satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第104話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でばたばたする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
アリア&ラルの最終方針も決まりました。ミユル&フォースも合流完了! ということで、遂に決勝戦も終わりに近づきました。
フォースは完全にアリアちゃんをおちょくってましたね。描写してないけど。気を引くってのではいい感じだったとは思いますが、今後の友好関係は築く気ゼロですよね。今更ですが。


ラルの立てた作戦は単純明快だ。相手の隙を作り、合図と共に二人の魔法、技で呼び出した龍を相手にぶつける。ただそれだけ。
フォーメーション的には後ろにアリア、前にラルだ。極力、ラルだけで二人の相手をするが、もしかすると、アリアの方に向かう可能性は否定できない。が、それはないだろうと勝手に解釈をしていた。理由としては、これが最後だから。
ラルは鞘に納めたままの雷姫に触れ、片手で雪花を構える。
“雷龍”を撃つためにはある程度、力を溜める必要があるため、雷姫は抜刀できない。もちろん、即席で撃てなくもないが、その後の反動は計り知れない。通常の手順で撃ってもそれなりの反動覚悟なのに、だ。
「行くよ、雷姫」
『……我は勧めんが』
どこか不満そうな……というよりは、心配そうな雷姫の声にラルは安心させるように語りかける。
「いーの。ここに立っている間は大丈夫」
『ふむぅ……まあ、よい。何事にも全力なマスターは嫌いではないからの』
『ごーごーだー!』
「おー! ってことで、お得意の先制じゃー!」
雪花の掛け声に合わせ、ラルは勢いよく走り出す。ミユルとフォースがどのように仕掛けてくるか様子を窺いもせず、真っ直ぐに突っ込んだ。
スピード型のラルは普段から前に出て、雷姫を思う存分振るっていた。周りを見ていないわけではないが、これは、ティールと共に戦うときの基本的なスタイルの一つだ。単身で乗り込み、相手の情報を己の目で見極める。そこから作戦を練る。
「まあ、今回は見る必要もないですけどっ!」
「おーおー……血気盛んねぇ~?」
雪花の刃を受け止めたのはフォースだった。同じように片手剣を持ち、それで防いでいた。フォースの後ろには鞭を構えるミユルと鈴流もいる。
「三対一? 酷くないですかぁ?」
「最初に戻っただけだろ。……ほらよっ!」
鍔迫り合いをしていた二人だったが、フォースの力業で無理矢理中断された。剣が弾かれ、無防備になったところで目を光らせていたミユルの鞭が飛んでくる。彼女の壁役とやっていたフォースは、鞭の邪魔にならないような位置に移動している。
何もしなければ、ミユルの鞭に打たれてしまう。大したダメージではないだろうが、鞭に捕らえられてしまえば、フォースのいい的である。それだけは願い下げだった。
「雷姫!」
『承知』
雷姫を使って、自身に速度アップの身体強化をかけ、鞭の攻撃から逃げるようにバックステップ。それでも追いかけてくる植物の鞭に、ラルは、雪花を一瞬で冷気へと姿を変えさせる。服の下に隠すように着けていたネックレスを確かめるために右手で胸を触る。小さな雫型のチャームの感触を感じながら、左手を前に突き出した。
「穏やかな水流よ、ここに顕現しろ!」
『おー! なるるー! こおっちゃえー!』
ラルの持つ青の魔力石の術により、重力に逆らって揺蕩う直径一メートルはある巨大な水の球を作り出した。それを雪花の冷気で一瞬にして凍らせ、氷の球へと変化させる。最後に雪花の力を使い、氷を自在に操って鞭へと当てさせた。その氷は砕けることもなく、盾の代わりを果たし、その場に鎮座している。
