satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第103話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわっちゃわちゃする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラルが忖度し始めた。
フォース「こっちっていうか……」
ラル「アリアちゃんのためにっていうか。ほんっとに私自身のメリットなくない!?」
フォース「お前になくとも、ギルドとしてのメリットはあったろ」
ラル「あったあぁぁ……(泣)」
とまあ、食べ物で暴走しまくりのアリアちゃんに対抗すべく、ラルも(密かに)ミユルちゃん側につきましたよってことでした。


彼女からの要求はここから先、二対二の戦闘を行い、どんな形でもいいから、アリアに“氷双龍”を出させること。そして、その龍に合わせてラル自身もラストに相応しい技を出すことであった。
「会長さんとアリアちゃんの技と、こちらの合わせ技をぶつけます。それを合図としてこちらは負けますので」
ナイフと刀での攻防の中で二人は自然と議論を交わしていく。
「なるほど。最終目標は理解したけど、過程は? どう進めるの」
「そこは成り行きですね」
「うわぁ……何事もプロセスは重要だよ、後輩ちゃん。……まあ、いい。そこはこちらが何とかしよう」
「分かりました」
「さて、このやりあいに折り合いをつけようか。一分後、計画通りに事を進める。……セツちゃん!」
『まってました~!!』
剣の形をしていた雪花は一瞬にして冷気へと姿を変える。そして、そこにラルは雷姫を通じて電撃を放ち、軽い爆発を起こして二人の周りに煙幕を作り出した。その間に、ラルはアリアの下へ走る。ラルが近づけば、元から計画を知っているフォースは自然と離れていくだろう。
『どうするのじゃ。人魚の娘にどう説明をする』
「………………知らん」
まさか、素直に計画を話す訳にはいかないだろう。アリアは知らなくてもいい情報だ。そもそも、真実を知って、アリアがどう行動に出るか読めないのだから、バラしてしまうのは得策ではない。単純に、相手を確実に倒すために協力してくれと言えば済む話である。……通常は。
『あたってくだけろ~』
「砕けるかぁ」

フォースとの攻防戦を続けていたアリアは相手の掴みどころのない立ち回りに若干、振り回され気味であった。攻めてきたと思ったら、いつの間にか距離を取られていたり、こちらが取ったと思ったら、完全に読まれていたり。かと思えば、技が直撃していることもあった。
フォースの「遊んでくれ」という台詞通りになっていて、手のひらで弄ばれている感覚が不快だった。とはいえ、相手も全くの無傷ではない。アリアの銃撃、斬撃に決定打にはならなくとも当たってはいるのだ。そして、武器の攻撃だけではなく、魔法も合わせて攻撃する。自身の背後に氷の矢を出現させ、目の前のフォースへと射った。が、驚いた様子もなく、付き従う精霊にさも当然かのように命令をする。
「鈴流」
鈴流と呼ばれた少女は長い髪を揺らしながら、電撃をぶつけて氷の矢を全て砕いた。砕かれた矢がキラキラと氷の粒となって、視界の端で風に流れていくのが見えた。ここで反撃に出ないという選択肢はない。アリアは更に別の魔法で応戦しようとしたところで、フォースが大きく横へと動いた。アリアに対する攻撃のためではなく、何かを避けようとする動作だった。
「勢いがいいな、リーダー」
「私が見てないところで、なぁに女の子をいじめてんのよ!! サイッテー!」
二人の戦いに突っ込んできたのは、アリアの一時的な相方であるラルだった。刀ではなく、透明感のある氷のような片手剣を握り、フォースに畳み掛けていく。アリアの攻撃では感情等々の変化はあまり見られなかったにも関わらず、ラルの攻撃……というよりも、発言に反応を見せた。
「おれ以外、女じゃねぇか! 仕方ねぇだろ」
「手加減しろ! 忖度だ! 接待しろー!!」
「馬鹿じゃねぇの!?」
冷静で掴み所のないやり取りをしていた相手とは思えないほど、感情を露にしていた。もしかして、あれが素なのかもしれないと思うくらいに。
「うりゃうりゃー! さっさといなくなれー!! でないと、完全凍結させっぞー!」
「嫌だね! 行くぞ、鈴流!」
簡単にフォースを撤退させると、くるりとアリアの方を振り向いた。こちらはミユルと激しい戦闘をしなかったせいか、着衣の乱れは少ない。
「大丈夫? アリアちゃん」
「…………ん」
「フォース君よりは怪我してないみたいだね。よかった。私が回復使えればよかったんだけど、生憎、そういうのは私の担当じゃなくってねー……とまあ、するほどでもなさそうだけど」
「ラル。……ご飯。タダ券……邪魔する」
戦いの中ではフォースの焦れったいやり方にイライラさせられ、それが反って、普段の自分らしい戦いをしていように思える。が、一度戦いから離れてしまうと、思考が食堂メニュー食べ放題、一年間無料、ご飯……と言ったものが埋め尽くされていく。
「? あー……フォース君がね。まあ、敵だから。その敵二人を一網打尽にする策がある。……協力してくれる?」
「……ご飯。タダ」
「アリアさん?」
ラルの問いかけも遠くに聞こえる。何を言われたのか何も覚えていないくらいに。
ただあるのは、これに勝てば、学園にある学食が一年間無料になるという事実のみ。
アリアは、込み上げてくる感情の昂りを抑えきれず、両手を天に掲げ、思い切り叫んだ。
「ゆうしょー!!」
「またこれかよぉぉー!! おい! 聞け、アリア・ディーネ! 一人で突っ込んで勝てる相手か!? フォースという男は! あいつを……正確には、ミユルちゃんだけど……とにかく、倒さないとご飯はない!」
ぴたりと止まる。ご飯がないという言葉で。
先ほど戦った相手。フォースとソロで相手をしたが、とてもじゃないがすぐに倒せる相手ではなかった。倒せなければ、アリアの欲しいものは手に入らないのだ。それを理解したアリアは首を横に振る。
「やだ。ご飯、ほしい」
「そのためには、私と協力する必要がある。いいか!? 私の言うことを聞けば手に入れられると誓う! アリア・ディーネ! 貴女が欲しがっているものを手にいれるためにだ! ご飯が欲しいかー!?」
「ほしい……っ!」
「学食の無料が欲しいか」
「……んっ!!」
「なら、私の作戦に乗るか?」
「のるっ! ゆうしょー! のる!!」
「よぉし! アリアちゃん、“氷双龍”の魔法発動に時間は必要?」
どこかの怪しげな団体勧誘みたいなやり取りから一転、ラルは真剣な顔で問うてきた。その質問にアリアは小さく頷く。
「ちょっと……でも、そんなにかからない」
「OK。じゃ、私の合図でその魔法を相手に向けて、撃てるように準備してくれる? 絶対に外したくないから、それに集中してくれて構わない。隙は私が作る」
「……どうするの?」
「私が前に出るよ。二人を翻弄して、射程内に入れる。私とアリアちゃんの、ね」
「……?」
ラルのしたいことが見えてこず、首を傾げる。そんなアリアに向かって、ラルは軽くウインクして見せた。
「最後は派手にした方が観客も満足するってことよ。アリアちゃんの“氷双龍”と、私の“雷龍”を二人に向けて撃つ!」

