屋では、死んでしまった生物の魂を管理する部屋となっている。何かに例えるなら、審判を待つ監獄でも、診察前の待合室でも、上映前の会場前の休憩所でも。理解しやすい何かを想像してくれればいいんじゃないかな。
この世界は輪廻転生。魂はぐるぐると生まれ変わりを経験する。人にもなるし、花にも、木にも、動物にもなる。命ある何か、になるのを待つのが、この部屋の意義であり、それらを管理するのは、俺の一つの存在意義。生命の神の名を持つ、俺の仕事。ま、転生先を決めるのは、ルフさんの仕事だけどね。俺はあくまで手前までしかしない。
本日分の転生決定者(魂)にチェックを入れ、新たに管理する魂のチェックもすませれば、俺の仕事は終了。いちお、こっからはフリーダムタイムだ。
いつもなら、かーくんのとこ行ったり、部屋でぼけーっとしてたりするけど、今日はどしよっかな?
なんて考えていたら、部屋をノックする音が聞こえてきた。来客なんて、滅多にあるもんじゃないけど、してくる相手は固定されている。
「ほいほーい? 開いてますよー?」
「や、ウィルくん♪」
ひょこっと顔を覗かせたのは、転生の神様のルフさんだ。あどけない笑みを浮かべているから、少年のように思うかもだけど、俺よりも遥かに年上。
……いや、見た目は白髪の少年だけど、中身は違うって話ね。
「どったの、ルフさん? 俺、なんか間違えてた? それとも、転生順の変更?」
「ううん。仕事はいつも通り、大丈夫だったよ。そうじゃなくって、ウィルくんにお願いしたくって。仕事とは無関係なんだけどね?」
何やら思惑のある顔だ。なんだろ~?