「魔力石装備かよ! 手ぇ抜け!」
「水に氷。アリアちゃんみたいですね……♪」
「いっつも持ってるの知ってるくせに。わざとらしいわよ、フォース君」
普段は隠すように身に付けていたから、知らなかったでも納得はする。が、フォースとは丸二年も一緒にいるのだから、全く知らないとは思えなかった。
「セツちゃん。よろしく」
『あいあいっ!』
元気のいい返事と共に、巨大な氷の球を軽々と宙へと浮かせる。氷を司る聖剣『雪花』の名に恥じぬ力であった。
「ま、小さいから潰れはしないよね。えいっ」
可愛らしい声とは裏腹に、ラルは雪花の冷気と一緒に氷の球をフォースへ向かわせる。それは吹雪となって、彼を凍てつかせるだろう。ついでに、後ろから援護射撃をしてくれたアリアもプレゼントして。
「こんの……まだやるかぁ!?」
「ご飯のため」
フォースが寒さなどに負けて凍結なんて状態異常を引き起こすなんて思ってはいない。それでも、アリアと雪花を相手にするのだから、ラルに構う余裕はなくなる。
その間にラルはミユルと距離を詰め、回転蹴りを繰り出した。雷姫の強化がある今、流石に鞭での牽制も間に合わないはずだと思い、体術へと切り替えた。単純に雪花を手放し、ラルの選択肢がないとも言える。
「わあ~♪ っと」
一応、彼女達と手を組んでいる仲なので、ミユルの避けられるだろうギリギリの間隔で蹴り技をしていた。それをちゃんと読んでいたのか、ラルの思い通りに避けてくれる。
「ふふ。フォース先輩には容赦ないのに、私には手加減してくれるんですか?」
「フォース君とは本気でやって、ようやく繕えるんだよ……?」
「あら。私はなめられてるんですかね♪」
そんなことはない……と言おうとするも、ラルは反射的に飛び退いた。
「あらあら。勘がいいですね」
ラルが立っていた位置に草のわっかが作られていた。あれに足を引っ掻けでもすれば、盛大に転んでいただろう。
「でも、そのよすぎる勘も時として仇となりますので、ご注意を♪」
「……!?」
「ごめんね、ラルちゃん! ここは遠慮なく襲えって言われてるの。……舞いなさい、剣達!」
ラルの避けた先に鈴流が佇んでいた。ミユルがラルの動きを読んでいたのだろう。わざと避けるように仕向け、鈴流の攻撃が本命……元から、そういう作戦だったのだ。
そして、容赦ない剣達の舞─これは恐らくフォースの指示だろう─を全ては避けきれない。なんとか、急所を狙う剣を技を使った電撃で弾くものの、それ以外は泣く泣く受けるしかなく、予想外のダメージを負ってしまった。雷姫を抜くか雪花があれば、傷なんて受けなくても良かったのだが、これに関しては運がなかったとしか言えない。
「げほっ……わあ。深すぎる斬撃は打撃変換されてらぁ……信じてなかった訳じゃないけど」
本来であれば深く斬られるはずの攻撃も、フィールド内の結界のおかげで、鈍痛はあるものの、斬られたような鋭い痛みはなく、血も出ていなかった。まあ、命に別状のないと判断された細かい切り傷や、擦り傷は流石にそのままで反映されているが。
「ダンジョン内もこんな風になれば……いや、それだとモンスター退治が面倒か。やっぱいいや」
仕事柄、痛みには慣れっこのラルは、どうでもいいような考えをするくらいには余裕があった。だからといって、痛いのが全く平気ではない。当たり前である。そろそろ終わりにしたかった。
そろそろ頃合いだろうかと、フォースの方をちらりと見る。
あちらは遊んでいるのか、のんきに─フォースからしてみれば、恐怖でしかない─氷の球のキャッチボールをしていた。雪花は実体のない冷気だから、どこに打ってもフォースに返している。そこにアリアの妨害とも取れる射撃により、フォースは翻弄されている……ように見えた。実のところ、そうでもないんだろう。
それを見たラルは、締めに入ろうと勝手に判断した。楽しそうに遊びやがって……とは思っていない。一応。