ラルとの乱闘の末─互いに手は抜いていたが─、どうにか彼女の協力を取り付けたミユル。どうアリアに魔法を打たせるのかはラルの説得次第だが、ミユルが一年の頃から生徒会長として動いていたラルのことだ。こんな小さな問題など、簡単に片付けるだろう。
「お疲れ様です、先輩」
「ほんっとだよ。時間かけすぎ」
アリアの水属性魔法に当たったために、全身ずぶ濡れ状態のフォースが悪態をつく。フィールド上にいる四人の中で一番やられているように見えるが、実際はそうでもないんだろう。現に、彼から焦り等は感じない。
「ごめんなさい。会長さん、思ったより真面目なんですもの。……ところで、いつ髪を染めたんですか?」
「ついさっき。……ま、元に戻すよ。これでいる意味もなくなったしな」
ぱちんと指を鳴らすと、薄いブラウンの髪に戻り、長さも少しだけ短くなる。
「あいつは受け入れたのか」
「はい。取引材料も効果ありまして」
「ふーん。ま、あいつの弱点だよなぁ……仲間思いで責任感があるってね」
それを聞いた鈴流はにこっと笑い、何かを言っているらしいが、その声はミユルには届かなかった。ただ一人、フォースだけに向けたその言葉の返答は短かった。
「……うっせ」
ただそれだけだった。何を言ったのか気にならない訳ではなかったが、それをここで聞くのは不粋だろう。ミユルは気にしていない風を装い、ぺこっと頭を下げた。
「さて、最後の戦いです。よろしくお願いします、フォース先輩、鈴流さん」
「はいよ」
「♪」
フォースは短く答え、鈴流は元気よく拳を突き上げる。恐らく、「おー!」と掛け声と一緒に。



~あとがき~
アリアちゃん、暴走してんなぁ……
それを巧みに操るラルでした。

次回、遂に終止符が打たれる!?(願望!)
ミユル、フォース、ラルはアリアにバレずに任務遂行できるのか……作戦は成功するのか!?

進んでいるように見えて、貰ったプロット的にはほぼ進んでません。だってここら辺、私のオリジナルですもん……(笑)
まあ、次回は進むんじゃないかな。うん。

ではでは!