……なんてのが、数日前の出来事。
俺とルフさんは、いつものようにお仕事を終えた後、そのまま下へと降り、あるカフェへとやってきた。
俺は制御者という肩書き─昔にかーくんに渡してて、本来なら持ってないんだけど、今もあれこれ理由つけて、彼から一部頂戴しているもの─を大いに利用して、下界にはちょくちょく降りてくる。まあ、それがなくっても、魂のお迎えとかもあるから、制約もなくほぼ無条件に訪れている。
しかし、ルフさんは何かと事情があって、頻繁には降りてこられないし、一人では来られない。だから、俺が付き添いするのが恒例。
うん! とっても穏やかで暖かい、いい天気の日。おでかけ日和だね!
「お待たせしました♪ こちら、アイスコーヒーと、デラックスチョコストロベリーアイスパフェでございます♪」
「わぁいっ!」
可愛らしい店員さんが持ってきたのは、長ったらしいお名前のするパフェだった。そのパフェにルフさんは、見た目通りの反応をする。ぴこぴこと紺色の猫耳を動かし、興奮しているみたいだ。
「ありがとう! おねーさん!」
「いえいえ♪ ごゆっくりどうぞ~」
パフェをルフさんの目の前に、アイスコーヒーを俺の目の前に置いた店員さんは、ペコッと頭を下げて、どこかへと行ってしまった。注文を取りに行くのか、また何かを運ぶのか。何にせよ、お仕事なのは変わらない。
制約その①『正体を明かしてはならない』という内容により、ルフさんは普段の長い白髪の少年から、紺色の猫族の少年へと見た目を変えて、声すらも年相応の高さにしている。ボーイソプラノというやつだ。
名前もアルフではなく、タイチと名乗っている。徹底してるよね。名前は流石によくない? って思うけど、まあ、その辺は仕方がない。どこがきっかけでバレちゃうのか分からないわけで、警戒するに越したことはないのだから。
……あ、俺は変わらず、いつもの姿だ。何の面白味はないね。名前も変えてないし。
「ウィルお兄ちゃん! 連れてきてくれてありがと!」
というタイチこと、たっちゃんの声と同時に、
(毎度ながら、僕のおでかけに付き合わせちゃってごめんね?)
という、ルフさんのテレパシーが聞こえてきている。なんでテレパシー使えるの? という素朴な疑問に対しては、神様だからで許してもらおっかな?
……まあ、この世界には魔法や技っていう便利な手段があってだね……そういうことだよ。神様でなくても、使う人は使います。はい。
「……ん? んーん! 気にしないで。これくらい、何でもないよ~? たっちゃんの為だしね」
これくらいなら、いつでも付き合っちゃうよ。ルフさん。
「えへへ♪」
(ありがとう、ウィルくん♪ 君は相変わらず、優しいねぇ~♪)
パフェが美味しいのか、嬉しくて笑っているのか分かんないけど、幸せそうにしているルフさん。
まあ、どっちでもいいか。幸せなのは変わんないもんね。
ルフさんはクリームを掬って一口。続けて、ストロベリーアイスを掬って一口食べる。一口食べる度、本当に美味しそうに食べるもんだから、実年齢を忘れちゃうよ。
今回、ここに来た理由は単純。ルフさんが「パフェ食べたい!」と言い出したからだ。
パフェの理由は、アホのマッドサイエンス(料理)を目の前にしたから。
アホが作る料理は料理ではなく、毒物とおんなじだ。原型はとどめてないし、口にしてしまえば、食べた人を地獄へと誘う。そんな劇物作りが趣味なアホは、何をとち狂ったのか、少し前、ルフさんにパフェをプレゼントしようとしていたのだ。この時は、俺が渡す前に仲介に入り、未遂で終わっている。
恥ずかしいから、マジでやめてほしいよね。一度、かーくんに殺されちゃえばいいのに。もしくは、俺が殺すけど。
「ウィルお兄ちゃん?」
(どしたの? ウィルくん、怖い顔してるよ?)
ルフさんはスプーンを咥えて、ちょこんっと首を傾げて俺を見ていた。
「ごめんね! なんでもない!」
この前のアホが、アホなことしてたのを思い出しちゃっただけ! ごめんなさーい!
「そっか。なら、いいんだけどね!」
(あ~……あの、パフェっぽい何かのこと? あれはやばかったね。色が。毒々しかったもん)
毒でも入ってるんじゃない? んまあ、そんな話はいいんだよ。
せっかくのパフェが美味しくなくなっちゃう。この話はやめやめ!
「おいしー? たっちゃん」
「うんっ! つめたくて、あまくて、おいしい!」
(下界のご飯は、いつ食べても美味しいね♪)
神様に食事は必要ない。ほとんど、娯楽のようなもので、暇だからなんとなく食べてみない? みたいな感じ。だからだろうか。料理スキルを持つ人は、ほぼいない。
まあ、制御者みたいに、長く下界に住む機会のあるような人達は別だけど。
「ウィルお兄ちゃん、一口あげる!」
「およ? いーの? やったー!」
ルフさんから差し出されたアイスを一口食べる。ほんのり、いちごの味が口に広がり、しつこくなく、優しい味わいだ。
「ん! 美味しいね~♪ お家じゃこの味は難しいなぁ」
あの馬鹿が作るものとは、大違いだよ。雲泥の差だよ。天国と地獄だよ!
「なるほど~……これが、ほんばのあじ、なのかな?」
(ファウスさんのあれはねぇ……どうにもならないのかな?)
さっきと同じようにスプーンを咥えて、困ったように笑う。やつの料理好きは昔から……ではなかったはずだ。どの辺からやり始めたんだっけ?
……いや、今はいいか。そんなこと。
「きっとそうだね。プロのなせる技、なんだろーな。俺にも作れないや~♪」
あれがどうにかできるとは思わないね。やつのあれは、兵器だから。食べ物じゃないから。
「そっかぁ、また食べたかったら、ここに来るしかないね!」
(ファウスさんの料理は、いつまで経っても上達しないもんね。あれはあれで、一種の才能かもよ?)
肯定したら、調子乗っちゃうから。絶対に駄目だよ。
(あはは♪ 分かった♪)
「話もそこそこにしておこ。たっちゃん、早く食べないと、アイス溶けちゃうよ?」
「ん! はーい!」
のんびりパフェを堪能するルフさんを眺めながら、今度、すっちーやりっちー達を連れてきてあげよっかなぁ……なんて、どうでもいいようなことを考えてた。
だって、食べ物一つで、人をここまで笑顔にできるのだ。大好きな人達にも、笑顔になってもらいたいじゃない?



~あとがき~
とりあえず、終わりでっす!
長かった!

次回からはレイ学本編に戻り、剣技大会決勝戦へ!
まだ、大会終わってなかったね~

頑なにファウスの名前を使わないウィル。ファウスが絡むと、一気に過激になりますね。いつものことです。単純に反りの合わない人が、たまたま育ての親になっちゃったってだけです。ウィルの運がなかったってだけです(笑)

アルフさんは変身できるので、仮の姿はたくさんあります。あるけど、きっと子供姿が多いんじゃなかろうか。そっちの方が何かと便利そうですもんね。

これにて、特別編のお話は終わりです!
次があるかは分かりません! 気が向けば、何かあるかもしれませんね。それまでは、神様も自由気ままに仕事をしたり、休んだりするのではないでしょうか!
また、この三人+αに会える日を!

ではでは!