「フィナーレと行きましょうかねぇ……“草結び”……敵を絡めとれ!」
「! いけないっ!」
ぱちんと指を鳴らすと、新緑の青々とした草が地面から伸び、ミユルと彼女の側に戻っていた鈴流を捕まえる。流石にミユルのように得意属性ではないから、そこまで強度はないし、本来は敵を転ばせるだけの簡単な技。そのため、簡単に破られてしまうだろう。が、作りたかった隙をこうして生み出すくらいには役に立った。
ラルはミユル達から目を離さないように、後ろに下がりながら雷姫を抜刀した。彼女の刀身に充分な雷を貯められているのを確認すると、それを地面に突き立てた。それと同時にじっと後ろで素直に耐えていた今日限りの相棒に呼び掛ける。
「アーリアちゃぁあんっ! ラスト! 行きますよぉー!! 優勝すっぞー!」
「ゆうしょおぉぉー!! ごはぁぁんっ!!」
二人の……というよりは、アリアの欲望まみれの声が響く中、雷姫の柄を握り、ラルはそっと目を閉じる。
“雷龍”を使うのはいつぶりなのだろうか。よく考えないと思い出せないくらい昔に使ったのが最後のような気もするし、案外、忘れているだけで最近使った気もする。要するに覚えていないのである。
『たぁいま! るー、できそー?』
「だぁいじょうぶよ」
フォースの元から戻ってきた雪花は、自身の鞘にきっちりと納まる。雪花が帰ってきたということは、フォースも直にミユルと再び合流し、同じように技を使うだろう。それが何であれ、こちらの勝ちは決まったも同然である。
芝居の件があろうとなかろうと、ラルは勝ちにしか拘っていない。やるからにはとことんやるのがラルである。
「日輪の花よ、咲き誇れ! “サンシャインフラワー”!」
ミユルの詠唱により、前方から巨大な向日葵が現れ、中心部に巨大なエネルギーを溜めていく。太陽光かと間違うほどの輝きにラルは目を開けていられなくなる。それは、アリアも同じであった。
“サンシャインフラワー”は、向日葵が太陽光を吸収し、その力を一気に一直線に放出する魔法。早い話がビーム光線である。
しかし、今回はフォース─正確には鈴流─の手助けもあってか、集まる光からバチバチと電流が走っている。植物系の魔法にも関わらず、雷属性を付与させたらしい。
「あっちもそれなりに本気ってことかなぁ? アリアちゃん! こっちも!」
「敵を凍てつかせろ……“氷双龍”」
「我の雷の力を糧に降臨せよ! “雷龍”!」
アリアの背後に巨大な氷柱が出現し、二頭の龍へと変化した。事前に準備していたのもあり、数秒で二頭の氷龍が姿を現す。
一方のラルは、突き立てた雷姫に溜め込んでいた雷を全て放出させていた。その強大な雷は龍を形取り、低く落雷のような咆哮を轟かせる。
二頭の氷龍と雷龍は互いに螺旋を描きながら、向日葵へと突進攻撃を仕掛けるために、冷気と電気を帯ながら突っ込んでいく。
それと同時だった。
ミユルとフォースの光線のチャージが完了したらしく、溢れんばかりの光を一気に解放した。
三頭の龍と向日葵から放たれる光線がぶつかり合う中、氷と電の龍が光を割り、やがて巨大な向日葵へと牙を立てた。四つの力が衝突したため、結果として、大きな爆風を生み出し、フィールドを砂煙で覆っていく。
この視界の悪さなら、二人がやられたふりするのも容易であろう。が、せっかくここまでやったのだから、という欲が生まれた。
「……一人くらいは道連れにしたいよねぇ。奴を落とせ、“雷龍”」


~あとがき~
嘘だあぁぁぁぁあ!!!!????
これで終わると思ったのにぃぃーー!!!!

次回、決勝戦決着!
前回の予告でも似たようなことを言った気がします。気のせいかな。

ちょっくら長いので何も語らずに退場します。
あ、でもこれだけ。
フォースVSアリア&雪花の描写はしませんので、ご想像にお任せします。あの三人遊んでる(?)だけなので。

ではでは。